おっさんの異世界生活は無理がある。
第251話
練習を始めてから数時間が経ち太陽が水平線の方に傾きかけて来た頃、俺とマホはシュダールの練習をしているアリシアさんとシアンに向けてエールを送っていた!
「そうです、その調子ですよアリシアさん!シアンちゃんも良い感じですよ!」
「うんうん、足元はビックリするぐらいプルプルしてるけど練習を始めたばっかりの時から考えると凄い成長っぷりだぞ!」
「ど、どうもありがとうございます……こ、これもお2人のおかげで……きゃあ!」
「あ、あうっ!」
……バランスを崩し浅瀬に倒れてしまったアリシアさんとシアンを見た後に視線を交わした俺とマホは、彼女達に近寄って行くと引き起こす為に手を差し伸べた。
「あ、ありがとうございます……」
「あぁ、どういたしまして。」
「よいしょっと!大丈夫ですか、シアンちゃん。」
「うん、ありがとうね。マホちゃん。」
最初の頃は気恥ずかしさを感じていたこの行為も、何十回も繰り返してると流石に慣れてくるわな……まぁ、今でも少しはドキッとするんですけどね!
そんな事を考えながらアリシアさんと少しだけ距離を取った直後、沖の方から満足そうに微笑んでいる2人……いや、1人と分かりやすく落ち込んでいる様子の2人がゆっくりとこっちに歩いて来ているのに気が付いた。
「あっ、皆さんお帰りなさい!」
「ただいま。それにしてもすまなかったね、アリシアさんとシアンさんの事を2人に任せっきりにしてしまって。」
「いや、俺は別に気にして無いから謝る必要は無いぞ。」
「私も特に気にしていませんわよ。リリアさんより親切に教えて頂いたので、むしろ九条さんとマホさんに任せてもらって助かったくらいですわ。」
「おや、そうなのかい?それならば良かったよ。」
爽やかな笑みのロイドと腕を組みながら不敵に笑っているアリシアさんを見ていた俺は、その後ろの方で肩を落としてうつ向いている彼女達が気になっていて……
「はぁ………まさか1勝も出来ないとは思いませんでしたわね………」
「うぅ、すみませんでしたリリアさん……私のせいで………」
「いえ……ロイド様とソフィ様の実力に遠く及ばなかった私のせいですわ……」
「……どうやら、試合の結果は聞くまでもなさそうだな。」
「うん、全勝した。」
「……おーい!そろそろ帰るぞー!」
得意げにピースサインをしているソフィを見ながら苦笑いを浮かべていたその時、浜の方から俺達を呼ぶ大きな声が聞こえてきた。
パッと振り返ってみると休憩場所に集まってるエリオさん達と警護隊の方達の姿が見えたその瞬間、俺達は互いに目を合わせると急いで皆の所に向かって行った。
「……おや、いつの間にか同行者が増えていた様だね。」
「皆様、お久しぶりでございます。」
「おっ、ペティル家の嬢ちゃん達じゃねぇか!一体どうしてここに?」
「はい、実は………」
アリシアさんがここに至るまでの経緯を丁寧に説明すると……ディオスさんが頭を抱えて見るからにショックを受けているというリアクションを取り出した?
「な、なんてこった!そんな面白そうな物を見逃していたなんて!ちくしょう!俺も遊んでみたかったぜ!」
「あぁ、でしたら明日にでもお店に寄って頂ければ私の方からお父様に……」
「いえ、僕達は明日から本格的に仕事に取り掛かられないといけませんから。」
「アリシアさん、お心遣いありがとうございます。」
「残念ですけれど、今回は諦めるしかありませんわね。」
「こ、こうなったら仕事をちゃっちゃと片付けて!」
「ディオス、相手の都合もあるのですからそういう訳にはいきませんよ。」
「うふふ、ですがお仕事を頑張れば最終日辺りに時間を作れるかもしれませんよ。」
「おっ、そう言われれば確かにそうだよな!よぉし、そんじゃあさっさと家に帰って仕事の準備に取り掛かるぞ!」
「おーっほっほっほ!それでは貴方達、急いで撤収作業に取り掛かって下さいな!」
「「「「「了解しました!」」」」」
警護隊の方達に指示を出して更衣所に向かって行ったディオスさんとアムルさんの後姿を見送っていると、不意にアリシアさんとシアンが俺達の傍からそっと離れた。
「皆様、名残惜しいですが私達もそろそろ失礼させて頂きますわね。」
「あぁ、そうか……じゃあ建物の前まで送って行こうか?日も沈んできたからな。」
「いえ、ここから数分程度しか掛かりませんのに送って頂く訳にはいきませんわ。」
「それに今ならまだ人通りが多いですから、心配をしなくても大丈夫ですよ。」
「うーん………そう言われると何ともな………」
「それでは、私達はこれで……」
「あっ、ちょっと待ってくれるかいアリシアさん。食事の予定に関してまだ詰めてはいなかったよね。」
「……そう言えばそうでしたわね。」
