おっさんの異世界生活は無理がある。
第226話
「うぉっとっとっと………あーマジで怖かったぁ………」
魔法で着地の衝撃を最小限に抑えられたけど、やっぱ何も見えない地面に向かって降りる……ってか、落ちるのは心臓に悪すぎるぞ!
「……さてと、ここまで来ちまったらもう後には引けないよな。」
あっ、それより部屋の様子は……うん、明かりは点いてないし月が雲で隠れているせいで良く見えないが微妙に開けてある窓の状態も変わってないな。
……そのせいで虫が入るかもしれないって気掛かりもあるけど、それは帰った時に対処すれば大丈夫だよな!………皆、もしもの時はマジで申し訳ない!
目を閉じながら心の中で皆に向かって謝罪をした俺は、軽く息を吐き出すと武器の持ち手を強く握り畑に向かって歩き出した。
「おやおや、こんな夜更けにどちらへ行かれるんですか?」
「っ?!だ、誰だ?!」
突然聞こえてきた声の方を反射的に振り返ってみると、3つの人影が視界に入ってきた!?それを見て驚き戸惑っていると、その内の1人がこっちに歩いて来た?!
「おいおい、さっきまで一緒に晩飯を食ってた仲なのにそりゃねぇぜ九条さん!」
「……は?」
「すみません九条さん、驚かせてしまいましたよね。」
「あ……え……ちょ、ちょっと待って下さい!もしかして……貴方達は……!?」
「はっはっは、さっきぶりですね………九条さん。」
人影がこっちに近寄って来るのと同時に戻った月明かりが目の前にいる人達の姿を照らしたんだが………いやいや、まさか冗談だろ?!
「み、皆さん?!こんな所で何をしてるんですか!?」
「九条さん、申し訳ありませんがもう少しだけ声を抑えては貰えませんか。皆さんが起きてしまいますからね。」
「あ、す、すみません……」
シーっというポーズを取っているファーレスさんにそう言われ慌てて声のトーンを落とした俺は、何故か目の前にいるエリオさん、ディオスさんの方にも目を向けた。
「それにしても、本当にエリオの読み通りだったな。」
「はっはっは、私はただ九条さんの事を信じていただけですよ。彼は必ず何かしらの行動を起こすとね。」
「は、え?」
「2人共、九条さんが困惑しているよ。」
「おっ、悪い悪い。こっちだけで盛り上がっちまってたな。」
「い、いや……はぁ………」
「さて、ここに居ると警備隊に勘づかれる恐れがありますから少し移動しましょう。詳しい事情はそこでお話し致します。」
「あ、お、お願います。」
互いに顔を見合わせてから小さく頷き移動を始めたエリオさん達の後を何が起きているのか分からないまま追って行くと、空き家らしき所の裏辺りで立ち止まった。
「ここまで来れば大丈夫でしょう。」
「えぇ、それと周囲に人の気配も感じませんからね。」
「まぁこんな夜中に出歩いている奴らなんて、俺らと村の巡回を任せた警備隊の連中ぐらいだからな!がっはっはっは!」
「ディオス、君の笑い声は良く通るんですからもう少し静かに。」
「あ、あの!お話し中にすみませんが、色々と聞かせて貰っても良いですか?」
「はっはっは、構いませんよ……そう言いたい所なのですが、私達の目的は九条さんの目的と同じだと思いますよ。」
「同じ?………え、それってまさか………」
「そうです。私達は、この村の畑を荒らした犯人を見つけ出そうとしています。」
「なっ?!どうしてそんな事を?!」
「がっはっは、俺の家族とその友達の為に決まってるじゃねぇか!」
「それと当たり前の事ですが、この村の人達の為ですよ。」
「い、いやでも!それは後で何とかするって話だったじゃないですか!」
「あぁ、それはカレンやロイドを騙す為の嘘ですよ。」
「う、うそ……?」
「えぇ、あの場でそう言っておかないとロイドが無茶をしてしまう可能性がありますからね。九条さんも、そうお考えではありませんか?」
