おっさんの異世界生活は無理がある。
第552話
「ほらほら、どうですかロイドさん!私にも魔法が使える様になったんですよ!」
「ふふっ、良かったねマホ。」
「はい!ご主人様、頑張ってレベルを上げてくれて本当にありがとうございます!」
「いや、別にお礼を言われる事じゃねぇからって……このやり取りさっきから何度もやってる気がするんだが?」
「あれ、そうでしたっけ?でもまぁ良いじゃないですか!ご主人様にはもっともっと感謝の言葉を伝えてあげたいんですから!」
「……そう言ってくれるのは嬉しいが、照れくさいからそろそろ勘弁してくれ……」
昼時を過ぎた辺りで帰って来たロイドに新機能を見せびらかしてたマホに何度目か分からないお礼を告げられた俺は、羞恥心のあまり右手で顔を覆い隠していた……!
「えへへ、すみませんご主人様!どうしても気持ちを抑えきれなくって!」
「おや、そういう事なら九条さんも真正面からマホの気持ちを受け取ってあげないといけないね。」
「うん、そうしてあげた方が良いと思う。」
「お、お前らな……!あぁもう、いい加減この話題は終わりにするぞ!そんでもってロイド!帰って来た時に言ってた話の続き、さっさと聞かせろ!」
「ふむ、九条さんがそこまで言うなら仕方ないね。マホもそれで構わないかい?」
「はい!恥ずかしがり屋のご主人様には、今夜の晩御飯でお礼をしますから!あっ、勿論ロイドさんとソフィさんにも喜んで貰える様に頑張りますよ!」
「ふふっ、それは楽しみだね。」
「期待してる。」
3人がやり取りをしてから数秒後、ロイドは目の前に置かれたティーカップに手を伸ばして中に入っていた紅茶を一口飲むとゆっくり俺達の顔を見回してきた。
「そう言えば、さっきは何処まで話していたかな?」
「旅行の会報については無事に終わったが、その後にやった会議で広報担当の子からとある提案をされた……って、行った所までだな。」
「そうですね!その後に私達の話題に移りました!」
「あぁ、確かにそうだったね。マホがあまりにも嬉しそうにしていたから何があったのか聞かせてもらったんだ。」
「はい!それで魔法を扱える様になった所を見せる為にこうやって……!」
「はいはい、さっきと同じ流れにしない様にな……そんで?広報の子にどんな提案をされたって言うんだよ。」
「うん、それなんだが………私が所属しているギルド、ナインティアがどんな活動をしているのか密着取材させて欲しいという事だったんだよ。」
「「……はい?」」
何処かで聞いた事がある様な言葉の響きに思わずマホと声を揃えてしまった直後、ロイドの隣に座っていたソフィが静かに首を傾げていった。
「ロイド、どういう事?」
「まぁ、簡単に言ってしまえば言葉通りの意味だね。数日間だけで良いから、私達が普段どんな事をしているのか取材させてくれませんかと言われてしまったんだ。」
「そ、それは……何と言うか…………どうなんですか、ご主人様。」
「いや、どうも何も……その提案にロイドはなんて答えたんだよ?」
「ふふっ、私だけで決める訳にはいかないから返事は保留させて欲しいと伝えたよ。皆の意見も聞かずに返答する訳にはいかないからね……それでどうだろうか?今回の密着取材の件、私としてはなるべくファンの子の期待に応えてあげたんだが……」
「その気持ちは分からんでもないが……密着取材か……」
「ロイドさん、その取材の密着度ってどれぐらいの感じになりそうですかね?」
「そうだね……恐らくだが、朝早くから陽が暮れるまでの間くらいだと思うよ。」
「そうですか……だとすると、引き受けるには色々と準備が必要そうですね……」
「あぁ、ぶっちゃけ面倒だから断りたいんだけど……ロイドの今後を考えるとそんな事は言ってられねぇからな……でも、実際に密着取材を受けるとなると……お前にはこの家を出て行ってもらって本来の持ち家に行ってもらう必要があるだろうな。」
「ふむ、それはつまり隣にある家にって事だよね?」
「その通りだ。ファンの子達にこの状況が知られちまったら……多分、俺は死ぬ。」
「……すみませんご主人様、強く否定出来ません。」
数週間前に熱狂的なロイドのファンと旅行をしていたマホは、気まずそうに俺から視線を逸らしやがったので……さっきの言葉が更に現実味を帯びた訳だなっ!