「うっかりしてました!……でも、どうしましょうか?私達の予定もそこまで細かく決まっている訳では無いですし……」
「それならば2人の予定が決まり次第、私達に教えてくれれば良いよ。こちらは特に予定を決めて行動している訳では無いからね。」
「明日の予定すら決まってない状況だからな。」
「ふふっ、そんな訳だから何時でも大丈夫だよ。」
「……それでは予定が決まりましたら、ロイドさんのお宅にご報告をさせますわ。」
「分かった。その日が来るのを楽しみに待っているよ。」
その後、ロイドから別荘の住所を聞いたアリシアさんはシアンと手を繋いで俺達の目の前から去って行った。
「……さてと、そんじゃあ俺達も着替えて帰るとするか。」
「そうですね!もうお腹がペコペコです!」
「はっはっは、どうやら充実した1日を送っていた様ですね。」
「えぇ、おかげ様で。」
「……ねむい………」
「おや、どうやらソフィも体力の限界がきたようだね。」
「そりゃあんだけ暴れ回ってればそうなるだろ……」
「うふふ、それじゃあ着替えを済ませて帰りましょうか。」
「はい!」
元気よく返事をしたマホの声を聞いた後に更衣所に向かった俺達は、ちゃっちゃと着替えを済ませると馬車に乗り込んで別荘へと戻って行くのだった。
「………あっ。」
馬車に揺られている時にハッと気が付いたのだが………俺、海で日焼け止めを塗るというド定番をイベントをやってねぇんですけど!?ふざけんなよ!!戦闘に関するお約束は嫌ってぐらい経験してるのに、どうしてそっち関連のイベントが発生しないんだよ!ちきしょう!バグってんのかこの世界のフラグはよぉ!!?!!?
「おじさん?窓の外を見ながらボーっとしてどうかしたんですか?」
「は……はは………ちょっと………疲れちまってな………」
渇いた笑いを出しながら背もたれに全体重を預けて脱力した俺は、そのまま静かに目を閉じると意識をそっと手放すのだった………
「そうです、その調子ですよアリシアさん!シアンちゃんも良い感じですよ!」
「うんうん、足元はビックリするぐらいプルプルしてるけど練習を始めたばっかりの時から考えると凄い成長っぷりだぞ!」
「ど、どうもありがとうございます……こ、これもお2人のおかげで……きゃあ!」
「あ、あうっ!」
……バランスを崩し浅瀬に倒れてしまったアリシアさんとシアンを見た後に視線を交わした俺とマホは、彼女達に近寄って行くと引き起こす為に手を差し伸べた。
「あ、ありがとうございます……」
「あぁ、どういたしまして。」
「よいしょっと!大丈夫ですか、シアンちゃん。」
「うん、ありがとうね。マホちゃん。」
最初の頃は気恥ずかしさを感じていたこの行為も、何十回も繰り返してると流石に慣れてくるわな……まぁ、今でも少しはドキッとするんですけどね!
そんな事を考えながらアリシアさんと少しだけ距離を取った直後、沖の方から満足そうに微笑んでいる2人……いや、1人と分かりやすく落ち込んでいる様子の2人がゆっくりとこっちに歩いて来ているのに気が付いた。
「あっ、皆さんお帰りなさい!」
「ただいま。それにしてもすまなかったね、アリシアさんとシアンさんの事を2人に任せっきりにしてしまって。」
「いや、俺は別に気にして無いから謝る必要は無いぞ。」
「私も特に気にしていませんわよ。リリアさんより親切に教えて頂いたので、むしろ九条さんとマホさんに任せてもらって助かったくらいですわ。」
「おや、そうなのかい?それならば良かったよ。」
爽やかな笑みのロイドと腕を組みながら不敵に笑っているアリシアさんを見ていた俺は、その後ろの方で肩を落としてうつ向いている彼女達が気になっていて……
「はぁ………まさか1勝も出来ないとは思いませんでしたわね………」
「うぅ、すみませんでしたリリアさん……私のせいで………」
「いえ……ロイド様とソフィ様の実力に遠く及ばなかった私のせいですわ……」
「……どうやら、試合の結果は聞くまでもなさそうだな。」
「うん、全勝した。」
「……おーい!そろそろ帰るぞー!」
得意げにピースサインをしているソフィを見ながら苦笑いを浮かべていたその時、浜の方から俺達を呼ぶ大きな声が聞こえてきた。
パッと振り返ってみると休憩場所に集まってるエリオさん達と警護隊の方達の姿が見えたその瞬間、俺達は互いに目を合わせると急いで皆の所に向かって行った。
「……おや、いつの間にか同行者が増えていた様だね。」
「皆様、お久しぶりでございます。」
「おっ、ペティル家の嬢ちゃん達じゃねぇか!一体どうしてここに?」
「はい、実は………」
アリシアさんがここに至るまでの経緯を丁寧に説明すると……ディオスさんが頭を抱えて見るからにショックを受けているというリアクションを取り出した?
