おっさんの異世界生活は無理がある。
第321話
土産物を食いまくっていたレミのせいで冷や汗を流す事になったその翌日、俺達は幾つかの紙袋を手にして宿屋を後にすると集合場所の広場でウィルさん達と合流して街外れにあるドクターが住んでいるという屋敷に案内をされる事になったんだが……
「これは……ヤバいな………」
「えぇ……ヤバいですね……」
顔を引きつらせながら呆然と立ち尽くす俺とマホの目の前には、外壁がボロボロで幾つかも窓ガラスが割られまくっているどう考えても朽ち果てているとしか思えない建物が圧倒的な恐怖感を漂わせながら存在していた……!
「ふふっ、これは想像していた以上のお化け屋敷だね。」
「うん、お昼前なのにこの辺りだけ薄暗いのも凄い。」
「はっはっは、見事な演出じゃな!わしも何だかゾクゾクしてきたわい!」
「わ、笑い事じゃねぇっての!ちょ、ちょっとウィルさん!今更こんな確認するのも何なんですけど、本当にこんな場所に人が住んでいるんですか?!」
「えぇ、私も最初は驚きましたけど本当に人が住んでいるんですよ。それも2人。」
「ふ、2人って……ドクターさん以外にも誰か居るんですか?」
「はい、ドクターの助手を務めている方がここで暮らしているんですよ。」
「マ、マジですか……」
こんなヤバそうな所で2人も生活してんのかよ……俺だったら3日も経たない内に逃げ出す自信があるぞ……もしかして、ちょっと危ない感じの人達なのかしら?
「さてと、それじゃあ立ち話はこれくらいにして中に入りましょうか。」
「は、はぁ……」
ウィルさんはそう言ってキャシーさんとクラリスを連れて歩き出すと軋みまくりの扉を慣れた感じで開いていき、そのまま薄暗い建物の奥に進んで行ってしまった。
……その一瞬の間にマホと視線を交わした俺は小さくため息を吐き出すと、覚悟を決めてゆっくりとした足取りで後に続くのだった。
「あっ、おはようございます皆さん。もうお帰りになっていたんですね。」
「えぇ、昨日の夕方頃に戻りました。」
外観からは想像も出来ないぐらい綺麗に整った病院の待合室みたいな場所に驚いて周囲を見回していると、受付らしき所で丸眼鏡をかけたぼさぼさ頭の若い男性と話をしているウィルさんを発見した。
「そうだったんですか。ってあれ?そちらにいらっしゃる方々は……?」
「あぁ、彼らは王都からファントリアスに向かう馬車の中で一緒になった方達です。ドクターのお話をしたら興味を持たれたので、ここまで来てもらいました。」
「なるほど、そういう事でしたか。初めまして、私はドクターの助手を務めている『ジョッシュ』と言います。」
「どうも、九条透です……」
うわぁ、見た目に反して爽やかな声……間違いない、アイツは眼鏡を外して髪型を整えたらイケメンになるタイプ……つまり、俺の敵だ!!
「初めまして、マホです!」
「ロイドだ。よろしくね、ジョッシュさん。」
「ソフィ。よろしく。」
「はい、よろしくお願いします。」
ぐっ、微笑んでいるのが口元だけだってのに格好良さが滲み出ていやがるだと!?まさかこの男、主人公属性を持ち合わせていると言うのか!?お、恐ろしい……!
「それじゃあウィルさん、ドクターにご挨拶と薬について報告をしたいので診察室に案内をお願い出来ますか?」
「分かりました。それじゃあ私の後について来て下さい。」
ジョッシュさんはそう言って受付から出て来ると真っすぐ伸びる廊下を歩き始めたので、言われた通り俺達もその後について行くのだった。
「……手術室……調合室……薬品管理室………実験室………」
「マホ、目に見える文字をわざわざ読み上げるんじゃない……!」
「す、すみません……さっきからどうにも落ち着かなくて……」
「ふふっ、奥に進むにつれて不気味さが増しているからね。」
「どうやら綺麗にしてあったのは、入ってすぐの受付だけみたいじゃな。」
「おばけ、出て来るかな。」
「ソフィ、そういう事は思っていても口に出すんじゃない!」
フラグになりそうな言葉を呟いたソフィに小さな声で注意をしたその直後、廊下の突き当り手前にあった扉の前で立ち止まったジョッシュさんがゆっくり右手を上げてノックをした。
「ドクター、ジョッシュです。お客様をお連れ致しました。」
「……あらそう、それじゃあ入ってもらってちょうだい。」
「分かりました、それではどうぞ。」
ガチャッとドアノブを回して扉を開いたジョッシュさんに促されるまま部屋の中に足を踏み入れた瞬間、めちゃくちゃ甘ったるい香りが漂ってきて……
「な、なんだ……この匂い……頭がくらくらするぞ……」
「だ、大丈夫ですかおじさん?」
「あらあら、うふふふ……どうやら私の香りにやられちゃったみたいねぇ。」
「わ、私の香り?………ふへっ!?!?!!」
ねっとりとして絡みつく様な声がしてきた方向に意識がぼんやりとしたまま視線を向けてみると、そこには裾が短いスカートと胸元がざっくりと開いた服を着て白衣を羽織っているゆるふわロングヘアーの金髪美女が紅い口をニヤリとさせながら椅子に座って足を組んでいました訳でしてえええええ?!!??!!
