おっさんの異世界生活は無理がある。
第332話
フラウさんと昼食を共にした次の日、何故か乗り気になっているロイドとやる気が満ち溢れているソフィの頼みを断り切れずに斡旋所まで足を運んでしまった俺は……
「あークソ、マジでしんどい……ってか遭遇するモンスターのほとんどが毒や麻痺を持ちってどうなってんだよ?トリアル周辺に居る奴らとは殺意が段違いすぎるぞ!?こんなんじゃ命が幾つあっても足りねぇっての……2人共、そっちは大丈夫か?」
「うん、こっちは問題ないよ。」
「私も平気。」
「よしっ、そんじゃあさっさと街に戻るとしようぜ……ソフィもモンスターと戦えたからもう満足だろ?つーか満足して下さいお願いします……!」
「……もうちょっとだけ戦いたい。」
「な、何だと!?」
「はっはっは!どうやらまだまだ欲求が解消されておらんようじゃな!」
(手応えのあるモンスターと戦えたから闘争心に火が付いちゃったのかもですね……ご主人様、頑張って下さい!)
「うへぇ……マジかよ……」
「まぁまぁ、お金が稼げてレベルが上がって強くなれるんだから良いじゃないか。」
「……俺は日々を暮らすのに困らないぐらいの強さと金があれば満足なんだけど。」
「これこれ、男ならばもっと高みを目指さんか!それに力が無ければいざという時に護りたい者達を失う事にもなりかねんぞ?」
(そうですよ!ご主人様は色々と厄介事に巻き込まれてしまう事が多いんですから、こういう時にレベルを上げておかないと!それにトリアル周辺のモンスターではもう経験値が溜まりにくくなっていますからね!さぁ、気合を入れて下さい!)
「ったく、苦労するのは俺なのに好き勝手言いやがって……はいはい分かりました!やれば良いんだろやればよぉ!オラッ、モンスターの討伐に行くぞ!」
「ふふっ、了解したよ。」
「……わくわく。」
自分自身に無理やり気合を入れてから更に森の奥に向かって行った俺は、その後もそこそこ強いモンスター達との戦闘を重ねていくのだった。
まぁレベルが上がって損をする事なんてないし、マホやレミの言う通り力を付けておかないと巻き込まれたイベントでこいつ等を失いかねないしな……ここはいっちょこの世界に来た時と同じ様に頑張ってみるとしますかねぇ!
「……って、あれ?」
「おや、いきなり立ち止まってどうしたんだい九条さん。何か見つけたのかい?」
「いや……うん………なぁ、ちょっとここを見てくれるか?」
モンスターを求めて森の中を歩き回っていた途中、地面にふと違和感を感じた俺はその部分を指差して皆に確認をしてもらった訳なんだが……
「これは……なんじゃ?細い溝の様に見えるが……」
「……もしかして、車輪の跡?」
「うん……私もそんな風に見えるんだが……どうしてこんな森の奥に?」
(……皆さん、これってもしかして……)
(恐らく……そうだろうな。)
(なるほど、例の行方知れずの馬車か……だが、何故こんな所を走っているんだ?)
(分からない。それにコレは隠そうとした痕跡がある。)
「ふむ……どうやらこの馬車は山の上に向かっておったみたいじゃな。」
「あぁ、しかもこの方角は……」
地面から目を離して車輪の跡が続く先に視線を送ってみると……そこには圧倒的な存在感を放っている巨大な建物が木々の間から見え隠れしていて……
「悪しき神を降臨させようとした王が住んでいたとされる城か……」
(ど、どうしましょうか……確認に行ってますか?)
(……いや、近づくのを禁止された訳じゃないがそれは止めておこう。それよりも、街に戻ってローザさんにこの事を報告した方が良いだろう。)
(確かにここは警備隊に任せた方が得策だろう。そんな訳だからソフィ、すまないがモンスター討伐は終わらせても大丈夫かい?)
(うん、急いで街に戻ろう。)
(よしっ、そうと決まればさっさと山を下りるぞ。)
互いに顔を見合わせてから小さく頷いた俺達は急いで街に戻って行くと、門の所に立っていたローザさんに見てきた事を報告をするのだった。
「そうか……その話、間違いは無いんだな?」
「えぇ、ただ本当に車輪の跡だったのかどうかまでは確信は持てませんが……」
「いや、少しでも手掛かりになり得るのならそれでも構わない。報告、感謝する。」
「あぁいえ、お役に立てたなら良いんですけど……これからどうするんですか?」
「早急に調査部隊を編成してその痕跡を調査する。もしかしたら馬車が向かった先が分かるかもしれないからな。そんな訳だから、私はこれで失礼させてもらおう。」
ローザさんは周囲に居た警備隊の方達に険しい表情を浮かべながら目配せをすると早足でこの場から立ち去って行くのだった。
「……さてと、それじゃあ俺達はこれからどうしますかね?」
「そうだね……まずは斡旋所に戻ってクエスト達成の報告をしてしまおう。その後の事はそれから考えれば良いさ。」
「九条さん、別のモンスターと戦いたいから今度は平原の方に行ってみたい。」
「ははは……お前は本当にブレないねぇ……まぁ、そっち方面に関係するクエストがあったら考えてやるよ。」
「ふっ、あれだけ愚痴っておったと言うのにお主も甘い男じゃのう。」
「うっさいわ。それよりもほれ、さっさと斡旋所に行くぞ。」
レミの言葉に少しだけ気恥ずかしさを感じた俺は話を切り上げると、ため息を零しながら斡旋所に向かって歩き始めるのだった。
「あークソ、マジでしんどい……ってか遭遇するモンスターのほとんどが毒や麻痺を持ちってどうなってんだよ?トリアル周辺に居る奴らとは殺意が段違いすぎるぞ!?こんなんじゃ命が幾つあっても足りねぇっての……2人共、そっちは大丈夫か?」
「うん、こっちは問題ないよ。」
「私も平気。」
「よしっ、そんじゃあさっさと街に戻るとしようぜ……ソフィもモンスターと戦えたからもう満足だろ?つーか満足して下さいお願いします……!」
「……もうちょっとだけ戦いたい。」
「な、何だと!?」
「はっはっは!どうやらまだまだ欲求が解消されておらんようじゃな!」
(手応えのあるモンスターと戦えたから闘争心に火が付いちゃったのかもですね……ご主人様、頑張って下さい!)
