おっさんの異世界生活は無理がある。
第519話
お互いにとって1つも良い事なんて無い様な気がする羞恥プレイを乗り越えてからしばらくした後、俺達は店から借りてきたシュダールを履きながらレジャーシートの上に袋の中から取り出した道具を広げていた。
「おっ、うきわ発見!しかもコレ、かなり大きいサイズみたいだよ!九条さん、空気よろしくね!」
「はいよ……いやぁ、こういう時に魔法があると本当に楽だな。」
「うふふ、僕としては九条さんの吐息を直接入れてくれたうきわに捕まりながら海を漂ってみたい所ですけどね。」
「……そう言われるとお前以外の皆がうきわを使えなくなるだろうが。それよりも、さっさと気になる道具を手に取った方が良いぞ。最初は早い物勝ちだからな。」
「ハッ、言われるまでもねぇよ。オレはこのウォーシューターってのを先に使わせてもらうぜ。オラ、勝負すんだからテメェも受け取れや。」
「うおっ、片手しか空いて無いんだから投げるなっての……つーか、本当に勝負するつもりなのか?折角の海なんだから俺の事なんてほっとけば良いじゃねぇか……」
「ウッセェ、ゴチャゴチャ言ってんじゃねぇよ。まぁ、このオレに怖気づいてんならこの場で土下座すれば許してやらねぇ事もねぇぞ?どうするんだ、アァ?」
「フィ、フィオさん。あんまり九条さんにそういう口の利き方は……」
「良いんですよルゥナさん……分かったよ、ここまで来たら腹を括ってやる……ただその場合、学園でしたのと同じ体験をさせる事になると思うけど勘弁してくれよ?」
「面白れぇ……今度こそテメェをボコボコにして海に沈めてやるよ……!」
「おぉ……!2人共、太陽の日差しにも負けないぐらいギラッギラだね!これは私も記者魂を燃え上がらせないといけないね!」
「はっはっは、何時になく九条の奴が熱くなっておるのう。」
「……太陽の暑さにやられちゃったんでしょうよ。それよりも……アンタ、この後にする事を忘れてないでしょうね。」
「うむ、今日ここに来た目的の1つだからな。忘れるはずが無かろう!」
「ふーん、それなら良いんだけど……ちょっと九条、アタシの分のうきわもきちんと膨らませときなさいよね!」
「はいはい、言われなくても分かってますよ。」
「あっ、九条さん。僕とクリフはビーチボールを膨らませておきますね。」
「えっ、良いのか?」
「ふんっ、貴様1人にやらせていては時間が掛かり過ぎるから仕方あるまい。我々に感謝するが良い!ふーっはっはっはっは!……あっつぃ……」
「……ここまで作業続きなのにこんな所で高笑いなんかしてるからだろうが……」
汗だくになりながら無理にテンションを上げているアホな中二病患者に呆れながら空気が必要な物を2人と協力しながら膨らませてったその後、準備運動をした俺達は使いたいのを手に取って海の方に意識を向けた。
「それでは皆さん、今日の海は穏やかですが気を付けて遊びに行きましょうか。」
「はーい!……澄み切った綺麗な海に水着姿の美男美女……今こそ!防水用に改造をした私のカメラが活躍する時!って、あぁ!何するのエルアちゃん!」
「悪いけどオレットに撮影されながらだと不安でしょうがないからね。帰るまでこのカメラは預からせてもらうよ。」
「え、ええええぇぇぇ!?そんな!酷いよエルアちゃん!この日が来るのをどれだけ楽しみにしていたと思うのさ!学園で待っている読者達も皆の水着を楽しみに待っているんだよ!?その期待を裏切るって言うの!?そんなの許されないよ!」
「……ヘェ……それなら撮影が出来なくなったって言い訳が出来りゃ良いんだろう?エルア、オレにカメラを寄こしやがれ。木っ端微塵にぶっ壊してやるからよ……!」
