おっさんの異世界生活は無理がある。
第429話
「あーヤベェな……本格的に吹雪いてきやがった……」
地面に残っていた小さな足跡らしき物を追いかけ始めてからしばらくして、全身に襲い掛かって来る冷たい雪に耐えながら木々の間を滑り続けていた俺は白い息を吐き出しながらため息を零すのだった。
「ったく、これで遭難でもしちまったら笑い話にもならねぇぞ……」
凍えた体を温め合う事が出来る美少女が隣に居てくれるって言うなら話は別だが、どう考えてもそんな美味しいお約束の展開が待ってるはずねぇよなぁ……
「はぁ……さっさと厄介事の種を見つけて皆の所に戻るとするか………ん?」
頭の中に浮かんできたアホ丸出しな妄想を振り払っていらた、視界の先に不自然な程に広々とした何も無い真っ白な空間が見えてきた。
スノードの速度を少しずつ緩めながらその場所に入って行くと……真ん中の辺りに探していた白い髪の少女がこちらに背を向けた状態で座り込んでいる姿を発見した。
「……なるほど、ここまで追いかけて来れる実力はあるみたいね。」
「……チッ、やっぱりそういう事かよ。」
嫌な予感が的中した事を嘆いたら良いのか喜んだら良いのか分からないが、不穏なセリフを吐きながら立ち上がって振り返ってこっちを見てきたのは屋台街で見かけた例の美少女だった……!
「へぇ、その反応……アンタ、ここに誘い込まれて来たって自覚がある訳よね。」
「……悪いが、お喋りに付き合うつもりはない。さっさと目的を言え。」
「……アンタ、言葉遣いには気を付けなさいよね。あんまり生意気だと……」
「っ!?ぐっ!」
「……凍り漬けにするわよ。」
少女の右手から放たれてきた幾つもの雪玉をギリギリの所で躱した直後の事、背後からメキメキという音が聞こえたので顔だけ振り返ってみると……そこには根本から折れている木が存在していて……
「って、ちょっと待てや!あれじゃあ全身の骨が粉々に砕けちまうじゃねぇか!」
「ふんっ、過程はどうあれ結果としては同じ事でしょ!」
「な、なんだその理屈は……!?」
「うっさい!そんな事よりも本題に入るわよ!」
「……本題だと?」
「えぇそうよ!……アンタ、ここにアイツを連れて来なさい。」
「……誰の事だ。」
「とぼけんじゃないわよ!どうせ言わなくても察しはついてるんでしょ?」
「…………断る、って言ったらどうすんだ?」
「ハッ!断るなんて権利がアンタにある訳ないでしょ?そ・れ・にっ!」
「きゃあ!!」
「なっ!?ア、アリシアさん!」
白い髪の少女がニヤリと笑みを浮かべた瞬間、奴のすぐ隣にアリシアさんが現れてそのまま倒れ込んでしまっていた!?
「アンタが断るって言うんなら、コイツは返さないわよ。」
「ふ、ふざけんな!アリシアさんは関係ないだろうが!」
「そんなの知った事じゃないわ。アンタはただ、アタシの言う通りにアイツをここへ連れてくれば良いだけ。安心なさい、別に危害を加えたりはしないから。」
「こ、この野郎……!」
「そんな風に睨んでも無駄よ。コイツを助けたかったらアイツを連れてこの場所まで来なさいよ。分かったわね。」
「か、勝手な事ばっか言いやがって……!うおっ!?」
アリシアさんを奪い返そうとスノードに魔力を込めようとしたその時、地面の雪が膨れ上がって巨大なゴーレムみたいな形になったかと思ったらソイツは俺に向かって自分の頭を投げ飛ばして来やがった!?
「く、九条さん!」
「それじゃあね、待ってるわよ。」
そう告げた白髪の少女が指をパチンと鳴らした次の瞬間、何も無かった空間に突如としてバカでかい城みたいな建物が現れて……俺がゴーレムの攻撃を躱している間に2人は大きな扉を通ってその中に消えて行ってしまった!
