おっさんの異世界生活は無理がある。
第537話
大通りにある屋台を巡り始めてからしばらくして、慣れない人込みの中で皆を探す事に集中しすぎるあまり疲れが見え始めたルゥナさんを心配した俺はテラス席のある店を探してそこで一息入れて行く事にした。
「はぁ……すみません九条さん…‥‥何度も何度も……」
「いえいえ、俺もちょっと休憩したいなと思っていた所なので気にしないで下さい。いやぁ、それにしても凄い人の数ですよね。ここから見えているだけで何百人ぐらい居るのか分かりませんよ。」
「えぇ、本当に……」
「………」
「………」
うぐっ……!ち、沈黙が重すぎる……!ってか、こんな風に女の人と賑やかな所に来た事が無いから何を話して良いのか分からないんですけども!?
クソっ!久しぶりに目の前でイチャつきまくっているリア充共が憎たらしくなってきやがったぜ……!楽しそうにしやがってよぉ……その会話スキルを俺にもちょっとだけ分け与えやがれってんだちきしょうめっ!
「あ、あー!それにしてもあいつ等にも困ったもんですよね!まさか花火大会に来て早々にはぐれちまうとは思いもしませんでしたよ!」
「……そうですね……もっと……私がしっかりしていれば……うぅ……このままではあの子達に失望されて……教師失格です……」
ヤ、ヤベェ……目に見えて分かるぐらい不安に押し潰されていらっしゃるぞ……!あぁもう、こんな時に気の利いた慰めの言葉なんて思い浮かばねぇが……とりあえず何とかしないと後であいつ等に何を言われるか分かったもんじゃねぇ……!
「そ、そんなに悲観的にならなくても大丈夫ですよルゥナさん!この程度の事で皆の信頼が揺らぐはずないじゃないですか!」
「……どうしてそう言い切れるんですか?もしかしたら、私の事なんて呆れ果ているかもしれないのに……」
「い、いえ!それだけはあり得ませんってば!だって……誰かの為に必死に頑張れるあいつ等が、自分よりも生徒の事を第一に考える素敵な先生の事を呆れたりするはずありませんからね。」
「っ!……九条さんは……そういう所が……」
「は、はい?すみません、ちょっと聞こえなかったんですけど……」
「な、何でもありません!気にしないで下さい!!」
「は、はぁ……」
うーん、自分の事を難聴系主人公だなんて言うつもりはねぇが喧騒のせいで本当に聞き取れなかった……俺の名前が出たのは分かったんだけど……マジで何を言われたのか気になる……でも、雰囲気的に教えてくれそうにないし……どうしたもんか……
「えっと……九条さん、これからどう動きましょうか?」
「あーそうですねぇ……正直な所、これだけの人が居る中であいつ等の事を見つけるのはメチャクチャ難しいと思うんですよね。それに探しながら歩き回っているせいで体力の消耗がかなり激しくなりますし……あっ、別に責めている訳では無いですからそこだけは理解して下さい。」
「わ、分かりました……ですが、それならどうしましょう。」
「……今の気持ちを素直にぶっちゃけるとルゥナさんに怒られるかもしれませんが、俺としてはあいつ等の事を信じてこのまま花火大会を満喫した方が良いんじゃないかって思っています。」
「それは……一体どうしてですか?」
「まぁ、第一の理由はさっきも言った通りあいつ等を見つけるのが難しいって事なんですが……第二の理由としては、俺達がこのまま捜索を続けてたら後で合流した時に怒られる気がするからって感じですかね。」
「おこ……られるですか?えっ、あの子達に……?」
「えぇ、折角の花火大会だって言うのに自分達の事を探していたから楽しめなかったなんてあいつ等が聞かされたら……それはもう、文句を言われまくるでしょうね。」
特にユキとフィオ辺りなんかは俺の事をボロクソに言いまくる姿が思いっきり目に浮かんでくるんだよなぁ……っと、どうやらルゥナさんも同じ想像をしたらしいな。
「……ふふっ、確かに鮮明に思い浮かべる事が出来ますね。どうしてもっと自分達を信用してくれなかったのかって怒られる気がします。」
「はい……そういう訳なんで、これからは優先順位を変えて花火大会を満喫する事にしませんか?そしてそのついでに皆を探すって感じで。」
「そうですね。あの子達の楽しい思い出を私達が邪魔しない様に、これからは気分を入れ替える事にします。九条さん、改めてになりますがよろしくお願いしますね。」
「えぇ、任せて下さい!ルゥナさん、そろそろ大丈夫そうですか?」
「えぇ、問題ありません。」
「よしっ、それじゃあ行くとしますか。」
俺とルゥナさんは空になった容器を店員さんに渡して店を後にすると、目に付いた屋台を次々と巡って行くのだった。
「はぁ……すみません九条さん…‥‥何度も何度も……」
「いえいえ、俺もちょっと休憩したいなと思っていた所なので気にしないで下さい。いやぁ、それにしても凄い人の数ですよね。ここから見えているだけで何百人ぐらい居るのか分かりませんよ。」
「えぇ、本当に……」
「………」
「………」
うぐっ……!ち、沈黙が重すぎる……!ってか、こんな風に女の人と賑やかな所に来た事が無いから何を話して良いのか分からないんですけども!?
