おっさんの異世界生活は無理がある。
第554話
「……お~いマホ~………って、そうだ……今は誰も居ないんだった……ったく……こんな朝早くから何なんだよ……」
枕元に置いてある目覚まし時計のベルではなくて扉がノックされる音で目を覚ます事になった俺は、ゆっくりベッドから這い出ると後頭部をガシガシと掻いてあくびをしながら自室を後にして玄関まで向かって行った。
「はいは~い、どちら様ですか~……うおっ?!」
「おはようございます!本日からロイドさんに密着取材をさせて貰う事になりましたファンクラブの広報担当の者です!どうぞよろしくお願い致します!」
「………………」
扉を開けて髪が紫色の女性と視線があった次の瞬間、思考が働き始めるよりも前に怒涛の勢いで挨拶らしきモノをされた俺はただ呆然と立ち尽くしてしまっていた……
「あっ、そう言えば自己紹介がまだでしたね。私、こういう者です。」
「……あぁ、どうも…………ポーラ………グローリー…………ん?グローリー?」
紫髪の女性のポケットから取り出された小さな紙を反射的に受け取っていた俺は、頭が真っ白な状態のままそこに書かれた文字に目を通していき……そこに書いてある名前を見た直後に何かの引っ掛かりを感じて顔を上げた。
「あはっ、お気付きになられましたか?その節は妹が大変お世話になったみたいで、大変感謝しています。九条透さん。」
「お、俺の名前を……つーか、妹って事はやっぱり……?」
「はい、改めてになりますが私の名前は『ポーラ・グローリー』と申します。そして妹の名前はオレット・グローリーと言います。以後、お見知りおきを。」
……なるほどね、ロイドは言ってたのはこういう事だったのか……!って言うか、脳みそは動き出してきたがそのせいで逆に混乱してきだんですけど!?
「あー……えっと……ポーラ……さん?」
「ふふっ、ポーラと呼び捨てにして頂いて構いませんよ。それに敬語も大丈夫です。何と言っても私の可愛い妹がお世話になっていますからね。」
「そ、そうか?それじゃあポーラ………どうしてここに居るんだ?」
「はい?どうして……と言われましても、私がこちらにお伺いした理由は先程ご説明した通りですよ?」
「うん、それなら質問を変えようか……ロイドが住んでいるのは隣の家なのに、何で俺の家に来たんだ?アイツの家がどっちなのかは事前に聞いてる……はずだよな?」
「えぇ、ロイドさんから間違えない様にと何度も教えられました。ですが……それ、嘘ですよね?」
「へっ?!う、嘘って言うのはどういう……」
冷や汗が流れ出そうになる感覚に襲われながら満面の笑みを浮かべているポーラにそう尋ねると、彼女はふふーんと鼻を鳴らし始めて……
「九条さん、真実を隠そうとしても無駄ですよ。私の本業、ファンクラブの広報ではなくてトリアル雑誌社の記者なんです。お渡しした名刺にも書いてありますよ。」
「………つ、つまり………?」
「ロイドさんの密着取材を始める前に、色々と調査はさせてもらっているんですよ。それに私には皆さんの事に詳しい心強い情報提供者が居ますからね。あはっ!」
「そ、そうでっか………」
これまでの準備が全て無駄になったという事を静かに理解してしまった俺は、勝ち誇るかの様に微笑んでるポーラと視線を交わしながら苦笑いを浮かべるのだった……
枕元に置いてある目覚まし時計のベルではなくて扉がノックされる音で目を覚ます事になった俺は、ゆっくりベッドから這い出ると後頭部をガシガシと掻いてあくびをしながら自室を後にして玄関まで向かって行った。
「はいは~い、どちら様ですか~……うおっ?!」
「おはようございます!本日からロイドさんに密着取材をさせて貰う事になりましたファンクラブの広報担当の者です!どうぞよろしくお願い致します!」
「………………」
扉を開けて髪が紫色の女性と視線があった次の瞬間、思考が働き始めるよりも前に怒涛の勢いで挨拶らしきモノをされた俺はただ呆然と立ち尽くしてしまっていた……
「あっ、そう言えば自己紹介がまだでしたね。私、こういう者です。」
「……あぁ、どうも…………ポーラ………グローリー…………ん?グローリー?」
紫髪の女性のポケットから取り出された小さな紙を反射的に受け取っていた俺は、頭が真っ白な状態のままそこに書かれた文字に目を通していき……そこに書いてある名前を見た直後に何かの引っ掛かりを感じて顔を上げた。
「あはっ、お気付きになられましたか?その節は妹が大変お世話になったみたいで、大変感謝しています。九条透さん。」
「お、俺の名前を……つーか、妹って事はやっぱり……?」
「はい、改めてになりますが私の名前は『ポーラ・グローリー』と申します。そして妹の名前はオレット・グローリーと言います。以後、お見知りおきを。」
……なるほどね、ロイドは言ってたのはこういう事だったのか……!って言うか、脳みそは動き出してきたがそのせいで逆に混乱してきだんですけど!?
「あー……えっと……ポーラ……さん?」
「ふふっ、ポーラと呼び捨てにして頂いて構いませんよ。それに敬語も大丈夫です。何と言っても私の可愛い妹がお世話になっていますからね。」
「そ、そうか?それじゃあポーラ………どうしてここに居るんだ?」
「はい?どうして……と言われましても、私がこちらにお伺いした理由は先程ご説明した通りですよ?」
「うん、それなら質問を変えようか……ロイドが住んでいるのは隣の家なのに、何で俺の家に来たんだ?アイツの家がどっちなのかは事前に聞いてる……はずだよな?」
「えぇ、ロイドさんから間違えない様にと何度も教えられました。ですが……それ、嘘ですよね?」
「へっ?!う、嘘って言うのはどういう……」
冷や汗が流れ出そうになる感覚に襲われながら満面の笑みを浮かべているポーラにそう尋ねると、彼女はふふーんと鼻を鳴らし始めて……
「九条さん、真実を隠そうとしても無駄ですよ。私の本業、ファンクラブの広報ではなくてトリアル雑誌社の記者なんです。お渡しした名刺にも書いてありますよ。」
「………つ、つまり………?」
「ロイドさんの密着取材を始める前に、色々と調査はさせてもらっているんですよ。それに私には皆さんの事に詳しい心強い情報提供者が居ますからね。あはっ!」
「そ、そうでっか………」
これまでの準備が全て無駄になったという事を静かに理解してしまった俺は、勝ち誇るかの様に微笑んでるポーラと視線を交わしながら苦笑いを浮かべるのだった……
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