おっさんの異世界生活は無理がある。
第243話
「はぁ……しんどすぎる………マジで疲れた………」
「ちょっとおじさん、まだ遊び始めてから2時間ぐらいしか経ってませんよ。」
「あのなぁ……そんだけ遊んでたら流石に疲れるっての………」
「そんな事はありませんって!ほら、他の皆さんはまだ遊んでるじゃないですか!」
「……いや、あれはもう遊んでるの範疇じゃないだろうが。」
椅子の背もたれに体を預けてグッタリとしながら海の方に目を向けると、そこには大勢のギャラリーに応援されながら激しく撃ち合っている美少女達の姿が………
「リリア!ライル!その程度の動きで私達を捕らえようだなんて甘いな!ソフィ!」
「了解、この試合も勝ってみせる。」
「くっ!ライルさん!」
「は、はい!」
「おぉ!こりゃマジですげぇぞ!」
「頑張ってー!ほら、そこの子!銀髪の子が狙ってるわよ!」
「金髪のねーちゃんも撃ちまくれー!」
「えへへ!何だか凄く盛り上がってますね!」
「……って言うか、どんだけガチになってんだよって感じだけどな。」
最初はもうちょい軽い感じで遊んでたんだが、ロイドが試合形式にして負けた方が勝者の言う事を何でも聞く事にしようじゃないかとか提案したせいであんな事に……
「まぁまぁ、おじさんは試合が本格的になる前に抜け出して来たじゃないですか。」
「……それもあるが、あいつ等と一緒に遊んでいると世間の目が怖いんだよ。あんなおっさんがどうして?的な感じで見られてたからな。」
「それは、ほら!親御さんだとかって言い訳すれば良いじゃないですか!」
「……そんな面倒な事をしたくないから、逃げ出してきたんだっての。」
マホとそんなやり取りをしていると急に海辺の方から歓声と拍手が聞こえてきた。何事かと思ってそっちを見てみると………ふーん、どうやら決着がついたらしいな。
「赤髪の女の子、もう少しで勝てたのに惜しかったわね!」
「そうだな!だけどよくやった!最高だったよ!」
「緑髪の女の子もサポートが上手だったぜ!」
「金髪のおねーさんと銀髪の子!あなた達、とっても格好良かったわよ!」
称賛の声と拍手を耳にして少しだけ驚いた様な表情を浮かべたソフィ以外の皆は、互いの顔を見合わせた後に目の前にいる人達に向かって優雅にお辞儀をしていた。
「どうやらロイドとソフィのチームが勝ったらしいな。」
「そうですね!………あれ?何か聞こえませんか?」
「え?……あぁ、あのスピーカーからじゃないか。」
そう言って少し離れた場所に設置されていたスピーカーを指差した瞬間、そこからピンポンパンポーン……という聞きなれた音が聞こえてきた。
『海にお越しになっている皆様にご報告致します。そろそろ12時となりますので、昼食を食べてご休憩をなさる事をご推奨します。他にもこまめな水分補給等もお忘れなき様にお願い申し上げます。』
スピーカーから聞こえてきた女性の声が一体に響き渡った直後、集まってた人達がざわざわと話し始めて口々に感謝の言葉を述べながら散り散りになっていった。
「……ふぅ、もうそんな時間になってたのか。」
「そうみたいですね!その証拠に、さっきからお腹が鳴りっぱなしです!」
腹を両手で抑えながら微笑んでいる目を合わせていると、砂浜を歩く複数の足音が近づいて来ているのに気が付いたので………そっちに……視線を………
「ただいま、待たせてしまったかな?」
「いえ!大丈夫です!」
「ふふっ、それなら良かった。」
「はぁ、はぁ!水に濡れた髪を手で軽く払いながら微笑むロイド様!す、素敵すぎてシャッターを押す指が止まりませんわ!」
「な、何だか胸がドキドキしちゃいます……!」
「………おなかすいた。」
「あれだけ動いていたからね、私も同じだよ。」
……どうしよう、もしかして今日が俺の命日なのかしら?だって目の前に水着姿の美少女達がびしょ濡れの状態で立ってるんだぞ?もうなんか……死ぬんじゃねぇか?
