おっさんの異世界生活は無理がある。
第195話
訓練所や斡旋所、本屋、雑貨屋、アンティーク店、服屋といった様々な場所を巡り情報を集め回った俺達は、陽が暮れる前に家に戻るとその情報を元にして更なる考察をする事にした………うん、別に遊び歩いていた訳ではない!………はずだっ!
「よしっ、それじゃあ手に入れた情報を使って………って言いたい所だったけどさ、別にこれといって大した情報が無いんだよなぁ。」
「そうですね。色々と調べて分かった事と言えば、ダンジョンの周囲に縄張りを持つ昆虫系モンスターが3種類しかいないって事ぐらいですもんね。」
「あぁ……でもまぁモンスターの種類を特定するって当初の目的は達成した事だし、一応はこれで良しとしておくか。」
「ふふっ、それじゃあ次は判明したモンスターの特徴をおさらいしてみようか。」
「特徴ねぇ……確か見た目がクモとガとカマキリに似てるんだっけか?」
「大きさと強さは全然違う。」
「うふふ、そう言えばソフィさんは何度か討伐した事があるんですよね。」
「うん。パパと一緒に戦った事がある。」
「……何と言うか、お前の親父さんも変わった人だよなぁ。自分の娘と一緒にそんな気持ち悪いモンスターと戦うなんてさ。」
「社会勉強。」
「いや、森の中で凶暴な昆虫と戦った所で社会は勉強出来ないっての……まぁそれは置いといて、とりあえず見た目がクモに似てる奴の特徴から聞かせてくれるか。」
「分かった。クモのモンスターの特徴は集団で襲ってくるところ。」
「集団って……大体どの程度の数なんだ?」
「多分20から30匹ぐらい。」
「に、にじゅっ!?」
ちょ、ちょっと待ってくれよ!確か昆虫系モンスターって全長が1メートルぐらいあるって話だったよな?そんなのが2,30匹も襲ってくるのか?!……‥うわっ、想像しただけで鳥肌もんじゃねぇか。
「ソフィ、確かクモのモンスターには群れを率いる女王グモが存在しているらしいがそれは本当なのかい?」
「……分からない。」
「え、どうしてですか?」
「女王グモは私にはまだ危険だからってパパがすぐに倒して納品しちゃった。だから私は見てない。」
「倒された女王グモの姿も見てないのですか?」
「うん。見れなかった。」
「ふふっ、そうむくれる事は無いさ。もしかしたらあのダンジョンの奥に女王グモが潜んでいるかもしれないからね。」
「………!」
「……そんなキラキラした目でこっちを見るんじゃない。それより他にモンスターの特徴は思いつかないか?」
「……特に無い。」
「そうか……まぁ調べた結果もそれ以上の事は分からなかったからな。じゃあ次は、ガに似ているのモンスターに関する特徴を教えてくれ。」
「ガのモンスターは羽ばたくと鱗粉が飛んで来る。」
「うぇ……そんなの絶対に触りたくないですね……」
「同感だな……それにその鱗粉、少しでも吸い込んだら色々ヤバいんだろ?」
「うん。鱗粉には毒素が含まれてるから吸い込むのはお勧めしない。」
「モンスターによって効果は様々らしいけど、あのダンジョンの周辺に生息しているガのモンスターの鱗粉は体を麻痺させる物らしいね。」
「うふふ、動けなくした対象を栄養とする。とっても恐ろしいモンスターですね。」
「………どうしてこっちを見ながらそんな事を言うんだ。」
「いえいえ、何でもありませんよ……うふふふふ…………」
……うん、もしガのモンスターが現れたら絶対に鱗粉と一緒に焼き尽くしてやる!そうしないと俺の身に危険が迫ってきそうだからな!主にイリスのせいでさ!
「え、えっとソフィ、ガのモンスターに関する他の特徴は?」
「……無いと思う。」
「なるほど、それじゃあ最後にカマキリに似たモンスターの特徴を教えてくれ。」
「分かった。カマキリに似てるモンスターの特徴は両手に大きな鎌がある事。」
「大きな鎌か……しかも両手にとなるとかなり厄介そうだね。」
「うん。私も初めて戦った時は対処に手間取った。でも今なら余裕で倒せる。」
「うふふ、流石ソフィさんですね。」
「ありがとう。」
「ソフィさん、そのカマキリのモンスターには他に特徴はあるんですか?」
「手足が少し堅い。だから倒すなら関節部分を斬るのが一番。」
「そ、それを実践したら色々とエグイ事になりそうだな………」
「勝つ為には仕方ない。後は動きが少し素早いぐらい。」
「ふむ、どれぐらいの速度なんだい?」
「油断してるとちょっと危ない。」
「ふーん……まぁ油断する事なんて無いだろうから、特に問題は無さそうだな。」
「…‥おじさんの油断しないって言葉にはあまり信憑性がありませんね。」
「……自分でも少しそう思ったんだから改めて言葉に出すんじゃないよ。」
これまでに油断してフラグを建築して面倒事に巻き込まれた事が何回あると思ってるんだよ……ってか、どうして俺の場合はこういう感じのフラグしか起きないんだ?もっとラブコメ的なフラグを起こしてくれよ!!