「ま、まぁ……確かにそれは強く否定出来ませんけど……でもだからって、どうして皆さんがここに居るんですか!」
「それはさっきも言ったろ?畑を荒らす犯人を見つけ出す為だってさ。」
「それは聞きましたけど、だったら警備隊の方達に任せたら良いじゃないですか!」
「いえ、彼らにはこの村と家族を護ってもらう必要がありますから。」
「じゃあ犯人探しは諦めるべきじゃないですか!」
「がっはっは!そんな事をしたらあいつ等から笑顔を奪っちまう事になるだろうが。九条さんもそう思ったから、俺達と一緒にここに居るんじゃねぇのか?」
「そ、それは………」
「九条さん、私達も貴方と同じ様の彼女達の事を思っているんです。だからこうしてここに集まっているんですよ。」
「………」
ニヤッと笑うディオスさんと優しく微笑むファーレスさんと目が合い言葉を失った俺は、その隣で真剣な眼差しを向けて来るエリオさんの事を見た。
「九条さん、貴方が言いたい事も分かります。立場ある人間がこの様に軽率な行動を取るべきではない事も自覚しています。ですが貴族として、何よりも父親として娘の笑顔を護る為に動きたいんです。ご理解して貰えませんか?」
「…………はぁ…………」
メチャクチャ大きなため息を吐き出しながらうつ向いて顔を両手で覆った俺は、少しだけその状態のまま過ごしてから頭をガシガシと掻いてエリオさんに視線を向けた。
「……そんな事を言われたら、俺にどうこう言える権利なんてありませんよ。」
「……ふふっ、九条さんならそう言って下さると思いましたよ。」
俺の答えを聞いて満足そうに笑みを浮かべたエリオさんは、すぐにディオスさんとファーレスさんの方に向き直った。
「これから畑を荒らしている犯人の痕跡を探しに行きます。見つけたらすぐに追跡を開始しますが、装備等の準備は万全ですね?」
「おうっ!バッチリだぜ!」
「いつでも行けますよ。」
「俺も問題ないです。」
「分かりました。では見回りをしている警備隊や村の人達に気づかれない様に注意をしながら畑まで向かいますよ。」
そう言って畑に向かって歩き出したエリオさん、ディオスさん、ファーレスさんの後ろ姿を見つめながらついて行く俺の心の中には、ある不安が芽生え始めていた。
……このサブイベント、本当に大丈夫なんだよな?さっきまでは俺だけだと思ってたから大した事はないだろうって考えてたんたが、大物貴族が3人も一緒に行く事になっちまったんですけど………ねぇ、これマジでどうなっちゃうの?!
魔法で着地の衝撃を最小限に抑えられたけど、やっぱ何も見えない地面に向かって降りる……ってか、落ちるのは心臓に悪すぎるぞ!
「……さてと、ここまで来ちまったらもう後には引けないよな。」
あっ、それより部屋の様子は……うん、明かりは点いてないし月が雲で隠れているせいで良く見えないが微妙に開けてある窓の状態も変わってないな。
……そのせいで虫が入るかもしれないって気掛かりもあるけど、それは帰った時に対処すれば大丈夫だよな!………皆、もしもの時はマジで申し訳ない!
目を閉じながら心の中で皆に向かって謝罪をした俺は、軽く息を吐き出すと武器の持ち手を強く握り畑に向かって歩き出した。
「おやおや、こんな夜更けにどちらへ行かれるんですか?」
「っ?!だ、誰だ?!」
突然聞こえてきた声の方を反射的に振り返ってみると、3つの人影が視界に入ってきた!?それを見て驚き戸惑っていると、その内の1人がこっちに歩いて来た?!
「おいおい、さっきまで一緒に晩飯を食ってた仲なのにそりゃねぇぜ九条さん!」
「……は?」
「すみません九条さん、驚かせてしまいましたよね。」
「あ……え……ちょ、ちょっと待って下さい!もしかして……貴方達は……!?」
「はっはっは、さっきぶりですね………九条さん。」
人影がこっちに近寄って来るのと同時に戻った月明かりが目の前にいる人達の姿を照らしたんだが………いやいや、まさか冗談だろ?!
