おっさんの異世界生活は無理がある。
第328話
「あー……朝からずっと歩きっぱなしだったから足が痛すぎる……」
「ご主人様、部屋に戻って来て早々にソファーに座ってだらけるのは流石にどうかと思いますよ。少しは皆さんを見習ってシャキッとしたらどうなんですか?」
「ちょっとぐらい良いじゃねぇかよぉ……俺はもう限界なんですぅ………」
「はっはっは!ついさっきまでは平気な顔をしておった癖に、情けない奴じゃのう。やはりフラウの前では格好つけておったみたいじゃな。」
「べ、別にそんなんじゃないですぅ!この場には仲間しかいないから、安心して気を抜いているだけですぅ!」
「ふふっ、何とも嬉しい言葉をありがとうね。お礼として、九条さんには淹れたての紅茶を贈らせてもらうとしようかな。はい、どうぞ。」
「おっ、ありがとうな…………はぁ……うめぇ………」
夜風のせいで冷えていた体がロイドの用意してくれた紅茶で温まって行くのを実感しながら人心地ついた俺は、空になったカップを目の前にある小さなテーブルの上に置くとよっこいせと姿勢を正すのだった。
「ロイド、すまぬがわしにも紅茶を淹れてくれぬか。」
「了解、少しだけ待っていてくれ。」
「あっ、お手伝いしますよ!」
「うん、ありがとうねマホ。」
「……お風呂、お湯を溜めて来る。」
「はいよー……いやぁ、それにしてもマジで疲れたなぁ……フラウさん、明日が本番だってのに大丈夫なのかしら?」
「ふっ、それは余計な心配と言う物ではないのか?お主と違ってあやつは別れる時もピンピンしておったように見えたが?」
「それは……まぁ、そうですね………」
そもそも魔術師として大陸中と移動しまくってるフラウさんが、イベントの前日に疲れを残すなんて馬鹿な真似をする訳も無いか……
「レミ、紅茶をどうぞ。」
「うむ、すまぬな。」
そんな事を考えながら小さくため息を零していると、ロイドがレミの前にカップを置いてソファーに腰を下ろして……その後に紅茶の淹れてあるポットを持ったマホとソフィが戻って来るのだった。
「さてと、それじゃあお風呂が沸くまでどうしようか?」
「どうしようって……別にのんびりとしてれば良いんじゃねぇのか?それか、今日の思い出でも話し合うとかな。」
「うーん、それだと色々あり過ぎて何から話せば良いのか迷っちゃうんですけど……私としては、やっぱり悪魔族の方達が営んでいる雑貨屋が良かったです!可愛い物がいっぱい置いてあって!」
「確かにあの店は素晴らしい品揃えの店だったね。欲しい物が沢山あり過ぎてどれを買おうかと悩んでしまったよ。」
「……その結果、どれもこれも買いまくってた気がするんだが?」
「買って後悔するよりも買わない後悔の方が大きい……私はそう思っているからね。ソフィはどうだった?何かお気に入りの店は見つかったかい?」
「武器防具屋、それと素材屋。珍しい物がいっぱいあって良かった。」
「あぁ、それに値段もかなり安かったからな。思わず幾つか買っちまったよ。」
「えへへ、シーナさん達に良いお土産が出来ましたね!レミさんはどうでした?何か気になったお店はありましたか?」
「わしか?そうじゃのう……九条が気にしておった路地の裏の方にある店には行ってみたいと思ったのう。」
「ちょっ!?おまっ、それはもう忘れろよ!マホもそんな目をするんじゃない!」
「……ご主人様、私達が寝静まった後にこっそり行ったりしたらダメですからね。」
「そんな事は言われんでも分かっとるわ!ったく、余計な事を言いやがって……」
「はっはっは、すまんすまん。ついな、つい。」
絶対に悪いとは思ってないであろうレミに呆れながらカップに紅茶を注いでソレを一口飲んだその時、頭の中にある人物とのやり取りが思い浮かんできた。
「そう言えば、ローザさん達ってあの後に例の馬車を見つけたのかねぇ。」
「あぁ、どうなんですかね……って言うか、見慣れない派手な馬車を見かけたからと言ってそんなに警戒する必要があるんでしょうか?」
「さぁな……ただ、あの時の口ぶりから察するにその馬車の持ち主は貴族で魔人種を敵対視している可能性があるっぽかったからな。」
「そうだとしたら、街の住人に危害が加えられる前に見つけ出す必要があるか……」
「仮にそうでなかったとしても、所在は掴んでおく必要があるじゃろう。現状では、何処にあるのかすら分かっておらんかったみたいじゃからな。」
「……何処に消えたんだろう。」
「うーん、警備隊の人達に見つからず街の中に入るのは無理だろうから……まだ街の外にいるのか?って、俺達が考えた所でどうにもならんか。」
「ふふっ、それもそうだね。後の事は彼らに任せるとしようじゃないか。それよりもそろそろお風呂が沸く頃合いだろうから、明日の為の行動を始めようじゃないか。」
「……ですね!フラウさんのイベントは午後からですけど、今日の疲れをしっかりと取らないといけませんからね!」
「うむ、特に九条は歳のせいか色々と限界みたいじゃからな。」
「はっはっは、人の年齢をとやかく言える立場っていててて!!悪かった!謝るから足を踏むんじゃねぇっての!」
こんな感じで賑やかな夜を過ごして行った俺達は、フラウさんのイベントに備えて早めに就寝する事にした……しかし、俺の心の中にはとある不安が渦巻いていた……
「大きなイベントに消えた馬車か……頼むから、明日は何も起きるなよっ……!」
これがフラグになるかもしれないという想いも抱きながらそんな事を呟いた俺は、もし何か起きたらその時は……!そんな覚悟をしながら眠りにつくのだった……
