おっさんの異世界生活は無理がある。
第259話
アリシアさんがナンパされてた場所を通り過ぎてしばらく歩いていると、鎖付きのゴツイ鍵が幾つも掛かった鉄製の扉とそれに護られている大きな建物が見えてきた。
「皆さん、これから扉の鍵を開けますので少しの間こちらでお待ち下さい。」
建物から少し離れた場所に俺達を残して扉の前に歩いて行ったお兄さんは、上着のポケットから鍵と思われる物を取り出すとジャラジャラと音を立てながら巻いてある鎖と鍵を次々と外し始めた。
「……それにしても、ダンジョンに通じている場所がこんな所にあるだなんて考えもしなかったな。」
「あぁ、普通だったらそんな危険な場所はすぐに封鎖されてしまうんだが……流石に神様に由来するとなるとそうもいかないんじゃないかな。」
「そんなもんかねぇ……ってか、やっぱダンジョンを観光地とするとか発想がマジでぶっ飛びすぎじゃねぇか?モンスターが出現する可能性もあるってのにさ。」
「た、確かにそうですが……安全面がシッカリしているのが確認されているのなら、それを利用しない手は無いと思いますよ。」
「街の安全の為のここを管理する必要もありますし、その費用を稼ぐ為ならばそれも仕方が無い事なのかもしれませんわね。」
(うーん……色々と大変そうですね。)
(ったく、神様だって言うならもうちょい人様に迷惑かけない様に気を付けてほしいもんだな。)
そんな雑談をしながらしばらく待機していると、全ての鍵を外し終えたお兄さんが扉の取っ手を握り全体重を掛けて引いて重々しい音を立てながら開き始めた。
「ふぅ……お待たせ致しました。それでは皆さん、建物の中へどうぞ。」
お兄さんの言葉に首を傾げながら皆と顔を見合わせた俺は、それがどういった意味なのか確かめる為に建物の中に足を踏み入れると……
「あれ、これってもしかして………地下に続く階段ですか?」
「はい。水神龍の宮殿はこの階段を降りた先にございます。引き続き私の後に付いて来て下さい。」
「は、はぁ……」
建物の奥にある広めの階段をお兄さんの後に続いてしばらく降りて行くと、さっき通って来た扉より一回り小さい扉が見えてきた。
「おや、また扉かい。」
「えぇ、ですがこれが最後の扉になります……皆様、心の準備はよろしいですか。」
扉に背を向けてニコっと微笑みかけてきたお兄さんと目が合った俺は、振り返って皆の顔を見回すと……改めて正面に向き直り、シッカリと頷いてみせた。
「かしこまりました。それでは、水神龍の宮殿に続く道を開かせて頂きますね。」
そう言って俺達に背を向けたお兄さんがグッと力を込めて扉を押していくと………目の前に………に……にぃ!?
(はっ、えぇっ?!)
「おやおや、これは驚いたな……」
「ど、どうなってますの……?」
「ま、まさかとは思いますけどコレ………」
「………海?」
唖然としながら見つめる扉の先には……光り輝く海面が………地面じゃ無くて目の前に存在していて…………って、なんじゃああこりゃあああ?!!!!?!!
「あ、はっ、え、どういう仕組みになってるんですか?!」
「残念ながら詳しい事は私達にも解明が出来ていません。分かっているのは、ここを通って行けば海底に沈んでいる水神龍の宮殿に行けるという事だけです。」
「マ、マジですか……」
ダンジョンに行く為には海に潜る必要があるとは思っていたけど、その第一段階がコレかよ………何て言うか、久しぶりに異世界に来た事を実感してきたなぁ……
「それでは皆様、魔石に魔力を流してエアールを装着して下さい。」
「ふふっ、いよいよか。」
「どきどきしてきた。」
「あぁ、私も胸が高鳴ってまいりましたわ!」
「うぅ、ちょっと不安ですけど………私、頑張ります!」
「……はぁ、やるしかねぇか。」
(ご主人様!ファイトです!)
マホの声援を聞きながらエアールを付けた俺は、口元にある魔石から酸素が来てる事を確認して光っている海面の前に立った。
「皆様、この光はリングの様になっていて水神龍の宮殿まで続いています。その中は水圧が一定で問題ありませんが、光の外に出ると大変危険です!絶対にこの光からは出ない様にして下さい!」
「あ、あの……もし出てしまったらどうなんですんですか?」
「最悪の場合、命を落とす危険があります。ですので、絶対に出ないで下さいね!」
「わ、分かりました!」
「それと光の輪は日没と共に消失してしまいますので、それまでにはこちらに戻って来て下さい。」
「は、はい。」
「それでは最後に海の中で意思疎通をする為に必要なハンドサインをご説明します。しっかりと覚えて下さい。」
……お兄さんから簡単なハンドサインを教わった俺達は改めて光り輝く海面の前に立つと、互いに顔を見合わせてから慎重にその中に入って行くのだった。
さぁ、待ってろよ神様……どんな試練をさせられるのかは知らないが、こうなりゃ徹底的にやってやろうじゃねぇか!そして絶対に晩飯までには帰って見せる!