「な、なんてこった!そんな面白そうな物を見逃していたなんて!ちくしょう!俺も遊んでみたかったぜ!」
「あぁ、でしたら明日にでもお店に寄って頂ければ私の方からお父様に……」
「いえ、僕達は明日から本格的に仕事に取り掛かられないといけませんから。」
「アリシアさん、お心遣いありがとうございます。」
「残念ですけれど、今回は諦めるしかありませんわね。」
「こ、こうなったら仕事をちゃっちゃと片付けて!」
「ディオス、相手の都合もあるのですからそういう訳にはいきませんよ。」
「うふふ、ですがお仕事を頑張れば最終日辺りに時間を作れるかもしれませんよ。」
「おっ、そう言われれば確かにそうだよな!よぉし、そんじゃあさっさと家に帰って仕事の準備に取り掛かるぞ!」
「おーっほっほっほ!それでは貴方達、急いで撤収作業に取り掛かって下さいな!」
「「「「「了解しました!」」」」」
警護隊の方達に指示を出して更衣所に向かって行ったディオスさんとアムルさんの後姿を見送っていると、不意にアリシアさんとシアンが俺達の傍からそっと離れた。
「皆様、名残惜しいですが私達もそろそろ失礼させて頂きますわね。」
「あぁ、そうか……じゃあ建物の前まで送って行こうか?日も沈んできたからな。」
「いえ、ここから数分程度しか掛かりませんのに送って頂く訳にはいきませんわ。」
「それに今ならまだ人通りが多いですから、心配をしなくても大丈夫ですよ。」
「うーん………そう言われると何ともな………」
「それでは、私達はこれで……」
「あっ、ちょっと待ってくれるかいアリシアさん。食事の予定に関してまだ詰めてはいなかったよね。」
「……そう言えばそうでしたわね。」
「うっかりしてました!……でも、どうしましょうか?私達の予定もそこまで細かく決まっている訳では無いですし……」
「それならば2人の予定が決まり次第、私達に教えてくれれば良いよ。こちらは特に予定を決めて行動している訳では無いからね。」
「明日の予定すら決まってない状況だからな。」
「ふふっ、そんな訳だから何時でも大丈夫だよ。」
「……それでは予定が決まりましたら、ロイドさんのお宅にご報告をさせますわ。」
「分かった。その日が来るのを楽しみに待っているよ。」
その後、ロイドから別荘の住所を聞いたアリシアさんはシアンと手を繋いで俺達の目の前から去って行った。
「……さてと、そんじゃあ俺達も着替えて帰るとするか。」
「そうですね!もうお腹がペコペコです!」
「はっはっは、どうやら充実した1日を送っていた様ですね。」
「えぇ、おかげ様で。」
「……ねむい………」
「おや、どうやらソフィも体力の限界がきたようだね。」
「そりゃあんだけ暴れ回ってればそうなるだろ……」
「うふふ、それじゃあ着替えを済ませて帰りましょうか。」
「はい!」
元気よく返事をしたマホの声を聞いた後に更衣所に向かった俺達は、ちゃっちゃと着替えを済ませると馬車に乗り込んで別荘へと戻って行くのだった。
「………あっ。」
馬車に揺られている時にハッと気が付いたのだが………俺、海で日焼け止めを塗るというド定番をイベントをやってねぇんですけど!?ふざけんなよ!!戦闘に関するお約束は嫌ってぐらい経験してるのに、どうしてそっち関連のイベントが発生しないんだよ!ちきしょう!バグってんのかこの世界のフラグはよぉ!!?!!?
「おじさん?窓の外を見ながらボーっとしてどうかしたんですか?」
「は……はは………ちょっと………疲れちまってな………」
渇いた笑いを出しながら背もたれに全体重を預けて脱力した俺は、そのまま静かに目を閉じると意識をそっと手放すのだった………
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