おっさんの異世界生活は無理がある。
第562話
ロイドの実家を護っている門番の人達に事情を説明して敷地の中に足を踏み入れたその直後の事、手入れの行き届いた豪勢でだだっ広い庭を目の当たりにしたポーラが興奮した様子で俺達よりも一歩前に出て来た。
「おぉ……貴族様が暮らすお屋敷はこれまでにも何度か拝見した事はありますけど、ロイドさんの所はまた別格ですね!何枚か写真を撮らせてもらっても良いですか?」
「ふふっ、満足するまでお好きに。」
「ありがとうございます!それでは少しだけ失礼しますね!」
「やれやれ……良いのか?あの調子だとしばらく掛かりそうだぞ?」
「あぁ、別に構わないさ。どうせすぐには父さんと母さんに会えないんだ。それならしばらくの間、こうして時間を潰して貰った方が有意義だろう?」
「……まぁ、それもそうか。」
ロイドとそんなやり取りをしながらカメラを片手にウロウロしているポーラの後を追いかけて噴水の手前辺りまでやって来ると、屋敷の中からカームさんが姿を現して俺達の方に向かって歩み寄って来てくれて深々とお辞儀をしてくれた。
「お帰りなさいませ、ロイド様。そしてお久しぶりでございます、九条様。そちらのお嬢様は初めましてになりますね。私はカーム・ダイスと申します。どうぞよろしくお願い致します。」
「あっ、ご丁寧なご挨拶どうもありがとうございます!私、トリアル雑誌社で記者をしているポーラ・グローリーと申します!こちら、よろしかった名刺を……」
「はい、お受け取りさせて頂きます。それでポーラ様、本日はロイド様の密着取材の件でお越しになったというお話でしたが……?」
「えぇ、そうなんです。ロイドさんの事をファンの方達により深く知ってもらおうという企画をしていまして、ご両親であるエリオさんとカレンさんに色々とお話を伺いたいなと思ってお邪魔させて頂いたんです。」
「なるほど、事情は把握致しました。しかし申し訳ございません。現在、ご当主様と奥方様はお仕事の真っ最中ですので、お会いになる為にはしばしお時間を頂く必要がございます。それでもよろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です。私達もいきなりやって来てすぐに会わせて欲しいだなんて言うつもりはありませんから。」
「ありがとうございます。それではロイド様、九条様、ポーラ様、これから談話室の方へご案内させて頂きます。どうぞこちらへ。」
ニコっと微笑んだカームさんが俺達に背を向けてようとしたその時、隣に立ってたロイドが小さく手を上げて彼の動きを制止させた?
「カーム、すまないがソレは後で構わないかな?今日は折角だから、2人に屋敷内を案内してあげて欲しいんだ。」
「……案内……ですか?」
「あぁ、どうやらポーラは私の実家に興味があるみたいだからね。」
「えっ!?いや、それは確かにそうなんですが……良いんですか?」
「勿論。談話室でジッとしているなんて、ポーラにとっては拷問みたいなものだろ?さっきの様子を見ていた限りだと、まだまだ散策してみたいんじゃないかい?」
「そ、そう言われると否定は出来ないんですけども……でも……その……」
流石に貴族のお屋敷内を見て回るなんて気が引けるのかポーラが困った様な表情を浮かべていると、カームさんが口元に手をやってクスクスと笑い始めた。
「ふふっ、そういう事でしたらかしこまりました。ファンの方達にロイド様が生まれ育った場所を知ってもらう為にも、ご協力させて頂きます。」
「あー……いえでも、そんな……」
「……ポーラ、ここまで言われたんなら自分の欲望に正直になった方が良いぞ。」
「九条さんの言う通り。遠慮はいらないよ。」
「……分かりました!それではお言葉に甘えさせてもらいますね!」
「えぇ、それでは私の後について来て下さい。」
ロイドの提案によって突如として始まったお屋敷案内ツアーに参加する事になった俺とポーラは、カームさんの後に続いて建物の中に入って行くのだった。
「おぉ……貴族様が暮らすお屋敷はこれまでにも何度か拝見した事はありますけど、ロイドさんの所はまた別格ですね!何枚か写真を撮らせてもらっても良いですか?」
「ふふっ、満足するまでお好きに。」
「ありがとうございます!それでは少しだけ失礼しますね!」
「やれやれ……良いのか?あの調子だとしばらく掛かりそうだぞ?」
「あぁ、別に構わないさ。どうせすぐには父さんと母さんに会えないんだ。それならしばらくの間、こうして時間を潰して貰った方が有意義だろう?」
「……まぁ、それもそうか。」
ロイドとそんなやり取りをしながらカメラを片手にウロウロしているポーラの後を追いかけて噴水の手前辺りまでやって来ると、屋敷の中からカームさんが姿を現して俺達の方に向かって歩み寄って来てくれて深々とお辞儀をしてくれた。
「お帰りなさいませ、ロイド様。そしてお久しぶりでございます、九条様。そちらのお嬢様は初めましてになりますね。私はカーム・ダイスと申します。どうぞよろしくお願い致します。」
「あっ、ご丁寧なご挨拶どうもありがとうございます!私、トリアル雑誌社で記者をしているポーラ・グローリーと申します!こちら、よろしかった名刺を……」
「はい、お受け取りさせて頂きます。それでポーラ様、本日はロイド様の密着取材の件でお越しになったというお話でしたが……?」
「えぇ、そうなんです。ロイドさんの事をファンの方達により深く知ってもらおうという企画をしていまして、ご両親であるエリオさんとカレンさんに色々とお話を伺いたいなと思ってお邪魔させて頂いたんです。」
「なるほど、事情は把握致しました。しかし申し訳ございません。現在、ご当主様と奥方様はお仕事の真っ最中ですので、お会いになる為にはしばしお時間を頂く必要がございます。それでもよろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です。私達もいきなりやって来てすぐに会わせて欲しいだなんて言うつもりはありませんから。」
「ありがとうございます。それではロイド様、九条様、ポーラ様、これから談話室の方へご案内させて頂きます。どうぞこちらへ。」
ニコっと微笑んだカームさんが俺達に背を向けてようとしたその時、隣に立ってたロイドが小さく手を上げて彼の動きを制止させた?
「カーム、すまないがソレは後で構わないかな?今日は折角だから、2人に屋敷内を案内してあげて欲しいんだ。」
「……案内……ですか?」
「あぁ、どうやらポーラは私の実家に興味があるみたいだからね。」
「えっ!?いや、それは確かにそうなんですが……良いんですか?」
「勿論。談話室でジッとしているなんて、ポーラにとっては拷問みたいなものだろ?さっきの様子を見ていた限りだと、まだまだ散策してみたいんじゃないかい?」
「そ、そう言われると否定は出来ないんですけども……でも……その……」
流石に貴族のお屋敷内を見て回るなんて気が引けるのかポーラが困った様な表情を浮かべていると、カームさんが口元に手をやってクスクスと笑い始めた。
「ふふっ、そういう事でしたらかしこまりました。ファンの方達にロイド様が生まれ育った場所を知ってもらう為にも、ご協力させて頂きます。」
「あー……いえでも、そんな……」
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「……分かりました!それではお言葉に甘えさせてもらいますね!」
「えぇ、それでは私の後について来て下さい。」
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