「皆さん、これから扉の鍵を開けますので少しの間こちらでお待ち下さい。」
建物から少し離れた場所に俺達を残して扉の前に歩いて行ったお兄さんは、上着のポケットから鍵と思われる物を取り出すとジャラジャラと音を立てながら巻いてある鎖と鍵を次々と外し始めた。
「……それにしても、ダンジョンに通じている場所がこんな所にあるだなんて考えもしなかったな。」
「あぁ、普通だったらそんな危険な場所はすぐに封鎖されてしまうんだが……流石に神様に由来するとなるとそうもいかないんじゃないかな。」
「そんなもんかねぇ……ってか、やっぱダンジョンを観光地とするとか発想がマジでぶっ飛びすぎじゃねぇか?モンスターが出現する可能性もあるってのにさ。」
「た、確かにそうですが……安全面がシッカリしているのが確認されているのなら、それを利用しない手は無いと思いますよ。」
「街の安全の為のここを管理する必要もありますし、その費用を稼ぐ為ならばそれも仕方が無い事なのかもしれませんわね。」
(うーん……色々と大変そうですね。)
(ったく、神様だって言うならもうちょい人様に迷惑かけない様に気を付けてほしいもんだな。)
そんな雑談をしながらしばらく待機していると、全ての鍵を外し終えたお兄さんが扉の取っ手を握り全体重を掛けて引いて重々しい音を立てながら開き始めた。
「ふぅ……お待たせ致しました。それでは皆さん、建物の中へどうぞ。」
お兄さんの言葉に首を傾げながら皆と顔を見合わせた俺は、それがどういった意味なのか確かめる為に建物の中に足を踏み入れると……
「あれ、これってもしかして………地下に続く階段ですか?」
「はい。水神龍の宮殿はこの階段を降りた先にございます。引き続き私の後に付いて来て下さい。」
「は、はぁ……」
建物の奥にある広めの階段をお兄さんの後に続いてしばらく降りて行くと、さっき通って来た扉より一回り小さい扉が見えてきた。
「おや、また扉かい。」
「えぇ、ですがこれが最後の扉になります……皆様、心の準備はよろしいですか。」
扉に背を向けてニコっと微笑みかけてきたお兄さんと目が合った俺は、振り返って皆の顔を見回すと……改めて正面に向き直り、シッカリと頷いてみせた。
「かしこまりました。それでは、水神龍の宮殿に続く道を開かせて頂きますね。」
そう言って俺達に背を向けたお兄さんがグッと力を込めて扉を押していくと………目の前に………に……にぃ!?
(はっ、えぇっ?!)
「おやおや、これは驚いたな……」
「ど、どうなってますの……?」
「ま、まさかとは思いますけどコレ………」
「………海?」
唖然としながら見つめる扉の先には……光り輝く海面が………地面じゃ無くて目の前に存在していて…………って、なんじゃああこりゃあああ?!!!!?!!
「あ、はっ、え、どういう仕組みになってるんですか?!」
「残念ながら詳しい事は私達にも解明が出来ていません。分かっているのは、ここを通って行けば海底に沈んでいる水神龍の宮殿に行けるという事だけです。」
「マ、マジですか……」
ダンジョンに行く為には海に潜る必要があるとは思っていたけど、その第一段階がコレかよ………何て言うか、久しぶりに異世界に来た事を実感してきたなぁ……
「それでは皆様、魔石に魔力を流してエアールを装着して下さい。」
「ふふっ、いよいよか。」
「どきどきしてきた。」
「あぁ、私も胸が高鳴ってまいりましたわ!」
「うぅ、ちょっと不安ですけど………私、頑張ります!」
「……はぁ、やるしかねぇか。」
(ご主人様!ファイトです!)
マホの声援を聞きながらエアールを付けた俺は、口元にある魔石から酸素が来てる事を確認して光っている海面の前に立った。
「皆様、この光はリングの様になっていて水神龍の宮殿まで続いています。その中は水圧が一定で問題ありませんが、光の外に出ると大変危険です!絶対にこの光からは出ない様にして下さい!」
「あ、あの……もし出てしまったらどうなんですんですか?」
「最悪の場合、命を落とす危険があります。ですので、絶対に出ないで下さいね!」
「わ、分かりました!」
「それと光の輪は日没と共に消失してしまいますので、それまでにはこちらに戻って来て下さい。」
「は、はい。」
「それでは最後に海の中で意思疎通をする為に必要なハンドサインをご説明します。しっかりと覚えて下さい。」
……お兄さんから簡単なハンドサインを教わった俺達は改めて光り輝く海面の前に立つと、互いに顔を見合わせてから慎重にその中に入って行くのだった。
さぁ、待ってろよ神様……どんな試練をさせられるのかは知らないが、こうなりゃ徹底的にやってやろうじゃねぇか!そして絶対に晩飯までには帰って見せる!
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