おっさんの異世界生活は無理がある。
第422話
「あっ、皆さんおはようございます。」
「おはよう……じゃなくて、約束していた時間の20分前だっていうのに、どうしてここに居るんだ?」
「それは勿論、皆さんをお待たせしない為です。此方からお呼び出をしておいて遅刻する訳にはいきませんので。あぁ、それとご心配には及びません。私も15分程前にここに来ましたから。それでは早速ですが、お店の方へご案内をさせて頂きたいと」
「いや、悪いが少しだけ待ってくれ。」
「え?はい、ソレは構いませんが……どうかなさったんですか?」
「……ちょっとな。」
キョトンとしながら小首を傾げているアリシアさんから視線を逸らして振り返った俺は、ヤレヤレといった感じで呆れている皆と目を合わせて小さく頷きあうと足早にその場を離れるとすぐ近くにあった飲み物を売っている小さな店に駆け寄った。
そして暖かい飲み物を1つだけ購入すると、静かにため息を零しながら戻って行きアリシアさんにソレを手渡した。
「……へっ?あの、コレは……」
「15分もこんな所で待ってたら体も冷えてるだろ?好みに合うかは分からないが、良かったら受け取ってくれ。」
「い、いえ、ですが……」
「あっ、私達の事はお気になさらず!この後、おじさんに買って貰いますから!」
「はっ?何でお前達の分まで……」
「おや、もしかして九条さんは私達が体を冷やしても良いと言うのかい?はぁ、もしそうならば悲しくて涙が出てしまいそうだよ……」
「うぅ……お主はなんて酷い男なんじゃ……」
「…………」
「九条様……ロイド様を泣かせたらどうなるか……お分かりですよね?」
「あ、あはは……わ、私の分は大丈夫ですから……ね?」
「……あぁもう、分かったよ!買えば良いんだろ買えば!ほれ、そんじゃあさっさと店に行くぞ!ったく……そういう訳だから、もうちょい待っててくれ。」
「は、はい……分かりました。それでは皆さんが戻るのをお待ちしておりますね。」
さっき渡した紙コップを両手で持ちながら優しく微笑みかけてきたアリシアさんに見送られながら再び店に行って人数分の飲み物を購入した後、俺達は雪山に続く道がある大門を通って綺麗に舗装されている街道を歩き始めるのだった。
「アリシアさん、まだ聞いてませんでしたがラウザさんがやっているお店ってどんな物を扱っているんですか?やっぱりクアウォートの時と似た感じの物を?」
「えぇ、雪山で遊ぶ為の物ですからその認識で合っていますよ。」
「へぇ、それじゃあ魔力を込めるって所も一緒だったりするのか?」
「はい、詳しい使用方法については実物をお見せしてからご説明しますが九条さんのご指摘された通りですね。」
「あらあら、そこまで同じならば扱っている商品の扱いに慣れていない所もご一緒という事なのでしょうか?」
「そ、そんな事は……ありません。きちんと扱えるに決まっているじゃないですか。あまり私を舐めないで頂きたいですね!」
「おーっほっほっほ!それでしたら指導役、よろしくお願い致しますわよ?」
「え、えぇ!お任せ下さい!ビシバシとしごいてさしあげます!リリアさんも笑っていられるのも今の内ですから、覚悟なさって下さいね!」
「お、お2人共。朝も早いですし、人目もありますからここは冷静に……」
「おーっほっほっほ!面白いですわ、どんな指導をなさって下さるのか楽しみにしておりますわよ!」
「ぐ、ぐぬぬぅ……!」
「……九条よ、ロイドとアリシアではなくリリアとアリシアの関係をライバルと呼ぶ方が正しいのではないか?」
「……かもしれないな。」
2人のやり取りにため息を零しながら雪山を回り込む様にしてしばらく歩き続けていると、街道に沿う様にして大きな建物か何軒か並んでいるのを発見した。
そしてアリシアさんはその真ん中辺りにあった店の前に立つとクルッと振り返って俺達の方に視線を向けてきた。
「皆さん、こちらがお父様の経営しているお店になります。既に話は通してありますので、どうぞ中にお入りください。」
「あ、あぁ……それじゃあ、お邪魔します。」
扉を開いてくれたアリシアさんに促されて返事をした俺は、朝が早いにも関わらずそれなりに賑わっている店の中に足を踏み入れて行くのだった。
