おっさんの異世界生活は無理がある。
第485話
「なぁオレットさん……まさかとは思いながらもずっと聞いてこなかったけどさ……もしかして今日の取材場所って言うのは……」
「はい!九条さんがご想像通りですよ!どうですか、ゾクゾクしてきますよね!」
「……あぁ……そりゃゾクゾクもしてくるだろうよ……」
太陽が沈み切ってから数時間後……瞳をキラキラ輝かせているオレットさんの隣で雨の音に耳を傾けながら見上げた視線の先に存在していたのは……不気味な雰囲気が漂うバカでかい王立学園の校舎だった……!
「いやぁ、九条さん達が一緒だったら夜の校舎を見て回っても良いって許可が下りて本当に良かったですよ!どうもありがとうございます!」
「……うん、感謝されても全く嬉しくないな……!つーか、さっき馬車の中で言っていた事って本当なのか?」
「えぇ!ここまで来て嘘なんて言いませんよ!今日の取材内容はズバリ、王立学園にある七不思議を解明する事です!」
「……そうかそうか……なるほど、マジだったのかぁ…………っ!」
「おっと!逃がしませんよっ!!」
「ぐぅっ!!は、離しやがれ!!」
「はっはっはぁ!それは無理な相談ですね!さぁ皆さん!まずは拠点となる保健室に向かいますので私達について来て下さい!」
「うおっ?!ど、何処からこんな力が……!あ、あぁ……嫌だああああああ!!!」
抵抗虚しく校舎の方へ引きずられて行く中、背後からは食事会に参加してた面々がそれぞれの反応を見せながら静かな足取りで俺達の後を追いかけて来るのだった……
「うふふ、こんばんはぁ……今日はよく来てくれたわねぇ……会えて嬉しいわ。」
「ひぅ!ちょ、ちょっとドクター!首に腕を回しながら顔を近づけないでぐうぇ!」
「あらあらぁ……お嬢さん達、この手は一体何かしら?」
「ぼ、僕は九条さんが迷惑がっているので助けようと思っただけです!」
「……僕の運命の人に勝手な真似はしないでもらえますか。」
「ふふっ、私は主人として執事を護っているだけですよ。」
「お、おぉ……!凄い……コレが修羅場ってやつなんですね!」
「九条さん、私達も参加して方が良いかな?」
「じょ、冗談を言ってないで早く助けてくれ……!く、首が……締まって……!」
「み、皆さーん!お、おじさんの顔がヤバいのでそろそろ解放してあげて下さい!」
甘い香りと柔らかい感触に襲われて心臓が破裂しそうだったり息が出来なかったりしていた状況から何とか抜け出す事が出来た俺は、マホに感謝しながら荒くなってる呼吸を何とか整えようと深呼吸を繰り替えるのだった……!
「ふんっ!情けない奴め!あの程度、自力でどうにかしたらどうなんだ?」
「う、うるせぇ……!それが出来たらこんなに苦労してねぇわ!」
「はっはっは!やはり貴様の力はその程度ひぁっ!?」
「クリフ先輩……九条さんにそんな事を言ったら……許しませんよ?」
「や、止めろイリス!分かった!謝るから離れてくれっ!」
「うふふ、次はありませんからね。」
「………すまん………」
「いや……分かってくれたなら良い……」
「は、はわ……はわわ……さ、最近の事は……す、進んでるんですね……」
「んもう、ルゥナちゃんったら他人事みたいに言ってたらダメよ。貴女だってもっとグイグイ攻めて行かないと、ね?」
「む、無理ですよそんなの!そ、それに九条さんの事をそう言う目で見ているという訳ではありませんし……って、そんな事よりも!皆さん!まだ学生の身でありながらそういう事をするのはいけません!分かりましたね!」
「まぁまぁ、これも若さって事で許してあげましょうよ。」
「も、もう!そもそもドクターのせいでこうなったんですからね!きちんと反省して下さい!」
「あら、怒られちゃった。」
「ド、ドクター!」
「はぁい、ごめんなさいねルゥナちゃん。」
「はぁ……はぁ……ほ、本当に分かっているんですか……?」
「うんうん、勿論。それよりも、早くやるべき事をやらないといけないんじゃない?学園に居られる時間、そんなに無いんでしょ。」
「あっ!そう言えばそうでした!ドクター、教えてくれてありがとうございます!」
「いえいえ、どういたしまして。」
妖艶に微笑むドクターにペコリとお辞儀をしたオレットさんは俺達の事を見ながらわざとらしい咳払いをすると、胸ポケットから細長い白い紐みたいな物を取り出してニッコリと微笑みかけてきた。
「それでは!これより王立学園の七不思議に関する調査をしていきたいと思います!皆さん、心の準備はよろしいでしょうか!」