「ちょ、ちょちょちょ!待って!お願いだからそれだけは待って!分かった!諦めるから私の可愛いカメラを壊そうとしないでえええええええ!!!!」
「はぁ……海に入る前から騒がしい奴らねぇ。」
「まぁ、これが青春ってもんなんじゃないか。」
「ふふっ、私としては皆さんが仲良くなったみたいで嬉しい限りですけどね。」
「はっはっは、ルゥナは素晴らしき先生じゃのう。皆に慕われるのも納得じゃ。」
「いえ、そんな……私なんてまだまだですよ。」
「……なんて先生が言ってるみたいけど、生徒としてはどう思ってるのかしら?」
「ふっ、そんな事をわざわざ言葉にする必要もあるまい。もし疎んでいるのならば、わざわざ一緒に旅行をしたいと思うはずがないだろう。」
「うふふ、クリフ先輩の意見に同意ですね。嫌いな相手を誘って旅行をするだなんて誰にとっても特にならない事はしたくありませんからね。」
「……と、いう事みたいじゃぞ。良かったな、ルゥナ。」
「っ……はい……!」
目元をキラリと輝かせながら満面の笑みを浮かべているルゥナさんを静かに微笑みながら見守っていると、何故だかイリスがゆっくりと俺の方へ歩み寄って来た。
「九条さん、少しだけお時間よろしいでしょうか?」
「あ、あぁ……どうしたんだ?」
「実は九条さんにお願いしたい事がありまして……」
「お願いしたい事?……………オイ………それってまさか………」
「はい、日焼け止めです。実は更衣所で塗るのを忘れてしまって……九条さん、僕にコレを塗ってくれませんか?そこにビーチベッドも有る事ですし……ね?」
「い、いやぁ……そ、それは流石に……マズイ気が……」
「どうしてですか?僕達は男同士ですよ。恥ずかしがる事なんてありませんよね?」
「そ、うなんだけど……あっ、だったらクリフの奴に塗ってもらったら」
「九条透!我は先に海へと行かせてもらう!さらばだ!」
「うおぉい!……あの野郎……!」
「さぁ、お願いします。僕も女の子に塗られるのは少し恥ずかしいですから。」
「う、嘘だ!そんな事、絶対に思ってないだろ!?」
「うふふ、そんな事はありませんよ。それよりも……さぁ、行きましょうか。」
「ちょっ!手を引っ張るなっての!ル、ルゥナさん!」
「ルゥナよ!我々も泳ぎに行くぞ!」
「えっ!あ、あの……!」
「大丈夫、あの2人の事は放っておきましょう。」
「あ、あっ!す、すみません九条さん!失礼しますっ!」
「ル、ルゥナさあぁぁぁん!……あ、あんにゃろう……!」
「うふふ……九条さん、これで邪魔者は居なくなりましたね。」
「じゃ、邪魔者って……お前、さっきと言ってる事が逆じゃねぇか?」
「さっきの事はもう忘れました。今は九条さんに日焼け止めを……エルア先輩、また僕の邪魔をするつもりですか?」
「と、当然だろ!目の前でいかがわしい事が起きそうなのに無視出来るものか!」
「いかがわしいだなんて人聞きが悪いですねぇ……僕はただ……全身に日焼け止めを塗って貰おうと思っているだけですよ。」
「は、はぁ!?全身って……塗るのは背中だけじゃないのか?!」
「えぇ、そんなの勿体無いじゃないですか。どうせだったら隅から隅まで……」
「だ、だからダメだって言ってるだろ!ほら、僕が日焼け止めを背中に塗ってあげるからそこに寝転がるんだ!」
「……仕方ありません、今回は諦めるとします。」
「今回はって……クリフ、次の機会も無いからね。」
「うふふ、それは……どうでしょうかね?」
「す、凄いねオレットちゃん……2人の間で火花がバチバチしてるよ……!」
「ハァ……オレとしては、あんな奴の何処が良いのか分かんねぇけどな……」
「……聞こえてるからな。」
海に入る前からとてつもない疲労感に襲われながらどうにか目の前の危機を脱する事に成功した俺は、ひとまずオレットとの決着を付ける為にウォーシューターを握り締めながら海へと向かって行くのだった。
