おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第118話

街を軽く案内しながら本屋にやって来た俺達は、店に入ってすぐの人通りの妨げにならなそうな場所に集まっていた。

「よしっ、そんじゃあこっからしばらく自由行動とすっか。それぞれ見たい本も違うだろうしな。」

「あぁそうだね。それじゃあ私は、エルアと一緒に課題に必要になりそうな本を見て来るよ。エルアもそれで良いかい?」

「は、はい!よろしくお願いしますロイドさん!」

「うん、よろしくね。あ、それと悪いんだがソフィも一緒に来てくれるかい?」

「どうして?」

「私達はエルアに戦闘に関する事を教える事になっただろう?それに関する本を一緒に見て欲しいんだ。」

ロイドの言葉を聞いたソフィは一瞬だけ2階の方をチラッと見たが、すぐに頷いてエルアを真っすぐ見つめた。

「そういう事なら分かった。エルア、よろしく。」

「は、はい!よろしくお願いします!」

緊張しながら返事をするエルアを見て満足そうに微笑むロイドは、まだ予定を伝えてない俺とマホに目を向けてきた。

「私達3人の予定は決まったが、2人はどうするんだ?」

「えっと、私は2階に行こうと思ってるんですけど、おじさんは?」

「んー・・・それなんだが、マホにちょっとついて来て欲しいんだが良いか?」

「私にですか?」

「あぁ、少し相談したいことがあってな。」

「そうですか・・・分かりました、それじゃあ私はおじさんについて行きます。」

「了解、それじゃあ30分後に店の外で合流しようか。皆もそれで良いかい?」

ロイドの提案を受け入れた俺達は小さく頷くと、目的の本がある場所に向かう為に解散した。俺は3人が店の奥に行くのを見送った後、マホと一緒にとある本が置いてある場所に足を運んでいた。

「あのおじさん、ここにある本って全部料理の本ですよね?」

「まぁそうだな。」

「ですよね、それじゃあ相談したい事ってこの本と関係があるって事ですか?」

「まぁそういう事だな。ってな訳で、エルアに教える丁度いいレシピが載ってる本を一緒に探してくれ。」

「はい?丁度いいってどういった感じですか?」

「うーん、何て言うか・・・家族に食わせる料理で素人が作っても美味くなる感じの料理かな。」

「何か注文が難しいですね。まぁ、エルアさんの要望通りの本を探そうとしてるのは分かりますけど・・・それならおじさんのセンスで選べば良いんじゃないですか?」

「いやいや、俺は駄目だって。」

「どうしてですか?」

「いやだって、俺にそう言った本を選ぶセンスは無いからな!」

「何を堂々と宣言してるんですか・・・まぁ、否定はしませんけどね。」

「・・・・うん、まぁそんな訳でエルアの家族が喜びそうな感じで初心者が作れそうなレシピを一緒に探してくれると助かる訳だ!」

「はいはい分かりましたよ、それじゃあエルアさんの為に一緒に探しましょうか。」

そう言って笑顔を浮かべたマホに冷たい目で選んだ料理本をことごとく却下されながら何とか目当ての本を買った俺達は、レジ前で合流した3人と2階に向かうとエルアにお勧めする本を探す事にした。

まぁ、2階に置いてある本でお勧めすると言ったら全員がラノベを選んで持ってきた訳でして・・・・しょうがないよね!それにエルアも初めて触れる種類の本です!って興味深そうにしてたから問題ないよね!

そんなこんなでエルアに本をお勧めした俺達は本屋を後にすると、街の案内を再開するのだった。

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