おっさんの異世界生活は無理がある。
第507話
翌朝、イリスの襲撃を防ごうと奮闘してくれてたエルアのお礼を言ったり美少女の寝起き姿を激写!とか言って騒いでいるオレットさんを落ち着けたりしながら何とか身支度を整えた俺は荷物の入ったバッグと抱えると皆と一緒に我が家を後にした。
そして朝日に照らされた大通りの十字路で宿屋に泊まっていた3人と合流すると、馬車が停まっている広場に向かって行って……先に待っていたレミ、ユキ、ジーナが皆と自己紹介しがてら雑談している姿をボーっと眺めていた。
「へぇ、最近の学生さんってかなり個性的な武器を使うんだね!もし良かったら後で私に見せてくれないかな?簡単にで良かったら手入れもしてあげるし……どう?」
「はい、構いませんよ。」
「ありがとう!いやぁ、それにしても本当に大きな盾だね。重くないの?」
「そうですね……以前は重く感じて振り回されたりもしましたが、今はそれなりに扱えていると思います。」
「うんうん、きちんと成長している証拠だね!それで君の武器は……おぉっ!コレも中々に興味を惹かれるね!これだけ大きい斧、持ち上げるのも大変じゃない?」
「いえいえ、そんな事はありませんよ。見た目に反して僕の武器は……」
父親から貰った大きな盾、そしてどんな物でも一刀両断出来そうな刃が付いているバカでかい斧……そしてそれを見ながら興奮している加工屋の娘……そんな3人娘のすぐ隣では……
「ほほぅ、お主には邪龍とやらの血が流れておるというのか?」
「その通り!だから気を付けるがいい……我に触れると怪我だけでは済まんぞ!」
「ふむ……ていっ!」
「ぐほっ!な、何をする……!」
「いや、触れたらどの様に怪我をするのか気になってちぃと試してみたんじゃが……コレと言って何も起きんのう。」
「ふっ、ふっふっふ……それは我が瞬間的に力を抑えたからだ……!小さき少女を傷つけたとあっては暗黒龍の血を引く者の名折れであるのでな!」
「おぉ、そうじゃったのか!それはお主に感謝せねばならんのう。」
「はっはっは!礼など無用!我は当然の事をしたまでである!ふーっはっはっ!」
本物の神様と自称暗黒龍の血を引く男との何とも言えないやり取りが盛り上がっていて……そこから少し離れた所では……
「ふーん、つまりアンタはあの九条に無残にも負けちゃったって訳ね。」
「アッ?負けてねぇって言ってんだろうが。ただ時間切れになっちまっただけだよ。もう少し続いてたら確実にボコしてやってたわ。」
「へぇ、面白い事を言うじゃない。それならクアウォートに付いたらアイツと勝負でもしてみたらどう?」
「言われるまでもねぇよ。今度こそ叩き潰してやるぜ……!」
「おぉ!フィオちゃん、九条さんと一戦交えるんですね!これは良い画が撮れそうですね!決着の瞬間、バッチリカメラに収めてあげますよ!」
「フィ、フィオさん!折角の旅行なのに何を言ってるんですか!オレットさんもそうやって煽らないで下さい!それとユキさんもですよ!」
「何よ、別に良いじゃない。こうしてやる気になってるんだから生徒の背中を押してあげるのも先生の役目なんじゃないの?」
「そうそう、これは言わば戦闘訓練みたいなもんだよ。ちゃーんと手加減するから、安心して見守っててくれよ。」
「う、うーん……それなら……」
「すみませんルゥナさん、そこであっさり折れないで下さい。」
「く、九条さん!すみません……つい話に流されてしまって……」
「ルゥナさん、マジで頼みますよ……それとフィオ、俺はお前と勝負するつもりはサラサラ無いからな!今回の旅行、俺はのんびり過ごすって決めてんだ!」
「チッ、情けねぇ奴だな。あの時の言葉、嘘だったて言うのか?」
「う、嘘じゃね!けど……今のソレはそういう事じゃねぇだろうが!」
「……まぁ良いや、いずれ機会は訪れるだろうからなぁ。」
「……俺としては、そんな機会は延々とこないでもらえると助かるんだが……」
悪役みたいにニヤリと笑いやがったフィオと目を合わせながら肩を落として大きくため息を零した直後、広場に出発時刻が近い事を知らせるベルの音が響き渡った。
「あっ、そろそろ馬車に乗らないといけないみたいですね。」
「えぇ……レミ、お前達はやっぱりあの豪華でバカでかい馬車に乗って行くのか?」
「うむ!エリオがわざわざ用意してくれたからのう!お主達もどうじゃ?」
「いえ、僕達は予約している馬車に乗ります。お誘いはありがたいですけど、流石に狭くなってしまうと思いますから。」
「ふむ、そうか……それならば、お主達はあっちの馬車に乗るが良い!」
「……はっ?」
大きく声を張り上げたレミがビシッと指差した方を目で追ってみると……大通りの方からこれまた豪華で大きな馬車がこっちに向かって来て俺達の前で停まった……?