「さてと、それじゃあお昼ご飯をどうしましょうって……おじさん?聞いてます?」
「………マホ、ちょっと俺の頬を思いっきり抓ってくれないか?」
「はい?どうしてですか?」
「その……何て言うかっていててててて!ちょ、まだ話をしてる途中でしょうが!」
「いや、やるなら早い方が良いかなって……それでどうですか?満足ですか?」
「ぐっ、おかげ様でなっ!……それで昼飯だっけか?だったら海の家で買って来れば良いんじゃねぇのか?何と言っても海に来てるからな!」
「ふむ、確かにそうだね。折角なら食べてみないかな。皆もそれで良いかい?」
「も、勿論ですわ!ロイド様の言う事に反論なんてございません!」
「わ、私もそれで大丈夫です!」
「……何でも良いから早く食べたい。」
「それじゃあ満場一致という事で、海の家に行きましょうか!」
「あ、いや、それはちょっとマズいんじゃないか?さっきの盛り上がりっぷりだと、落ち着いて飯を食えないだろ?」
「あーそう言われれば……じゃあ、お昼ご飯はどうするんですか?」
「まぁ、普通に飯を買って来てここで食えば良いんじゃないか?そうすりゃ人の目を気にする必要も無いからな。」
「なるほどね……それならば、誰が買いに行くのか決めないといけないね。大人数で押しかけてしまえば海の家で食べるという状況から変わらないからね。」
「それもそうですね!では、誰が買いに行くかですけど………」
「私は行かない、動かない、おなかすいた。」
「私もさっきので体力が残ってないかな。」
「ロイド様がそう仰るのなら私もですわ!」
「お、同じくです!」
「…………おいコラ、全員揃ってこっちを見んじゃねぇよ。俺だって体力がほぼ空になってんだよ……あぁもう!こうなったらじゃんけんで決めんぞ!ほら!」
向けられた視線をシッシッと追い払いながら手を握り締めた俺は、有無を言わさずじゃんけんをしたのだが………
「う、嘘だろ……?」
「おじさん……こういう時に限っては本当に運が悪いですよね。」
「ふふっ、まさか一発で一人負けしてしまうとはね。」
「……弱いね。」
「おーっほっほっほ!それでは九条様!お願い致しますわね!」
「あ、あの……いってらっしゃいです。」
「はぁ………分かったよ、特に食えない物とかは無いよな?」
問いかけに皆が頷いたのを見て後頭部をガシガシと掻きながら立ち上がった俺は、防水ケースにスマホと金が入っているのを確認して……
「あっ、おじさんだけだと全員分の食事を運ぶのは大変だと思いますから私も一緒に行きますね!」
「あぁ、そんじゃ頼んだってなんで手を繋ぐんだよ?!」
「えへへ!良いじゃないですか別に!さぁ、レッツゴーです!」
「うおっ!ちょ、引っ張んなって!いや、どんだけ元気なんだよ!?」
「いってらっしゃーい。」
マホに手を引かれながらロイドの声を聞いていた俺は誰かに通報されたりしないか心配になりながら、海の家に向かって行くのだった。
「ちょっとおじさん、まだ遊び始めてから2時間ぐらいしか経ってませんよ。」
「あのなぁ……そんだけ遊んでたら流石に疲れるっての………」
「そんな事はありませんって!ほら、他の皆さんはまだ遊んでるじゃないですか!」
「……いや、あれはもう遊んでるの範疇じゃないだろうが。」
椅子の背もたれに体を預けてグッタリとしながら海の方に目を向けると、そこには大勢のギャラリーに応援されながら激しく撃ち合っている美少女達の姿が………
「リリア!ライル!その程度の動きで私達を捕らえようだなんて甘いな!ソフィ!」
「了解、この試合も勝ってみせる。」
「くっ!ライルさん!」
「は、はい!」
「おぉ!こりゃマジですげぇぞ!」
「頑張ってー!ほら、そこの子!銀髪の子が狙ってるわよ!」
「金髪のねーちゃんも撃ちまくれー!」
「えへへ!何だか凄く盛り上がってますね!」
「……って言うか、どんだけガチになってんだよって感じだけどな。」
最初はもうちょい軽い感じで遊んでたんだが、ロイドが試合形式にして負けた方が勝者の言う事を何でも聞く事にしようじゃないかとか提案したせいであんな事に……
「まぁまぁ、おじさんは試合が本格的になる前に抜け出して来たじゃないですか。」
「……それもあるが、あいつ等と一緒に遊んでいると世間の目が怖いんだよ。あんなおっさんがどうして?的な感じで見られてたからな。」
「それは、ほら!親御さんだとかって言い訳すれば良いじゃないですか!」
「……そんな面倒な事をしたくないから、逃げ出してきたんだっての。」
マホとそんなやり取りをしていると急に海辺の方から歓声と拍手が聞こえてきた。何事かと思ってそっちを見てみると………ふーん、どうやら決着がついたらしいな。
「赤髪の女の子、もう少しで勝てたのに惜しかったわね!」
「そうだな!だけどよくやった!最高だったよ!」
「緑髪の女の子もサポートが上手だったぜ!」
「金髪のおねーさんと銀髪の子!あなた達、とっても格好良かったわよ!」
