おっさんの異世界生活は無理がある。
第274話
額に汗して作り上げた場所で料理人の方達が用意してくれていた弁当を食べて腹を満たした俺達は、再び馬車に乗り込むとゆっくりと街道を進んで行った。
それからしばらくして無事に目的の村に訪れた俺達はエリオさんと村長さんの家の前で別れた後、宿泊予定の宿屋の前で止まった馬車から降りるのだった。
「ふぅ、そんじゃあ荷物を部屋に置いたら1階に集合って事で良いな。」
「あぁ、その後はレミにお願いされた通り村の案内をするんだよね。」
「うむ!頼んだぞ!」
「分かりました!レミさんの期待に応えられる様に、頑張っちゃいますね!」
……そんなに気合を入れる必要があるのかしら?なんて思いながら預けてた荷物を回収して皆と宿屋の中に足を踏み入れた俺は、受付で初めて来た時に貰ったのと同じ鍵を受け取ると階段を上がって部屋に向かって行った。
そしてのんびりする間もなく荷物を床に置いて廊下に出た後、廊下で皆と合流した俺は1階で待っていたレミを連れて村の中を見て回る事にするのだった。
「おぉ……クアウォートの様は派手さは無いがのどかで良い所じゃな!それに人々が活気に満ち溢れておるわ!」
「うん、ここに初めて来た時とは大違いだ。きっと九条さんと父さん達のおかげなんだろうね。」
「いや、別にそんな事を言われる程じゃ……」
「はっはっは、別に謙遜する様な事ではあるまい。お主達はこの村を荒らす野盗共を捕まえたのじゃから、もっと胸を張っても良いと思うぞ。」
「んー……そう言ってくれるのは嬉しいんだが、アレはほとんどエリオさん達の手柄みたいな物だからな。」
「……でも、何もしてない訳じゃない。」
「まぁ、そりゃそうだが……」
「ならば誇るが良い。お主は村の為に良い事をしたのじゃからな。」
「そうですよ!……ただ、私達に黙って無茶をしたのはどうかと思いますけどね。」
「だからそれは悪かったって……この通り、反省しています。」
「ふふっ、それじゃあ次は私達に無断で危険な事はしないんだね。」
「それは………時と場合によるとしか言えないなぁ………」
「もう、おじさん!」
「ちょ、そんなに怒るなって!なるべく言う様にするから!」
「なるべくじゃなくて、絶対にして下さい!」
「はいはい分かったってば…………ん、アレは……?」
「……畑の前に人が集まってる?」
「えっ?……本当ですね、どうしたんでしょうか?」
「ふむ、もしかしたら新たな問題が起きているのかもしれないね。」
「いや、たった数日で流石にそれは無いと思うんだが………どうする?」
「どうするって言われても、行くしか無いんじゃないですか?」
「えぇ……なぁ、ここは見なかった事にするって言うのは……ダメ?」
「ダメって訳じゃ無いんですけど……レミさん、もう行っちゃいましたよ。」
「……は?」
「おーい!そこの者達、何を話し合っているのか聞かせてはくれんかのう!」
「ちょ、いつの間に!?」
「ふふっ、これは私達も聞きに行かなければならないだろうね。」
「マジかよ………」
ため息と共にガックリと肩を落とした俺は、マホに背中を押される様にして村人と話をしているレミに歩み寄って行くと……
「おや、アンタ達はこの間の……もしかして、またこの村の宿屋を利用しに?」
「えぇ、そうなんですが……レミ、勝手に行動するんじゃねぇっての。」
「はっはっは、それをお主に言われるとは思わなかったぞ。」
「……否定は出来ませんね。」
「おい。」
「それよりもほれ、お主達もこの者達の悩みを聞いてみるが良い。」
「悩み……まさか、以前と同様にまだ畑を荒らされる事態でも?」
「あぁいや、別にそんな深刻な話でもねぇのさ。ただ野盗共に荒らされた畑の損害をどうしようかって悩んでいてな。」
「地道にコツコツやるしかねぇってのは分かっちゃいるんだがな……収穫時期にこれだけやられると愚痴の1つでも零したくなるってもんだぜ。」
「一応、村長さんにも相談をしちゃみたんだが……こればっかりはどうにもな。」
「……俺達も調べさせてもらいましたけど、かなり酷くやられてましたからね。」
「そうなんだよ……まぁアンタ達には関係ない話から、あんま気にしないでくれ。」
「そうそう!だがほんの少しでも同情してくれるって言うなら、村の土産物屋で金を落としていってくれると大助かりだ!」
「おやおや、そう言われては買い物をしていかない訳にはいかないね。」
「おう!それじゃあ旅の方、よろしく頼んだぜ!」
笑みを浮かべて畑に向かって行った村人達に頭を下げてその場から離れた俺達は、とりあえず土産物屋に歩き始めたのだが……
「やっぱり現実ってのは色々と厳しいもんだな。」
「野盗を捕まえたらそれで全てが解決するって訳じゃないですからね……」
「何とか手を貸してあげたい所だが、今の私達にはどうする事も出来ないか。」
「……そうだね。」
「これこれ、何を落ち込んでおるのじゃ。お主達が暗くなっても事態は好転したりはせぬぞ。」
「そりゃそうだが……って、どうしてお前はそんな不敵な笑みを浮かべてんだ?」
「ふっふっふ……まぁ、わしの正体がアレじゃからとだけ答えておこうかのう。」
「……アレ?」
「さぁ行くぞ!この村に住む者達の為に土産物屋の商品を全て買いあさるのじゃ!」
「は?そんな金が何処にってあぁ!?俺の財布!?ちょ、レミ!待てやコラ!」