「さてと、これでモンスターの特徴のおさらいは終わりかな。」
「はい、そうですね!」
「九条さん、それで依頼はどうするの?」
「うーん、マジでどうすっかなぁ…………」
「うふふ、僕の事は気にしなくても大丈夫ですよ。」
椅子の背もたれに体を預けながらニコっと微笑んでるイリスと目を合わせた俺は、思いっきり息を吐き出しながら天井を見上げていた。
……イリスは明々後日の早朝に出る馬車に乗って王都に帰るらしいから、今日中に依頼を受けるかどうか決めないとダメだよなぁ……でも昆虫系のモンスターとはマジで戦いたくないし……だからと言って、家の事で色々と世話になったイリスの希望を聞かない訳にいかないもんなぁ。
「………はぁ、こうなったら腹をくくるしかないか。」
「ふふっ、どうやら九条さんの中で答えが出たようだね。」
「あぁ、世話になったイリスに恩を返すって意味でも依頼を受ける事にするよ。」
そう言いながら体勢を戻してみると、頬に手を当ててさっきよりもニコニコしてるイリスと目が合った。
「うふふふふ、ありがとうございます九条さん。」
「別に礼を言われる事じゃねぇよ。ダンジョンを調査する依頼に同行させるってだけの話なんだからな。」
「……どんなモンスターと戦えるのかわくわくする。」
「……いや、だから調査だってば。」
「皆さん!私は応援する事しか出来ませんが頑張って来て下さいね!」
「ねぇ、だから調査するだけだって……俺の話を聞いてる?」
それから英気を養う為だとか言ってマホとイリスが腕によりをかけて料理を作ってくれた訳なんだけど……ちょっとおかしくないか?どうしてモンスターと戦う方向で話が纏まっているんですかねぇ?!誰かどうしてこうなったのか教えてくれ!!
「よしっ、それじゃあ手に入れた情報を使って………って言いたい所だったけどさ、別にこれといって大した情報が無いんだよなぁ。」
「そうですね。色々と調べて分かった事と言えば、ダンジョンの周囲に縄張りを持つ昆虫系モンスターが3種類しかいないって事ぐらいですもんね。」
「あぁ……でもまぁモンスターの種類を特定するって当初の目的は達成した事だし、一応はこれで良しとしておくか。」
「ふふっ、それじゃあ次は判明したモンスターの特徴をおさらいしてみようか。」
「特徴ねぇ……確か見た目がクモとガとカマキリに似てるんだっけか?」
「大きさと強さは全然違う。」
「うふふ、そう言えばソフィさんは何度か討伐した事があるんですよね。」
「うん。パパと一緒に戦った事がある。」
「……何と言うか、お前の親父さんも変わった人だよなぁ。自分の娘と一緒にそんな気持ち悪いモンスターと戦うなんてさ。」
「社会勉強。」
「いや、森の中で凶暴な昆虫と戦った所で社会は勉強出来ないっての……まぁそれは置いといて、とりあえず見た目がクモに似てる奴の特徴から聞かせてくれるか。」
「分かった。クモのモンスターの特徴は集団で襲ってくるところ。」
「集団って……大体どの程度の数なんだ?」
「多分20から30匹ぐらい。」
「に、にじゅっ!?」
ちょ、ちょっと待ってくれよ!確か昆虫系モンスターって全長が1メートルぐらいあるって話だったよな?そんなのが2,30匹も襲ってくるのか?!……‥うわっ、想像しただけで鳥肌もんじゃねぇか。
「ソフィ、確かクモのモンスターには群れを率いる女王グモが存在しているらしいがそれは本当なのかい?」
「……分からない。」
「え、どうしてですか?」
「女王グモは私にはまだ危険だからってパパがすぐに倒して納品しちゃった。だから私は見てない。」
「倒された女王グモの姿も見てないのですか?」
「うん。見れなかった。」
「ふふっ、そうむくれる事は無いさ。もしかしたらあのダンジョンの奥に女王グモが潜んでいるかもしれないからね。」
「………!」
「……そんなキラキラした目でこっちを見るんじゃない。それより他にモンスターの特徴は思いつかないか?」
「……特に無い。」
「そうか……まぁ調べた結果もそれ以上の事は分からなかったからな。じゃあ次は、ガに似ているのモンスターに関する特徴を教えてくれ。」
「ガのモンスターは羽ばたくと鱗粉が飛んで来る。」
「うぇ……そんなの絶対に触りたくないですね……」
「同感だな……それにその鱗粉、少しでも吸い込んだら色々ヤバいんだろ?」
「うん。鱗粉には毒素が含まれてるから吸い込むのはお勧めしない。」
「モンスターによって効果は様々らしいけど、あのダンジョンの周辺に生息しているガのモンスターの鱗粉は体を麻痺させる物らしいね。」
「うふふ、動けなくした対象を栄養とする。とっても恐ろしいモンスターですね。」
「………どうしてこっちを見ながらそんな事を言うんだ。」
「いえいえ、何でもありませんよ……うふふふふ…………」
……うん、もしガのモンスターが現れたら絶対に鱗粉と一緒に焼き尽くしてやる!そうしないと俺の身に危険が迫ってきそうだからな!主にイリスのせいでさ!