「……そういう事だからロイド、取材を受けるならここで暮らしてるって事は絶対に気付かれるな!俺の命を護る為にも……!」
「ふふっ、了解したよ。けど驚いたな。九条さんの事だから断ってくれって言われるかと思ったんだけどね。」
「……正直に言うとそういう気持ちが無い訳じゃねぇよ。だがさっきも言った様に、お前とファンの子達の付き合いを俺の我儘で潰す訳にもいかねぇだろうが。ソフィも悪いんだが、そういう事で構わないか?」
「うん、ロイドの為なら問題ない。」
「……ありがとう。それじゃあ密着取材の件は引き受けさせて貰うよ。」
「あぁ……そういや、その広報担当の子ってどんな奴なんだよ?まさかとは思うが、ある事ない事を書きまくる厄介な奴じゃないだろうな。」
「大丈夫、その点については心配ないよ。でもどんな子なのかって質問は……会ってからのお楽しみって事で良いかな?皆を驚かせたいからさ。」
「……その台詞、何だか嫌な予感がしないでもないんだが……」
「ま、まぁまぁ……ロイドさんがそう言ってる以上は諦めましょう。それよりも今は密着取材を受けている間の事を考えないとですよ!家の事は良いとしても、食事とかその他の事について決めちゃいましょう!」
「……はぁ、それもそうだな。」
ようやく落ち着いた生活が戻って来たと思っていた矢先に新たなイベントが始まり思わず頭を抱えそうになりながらも、俺達はこれからの行動について話し合いをしていくのだった。
「ふふっ、良かったねマホ。」
「はい!ご主人様、頑張ってレベルを上げてくれて本当にありがとうございます!」
「いや、別にお礼を言われる事じゃねぇからって……このやり取りさっきから何度もやってる気がするんだが?」
「あれ、そうでしたっけ?でもまぁ良いじゃないですか!ご主人様にはもっともっと感謝の言葉を伝えてあげたいんですから!」
「……そう言ってくれるのは嬉しいが、照れくさいからそろそろ勘弁してくれ……」
昼時を過ぎた辺りで帰って来たロイドに新機能を見せびらかしてたマホに何度目か分からないお礼を告げられた俺は、羞恥心のあまり右手で顔を覆い隠していた……!