「レ、レミさん?こちらの馬車は一体……?」
「実はな、今朝方になってエリオがお主達の為に馬車をもう一台用意させたんじゃ。準備に少し手間取るという話じゃったが、出発時刻に間に合って良かったわい。」
「良かったわいって……えっと……どうする?」
「あー……そう……ですねぇ……私は良いかなと思いますが……皆さんはどうしたいですか?」
「うふふ、あんなに素敵な馬車に乗れるなら断る理由なんてありませんよ。」
「まっ、楽が出来るんならそっちの方が良いわな。」
「貴族御用達の馬車……是非とも乗ってみたいですとも!」
「そ、それじゃあ……僕もお願いします。」
「うむ!そうと決まれば御者に事情を話して荷物を移すがよい!」
「……こりゃあ、帰って来たらすぐにお礼を言いに行かないとな……」
そんな事を呟きながら急いで行動を始めた俺達は、用意された馬車に乗り込んでトリアルを離れて行くのだった。
そして朝日に照らされた大通りの十字路で宿屋に泊まっていた3人と合流すると、馬車が停まっている広場に向かって行って……先に待っていたレミ、ユキ、ジーナが皆と自己紹介しがてら雑談している姿をボーっと眺めていた。
「へぇ、最近の学生さんってかなり個性的な武器を使うんだね!もし良かったら後で私に見せてくれないかな?簡単にで良かったら手入れもしてあげるし……どう?」
「はい、構いませんよ。」
「ありがとう!いやぁ、それにしても本当に大きな盾だね。重くないの?」
「そうですね……以前は重く感じて振り回されたりもしましたが、今はそれなりに扱えていると思います。」
「うんうん、きちんと成長している証拠だね!それで君の武器は……おぉっ!コレも中々に興味を惹かれるね!これだけ大きい斧、持ち上げるのも大変じゃない?」
「いえいえ、そんな事はありませんよ。見た目に反して僕の武器は……」
父親から貰った大きな盾、そしてどんな物でも一刀両断出来そうな刃が付いているバカでかい斧……そしてそれを見ながら興奮している加工屋の娘……そんな3人娘のすぐ隣では……
「ほほぅ、お主には邪龍とやらの血が流れておるというのか?」
「その通り!だから気を付けるがいい……我に触れると怪我だけでは済まんぞ!」
「ふむ……ていっ!」
「ぐほっ!な、何をする……!」
「いや、触れたらどの様に怪我をするのか気になってちぃと試してみたんじゃが……コレと言って何も起きんのう。」
「ふっ、ふっふっふ……それは我が瞬間的に力を抑えたからだ……!小さき少女を傷つけたとあっては暗黒龍の血を引く者の名折れであるのでな!」
「おぉ、そうじゃったのか!それはお主に感謝せねばならんのう。」
「はっはっは!礼など無用!我は当然の事をしたまでである!ふーっはっはっ!」
本物の神様と自称暗黒龍の血を引く男との何とも言えないやり取りが盛り上がっていて……そこから少し離れた所では……
「ふーん、つまりアンタはあの九条に無残にも負けちゃったって訳ね。」
「アッ?負けてねぇって言ってんだろうが。ただ時間切れになっちまっただけだよ。もう少し続いてたら確実にボコしてやってたわ。」
「へぇ、面白い事を言うじゃない。それならクアウォートに付いたらアイツと勝負でもしてみたらどう?」
