おっさんの異世界生活は無理がある。
第408話
白銀に包まれた周囲の光景を目の当たりにして皆が驚きと感動が入り混じった声をあげてから更に1,2時間後、俺達はバカみたいにデカい雪山の麓に広がる様にして存在していたノルウィンドの正門を通った先にある広場に降り立っていた。
「皆様、ノルウィンドまでの長旅お疲れ様でした。また何時か、機会がありましたらご利用して頂けると幸いです。それでは、失礼致します。」
「はい、ありがとうございました。」
御者さんにお礼を告げて走り去って行く馬車をしばらく見送り続けていると、袖がクイクイッと引っ張られる様な感覚がしたのでそっちに顔を向けてみると……
「おじさん!アレ!アレを見て下さいよ!街の中に大きな川が流れています!それにほら!ずっと奥の方には大きな雪山が!い、一体どうなっているんでしょうか!?」
「ちょっ、落ち着けってマホ。つーかアレは川じゃなくて温泉……だったよな?」
「あぁ、とても温度が高いから触れると火傷してしまうという話だったが……アレが地面の下に流れているからこの街の気温は一定に保《たも》たれているんだったね。」
「そういやそうだったな。そんであっちに見える雪山は……確か、今はちょっとしたイベントが開催中だとかって御者の人が言ってたような気がするが……」
「えぇ、詳しい事は案内所の方で説明をして下さると仰っていましたわね。」
「うぅー!気になりますね!それにそれに!私、早く温泉に入りたいです!」
「はいはい、分かったから急かすなっての。」
今にも走り出しそうなマホに手を引かれる様にしてすぐ近くにあった観光案内所に入って行った俺達は、従業員の方に案内されて受付に足を運ぶのだった。
「ノルウィンドの観光案内所へようこそ。本日はどういったご用件でしょうか。」
「あの!私達、初めて旅行に来ました!なので、色々と教えて下さい!」
「いや、だからだな……すみません、落ち着きが無くて。」
「いえいえ、それではまず最初にノルウィンドの地図をお渡し致しますね。どうぞ、お受け取り下さい。」
「あっ、ありがとうございます!」
「うふふ、どういたしまして。それでは次に、ノルウィンドで開催されている3つのイベントについてご説明させて頂きますね。」
「ん?3つじゃと?そんなにやっておるのか?」
「はい。1つ目はノルウィンドにある温泉を巡ってポイントを貯めるイベントです。沢山ポイントを集めるとそれに応じた景品と交換が出来ますので、是非とも頑張ってみて下さいね。こちらがそのイベント専用のカードになります。」
「どうも……なるほど、クアウォートでやってたイベントみたいなもんか。」
「そうだね。今回はクエストではなくて温泉を巡るだけだから、そこまで苦労をする心配は無さそうだ。」
「……だと良いがな。」
「あの!それで2つ目のイベントっていうのは!?」
「うふふ。2つ目のイベントは雪像の展覧会です。各地から職人が集まり雪で作った様々な彫像が展示されているんですよ。会場はここを出て大通りを真っすぐに進んで行くと見えてきますので、興味がありましたら足を運んでみて下さい。」
「へぇ、雪像ねぇ……時間があれば行ってみるか。」
「ですね!一体どんな像があるのか……早く見てみたいです!」
「うん、そうだね。では、3つ目のイベントについて教えてくれるかい?」
「かしこまりました。3つ目のイベントは……皆様、街の奥にあります大きな雪山はご覧になりましたか?」
「えぇ、まぁ……あんだけデカけりゃ嫌でも目には入りますからね……それがどうかしたんですか?」
「はい、実は3つ目のイベントはその雪山で行われているんです。」
「ほほぅ、一体どんな催しが開催されておるんじゃ?」
「そうですね、簡単に言いますと雪山に出現しているダンジョンを探検して頂こうというイベントになります。」
「えっ、ダンジョン?しかも探検って……危なくはないんですか?」
「はい。ダンジョンとは言っても内部にモンスターは出現しませんので。それに戦う術を持たない方にはきちんと護衛が付きますから大丈夫ですよ。」
「ふふっ、何処かで聞いた様なイベント内容だね。」
「うん。」
「はっはっは、懐かしいのう!」
「笑い事じゃねぇっての……あの、ちょっと聞きたいんですけど……そのダンジョンって神様が宿ってるだとか住んでるだとかって噂は……?」
「神様……ですか?いえ、そんな話は聞いた事はありませんが……」
「そ、そうですか!それなら良かったです!はい!」
「……レミさん、大丈夫ですよね?」
「ん?何がじゃ?」
「いえ、だからその……居ませんよね?そのダンジョンに……同じ様な方は……」
「ふーむ、そればっかりは実際に行ってみないと何とも言えんのう。まぁ、そんなに心配ならばイベントに参加しなければ済む話じゃろう。」
「あぁ、レミの言う通りだ。今回は1つ目と2つ目のイベントを堪能してトリアルに帰れば良いだろう。」
「……だな。クエストもこなしてかなきゃいけないし、無理する必要も無いか。」
君子危うきに近寄らず……この使い方が合ってるのかどうかは知らないが、危険な場所には行かない!今回の旅行は、のんびりまったりと過ごしてやる!絶対に!