「おはよう……じゃなくて、約束していた時間の20分前だっていうのに、どうしてここに居るんだ?」
「それは勿論、皆さんをお待たせしない為です。此方からお呼び出をしておいて遅刻する訳にはいきませんので。あぁ、それとご心配には及びません。私も15分程前にここに来ましたから。それでは早速ですが、お店の方へご案内をさせて頂きたいと」
「いや、悪いが少しだけ待ってくれ。」
「え?はい、ソレは構いませんが……どうかなさったんですか?」
「……ちょっとな。」
キョトンとしながら小首を傾げているアリシアさんから視線を逸らして振り返った俺は、ヤレヤレといった感じで呆れている皆と目を合わせて小さく頷きあうと足早にその場を離れるとすぐ近くにあった飲み物を売っている小さな店に駆け寄った。
そして暖かい飲み物を1つだけ購入すると、静かにため息を零しながら戻って行きアリシアさんにソレを手渡した。
「……へっ?あの、コレは……」
「15分もこんな所で待ってたら体も冷えてるだろ?好みに合うかは分からないが、良かったら受け取ってくれ。」
「い、いえ、ですが……」
「あっ、私達の事はお気になさらず!この後、おじさんに買って貰いますから!」
「はっ?何でお前達の分まで……」
「おや、もしかして九条さんは私達が体を冷やしても良いと言うのかい?はぁ、もしそうならば悲しくて涙が出てしまいそうだよ……」
「うぅ……お主はなんて酷い男なんじゃ……」
「…………」
「九条様……ロイド様を泣かせたらどうなるか……お分かりですよね?」
「あ、あはは……わ、私の分は大丈夫ですから……ね?」
「……あぁもう、分かったよ!買えば良いんだろ買えば!ほれ、そんじゃあさっさと店に行くぞ!ったく……そういう訳だから、もうちょい待っててくれ。」
「は、はい……分かりました。それでは皆さんが戻るのをお待ちしておりますね。」
さっき渡した紙コップを両手で持ちながら優しく微笑みかけてきたアリシアさんに見送られながら再び店に行って人数分の飲み物を購入した後、俺達は雪山に続く道がある大門を通って綺麗に舗装されている街道を歩き始めるのだった。
「アリシアさん、まだ聞いてませんでしたがラウザさんがやっているお店ってどんな物を扱っているんですか?やっぱりクアウォートの時と似た感じの物を?」
「えぇ、雪山で遊ぶ為の物ですからその認識で合っていますよ。」
「へぇ、それじゃあ魔力を込めるって所も一緒だったりするのか?」
「はい、詳しい使用方法については実物をお見せしてからご説明しますが九条さんのご指摘された通りですね。」
「あらあら、そこまで同じならば扱っている商品の扱いに慣れていない所もご一緒という事なのでしょうか?」
「そ、そんな事は……ありません。きちんと扱えるに決まっているじゃないですか。あまり私を舐めないで頂きたいですね!」
「おーっほっほっほ!それでしたら指導役、よろしくお願い致しますわよ?」
「え、えぇ!お任せ下さい!ビシバシとしごいてさしあげます!リリアさんも笑っていられるのも今の内ですから、覚悟なさって下さいね!」
「お、お2人共。朝も早いですし、人目もありますからここは冷静に……」
「おーっほっほっほ!面白いですわ、どんな指導をなさって下さるのか楽しみにしておりますわよ!」
「ぐ、ぐぬぬぅ……!」
「……九条よ、ロイドとアリシアではなくリリアとアリシアの関係をライバルと呼ぶ方が正しいのではないか?」
「……かもしれないな。」
2人のやり取りにため息を零しながら雪山を回り込む様にしてしばらく歩き続けていると、街道に沿う様にして大きな建物か何軒か並んでいるのを発見した。
そしてアリシアさんはその真ん中辺りにあった店の前に立つとクルッと振り返って俺達の方に視線を向けてきた。
「皆さん、こちらがお父様の経営しているお店になります。既に話は通してありますので、どうぞ中にお入りください。」
「あ、あぁ……それじゃあ、お邪魔します。」
扉を開いてくれたアリシアさんに促されて返事をした俺は、朝が早いにも関わらずそれなりに賑わっている店の中に足を踏み入れて行くのだった。
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