「み、皆さん?!こんな所で何をしてるんですか!?」
「九条さん、申し訳ありませんがもう少しだけ声を抑えては貰えませんか。皆さんが起きてしまいますからね。」
「あ、す、すみません……」
シーっというポーズを取っているファーレスさんにそう言われ慌てて声のトーンを落とした俺は、何故か目の前にいるエリオさん、ディオスさんの方にも目を向けた。
「それにしても、本当にエリオの読み通りだったな。」
「はっはっは、私はただ九条さんの事を信じていただけですよ。彼は必ず何かしらの行動を起こすとね。」
「は、え?」
「2人共、九条さんが困惑しているよ。」
「おっ、悪い悪い。こっちだけで盛り上がっちまってたな。」
「い、いや……はぁ………」
「さて、ここに居ると警備隊に勘づかれる恐れがありますから少し移動しましょう。詳しい事情はそこでお話し致します。」
「あ、お、お願います。」
互いに顔を見合わせてから小さく頷き移動を始めたエリオさん達の後を何が起きているのか分からないまま追って行くと、空き家らしき所の裏辺りで立ち止まった。
「ここまで来れば大丈夫でしょう。」
「えぇ、それと周囲に人の気配も感じませんからね。」
「まぁこんな夜中に出歩いている奴らなんて、俺らと村の巡回を任せた警備隊の連中ぐらいだからな!がっはっはっは!」
「ディオス、君の笑い声は良く通るんですからもう少し静かに。」
「あ、あの!お話し中にすみませんが、色々と聞かせて貰っても良いですか?」
「はっはっは、構いませんよ……そう言いたい所なのですが、私達の目的は九条さんの目的と同じだと思いますよ。」
「同じ?………え、それってまさか………」
「そうです。私達は、この村の畑を荒らした犯人を見つけ出そうとしています。」
「なっ?!どうしてそんな事を?!」
「がっはっは、俺の家族とその友達の為に決まってるじゃねぇか!」
「それと当たり前の事ですが、この村の人達の為ですよ。」
「い、いやでも!それは後で何とかするって話だったじゃないですか!」
「あぁ、それはカレンやロイドを騙す為の嘘ですよ。」
「う、うそ……?」
「えぇ、あの場でそう言っておかないとロイドが無茶をしてしまう可能性がありますからね。九条さんも、そうお考えではありませんか?」
「ま、まぁ……確かにそれは強く否定出来ませんけど……でもだからって、どうして皆さんがここに居るんですか!」
「それはさっきも言ったろ?畑を荒らす犯人を見つけ出す為だってさ。」
「それは聞きましたけど、だったら警備隊の方達に任せたら良いじゃないですか!」
「いえ、彼らにはこの村と家族を護ってもらう必要がありますから。」
「じゃあ犯人探しは諦めるべきじゃないですか!」
「がっはっは!そんな事をしたらあいつ等から笑顔を奪っちまう事になるだろうが。九条さんもそう思ったから、俺達と一緒にここに居るんじゃねぇのか?」
「そ、それは………」
「九条さん、私達も貴方と同じ様の彼女達の事を思っているんです。だからこうしてここに集まっているんですよ。」
「………」
ニヤッと笑うディオスさんと優しく微笑むファーレスさんと目が合い言葉を失った俺は、その隣で真剣な眼差しを向けて来るエリオさんの事を見た。
「九条さん、貴方が言いたい事も分かります。立場ある人間がこの様に軽率な行動を取るべきではない事も自覚しています。ですが貴族として、何よりも父親として娘の笑顔を護る為に動きたいんです。ご理解して貰えませんか?」
「…………はぁ…………」
メチャクチャ大きなため息を吐き出しながらうつ向いて顔を両手で覆った俺は、少しだけその状態のまま過ごしてから頭をガシガシと掻いてエリオさんに視線を向けた。
「……そんな事を言われたら、俺にどうこう言える権利なんてありませんよ。」
「……ふふっ、九条さんならそう言って下さると思いましたよ。」
俺の答えを聞いて満足そうに笑みを浮かべたエリオさんは、すぐにディオスさんとファーレスさんの方に向き直った。
「これから畑を荒らしている犯人の痕跡を探しに行きます。見つけたらすぐに追跡を開始しますが、装備等の準備は万全ですね?」
「おうっ!バッチリだぜ!」
「いつでも行けますよ。」
「俺も問題ないです。」
「分かりました。では見回りをしている警備隊や村の人達に気づかれない様に注意をしながら畑まで向かいますよ。」
そう言って畑に向かって歩き出したエリオさん、ディオスさん、ファーレスさんの後ろ姿を見つめながらついて行く俺の心の中には、ある不安が芽生え始めていた。
……このサブイベント、本当に大丈夫なんだよな?さっきまでは俺だけだと思ってたから大した事はないだろうって考えてたんたが、大物貴族が3人も一緒に行く事になっちまったんですけど………ねぇ、これマジでどうなっちゃうの?!
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