「すみません、出来てないので辞退させて欲しいんですが……」
「はい!却下しますね!それでは次に効率よく調査を進める為に二人一組の班決めをしていきたいと思います!皆さん、私の手の中にある紐を1本引いて下さい!あっ、人数の関係で三人一組になる所もありますのでよろしくお願いしますね!」
「うわぁ、俺の発言が軽く流されてしまった……って、班決めだと?ちょ、ちょっと待ってくれ。どうしてそんな事をしないといけないんだ?全員で1つずつ七不思議とやらを調べりゃ良いじゃねぇか!」
「いやぁ、そうしたい思いはあるんですけど学園に滞在していられるのは7時までとなっているのでそういう訳にもいかないんですよねぇ!はぁ、困った困った!」
「ぜ、絶対に嘘だ……!ってか、それならそうと先に言っといてくれよな!どうしてこんな後になってから次々と新事実が発覚すんだよ!?」
「あはっ!その理由はただ1つ……そっちの方が面白そうだったからです!」
「………なんじゃ……そりゃ……!」
「……すみません九条さん、オレットはこういう奴なので……諦めて下さい……」
「ほらほら、ゴチャゴチャ言ってないで紐を引いて下さい!あっ、言い忘れてましたけどマホちゃんとドクターは保健室でお留守番ですからね!こんなに小さい女の子を連れて夜の校舎を歩き回る訳にはいきませんから!」
「そういう配慮が出来るなら最初からしてくれ……!」
「あ、あはは……そういう訳みたいですので、頑張って来て下さいね!」
「な、何をどう頑張りゃ良いんだよ……」
ガックシとうなだれてる俺を置いてきぼりにしながらオレットさん主導の班決めは順調に進んでいって……
「はい!それでは班決めも終わりましたのでぇ……皆さん、先ほどお渡ししたメモに書かれている七不思議の調査をよろしくお願いしますね!それではしゅっぱ~つ!」
拳を天高く掲げたオレットさんの意気揚々とした掛け声を切っ掛けにして、今回の最終イベントが始まってしまうのだった……逃げ場?そんなのある訳ねぇだろうが!
「はい!九条さんがご想像通りですよ!どうですか、ゾクゾクしてきますよね!」
「……あぁ……そりゃゾクゾクもしてくるだろうよ……」
太陽が沈み切ってから数時間後……瞳をキラキラ輝かせているオレットさんの隣で雨の音に耳を傾けながら見上げた視線の先に存在していたのは……不気味な雰囲気が漂うバカでかい王立学園の校舎だった……!
「いやぁ、九条さん達が一緒だったら夜の校舎を見て回っても良いって許可が下りて本当に良かったですよ!どうもありがとうございます!」
「……うん、感謝されても全く嬉しくないな……!つーか、さっき馬車の中で言っていた事って本当なのか?」
「えぇ!ここまで来て嘘なんて言いませんよ!今日の取材内容はズバリ、王立学園にある七不思議を解明する事です!」
「……そうかそうか……なるほど、マジだったのかぁ…………っ!」
「おっと!逃がしませんよっ!!」
「ぐぅっ!!は、離しやがれ!!」
「はっはっはぁ!それは無理な相談ですね!さぁ皆さん!まずは拠点となる保健室に向かいますので私達について来て下さい!」
「うおっ?!ど、何処からこんな力が……!あ、あぁ……嫌だああああああ!!!」
抵抗虚しく校舎の方へ引きずられて行く中、背後からは食事会に参加してた面々がそれぞれの反応を見せながら静かな足取りで俺達の後を追いかけて来るのだった……
「うふふ、こんばんはぁ……今日はよく来てくれたわねぇ……会えて嬉しいわ。」
「ひぅ!ちょ、ちょっとドクター!首に腕を回しながら顔を近づけないでぐうぇ!」
「あらあらぁ……お嬢さん達、この手は一体何かしら?」
「ぼ、僕は九条さんが迷惑がっているので助けようと思っただけです!」
「……僕の運命の人に勝手な真似はしないでもらえますか。」
「ふふっ、私は主人として執事を護っているだけですよ。」
「お、おぉ……!凄い……コレが修羅場ってやつなんですね!」
「九条さん、私達も参加して方が良いかな?」
「じょ、冗談を言ってないで早く助けてくれ……!く、首が……締まって……!」
「み、皆さーん!お、おじさんの顔がヤバいのでそろそろ解放してあげて下さい!」
甘い香りと柔らかい感触に襲われて心臓が破裂しそうだったり息が出来なかったりしていた状況から何とか抜け出す事が出来た俺は、マホに感謝しながら荒くなってる呼吸を何とか整えようと深呼吸を繰り替えるのだった……!