その直後、ゴーレムは動きを止めるとゆっくり建物の方に歩いて行くと……まるで門番になるかの様に閉じられた扉の前に立ち塞がるのだった。
「………どうして………こんな事に………!」
いきなり起こった理不尽な展開とアリシアさんを救えなかった情けない自分自身に腹の底から怒りを感じた俺は、真っ白な雪の上に膝から崩れ落ちると握り締めた拳を何度も地面に振り下ろし続けるのだった…………
地面に残っていた小さな足跡らしき物を追いかけ始めてからしばらくして、全身に襲い掛かって来る冷たい雪に耐えながら木々の間を滑り続けていた俺は白い息を吐き出しながらため息を零すのだった。
「ったく、これで遭難でもしちまったら笑い話にもならねぇぞ……」
凍えた体を温め合う事が出来る美少女が隣に居てくれるって言うなら話は別だが、どう考えてもそんな美味しいお約束の展開が待ってるはずねぇよなぁ……
「はぁ……さっさと厄介事の種を見つけて皆の所に戻るとするか………ん?」
頭の中に浮かんできたアホ丸出しな妄想を振り払っていらた、視界の先に不自然な程に広々とした何も無い真っ白な空間が見えてきた。
スノードの速度を少しずつ緩めながらその場所に入って行くと……真ん中の辺りに探していた白い髪の少女がこちらに背を向けた状態で座り込んでいる姿を発見した。
「……なるほど、ここまで追いかけて来れる実力はあるみたいね。」
「……チッ、やっぱりそういう事かよ。」
嫌な予感が的中した事を嘆いたら良いのか喜んだら良いのか分からないが、不穏なセリフを吐きながら立ち上がって振り返ってこっちを見てきたのは屋台街で見かけた例の美少女だった……!
「へぇ、その反応……アンタ、ここに誘い込まれて来たって自覚がある訳よね。」
「……悪いが、お喋りに付き合うつもりはない。さっさと目的を言え。」
「……アンタ、言葉遣いには気を付けなさいよね。あんまり生意気だと……」
「っ!?ぐっ!」
「……凍り漬けにするわよ。」
少女の右手から放たれてきた幾つもの雪玉をギリギリの所で躱した直後の事、背後からメキメキという音が聞こえたので顔だけ振り返ってみると……そこには根本から折れている木が存在していて……
「って、ちょっと待てや!あれじゃあ全身の骨が粉々に砕けちまうじゃねぇか!」
「ふんっ、過程はどうあれ結果としては同じ事でしょ!」
「な、なんだその理屈は……!?」
「うっさい!そんな事よりも本題に入るわよ!」
「……本題だと?」
「えぇそうよ!……アンタ、ここにアイツを連れて来なさい。」
「……誰の事だ。」
「とぼけんじゃないわよ!どうせ言わなくても察しはついてるんでしょ?」
「…………断る、って言ったらどうすんだ?」
「ハッ!断るなんて権利がアンタにある訳ないでしょ?そ・れ・にっ!」
「きゃあ!!」
「なっ!?ア、アリシアさん!」
白い髪の少女がニヤリと笑みを浮かべた瞬間、奴のすぐ隣にアリシアさんが現れてそのまま倒れ込んでしまっていた!?
「アンタが断るって言うんなら、コイツは返さないわよ。」
「ふ、ふざけんな!アリシアさんは関係ないだろうが!」
「そんなの知った事じゃないわ。アンタはただ、アタシの言う通りにアイツをここへ連れてくれば良いだけ。安心なさい、別に危害を加えたりはしないから。」
「こ、この野郎……!」
「そんな風に睨んでも無駄よ。コイツを助けたかったらアイツを連れてこの場所まで来なさいよ。分かったわね。」
「か、勝手な事ばっか言いやがって……!うおっ!?」
アリシアさんを奪い返そうとスノードに魔力を込めようとしたその時、地面の雪が膨れ上がって巨大なゴーレムみたいな形になったかと思ったらソイツは俺に向かって自分の頭を投げ飛ばして来やがった!?
「く、九条さん!」
「それじゃあね、待ってるわよ。」
そう告げた白髪の少女が指をパチンと鳴らした次の瞬間、何も無かった空間に突如としてバカでかい城みたいな建物が現れて……俺がゴーレムの攻撃を躱している間に2人は大きな扉を通ってその中に消えて行ってしまった!
その直後、ゴーレムは動きを止めるとゆっくり建物の方に歩いて行くと……まるで門番になるかの様に閉じられた扉の前に立ち塞がるのだった。
「………どうして………こんな事に………!」
いきなり起こった理不尽な展開とアリシアさんを救えなかった情けない自分自身に腹の底から怒りを感じた俺は、真っ白な雪の上に膝から崩れ落ちると握り締めた拳を何度も地面に振り下ろし続けるのだった…………
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