容姿は子供の癖に物凄い速さで走って行ったレミを土産物屋に入る直前で捕まえる事に成功した俺は、改めて神様の身勝手さ常識の無さを思い知ったのだった………
それからしばらくして無事に目的の村に訪れた俺達はエリオさんと村長さんの家の前で別れた後、宿泊予定の宿屋の前で止まった馬車から降りるのだった。
「ふぅ、そんじゃあ荷物を部屋に置いたら1階に集合って事で良いな。」
「あぁ、その後はレミにお願いされた通り村の案内をするんだよね。」
「うむ!頼んだぞ!」
「分かりました!レミさんの期待に応えられる様に、頑張っちゃいますね!」
……そんなに気合を入れる必要があるのかしら?なんて思いながら預けてた荷物を回収して皆と宿屋の中に足を踏み入れた俺は、受付で初めて来た時に貰ったのと同じ鍵を受け取ると階段を上がって部屋に向かって行った。
そしてのんびりする間もなく荷物を床に置いて廊下に出た後、廊下で皆と合流した俺は1階で待っていたレミを連れて村の中を見て回る事にするのだった。
「おぉ……クアウォートの様は派手さは無いがのどかで良い所じゃな!それに人々が活気に満ち溢れておるわ!」
「うん、ここに初めて来た時とは大違いだ。きっと九条さんと父さん達のおかげなんだろうね。」
「いや、別にそんな事を言われる程じゃ……」
「はっはっは、別に謙遜する様な事ではあるまい。お主達はこの村を荒らす野盗共を捕まえたのじゃから、もっと胸を張っても良いと思うぞ。」
「んー……そう言ってくれるのは嬉しいんだが、アレはほとんどエリオさん達の手柄みたいな物だからな。」
「……でも、何もしてない訳じゃない。」
「まぁ、そりゃそうだが……」
「ならば誇るが良い。お主は村の為に良い事をしたのじゃからな。」
「そうですよ!……ただ、私達に黙って無茶をしたのはどうかと思いますけどね。」
「だからそれは悪かったって……この通り、反省しています。」
「ふふっ、それじゃあ次は私達に無断で危険な事はしないんだね。」
「それは………時と場合によるとしか言えないなぁ………」
「もう、おじさん!」
「ちょ、そんなに怒るなって!なるべく言う様にするから!」
「なるべくじゃなくて、絶対にして下さい!」
「はいはい分かったってば…………ん、アレは……?」
「……畑の前に人が集まってる?」
「えっ?……本当ですね、どうしたんでしょうか?」
「ふむ、もしかしたら新たな問題が起きているのかもしれないね。」
「いや、たった数日で流石にそれは無いと思うんだが………どうする?」
「どうするって言われても、行くしか無いんじゃないですか?」
「えぇ……なぁ、ここは見なかった事にするって言うのは……ダメ?」
「ダメって訳じゃ無いんですけど……レミさん、もう行っちゃいましたよ。」
「……は?」
「おーい!そこの者達、何を話し合っているのか聞かせてはくれんかのう!」
「ちょ、いつの間に!?」
「ふふっ、これは私達も聞きに行かなければならないだろうね。」
「マジかよ………」
ため息と共にガックリと肩を落とした俺は、マホに背中を押される様にして村人と話をしているレミに歩み寄って行くと……
「おや、アンタ達はこの間の……もしかして、またこの村の宿屋を利用しに?」
「えぇ、そうなんですが……レミ、勝手に行動するんじゃねぇっての。」
「はっはっは、それをお主に言われるとは思わなかったぞ。」
「……否定は出来ませんね。」
「おい。」
「それよりもほれ、お主達もこの者達の悩みを聞いてみるが良い。」
「悩み……まさか、以前と同様にまだ畑を荒らされる事態でも?」
「あぁいや、別にそんな深刻な話でもねぇのさ。ただ野盗共に荒らされた畑の損害をどうしようかって悩んでいてな。」
「地道にコツコツやるしかねぇってのは分かっちゃいるんだがな……収穫時期にこれだけやられると愚痴の1つでも零したくなるってもんだぜ。」
「一応、村長さんにも相談をしちゃみたんだが……こればっかりはどうにもな。」
「……俺達も調べさせてもらいましたけど、かなり酷くやられてましたからね。」
「そうなんだよ……まぁアンタ達には関係ない話から、あんま気にしないでくれ。」
「そうそう!だがほんの少しでも同情してくれるって言うなら、村の土産物屋で金を落としていってくれると大助かりだ!」
「おやおや、そう言われては買い物をしていかない訳にはいかないね。」
「おう!それじゃあ旅の方、よろしく頼んだぜ!」
笑みを浮かべて畑に向かって行った村人達に頭を下げてその場から離れた俺達は、とりあえず土産物屋に歩き始めたのだが……
「やっぱり現実ってのは色々と厳しいもんだな。」
「野盗を捕まえたらそれで全てが解決するって訳じゃないですからね……」
「何とか手を貸してあげたい所だが、今の私達にはどうする事も出来ないか。」
「……そうだね。」
「これこれ、何を落ち込んでおるのじゃ。お主達が暗くなっても事態は好転したりはせぬぞ。」
「そりゃそうだが……って、どうしてお前はそんな不敵な笑みを浮かべてんだ?」
「ふっふっふ……まぁ、わしの正体がアレじゃからとだけ答えておこうかのう。」
「……アレ?」
「さぁ行くぞ!この村に住む者達の為に土産物屋の商品を全て買いあさるのじゃ!」
「は?そんな金が何処にってあぁ!?俺の財布!?ちょ、レミ!待てやコラ!」
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