おっさんの異世界生活は無理がある。
第513話
クアウォートに到着した次の日、大通り沿いにあるショッピングモールっぽい所にある木製のベンチに腰を下ろしていた俺は水着売り場の所でキャッキャとはしゃいでいる女性陣の姿を眺めながら背もたれに思いっきり体を預けて天井を見上げていた。
「はぁ……どんだけ待てばあいつ等の買い物は終わるんだ……もう既に1時間以上は経ってる気がするんだが……?」
「ふんっ、忍耐力の無い奴だな。それよりも九条透、明日は海に行くと言うのにその様な水着で本当に良いのか?」
「いや、それはこっちの台詞だっての……白地に黒い龍の絵が描かれた水着とか……お前、ちょっとは恥ずかしいとか思わないのか?」
「やれやれ、この柄の素晴らしさが分からぬとは情けない奴だな……白き世界を昇る暗黒龍!これこそ我に相応《ふさわ》しい水着ではないか!ふーっはっはっはっは!」
「……どんだけ嬉しかったんだよ……」
立ち上がって高笑いを決めているクリフの事を呆れながら見つめていると、俺達の方に向かって来るエルアとオレットさんの姿が視界に入ってきた……の、だが?
「オ、オレット!やっぱり止めようよ!」
「もう、こう言うのは男の人の意見を聞くのが大事なんだって!ほら、行くよ!」
「あぁもう、だから……!」
「……あの2人、一体どうしたと言うのだ?」
「さぁ……?なんか知らんが、水着を2つ持ったオレットさんにエルアが強引に手を引かれているみたいに見えるが……よく分かんねぇけど、あのまま店の外に出るのは流石にマズいからこっちから行ってみるとするか。」
「うむ、店員にいらぬ誤解を与えて騒ぎにさせる訳にはいかないからな。」
「……その台詞、さっき高笑いしてた自分に聞かせてやってくれよ……」
ガクッと肩を落としながら小さな声でそう呟いた俺はクリフの後に続いてエルアとオレットさんに近寄って行った。
「あっ!九条さんにクリフ君!ちょうど良かった、呼びに行こうとしていた所だったんですよ!」
「うん、そうだろうとは思ってたけど……俺達に何の用事だ?」
「はい!実はお2人にご相談したい事がありまして……」
「オ、オレット!何度も言ってるだろ!わた、僕はそっちの水着が良いって!」
「うんうん、それは2人の意見を聞いてから決めようね!それじゃあ……九条さん、クリフ君、こっちとこっち!どっちの水着が良いと思いますか!」
「……何だと?」
「……あー……悪い、質問の意味がよく分からないんだが……?」
デデンッ!……という効果音が聞こえてきそうな勢いでオレットさんが俺達の目の前に出してきたのは、ピンク色でフリルが付いてる可愛らしい水着とスポーティーなタイプの紺色の水着だった……?
「だーかーら!こっちとこっち、どっちの水着がエルアちゃんに似合いますか!?」
「う、うぅ……だからオレット!僕はそんな女の子っぽい水着は着ないって言ってるだろ!それにどう考えたって似合う訳が無いじゃないか!」
「いやいや、何度も言ってるけど絶対に似合うって!2人もそう思いますよね!?」
「きゅ、急にそんな事を言われてもだな……わ、我はその……く、九条透!」
「えっ!?こ、ここで俺に振るなよ!ほら、さっさと答えろって!」
「な、何故我が先に答えねばならんのだ!年長者として貴様が先に答えるべきだろ!さぁ、早くするのだ!」
「こ、このっ!」
「ほらオレット、2人も困ってるじゃないか!やっぱり僕には……」
「大丈夫だって!九条さんもクリフ君も恥ずかしがってるだけだから!ほら、エルアちゃんが落ち込んじゃうから早く質問に答えて下さい!まずはクリフ君から!」