「初めまして皆さん、私はこの街でドクターを名乗っている者です。これからどうぞよろしくお願いしますね。」
……何処かで感じた事のある視線で見つめられながら完全にフリーズしてしまった俺は、本能的に目の前で微笑んでいる女性が危険な相手だと感じ取るのだった……!
「これは……ヤバいな………」
「えぇ……ヤバいですね……」
顔を引きつらせながら呆然と立ち尽くす俺とマホの目の前には、外壁がボロボロで幾つかも窓ガラスが割られまくっているどう考えても朽ち果てているとしか思えない建物が圧倒的な恐怖感を漂わせながら存在していた……!
「ふふっ、これは想像していた以上のお化け屋敷だね。」
「うん、お昼前なのにこの辺りだけ薄暗いのも凄い。」
「はっはっは、見事な演出じゃな!わしも何だかゾクゾクしてきたわい!」
「わ、笑い事じゃねぇっての!ちょ、ちょっとウィルさん!今更こんな確認するのも何なんですけど、本当にこんな場所に人が住んでいるんですか?!」
「えぇ、私も最初は驚きましたけど本当に人が住んでいるんですよ。それも2人。」
「ふ、2人って……ドクターさん以外にも誰か居るんですか?」
「はい、ドクターの助手を務めている方がここで暮らしているんですよ。」
「マ、マジですか……」
こんなヤバそうな所で2人も生活してんのかよ……俺だったら3日も経たない内に逃げ出す自信があるぞ……もしかして、ちょっと危ない感じの人達なのかしら?
「さてと、それじゃあ立ち話はこれくらいにして中に入りましょうか。」
「は、はぁ……」
ウィルさんはそう言ってキャシーさんとクラリスを連れて歩き出すと軋みまくりの扉を慣れた感じで開いていき、そのまま薄暗い建物の奥に進んで行ってしまった。
……その一瞬の間にマホと視線を交わした俺は小さくため息を吐き出すと、覚悟を決めてゆっくりとした足取りで後に続くのだった。
「あっ、おはようございます皆さん。もうお帰りになっていたんですね。」
「えぇ、昨日の夕方頃に戻りました。」
外観からは想像も出来ないぐらい綺麗に整った病院の待合室みたいな場所に驚いて周囲を見回していると、受付らしき所で丸眼鏡をかけたぼさぼさ頭の若い男性と話をしているウィルさんを発見した。
「そうだったんですか。ってあれ?そちらにいらっしゃる方々は……?」
「あぁ、彼らは王都からファントリアスに向かう馬車の中で一緒になった方達です。ドクターのお話をしたら興味を持たれたので、ここまで来てもらいました。」
「なるほど、そういう事でしたか。初めまして、私はドクターの助手を務めている『ジョッシュ』と言います。」
「どうも、九条透です……」
うわぁ、見た目に反して爽やかな声……間違いない、アイツは眼鏡を外して髪型を整えたらイケメンになるタイプ……つまり、俺の敵だ!!
「初めまして、マホです!」
「ロイドだ。よろしくね、ジョッシュさん。」
「ソフィ。よろしく。」
「はい、よろしくお願いします。」
ぐっ、微笑んでいるのが口元だけだってのに格好良さが滲み出ていやがるだと!?まさかこの男、主人公属性を持ち合わせていると言うのか!?お、恐ろしい……!
「それじゃあウィルさん、ドクターにご挨拶と薬について報告をしたいので診察室に案内をお願い出来ますか?」
「分かりました。それじゃあ私の後について来て下さい。」
ジョッシュさんはそう言って受付から出て来ると真っすぐ伸びる廊下を歩き始めたので、言われた通り俺達もその後について行くのだった。
「……手術室……調合室……薬品管理室………実験室………」
「マホ、目に見える文字をわざわざ読み上げるんじゃない……!」
「す、すみません……さっきからどうにも落ち着かなくて……」
「ふふっ、奥に進むにつれて不気味さが増しているからね。」
「どうやら綺麗にしてあったのは、入ってすぐの受付だけみたいじゃな。」
「おばけ、出て来るかな。」
「ソフィ、そういう事は思っていても口に出すんじゃない!」
フラグになりそうな言葉を呟いたソフィに小さな声で注意をしたその直後、廊下の突き当り手前にあった扉の前で立ち止まったジョッシュさんがゆっくり右手を上げてノックをした。
「ドクター、ジョッシュです。お客様をお連れ致しました。」
「……あらそう、それじゃあ入ってもらってちょうだい。」
「分かりました、それではどうぞ。」
ガチャッとドアノブを回して扉を開いたジョッシュさんに促されるまま部屋の中に足を踏み入れた瞬間、めちゃくちゃ甘ったるい香りが漂ってきて……
「な、なんだ……この匂い……頭がくらくらするぞ……」
「だ、大丈夫ですかおじさん?」
「あらあら、うふふふ……どうやら私の香りにやられちゃったみたいねぇ。」
「わ、私の香り?………ふへっ!?!?!!」
ねっとりとして絡みつく様な声がしてきた方向に意識がぼんやりとしたまま視線を向けてみると、そこには裾が短いスカートと胸元がざっくりと開いた服を着て白衣を羽織っているゆるふわロングヘアーの金髪美女が紅い口をニヤリとさせながら椅子に座って足を組んでいました訳でしてえええええ?!!??!!
「初めまして皆さん、私はこの街でドクターを名乗っている者です。これからどうぞよろしくお願いしますね。」
……何処かで感じた事のある視線で見つめられながら完全にフリーズしてしまった俺は、本能的に目の前で微笑んでいる女性が危険な相手だと感じ取るのだった……!
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