おっさんの異世界生活は無理がある。
第318話
「皆様、王都からファントリアスまでの移動お疲れ様でした。私はこれで失礼させて頂きますが、またいずれお会い出来るのを楽しみにしております。」
「えぇ、それではまた機会がありましたらよろしくお願いします。」
「はい、それでは。」
ファントリアスに入ってすぐの大きな広場で馬車から降りた俺達は丁寧にお辞儀をしてくれた御者さんが手綱を握り締めて街の奥に去って行くのを見届けると、周囲の光景を皆と一緒に改めて見渡してみた!
「うわぁ!おじさん、あっちに居るのってドワーフ族の方じゃないですか!?」
「あ、あぁ!体は小さいがあの筋肉と立派なヒゲ、まず間違いない!しかもその近くには……おいおい、ありゃ絶対にエルフ族だぞ!だって耳が尖ってるからなぁ!」
「ですねですね!それに向こうの方を歩いているのは皆さんと同じドラゴン族の方達ですよね!」
「ふふっ、こうして見てみると本当に魔人種の方ばかりだね。」
「うん、それに比べて人の数が少ない。」
「そうだな……ウィルさん、確かこの街に住んでる人間のほとんどは冒険者か警備隊だって言ってましたよね?」
「えぇ、その他には私達に薬をくれたドクターとその助手さんが街外れにある大きなお屋敷に住んでいるくらいですね。」
「へぇ、大きなお屋敷ですか。さぞかし立派な建物なんでしょうね!」
「あっ、いえそれは……どうなんでしょう……ね。」
「……あれ?どうしてそんな微妙な反応を?」
「ゆういちおじちゃん、どくたーさんがすんでいるのはね、おばけやしきなんだ!」
「………はい?おばけ……やしき?」
「うん!どくたーさんは、いつのまにかそこにすんでたの!」
「へ、へぇー……そ、そうなんだぁ………って言うかクラリス、俺の事はおじちゃんじゃなくておにいちゃんって」
「そ、そんな事はどうでも良くてですね!」
「いや、どうでも良い事ないと思うんだが……」
「クラリスちゃん、それって本当のお話なの?」
「うん!だからね、どくたーさんはきっとおばけさんなんだよ!」
「こーら、そんな事を言ったらダメでしょ。すみません、クラリスの言っている事はあんまり気にしないで下さいね。」
「は、はぁ……」
き、気にするなって言われてもな……お化け屋敷って言われてる所にいつの間にか住み着いてた怪しい薬を出すドクターって……ヤバい匂いがぷんぷんなんですが……
「はっはっは、何とも興味を惹かれる人物じゃな!是非とも会ってみたいのう!」
「お、おい!そういう余計な事を言うんじゃねぇっての!」
「む、何故じゃ?幽霊屋敷と呼ばれる場所に住む怪しい医者……その姿、一度で良いから拝んでみたいとは思わんのか?」
「思う訳が無いだろうが……つーか、そんな事を言ってるとだな……」
「あぁ、それでしたら会いに行ってみませんか?私達、薬の使用感を伝える為に明日お屋敷にお邪魔する事になっていますから。」
「おや、そうなのかい?それは嬉しいお誘いだな。」
「うむ!そういう事ならば同行させてもらおう!」
「い、いや!ちょっと待って下さいよ!そ、そんな急には……ド、ドクターさんにもご迷惑ですよね!おじさん!」
「お、おう!病気でもないのに会いに行ってもな!お仕事の邪魔だろうし!ソフィもそう思う……はっ!?」
「おばけ……初めて見る……わくわく……!」
「こ、こりゃダメだ!くっ、このままでは……!」
「ちょっと、諦めないで下さいよおじさん!」
「そ、そうは言うけどさぁ………ん?」
マホに腕をガッと掴まれてガクガク揺さぶられながらどうやってこの誘いを断れば良いのかメチャクチャ悩んでいると、クラリスがとてとてこっちに歩いて来た。
「……まほおねえちゃん、わたしたちとおでかけするの……いや?」
「えっ!?いや、そ、そういう訳ではなくてですね……」
「わたしはね……あしたも、まほおねえちゃんといっしょにおでかけしたい!」
「はぅあ!!」
「マ、マホさん?!」
瞳をうるうるさせながら上目遣いで見つめてきたクラリスにズキューン!!という効果音が聞こえてきそうな感じで心を撃ち抜かれたらしいマホは、腕を揺さぶってた手をゆっくりと止めると………
「おじさん……明日のお出掛け……楽しみですねっ……!」
「いや、そんな絶望に染まった瞳で見つめられながらそう言われても!?」
「わーいわーい!あしたもみんなでおでかけできるー!」
「うふふ、良かったわねクラリス。」
「おやおや、これだけ楽しみにされてしまうもう断れないね。」
「九条、男を見せる時じゃぞ!」
「皆さん、娘の我儘に付き合って下さってありがとうございます。」
「はっはっは、気にするでない。ドクターに会いに行きたいと言い出したのはこちらじゃからな。」
「そうですか……なら、良いんですけど。」
「よしっ、それでは時間が遅くなる前に明日の予定を決めてしまおうか。」
「………あぁ………そうね………」
動き出してしまった流れには絶対に逆らえない……そんな事を久しぶりに思い知らされながら集合する場所や時間を決めた俺達は、暗くなる前にウィルさん達に別れを告げてその場で解散をするのだった。
その後はすぐ近くにあった案内所に行ってファントリアスのマップを貰ってマホにインストールをしてもらうと、エリオさんが予約してくれたという宿屋に向かう為に広場を後にして魔人種の方達が行き交っている大通りの方に歩いて行った。
「えぇ、それではまた機会がありましたらよろしくお願いします。」
「はい、それでは。」
ファントリアスに入ってすぐの大きな広場で馬車から降りた俺達は丁寧にお辞儀をしてくれた御者さんが手綱を握り締めて街の奥に去って行くのを見届けると、周囲の光景を皆と一緒に改めて見渡してみた!