称賛の声と拍手を耳にして少しだけ驚いた様な表情を浮かべたソフィ以外の皆は、互いの顔を見合わせた後に目の前にいる人達に向かって優雅にお辞儀をしていた。
「どうやらロイドとソフィのチームが勝ったらしいな。」
「そうですね!………あれ?何か聞こえませんか?」
「え?……あぁ、あのスピーカーからじゃないか。」
そう言って少し離れた場所に設置されていたスピーカーを指差した瞬間、そこからピンポンパンポーン……という聞きなれた音が聞こえてきた。
『海にお越しになっている皆様にご報告致します。そろそろ12時となりますので、昼食を食べてご休憩をなさる事をご推奨します。他にもこまめな水分補給等もお忘れなき様にお願い申し上げます。』
スピーカーから聞こえてきた女性の声が一体に響き渡った直後、集まってた人達がざわざわと話し始めて口々に感謝の言葉を述べながら散り散りになっていった。
「……ふぅ、もうそんな時間になってたのか。」
「そうみたいですね!その証拠に、さっきからお腹が鳴りっぱなしです!」
腹を両手で抑えながら微笑んでいる目を合わせていると、砂浜を歩く複数の足音が近づいて来ているのに気が付いたので………そっちに……視線を………
「ただいま、待たせてしまったかな?」
「いえ!大丈夫です!」
「ふふっ、それなら良かった。」
「はぁ、はぁ!水に濡れた髪を手で軽く払いながら微笑むロイド様!す、素敵すぎてシャッターを押す指が止まりませんわ!」
「な、何だか胸がドキドキしちゃいます……!」
「………おなかすいた。」
「あれだけ動いていたからね、私も同じだよ。」
……どうしよう、もしかして今日が俺の命日なのかしら?だって目の前に水着姿の美少女達がびしょ濡れの状態で立ってるんだぞ?もうなんか……死ぬんじゃねぇか?
「さてと、それじゃあお昼ご飯をどうしましょうって……おじさん?聞いてます?」
「………マホ、ちょっと俺の頬を思いっきり抓ってくれないか?」
「はい?どうしてですか?」
「その……何て言うかっていててててて!ちょ、まだ話をしてる途中でしょうが!」
「いや、やるなら早い方が良いかなって……それでどうですか?満足ですか?」
「ぐっ、おかげ様でなっ!……それで昼飯だっけか?だったら海の家で買って来れば良いんじゃねぇのか?何と言っても海に来てるからな!」
「ふむ、確かにそうだね。折角なら食べてみないかな。皆もそれで良いかい?」
「も、勿論ですわ!ロイド様の言う事に反論なんてございません!」
「わ、私もそれで大丈夫です!」
「……何でも良いから早く食べたい。」
「それじゃあ満場一致という事で、海の家に行きましょうか!」
「あ、いや、それはちょっとマズいんじゃないか?さっきの盛り上がりっぷりだと、落ち着いて飯を食えないだろ?」
「あーそう言われれば……じゃあ、お昼ご飯はどうするんですか?」
「まぁ、普通に飯を買って来てここで食えば良いんじゃないか?そうすりゃ人の目を気にする必要も無いからな。」
「なるほどね……それならば、誰が買いに行くのか決めないといけないね。大人数で押しかけてしまえば海の家で食べるという状況から変わらないからね。」
「それもそうですね!では、誰が買いに行くかですけど………」
「私は行かない、動かない、おなかすいた。」
「私もさっきので体力が残ってないかな。」
「ロイド様がそう仰るのなら私もですわ!」
「お、同じくです!」
「…………おいコラ、全員揃ってこっちを見んじゃねぇよ。俺だって体力がほぼ空になってんだよ……あぁもう!こうなったらじゃんけんで決めんぞ!ほら!」
向けられた視線をシッシッと追い払いながら手を握り締めた俺は、有無を言わさずじゃんけんをしたのだが………
「う、嘘だろ……?」
「おじさん……こういう時に限っては本当に運が悪いですよね。」
「ふふっ、まさか一発で一人負けしてしまうとはね。」
「……弱いね。」
「おーっほっほっほ!それでは九条様!お願い致しますわね!」
「あ、あの……いってらっしゃいです。」
「はぁ………分かったよ、特に食えない物とかは無いよな?」
問いかけに皆が頷いたのを見て後頭部をガシガシと掻きながら立ち上がった俺は、防水ケースにスマホと金が入っているのを確認して……
「あっ、おじさんだけだと全員分の食事を運ぶのは大変だと思いますから私も一緒に行きますね!」
「あぁ、そんじゃ頼んだってなんで手を繋ぐんだよ?!」
「えへへ!良いじゃないですか別に!さぁ、レッツゴーです!」
「うおっ!ちょ、引っ張んなって!いや、どんだけ元気なんだよ!?」
「いってらっしゃーい。」
マホに手を引かれながらロイドの声を聞いていた俺は誰かに通報されたりしないか心配になりながら、海の家に向かって行くのだった。
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