「言われるまでもねぇよ。今度こそ叩き潰してやるぜ……!」
「おぉ!フィオちゃん、九条さんと一戦交えるんですね!これは良い画が撮れそうですね!決着の瞬間、バッチリカメラに収めてあげますよ!」
「フィ、フィオさん!折角の旅行なのに何を言ってるんですか!オレットさんもそうやって煽らないで下さい!それとユキさんもですよ!」
「何よ、別に良いじゃない。こうしてやる気になってるんだから生徒の背中を押してあげるのも先生の役目なんじゃないの?」
「そうそう、これは言わば戦闘訓練みたいなもんだよ。ちゃーんと手加減するから、安心して見守っててくれよ。」
「う、うーん……それなら……」
「すみませんルゥナさん、そこであっさり折れないで下さい。」
「く、九条さん!すみません……つい話に流されてしまって……」
「ルゥナさん、マジで頼みますよ……それとフィオ、俺はお前と勝負するつもりはサラサラ無いからな!今回の旅行、俺はのんびり過ごすって決めてんだ!」
「チッ、情けねぇ奴だな。あの時の言葉、嘘だったて言うのか?」
「う、嘘じゃね!けど……今のソレはそういう事じゃねぇだろうが!」
「……まぁ良いや、いずれ機会は訪れるだろうからなぁ。」
「……俺としては、そんな機会は延々とこないでもらえると助かるんだが……」
悪役みたいにニヤリと笑いやがったフィオと目を合わせながら肩を落として大きくため息を零した直後、広場に出発時刻が近い事を知らせるベルの音が響き渡った。
「あっ、そろそろ馬車に乗らないといけないみたいですね。」
「えぇ……レミ、お前達はやっぱりあの豪華でバカでかい馬車に乗って行くのか?」
「うむ!エリオがわざわざ用意してくれたからのう!お主達もどうじゃ?」
「いえ、僕達は予約している馬車に乗ります。お誘いはありがたいですけど、流石に狭くなってしまうと思いますから。」
「ふむ、そうか……それならば、お主達はあっちの馬車に乗るが良い!」
「……はっ?」
大きく声を張り上げたレミがビシッと指差した方を目で追ってみると……大通りの方からこれまた豪華で大きな馬車がこっちに向かって来て俺達の前で停まった……?
「レ、レミさん?こちらの馬車は一体……?」
「実はな、今朝方になってエリオがお主達の為に馬車をもう一台用意させたんじゃ。準備に少し手間取るという話じゃったが、出発時刻に間に合って良かったわい。」
「良かったわいって……えっと……どうする?」
「あー……そう……ですねぇ……私は良いかなと思いますが……皆さんはどうしたいですか?」
「うふふ、あんなに素敵な馬車に乗れるなら断る理由なんてありませんよ。」
「まっ、楽が出来るんならそっちの方が良いわな。」
「貴族御用達の馬車……是非とも乗ってみたいですとも!」
「そ、それじゃあ……僕もお願いします。」
「うむ!そうと決まれば御者に事情を話して荷物を移すがよい!」
「……こりゃあ、帰って来たらすぐにお礼を言いに行かないとな……」
そんな事を呟きながら急いで行動を始めた俺達は、用意された馬車に乗り込んでトリアルを離れて行くのだった。
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