「ふんっ!情けない奴め!あの程度、自力でどうにかしたらどうなんだ?」
「う、うるせぇ……!それが出来たらこんなに苦労してねぇわ!」
「はっはっは!やはり貴様の力はその程度ひぁっ!?」
「クリフ先輩……九条さんにそんな事を言ったら……許しませんよ?」
「や、止めろイリス!分かった!謝るから離れてくれっ!」
「うふふ、次はありませんからね。」
「………すまん………」
「いや……分かってくれたなら良い……」
「は、はわ……はわわ……さ、最近の事は……す、進んでるんですね……」
「んもう、ルゥナちゃんったら他人事みたいに言ってたらダメよ。貴女だってもっとグイグイ攻めて行かないと、ね?」
「む、無理ですよそんなの!そ、それに九条さんの事をそう言う目で見ているという訳ではありませんし……って、そんな事よりも!皆さん!まだ学生の身でありながらそういう事をするのはいけません!分かりましたね!」
「まぁまぁ、これも若さって事で許してあげましょうよ。」
「も、もう!そもそもドクターのせいでこうなったんですからね!きちんと反省して下さい!」
「あら、怒られちゃった。」
「ド、ドクター!」
「はぁい、ごめんなさいねルゥナちゃん。」
「はぁ……はぁ……ほ、本当に分かっているんですか……?」
「うんうん、勿論。それよりも、早くやるべき事をやらないといけないんじゃない?学園に居られる時間、そんなに無いんでしょ。」
「あっ!そう言えばそうでした!ドクター、教えてくれてありがとうございます!」
「いえいえ、どういたしまして。」
妖艶に微笑むドクターにペコリとお辞儀をしたオレットさんは俺達の事を見ながらわざとらしい咳払いをすると、胸ポケットから細長い白い紐みたいな物を取り出してニッコリと微笑みかけてきた。
「それでは!これより王立学園の七不思議に関する調査をしていきたいと思います!皆さん、心の準備はよろしいでしょうか!」
「すみません、出来てないので辞退させて欲しいんですが……」
「はい!却下しますね!それでは次に効率よく調査を進める為に二人一組の班決めをしていきたいと思います!皆さん、私の手の中にある紐を1本引いて下さい!あっ、人数の関係で三人一組になる所もありますのでよろしくお願いしますね!」
「うわぁ、俺の発言が軽く流されてしまった……って、班決めだと?ちょ、ちょっと待ってくれ。どうしてそんな事をしないといけないんだ?全員で1つずつ七不思議とやらを調べりゃ良いじゃねぇか!」
「いやぁ、そうしたい思いはあるんですけど学園に滞在していられるのは7時までとなっているのでそういう訳にもいかないんですよねぇ!はぁ、困った困った!」
「ぜ、絶対に嘘だ……!ってか、それならそうと先に言っといてくれよな!どうしてこんな後になってから次々と新事実が発覚すんだよ!?」
「あはっ!その理由はただ1つ……そっちの方が面白そうだったからです!」
「………なんじゃ……そりゃ……!」
「……すみません九条さん、オレットはこういう奴なので……諦めて下さい……」
「ほらほら、ゴチャゴチャ言ってないで紐を引いて下さい!あっ、言い忘れてましたけどマホちゃんとドクターは保健室でお留守番ですからね!こんなに小さい女の子を連れて夜の校舎を歩き回る訳にはいきませんから!」
「そういう配慮が出来るなら最初からしてくれ……!」
「あ、あはは……そういう訳みたいですので、頑張って来て下さいね!」
「な、何をどう頑張りゃ良いんだよ……」
ガックシとうなだれてる俺を置いてきぼりにしながらオレットさん主導の班決めは順調に進んでいって……
「はい!それでは班決めも終わりましたのでぇ……皆さん、先ほどお渡ししたメモに書かれている七不思議の調査をよろしくお願いしますね!それではしゅっぱ~つ!」
拳を天高く掲げたオレットさんの意気揚々とした掛け声を切っ掛けにして、今回の最終イベントが始まってしまうのだった……逃げ場?そんなのある訳ねぇだろうが!
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