「あっ…えぇ……?そ、そうだな……まぁ……アレだ!本人が着たくない言っている水着を無理やり着せるのはどうかと我は思う!つまり……エルアが着たいと思ってる水着こそがエルアに似合う水着だという事だ!以上!」
「ぐぬぅ……!そこは男らしくスパっと答えるべき所でしょ!それじゃあ九条さん!どっちがエルアちゃんに似合うと思いますか!」
「へっ!?いや、それは……うん、非常に不本意だがクリフと同意見だっ!エルアが着たいと望む水着こそが似合う水着!それ以上でも以下でもない!」
「こ、このヘタレ男子めぇ……!それじゃあ聞き方を変えます!エルアちゃんに着て欲しいのはどっちの水着ですか!?」
「オレット!もういい加減に……!」
「さぁ、答えて下さい!どっちの水着が良いんですか!あっ、エルアちゃんが着たい水着こそがみたいな答えは受け付けませんからね!正直に思っている事を心のままに伝えて下さい!さぁさぁさぁ!」
「そ、それは……そのぉ……まぁ……なぁ?」
「お、おう……そりゃあ……見れるんなら……なぁ……やっぱり可愛い方が……」
「……えっ……?」
「はいはーい!声が小さいですよ!大きな声でもう一度!さぁっ!」
「っ~……!だ、だから……可愛い方が……に、似合うと思うぞ……」
「うんうん!そうですよねそうですよね!クリフ君も正直にどうぞ!」
「う、うむ……我も……エルアには……そっちの方が似合うのではないかと……」
「そうですよね!エルアちゃんってとっても可愛いですもんね!さぁ、2人の正直な気持ちを聞いたよね?選ぶ水着、決まった?」
「……わ、分かったよ!2人がそう言うなら……僕も……頑張ってみる……で、でも似合ってなかったら責任を取ってくれよ!」
「もっちろん!それじゃあコレをベースにして他の水着も見てみようか!」
「えっ!?これに決定するんじゃないのか!?」
「当たり前でしょ!この水着なんだって2人に知られてたら明日の楽しみが半減する事になっちゃうでしょ!それじゃあ九条さん、クリフ君、また後で!」
「ちょ、ちょっとオレット!背中を押さないでって……し、失礼します!」
満面の笑みを浮かべたオレットさんと困惑した表情をしているエルアが店の中へと戻って行く姿を見送った俺達は、周囲の人達から変な人を見る視線を感じながら2人揃ってため息を零すのだった……
「九条さーん、クリフせんぱーい、次は僕達の水着選びにに付き合って下さいね。」
「まぁ、参考になるかは分かんないけど意見ぐらいは聞いてあげるわよ。」
「はっはっは、よろしく頼むぞ!」
「……九条……この試練は何時まで続くのだ……!」
「そんなの……俺の方が教えて欲しいわ……」
そこから更に数時間……女性陣の水着選びの為に色々と連れ回された俺達は別荘に戻る頃にはぐったりと疲れ果てる事になっていた……
「はぁ……どんだけ待てばあいつ等の買い物は終わるんだ……もう既に1時間以上は経ってる気がするんだが……?」
「ふんっ、忍耐力の無い奴だな。それよりも九条透、明日は海に行くと言うのにその様な水着で本当に良いのか?」
「いや、それはこっちの台詞だっての……白地に黒い龍の絵が描かれた水着とか……お前、ちょっとは恥ずかしいとか思わないのか?」
「やれやれ、この柄の素晴らしさが分からぬとは情けない奴だな……白き世界を昇る暗黒龍!これこそ我に相応《ふさわ》しい水着ではないか!ふーっはっはっはっは!」
「……どんだけ嬉しかったんだよ……」
立ち上がって高笑いを決めているクリフの事を呆れながら見つめていると、俺達の方に向かって来るエルアとオレットさんの姿が視界に入ってきた……の、だが?