「え、えっとソフィ、ガのモンスターに関する他の特徴は?」
「……無いと思う。」
「なるほど、それじゃあ最後にカマキリに似たモンスターの特徴を教えてくれ。」
「分かった。カマキリに似てるモンスターの特徴は両手に大きな鎌がある事。」
「大きな鎌か……しかも両手にとなるとかなり厄介そうだね。」
「うん。私も初めて戦った時は対処に手間取った。でも今なら余裕で倒せる。」
「うふふ、流石ソフィさんですね。」
「ありがとう。」
「ソフィさん、そのカマキリのモンスターには他に特徴はあるんですか?」
「手足が少し堅い。だから倒すなら関節部分を斬るのが一番。」
「そ、それを実践したら色々とエグイ事になりそうだな………」
「勝つ為には仕方ない。後は動きが少し素早いぐらい。」
「ふむ、どれぐらいの速度なんだい?」
「油断してるとちょっと危ない。」
「ふーん……まぁ油断する事なんて無いだろうから、特に問題は無さそうだな。」
「…‥おじさんの油断しないって言葉にはあまり信憑性がありませんね。」
「……自分でも少しそう思ったんだから改めて言葉に出すんじゃないよ。」
これまでに油断してフラグを建築して面倒事に巻き込まれた事が何回あると思ってるんだよ……ってか、どうして俺の場合はこういう感じのフラグしか起きないんだ?もっとラブコメ的なフラグを起こしてくれよ!!
「さてと、これでモンスターの特徴のおさらいは終わりかな。」
「はい、そうですね!」
「九条さん、それで依頼はどうするの?」
「うーん、マジでどうすっかなぁ…………」
「うふふ、僕の事は気にしなくても大丈夫ですよ。」
椅子の背もたれに体を預けながらニコっと微笑んでるイリスと目を合わせた俺は、思いっきり息を吐き出しながら天井を見上げていた。
……イリスは明々後日の早朝に出る馬車に乗って王都に帰るらしいから、今日中に依頼を受けるかどうか決めないとダメだよなぁ……でも昆虫系のモンスターとはマジで戦いたくないし……だからと言って、家の事で色々と世話になったイリスの希望を聞かない訳にいかないもんなぁ。
「………はぁ、こうなったら腹をくくるしかないか。」
「ふふっ、どうやら九条さんの中で答えが出たようだね。」
「あぁ、世話になったイリスに恩を返すって意味でも依頼を受ける事にするよ。」
そう言いながら体勢を戻してみると、頬に手を当ててさっきよりもニコニコしてるイリスと目が合った。
「うふふふふ、ありがとうございます九条さん。」
「別に礼を言われる事じゃねぇよ。ダンジョンを調査する依頼に同行させるってだけの話なんだからな。」
「……どんなモンスターと戦えるのかわくわくする。」
「……いや、だから調査だってば。」
「皆さん!私は応援する事しか出来ませんが頑張って来て下さいね!」
「ねぇ、だから調査するだけだって……俺の話を聞いてる?」
それから英気を養う為だとか言ってマホとイリスが腕によりをかけて料理を作ってくれた訳なんだけど……ちょっとおかしくないか?どうしてモンスターと戦う方向で話が纏まっているんですかねぇ?!誰かどうしてこうなったのか教えてくれ!!
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