「おっ、うきわ発見!しかもコレ、かなり大きいサイズみたいだよ!九条さん、空気よろしくね!」
「はいよ……いやぁ、こういう時に魔法があると本当に楽だな。」
「うふふ、僕としては九条さんの吐息を直接入れてくれたうきわに捕まりながら海を漂ってみたい所ですけどね。」
「……そう言われるとお前以外の皆がうきわを使えなくなるだろうが。それよりも、さっさと気になる道具を手に取った方が良いぞ。最初は早い物勝ちだからな。」
「ハッ、言われるまでもねぇよ。オレはこのウォーシューターってのを先に使わせてもらうぜ。オラ、勝負すんだからテメェも受け取れや。」
「うおっ、片手しか空いて無いんだから投げるなっての……つーか、本当に勝負するつもりなのか?折角の海なんだから俺の事なんてほっとけば良いじゃねぇか……」
「ウッセェ、ゴチャゴチャ言ってんじゃねぇよ。まぁ、このオレに怖気づいてんならこの場で土下座すれば許してやらねぇ事もねぇぞ?どうするんだ、アァ?」
「フィ、フィオさん。あんまり九条さんにそういう口の利き方は……」
「良いんですよルゥナさん……分かったよ、ここまで来たら腹を括ってやる……ただその場合、学園でしたのと同じ体験をさせる事になると思うけど勘弁してくれよ?」
「面白れぇ……今度こそテメェをボコボコにして海に沈めてやるよ……!」
「おぉ……!2人共、太陽の日差しにも負けないぐらいギラッギラだね!これは私も記者魂を燃え上がらせないといけないね!」
「はっはっは、何時になく九条の奴が熱くなっておるのう。」
「……太陽の暑さにやられちゃったんでしょうよ。それよりも……アンタ、この後にする事を忘れてないでしょうね。」
「うむ、今日ここに来た目的の1つだからな。忘れるはずが無かろう!」
「ふーん、それなら良いんだけど……ちょっと九条、アタシの分のうきわもきちんと膨らませときなさいよね!」
「はいはい、言われなくても分かってますよ。」
「あっ、九条さん。僕とクリフはビーチボールを膨らませておきますね。」
「えっ、良いのか?」
「ふんっ、貴様1人にやらせていては時間が掛かり過ぎるから仕方あるまい。我々に感謝するが良い!ふーっはっはっはっは!……あっつぃ……」
「……ここまで作業続きなのにこんな所で高笑いなんかしてるからだろうが……」
汗だくになりながら無理にテンションを上げているアホな中二病患者に呆れながら空気が必要な物を2人と協力しながら膨らませてったその後、準備運動をした俺達は使いたいのを手に取って海の方に意識を向けた。
「それでは皆さん、今日の海は穏やかですが気を付けて遊びに行きましょうか。」
「はーい!……澄み切った綺麗な海に水着姿の美男美女……今こそ!防水用に改造をした私のカメラが活躍する時!って、あぁ!何するのエルアちゃん!」
「悪いけどオレットに撮影されながらだと不安でしょうがないからね。帰るまでこのカメラは預からせてもらうよ。」
「え、ええええぇぇぇ!?そんな!酷いよエルアちゃん!この日が来るのをどれだけ楽しみにしていたと思うのさ!学園で待っている読者達も皆の水着を楽しみに待っているんだよ!?その期待を裏切るって言うの!?そんなの許されないよ!」
「……ヘェ……それなら撮影が出来なくなったって言い訳が出来りゃ良いんだろう?エルア、オレにカメラを寄こしやがれ。木っ端微塵にぶっ壊してやるからよ……!」
「ちょ、ちょちょちょ!待って!お願いだからそれだけは待って!分かった!諦めるから私の可愛いカメラを壊そうとしないでえええええええ!!!!」
「はぁ……海に入る前から騒がしい奴らねぇ。」
「まぁ、これが青春ってもんなんじゃないか。」