「オ、オレット!やっぱり止めようよ!」
「もう、こう言うのは男の人の意見を聞くのが大事なんだって!ほら、行くよ!」
「あぁもう、だから……!」
「……あの2人、一体どうしたと言うのだ?」
「さぁ……?なんか知らんが、水着を2つ持ったオレットさんにエルアが強引に手を引かれているみたいに見えるが……よく分かんねぇけど、あのまま店の外に出るのは流石にマズいからこっちから行ってみるとするか。」
「うむ、店員にいらぬ誤解を与えて騒ぎにさせる訳にはいかないからな。」
「……その台詞、さっき高笑いしてた自分に聞かせてやってくれよ……」
ガクッと肩を落としながら小さな声でそう呟いた俺はクリフの後に続いてエルアとオレットさんに近寄って行った。
「あっ!九条さんにクリフ君!ちょうど良かった、呼びに行こうとしていた所だったんですよ!」
「うん、そうだろうとは思ってたけど……俺達に何の用事だ?」
「はい!実はお2人にご相談したい事がありまして……」
「オ、オレット!何度も言ってるだろ!わた、僕はそっちの水着が良いって!」
「うんうん、それは2人の意見を聞いてから決めようね!それじゃあ……九条さん、クリフ君、こっちとこっち!どっちの水着が良いと思いますか!」
「……何だと?」
「……あー……悪い、質問の意味がよく分からないんだが……?」
デデンッ!……という効果音が聞こえてきそうな勢いでオレットさんが俺達の目の前に出してきたのは、ピンク色でフリルが付いてる可愛らしい水着とスポーティーなタイプの紺色の水着だった……?
「だーかーら!こっちとこっち、どっちの水着がエルアちゃんに似合いますか!?」
「う、うぅ……だからオレット!僕はそんな女の子っぽい水着は着ないって言ってるだろ!それにどう考えたって似合う訳が無いじゃないか!」
「いやいや、何度も言ってるけど絶対に似合うって!2人もそう思いますよね!?」
「きゅ、急にそんな事を言われてもだな……わ、我はその……く、九条透!」
「えっ!?こ、ここで俺に振るなよ!ほら、さっさと答えろって!」
「な、何故我が先に答えねばならんのだ!年長者として貴様が先に答えるべきだろ!さぁ、早くするのだ!」
「こ、このっ!」
「ほらオレット、2人も困ってるじゃないか!やっぱり僕には……」
「大丈夫だって!九条さんもクリフ君も恥ずかしがってるだけだから!ほら、エルアちゃんが落ち込んじゃうから早く質問に答えて下さい!まずはクリフ君から!」
「あっ…えぇ……?そ、そうだな……まぁ……アレだ!本人が着たくない言っている水着を無理やり着せるのはどうかと我は思う!つまり……エルアが着たいと思ってる水着こそがエルアに似合う水着だという事だ!以上!」
「ぐぬぅ……!そこは男らしくスパっと答えるべき所でしょ!それじゃあ九条さん!どっちがエルアちゃんに似合うと思いますか!」
「へっ!?いや、それは……うん、非常に不本意だがクリフと同意見だっ!エルアが着たいと望む水着こそが似合う水着!それ以上でも以下でもない!」
「こ、このヘタレ男子めぇ……!それじゃあ聞き方を変えます!エルアちゃんに着て欲しいのはどっちの水着ですか!?」
「オレット!もういい加減に……!」
「さぁ、答えて下さい!どっちの水着が良いんですか!あっ、エルアちゃんが着たい水着こそがみたいな答えは受け付けませんからね!正直に思っている事を心のままに伝えて下さい!さぁさぁさぁ!」
「そ、それは……そのぉ……まぁ……なぁ?」
「お、おう……そりゃあ……見れるんなら……なぁ……やっぱり可愛い方が……」
「……えっ……?」
「はいはーい!声が小さいですよ!大きな声でもう一度!さぁっ!」
「っ~……!だ、だから……可愛い方が……に、似合うと思うぞ……」
「うんうん!そうですよねそうですよね!クリフ君も正直にどうぞ!」
「う、うむ……我も……エルアには……そっちの方が似合うのではないかと……」
「そうですよね!エルアちゃんってとっても可愛いですもんね!さぁ、2人の正直な気持ちを聞いたよね?選ぶ水着、決まった?」
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「もっちろん!それじゃあコレをベースにして他の水着も見てみようか!」
「えっ!?これに決定するんじゃないのか!?」
「当たり前でしょ!この水着なんだって2人に知られてたら明日の楽しみが半減する事になっちゃうでしょ!それじゃあ九条さん、クリフ君、また後で!」
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「まぁ、参考になるかは分かんないけど意見ぐらいは聞いてあげるわよ。」
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