「えへへ、すみませんご主人様!どうしても気持ちを抑えきれなくって!」
「おや、そういう事なら九条さんも真正面からマホの気持ちを受け取ってあげないといけないね。」
「うん、そうしてあげた方が良いと思う。」
「お、お前らな……!あぁもう、いい加減この話題は終わりにするぞ!そんでもってロイド!帰って来た時に言ってた話の続き、さっさと聞かせろ!」
「ふむ、九条さんがそこまで言うなら仕方ないね。マホもそれで構わないかい?」
「はい!恥ずかしがり屋のご主人様には、今夜の晩御飯でお礼をしますから!あっ、勿論ロイドさんとソフィさんにも喜んで貰える様に頑張りますよ!」
「ふふっ、それは楽しみだね。」
「期待してる。」
3人がやり取りをしてから数秒後、ロイドは目の前に置かれたティーカップに手を伸ばして中に入っていた紅茶を一口飲むとゆっくり俺達の顔を見回してきた。
「そう言えば、さっきは何処まで話していたかな?」
「旅行の会報については無事に終わったが、その後にやった会議で広報担当の子からとある提案をされた……って、行った所までだな。」
「そうですね!その後に私達の話題に移りました!」
「あぁ、確かにそうだったね。マホがあまりにも嬉しそうにしていたから何があったのか聞かせてもらったんだ。」
「はい!それで魔法を扱える様になった所を見せる為にこうやって……!」
「はいはい、さっきと同じ流れにしない様にな……そんで?広報の子にどんな提案をされたって言うんだよ。」
「うん、それなんだが………私が所属しているギルド、ナインティアがどんな活動をしているのか密着取材させて欲しいという事だったんだよ。」
「「……はい?」」
何処かで聞いた事がある様な言葉の響きに思わずマホと声を揃えてしまった直後、ロイドの隣に座っていたソフィが静かに首を傾げていった。
「ロイド、どういう事?」
「まぁ、簡単に言ってしまえば言葉通りの意味だね。数日間だけで良いから、私達が普段どんな事をしているのか取材させてくれませんかと言われてしまったんだ。」
「そ、それは……何と言うか…………どうなんですか、ご主人様。」
「いや、どうも何も……その提案にロイドはなんて答えたんだよ?」
「ふふっ、私だけで決める訳にはいかないから返事は保留させて欲しいと伝えたよ。皆の意見も聞かずに返答する訳にはいかないからね……それでどうだろうか?今回の密着取材の件、私としてはなるべくファンの子の期待に応えてあげたんだが……」
「その気持ちは分からんでもないが……密着取材か……」
「ロイドさん、その取材の密着度ってどれぐらいの感じになりそうですかね?」
「そうだね……恐らくだが、朝早くから陽が暮れるまでの間くらいだと思うよ。」
「そうですか……だとすると、引き受けるには色々と準備が必要そうですね……」
「あぁ、ぶっちゃけ面倒だから断りたいんだけど……ロイドの今後を考えるとそんな事は言ってられねぇからな……でも、実際に密着取材を受けるとなると……お前にはこの家を出て行ってもらって本来の持ち家に行ってもらう必要があるだろうな。」
「ふむ、それはつまり隣にある家にって事だよね?」
「その通りだ。ファンの子達にこの状況が知られちまったら……多分、俺は死ぬ。」
「……すみませんご主人様、強く否定出来ません。」
数週間前に熱狂的なロイドのファンと旅行をしていたマホは、気まずそうに俺から視線を逸らしやがったので……さっきの言葉が更に現実味を帯びた訳だなっ!
「……そういう事だからロイド、取材を受けるならここで暮らしてるって事は絶対に気付かれるな!俺の命を護る為にも……!」
「ふふっ、了解したよ。けど驚いたな。九条さんの事だから断ってくれって言われるかと思ったんだけどね。」
「……正直に言うとそういう気持ちが無い訳じゃねぇよ。だがさっきも言った様に、お前とファンの子達の付き合いを俺の我儘で潰す訳にもいかねぇだろうが。ソフィも悪いんだが、そういう事で構わないか?」
「うん、ロイドの為なら問題ない。」
「……ありがとう。それじゃあ密着取材の件は引き受けさせて貰うよ。」
「あぁ……そういや、その広報担当の子ってどんな奴なんだよ?まさかとは思うが、ある事ない事を書きまくる厄介な奴じゃないだろうな。」
「大丈夫、その点については心配ないよ。でもどんな子なのかって質問は……会ってからのお楽しみって事で良いかな?皆を驚かせたいからさ。」
「……その台詞、何だか嫌な予感がしないでもないんだが……」
「ま、まぁまぁ……ロイドさんがそう言ってる以上は諦めましょう。それよりも今は密着取材を受けている間の事を考えないとですよ!家の事は良いとしても、食事とかその他の事について決めちゃいましょう!」
「……はぁ、それもそうだな。」
ようやく落ち着いた生活が戻って来たと思っていた矢先に新たなイベントが始まり思わず頭を抱えそうになりながらも、俺達はこれからの行動について話し合いをしていくのだった。
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