「ご主人様、部屋に戻って来て早々にソファーに座ってだらけるのは流石にどうかと思いますよ。少しは皆さんを見習ってシャキッとしたらどうなんですか?」
「ちょっとぐらい良いじゃねぇかよぉ……俺はもう限界なんですぅ………」
「はっはっは!ついさっきまでは平気な顔をしておった癖に、情けない奴じゃのう。やはりフラウの前では格好つけておったみたいじゃな。」
「べ、別にそんなんじゃないですぅ!この場には仲間しかいないから、安心して気を抜いているだけですぅ!」
「ふふっ、何とも嬉しい言葉をありがとうね。お礼として、九条さんには淹れたての紅茶を贈らせてもらうとしようかな。はい、どうぞ。」
「おっ、ありがとうな…………はぁ……うめぇ………」
夜風のせいで冷えていた体がロイドの用意してくれた紅茶で温まって行くのを実感しながら人心地ついた俺は、空になったカップを目の前にある小さなテーブルの上に置くとよっこいせと姿勢を正すのだった。
「ロイド、すまぬがわしにも紅茶を淹れてくれぬか。」
「了解、少しだけ待っていてくれ。」
「あっ、お手伝いしますよ!」
「うん、ありがとうねマホ。」
「……お風呂、お湯を溜めて来る。」
「はいよー……いやぁ、それにしてもマジで疲れたなぁ……フラウさん、明日が本番だってのに大丈夫なのかしら?」
「ふっ、それは余計な心配と言う物ではないのか?お主と違ってあやつは別れる時もピンピンしておったように見えたが?」
「それは……まぁ、そうですね………」
そもそも魔術師として大陸中と移動しまくってるフラウさんが、イベントの前日に疲れを残すなんて馬鹿な真似をする訳も無いか……
「レミ、紅茶をどうぞ。」
「うむ、すまぬな。」
そんな事を考えながら小さくため息を零していると、ロイドがレミの前にカップを置いてソファーに腰を下ろして……その後に紅茶の淹れてあるポットを持ったマホとソフィが戻って来るのだった。
「さてと、それじゃあお風呂が沸くまでどうしようか?」
「どうしようって……別にのんびりとしてれば良いんじゃねぇのか?それか、今日の思い出でも話し合うとかな。」
「うーん、それだと色々あり過ぎて何から話せば良いのか迷っちゃうんですけど……私としては、やっぱり悪魔族の方達が営んでいる雑貨屋が良かったです!可愛い物がいっぱい置いてあって!」
「確かにあの店は素晴らしい品揃えの店だったね。欲しい物が沢山あり過ぎてどれを買おうかと悩んでしまったよ。」
「……その結果、どれもこれも買いまくってた気がするんだが?」
「買って後悔するよりも買わない後悔の方が大きい……私はそう思っているからね。ソフィはどうだった?何かお気に入りの店は見つかったかい?」
「武器防具屋、それと素材屋。珍しい物がいっぱいあって良かった。」
「あぁ、それに値段もかなり安かったからな。思わず幾つか買っちまったよ。」
「えへへ、シーナさん達に良いお土産が出来ましたね!レミさんはどうでした?何か気になったお店はありましたか?」
「わしか?そうじゃのう……九条が気にしておった路地の裏の方にある店には行ってみたいと思ったのう。」
「ちょっ!?おまっ、それはもう忘れろよ!マホもそんな目をするんじゃない!」
「……ご主人様、私達が寝静まった後にこっそり行ったりしたらダメですからね。」
「そんな事は言われんでも分かっとるわ!ったく、余計な事を言いやがって……」
「はっはっは、すまんすまん。ついな、つい。」
絶対に悪いとは思ってないであろうレミに呆れながらカップに紅茶を注いでソレを一口飲んだその時、頭の中にある人物とのやり取りが思い浮かんできた。
「そう言えば、ローザさん達ってあの後に例の馬車を見つけたのかねぇ。」
「あぁ、どうなんですかね……って言うか、見慣れない派手な馬車を見かけたからと言ってそんなに警戒する必要があるんでしょうか?」
「さぁな……ただ、あの時の口ぶりから察するにその馬車の持ち主は貴族で魔人種を敵対視している可能性があるっぽかったからな。」
「そうだとしたら、街の住人に危害が加えられる前に見つけ出す必要があるか……」
「仮にそうでなかったとしても、所在は掴んでおく必要があるじゃろう。現状では、何処にあるのかすら分かっておらんかったみたいじゃからな。」
「……何処に消えたんだろう。」
「うーん、警備隊の人達に見つからず街の中に入るのは無理だろうから……まだ街の外にいるのか?って、俺達が考えた所でどうにもならんか。」
「ふふっ、それもそうだね。後の事は彼らに任せるとしようじゃないか。それよりもそろそろお風呂が沸く頃合いだろうから、明日の為の行動を始めようじゃないか。」
「……ですね!フラウさんのイベントは午後からですけど、今日の疲れをしっかりと取らないといけませんからね!」
「うむ、特に九条は歳のせいか色々と限界みたいじゃからな。」
「はっはっは、人の年齢をとやかく言える立場っていててて!!悪かった!謝るから足を踏むんじゃねぇっての!」
こんな感じで賑やかな夜を過ごして行った俺達は、フラウさんのイベントに備えて早めに就寝する事にした……しかし、俺の心の中にはとある不安が渦巻いていた……
「大きなイベントに消えた馬車か……頼むから、明日は何も起きるなよっ……!」
これがフラグになるかもしれないという想いも抱きながらそんな事を呟いた俺は、もし何か起きたらその時は……!そんな覚悟をしながら眠りにつくのだった……
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