クソっ!久しぶりに目の前でイチャつきまくっているリア充共が憎たらしくなってきやがったぜ……!楽しそうにしやがってよぉ……その会話スキルを俺にもちょっとだけ分け与えやがれってんだちきしょうめっ!
「あ、あー!それにしてもあいつ等にも困ったもんですよね!まさか花火大会に来て早々にはぐれちまうとは思いもしませんでしたよ!」
「……そうですね……もっと……私がしっかりしていれば……うぅ……このままではあの子達に失望されて……教師失格です……」
ヤ、ヤベェ……目に見えて分かるぐらい不安に押し潰されていらっしゃるぞ……!あぁもう、こんな時に気の利いた慰めの言葉なんて思い浮かばねぇが……とりあえず何とかしないと後であいつ等に何を言われるか分かったもんじゃねぇ……!
「そ、そんなに悲観的にならなくても大丈夫ですよルゥナさん!この程度の事で皆の信頼が揺らぐはずないじゃないですか!」
「……どうしてそう言い切れるんですか?もしかしたら、私の事なんて呆れ果ているかもしれないのに……」
「い、いえ!それだけはあり得ませんってば!だって……誰かの為に必死に頑張れるあいつ等が、自分よりも生徒の事を第一に考える素敵な先生の事を呆れたりするはずありませんからね。」
「っ!……九条さんは……そういう所が……」
「は、はい?すみません、ちょっと聞こえなかったんですけど……」
「な、何でもありません!気にしないで下さい!!」
「は、はぁ……」
うーん、自分の事を難聴系主人公だなんて言うつもりはねぇが喧騒のせいで本当に聞き取れなかった……俺の名前が出たのは分かったんだけど……マジで何を言われたのか気になる……でも、雰囲気的に教えてくれそうにないし……どうしたもんか……
「えっと……九条さん、これからどう動きましょうか?」
「あーそうですねぇ……正直な所、これだけの人が居る中であいつ等の事を見つけるのはメチャクチャ難しいと思うんですよね。それに探しながら歩き回っているせいで体力の消耗がかなり激しくなりますし……あっ、別に責めている訳では無いですからそこだけは理解して下さい。」
「わ、分かりました……ですが、それならどうしましょう。」
「……今の気持ちを素直にぶっちゃけるとルゥナさんに怒られるかもしれませんが、俺としてはあいつ等の事を信じてこのまま花火大会を満喫した方が良いんじゃないかって思っています。」
「それは……一体どうしてですか?」
「まぁ、第一の理由はさっきも言った通りあいつ等を見つけるのが難しいって事なんですが……第二の理由としては、俺達がこのまま捜索を続けてたら後で合流した時に怒られる気がするからって感じですかね。」
「おこ……られるですか?えっ、あの子達に……?」
「えぇ、折角の花火大会だって言うのに自分達の事を探していたから楽しめなかったなんてあいつ等が聞かされたら……それはもう、文句を言われまくるでしょうね。」
特にユキとフィオ辺りなんかは俺の事をボロクソに言いまくる姿が思いっきり目に浮かんでくるんだよなぁ……っと、どうやらルゥナさんも同じ想像をしたらしいな。
「……ふふっ、確かに鮮明に思い浮かべる事が出来ますね。どうしてもっと自分達を信用してくれなかったのかって怒られる気がします。」
「はい……そういう訳なんで、これからは優先順位を変えて花火大会を満喫する事にしませんか?そしてそのついでに皆を探すって感じで。」
「そうですね。あの子達の楽しい思い出を私達が邪魔しない様に、これからは気分を入れ替える事にします。九条さん、改めてになりますがよろしくお願いしますね。」
「えぇ、任せて下さい!ルゥナさん、そろそろ大丈夫そうですか?」
「えぇ、問題ありません。」
「よしっ、それじゃあ行くとしますか。」
俺とルゥナさんは空になった容器を店員さんに渡して店を後にすると、目に付いた屋台を次々と巡って行くのだった。
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