「うわぁ!おじさん、あっちに居るのってドワーフ族の方じゃないですか!?」
「あ、あぁ!体は小さいがあの筋肉と立派なヒゲ、まず間違いない!しかもその近くには……おいおい、ありゃ絶対にエルフ族だぞ!だって耳が尖ってるからなぁ!」
「ですねですね!それに向こうの方を歩いているのは皆さんと同じドラゴン族の方達ですよね!」
「ふふっ、こうして見てみると本当に魔人種の方ばかりだね。」
「うん、それに比べて人の数が少ない。」
「そうだな……ウィルさん、確かこの街に住んでる人間のほとんどは冒険者か警備隊だって言ってましたよね?」
「えぇ、その他には私達に薬をくれたドクターとその助手さんが街外れにある大きなお屋敷に住んでいるくらいですね。」
「へぇ、大きなお屋敷ですか。さぞかし立派な建物なんでしょうね!」
「あっ、いえそれは……どうなんでしょう……ね。」
「……あれ?どうしてそんな微妙な反応を?」
「ゆういちおじちゃん、どくたーさんがすんでいるのはね、おばけやしきなんだ!」
「………はい?おばけ……やしき?」
「うん!どくたーさんは、いつのまにかそこにすんでたの!」
「へ、へぇー……そ、そうなんだぁ………って言うかクラリス、俺の事はおじちゃんじゃなくておにいちゃんって」
「そ、そんな事はどうでも良くてですね!」
「いや、どうでも良い事ないと思うんだが……」
「クラリスちゃん、それって本当のお話なの?」
「うん!だからね、どくたーさんはきっとおばけさんなんだよ!」
「こーら、そんな事を言ったらダメでしょ。すみません、クラリスの言っている事はあんまり気にしないで下さいね。」
「は、はぁ……」
き、気にするなって言われてもな……お化け屋敷って言われてる所にいつの間にか住み着いてた怪しい薬を出すドクターって……ヤバい匂いがぷんぷんなんですが……
「はっはっは、何とも興味を惹かれる人物じゃな!是非とも会ってみたいのう!」
「お、おい!そういう余計な事を言うんじゃねぇっての!」
「む、何故じゃ?幽霊屋敷と呼ばれる場所に住む怪しい医者……その姿、一度で良いから拝んでみたいとは思わんのか?」
「思う訳が無いだろうが……つーか、そんな事を言ってるとだな……」
「あぁ、それでしたら会いに行ってみませんか?私達、薬の使用感を伝える為に明日お屋敷にお邪魔する事になっていますから。」
「おや、そうなのかい?それは嬉しいお誘いだな。」
「うむ!そういう事ならば同行させてもらおう!」
「い、いや!ちょっと待って下さいよ!そ、そんな急には……ド、ドクターさんにもご迷惑ですよね!おじさん!」
「お、おう!病気でもないのに会いに行ってもな!お仕事の邪魔だろうし!ソフィもそう思う……はっ!?」
「おばけ……初めて見る……わくわく……!」
「こ、こりゃダメだ!くっ、このままでは……!」
「ちょっと、諦めないで下さいよおじさん!」
「そ、そうは言うけどさぁ………ん?」
マホに腕をガッと掴まれてガクガク揺さぶられながらどうやってこの誘いを断れば良いのかメチャクチャ悩んでいると、クラリスがとてとてこっちに歩いて来た。
「……まほおねえちゃん、わたしたちとおでかけするの……いや?」
「えっ!?いや、そ、そういう訳ではなくてですね……」
「わたしはね……あしたも、まほおねえちゃんといっしょにおでかけしたい!」
「はぅあ!!」
「マ、マホさん?!」
瞳をうるうるさせながら上目遣いで見つめてきたクラリスにズキューン!!という効果音が聞こえてきそうな感じで心を撃ち抜かれたらしいマホは、腕を揺さぶってた手をゆっくりと止めると………
「おじさん……明日のお出掛け……楽しみですねっ……!」
「いや、そんな絶望に染まった瞳で見つめられながらそう言われても!?」
「わーいわーい!あしたもみんなでおでかけできるー!」
「うふふ、良かったわねクラリス。」
「おやおや、これだけ楽しみにされてしまうもう断れないね。」
「九条、男を見せる時じゃぞ!」
「皆さん、娘の我儘に付き合って下さってありがとうございます。」
「はっはっは、気にするでない。ドクターに会いに行きたいと言い出したのはこちらじゃからな。」
「そうですか……なら、良いんですけど。」
「よしっ、それでは時間が遅くなる前に明日の予定を決めてしまおうか。」
「………あぁ………そうね………」
動き出してしまった流れには絶対に逆らえない……そんな事を久しぶりに思い知らされながら集合する場所や時間を決めた俺達は、暗くなる前にウィルさん達に別れを告げてその場で解散をするのだった。
その後はすぐ近くにあった案内所に行ってファントリアスのマップを貰ってマホにインストールをしてもらうと、エリオさんが予約してくれたという宿屋に向かう為に広場を後にして魔人種の方達が行き交っている大通りの方に歩いて行った。
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