「うへぇ……マジかよ……」
「まぁまぁ、お金が稼げてレベルが上がって強くなれるんだから良いじゃないか。」
「……俺は日々を暮らすのに困らないぐらいの強さと金があれば満足なんだけど。」
「これこれ、男ならばもっと高みを目指さんか!それに力が無ければいざという時に護りたい者達を失う事にもなりかねんぞ?」
(そうですよ!ご主人様は色々と厄介事に巻き込まれてしまう事が多いんですから、こういう時にレベルを上げておかないと!それにトリアル周辺のモンスターではもう経験値が溜まりにくくなっていますからね!さぁ、気合を入れて下さい!)
「ったく、苦労するのは俺なのに好き勝手言いやがって……はいはい分かりました!やれば良いんだろやればよぉ!オラッ、モンスターの討伐に行くぞ!」
「ふふっ、了解したよ。」
「……わくわく。」
自分自身に無理やり気合を入れてから更に森の奥に向かって行った俺は、その後もそこそこ強いモンスター達との戦闘を重ねていくのだった。
まぁレベルが上がって損をする事なんてないし、マホやレミの言う通り力を付けておかないと巻き込まれたイベントでこいつ等を失いかねないしな……ここはいっちょこの世界に来た時と同じ様に頑張ってみるとしますかねぇ!
「……って、あれ?」
「おや、いきなり立ち止まってどうしたんだい九条さん。何か見つけたのかい?」
「いや……うん………なぁ、ちょっとここを見てくれるか?」
モンスターを求めて森の中を歩き回っていた途中、地面にふと違和感を感じた俺はその部分を指差して皆に確認をしてもらった訳なんだが……
「これは……なんじゃ?細い溝の様に見えるが……」
「……もしかして、車輪の跡?」
「うん……私もそんな風に見えるんだが……どうしてこんな森の奥に?」
(……皆さん、これってもしかして……)
(恐らく……そうだろうな。)
(なるほど、例の行方知れずの馬車か……だが、何故こんな所を走っているんだ?)
(分からない。それにコレは隠そうとした痕跡がある。)
「ふむ……どうやらこの馬車は山の上に向かっておったみたいじゃな。」
「あぁ、しかもこの方角は……」
地面から目を離して車輪の跡が続く先に視線を送ってみると……そこには圧倒的な存在感を放っている巨大な建物が木々の間から見え隠れしていて……
「悪しき神を降臨させようとした王が住んでいたとされる城か……」
(ど、どうしましょうか……確認に行ってますか?)
(……いや、近づくのを禁止された訳じゃないがそれは止めておこう。それよりも、街に戻ってローザさんにこの事を報告した方が良いだろう。)
(確かにここは警備隊に任せた方が得策だろう。そんな訳だからソフィ、すまないがモンスター討伐は終わらせても大丈夫かい?)
(うん、急いで街に戻ろう。)
(よしっ、そうと決まればさっさと山を下りるぞ。)
互いに顔を見合わせてから小さく頷いた俺達は急いで街に戻って行くと、門の所に立っていたローザさんに見てきた事を報告をするのだった。
「そうか……その話、間違いは無いんだな?」
「えぇ、ただ本当に車輪の跡だったのかどうかまでは確信は持てませんが……」
「いや、少しでも手掛かりになり得るのならそれでも構わない。報告、感謝する。」
「あぁいえ、お役に立てたなら良いんですけど……これからどうするんですか?」
「早急に調査部隊を編成してその痕跡を調査する。もしかしたら馬車が向かった先が分かるかもしれないからな。そんな訳だから、私はこれで失礼させてもらおう。」
ローザさんは周囲に居た警備隊の方達に険しい表情を浮かべながら目配せをすると早足でこの場から立ち去って行くのだった。
「……さてと、それじゃあ俺達はこれからどうしますかね?」
「そうだね……まずは斡旋所に戻ってクエスト達成の報告をしてしまおう。その後の事はそれから考えれば良いさ。」
「九条さん、別のモンスターと戦いたいから今度は平原の方に行ってみたい。」
「ははは……お前は本当にブレないねぇ……まぁ、そっち方面に関係するクエストがあったら考えてやるよ。」
「ふっ、あれだけ愚痴っておったと言うのにお主も甘い男じゃのう。」
「うっさいわ。それよりもほれ、さっさと斡旋所に行くぞ。」
レミの言葉に少しだけ気恥ずかしさを感じた俺は話を切り上げると、ため息を零しながら斡旋所に向かって歩き始めるのだった。
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