「ふふっ、私としては皆さんが仲良くなったみたいで嬉しい限りですけどね。」
「はっはっは、ルゥナは素晴らしき先生じゃのう。皆に慕われるのも納得じゃ。」
「いえ、そんな……私なんてまだまだですよ。」
「……なんて先生が言ってるみたいけど、生徒としてはどう思ってるのかしら?」
「ふっ、そんな事をわざわざ言葉にする必要もあるまい。もし疎んでいるのならば、わざわざ一緒に旅行をしたいと思うはずがないだろう。」
「うふふ、クリフ先輩の意見に同意ですね。嫌いな相手を誘って旅行をするだなんて誰にとっても特にならない事はしたくありませんからね。」
「……と、いう事みたいじゃぞ。良かったな、ルゥナ。」
「っ……はい……!」
目元をキラリと輝かせながら満面の笑みを浮かべているルゥナさんを静かに微笑みながら見守っていると、何故だかイリスがゆっくりと俺の方へ歩み寄って来た。
「九条さん、少しだけお時間よろしいでしょうか?」
「あ、あぁ……どうしたんだ?」
「実は九条さんにお願いしたい事がありまして……」
「お願いしたい事?……………オイ………それってまさか………」
「はい、日焼け止めです。実は更衣所で塗るのを忘れてしまって……九条さん、僕にコレを塗ってくれませんか?そこにビーチベッドも有る事ですし……ね?」
「い、いやぁ……そ、それは流石に……マズイ気が……」
「どうしてですか?僕達は男同士ですよ。恥ずかしがる事なんてありませんよね?」
「そ、うなんだけど……あっ、だったらクリフの奴に塗ってもらったら」
「九条透!我は先に海へと行かせてもらう!さらばだ!」
「うおぉい!……あの野郎……!」
「さぁ、お願いします。僕も女の子に塗られるのは少し恥ずかしいですから。」
「う、嘘だ!そんな事、絶対に思ってないだろ!?」
「うふふ、そんな事はありませんよ。それよりも……さぁ、行きましょうか。」
「ちょっ!手を引っ張るなっての!ル、ルゥナさん!」
「ルゥナよ!我々も泳ぎに行くぞ!」
「えっ!あ、あの……!」
「大丈夫、あの2人の事は放っておきましょう。」
「あ、あっ!す、すみません九条さん!失礼しますっ!」
「ル、ルゥナさあぁぁぁん!……あ、あんにゃろう……!」
「うふふ……九条さん、これで邪魔者は居なくなりましたね。」
「じゃ、邪魔者って……お前、さっきと言ってる事が逆じゃねぇか?」
「さっきの事はもう忘れました。今は九条さんに日焼け止めを……エルア先輩、また僕の邪魔をするつもりですか?」
「と、当然だろ!目の前でいかがわしい事が起きそうなのに無視出来るものか!」
「いかがわしいだなんて人聞きが悪いですねぇ……僕はただ……全身に日焼け止めを塗って貰おうと思っているだけですよ。」
「は、はぁ!?全身って……塗るのは背中だけじゃないのか?!」
「えぇ、そんなの勿体無いじゃないですか。どうせだったら隅から隅まで……」
「だ、だからダメだって言ってるだろ!ほら、僕が日焼け止めを背中に塗ってあげるからそこに寝転がるんだ!」
「……仕方ありません、今回は諦めるとします。」
「今回はって……クリフ、次の機会も無いからね。」
「うふふ、それは……どうでしょうかね?」
「す、凄いねオレットちゃん……2人の間で火花がバチバチしてるよ……!」
「ハァ……オレとしては、あんな奴の何処が良いのか分かんねぇけどな……」
「……聞こえてるからな。」
海に入る前からとてつもない疲労感に襲われながらどうにか目の前の危機を脱する事に成功した俺は、ひとまずオレットとの決着を付ける為にウォーシューターを握り締めながら海へと向かって行くのだった。
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