「えぇーっと……?」
「あっ、ごめんなさい!何でもないので気にしないで下さい!」
「は、はぁ……かしこまりました。それでは、他に聞きたい事がございますか?」
「あぁいえ、大丈夫です。」
「かしこまりました。それでは、ノルウィンドで素敵な思い出を沢山お作りになって下さいね。」
そう言ってニコッと微笑みかけてきたお姉さんに見送られながら観光案内所を後にした俺達は、マホの案内にされて利用する宿屋へと一直線に向かって行くのだった。
「皆様、ノルウィンドまでの長旅お疲れ様でした。また何時か、機会がありましたらご利用して頂けると幸いです。それでは、失礼致します。」
「はい、ありがとうございました。」
御者さんにお礼を告げて走り去って行く馬車をしばらく見送り続けていると、袖がクイクイッと引っ張られる様な感覚がしたのでそっちに顔を向けてみると……
「おじさん!アレ!アレを見て下さいよ!街の中に大きな川が流れています!それにほら!ずっと奥の方には大きな雪山が!い、一体どうなっているんでしょうか!?」
「ちょっ、落ち着けってマホ。つーかアレは川じゃなくて温泉……だったよな?」
「あぁ、とても温度が高いから触れると火傷してしまうという話だったが……アレが地面の下に流れているからこの街の気温は一定に保《たも》たれているんだったね。」
「そういやそうだったな。そんであっちに見える雪山は……確か、今はちょっとしたイベントが開催中だとかって御者の人が言ってたような気がするが……」
「えぇ、詳しい事は案内所の方で説明をして下さると仰っていましたわね。」
「うぅー!気になりますね!それにそれに!私、早く温泉に入りたいです!」
「はいはい、分かったから急かすなっての。」
今にも走り出しそうなマホに手を引かれる様にしてすぐ近くにあった観光案内所に入って行った俺達は、従業員の方に案内されて受付に足を運ぶのだった。
「ノルウィンドの観光案内所へようこそ。本日はどういったご用件でしょうか。」
「あの!私達、初めて旅行に来ました!なので、色々と教えて下さい!」
「いや、だからだな……すみません、落ち着きが無くて。」
「いえいえ、それではまず最初にノルウィンドの地図をお渡し致しますね。どうぞ、お受け取り下さい。」
「あっ、ありがとうございます!」
「うふふ、どういたしまして。それでは次に、ノルウィンドで開催されている3つのイベントについてご説明させて頂きますね。」
「ん?3つじゃと?そんなにやっておるのか?」
「はい。1つ目はノルウィンドにある温泉を巡ってポイントを貯めるイベントです。沢山ポイントを集めるとそれに応じた景品と交換が出来ますので、是非とも頑張ってみて下さいね。こちらがそのイベント専用のカードになります。」
「どうも……なるほど、クアウォートでやってたイベントみたいなもんか。」
「そうだね。今回はクエストではなくて温泉を巡るだけだから、そこまで苦労をする心配は無さそうだ。」
「……だと良いがな。」
「あの!それで2つ目のイベントっていうのは!?」
「うふふ。2つ目のイベントは雪像の展覧会です。各地から職人が集まり雪で作った様々な彫像が展示されているんですよ。会場はここを出て大通りを真っすぐに進んで行くと見えてきますので、興味がありましたら足を運んでみて下さい。」
「へぇ、雪像ねぇ……時間があれば行ってみるか。」
「ですね!一体どんな像があるのか……早く見てみたいです!」
「うん、そうだね。では、3つ目のイベントについて教えてくれるかい?」
「かしこまりました。3つ目のイベントは……皆様、街の奥にあります大きな雪山はご覧になりましたか?」
「えぇ、まぁ……あんだけデカけりゃ嫌でも目には入りますからね……それがどうかしたんですか?」
「はい、実は3つ目のイベントはその雪山で行われているんです。」
「ほほぅ、一体どんな催しが開催されておるんじゃ?」
「そうですね、簡単に言いますと雪山に出現しているダンジョンを探検して頂こうというイベントになります。」
「えっ、ダンジョン?しかも探検って……危なくはないんですか?」
「はい。ダンジョンとは言っても内部にモンスターは出現しませんので。それに戦う術を持たない方にはきちんと護衛が付きますから大丈夫ですよ。」
「ふふっ、何処かで聞いた様なイベント内容だね。」
「うん。」
「はっはっは、懐かしいのう!」
「笑い事じゃねぇっての……あの、ちょっと聞きたいんですけど……そのダンジョンって神様が宿ってるだとか住んでるだとかって噂は……?」
「神様……ですか?いえ、そんな話は聞いた事はありませんが……」
「そ、そうですか!それなら良かったです!はい!」
「……レミさん、大丈夫ですよね?」
「ん?何がじゃ?」
「いえ、だからその……居ませんよね?そのダンジョンに……同じ様な方は……」
「ふーむ、そればっかりは実際に行ってみないと何とも言えんのう。まぁ、そんなに心配ならばイベントに参加しなければ済む話じゃろう。」
「あぁ、レミの言う通りだ。今回は1つ目と2つ目のイベントを堪能してトリアルに帰れば良いだろう。」
「……だな。クエストもこなしてかなきゃいけないし、無理する必要も無いか。」
君子危うきに近寄らず……この使い方が合ってるのかどうかは知らないが、危険な場所には行かない!今回の旅行は、のんびりまったりと過ごしてやる!絶対に!
「えぇーっと……?」
「あっ、ごめんなさい!何でもないので気にしないで下さい!」
「は、はぁ……かしこまりました。それでは、他に聞きたい事がございますか?」
「あぁいえ、大丈夫です。」
「かしこまりました。それでは、ノルウィンドで素敵な思い出を沢山お作りになって下さいね。」
そう言ってニコッと微笑みかけてきたお姉さんに見送られながら観光案内所を後にした俺達は、マホの案内にされて利用する宿屋へと一直線に向かって行くのだった。
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