おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第102話

開き終わった扉の先に広がっていたのは、前2つの部屋とは広さが倍ぐらい違う
物凄い豪勢なパーティー会場の様な部屋だった。天井にはシャンデリアがあって部屋を明るく照らしていて、床一面には真っ赤な絨毯が敷き詰められていた。そして部屋の奥には、1階にあったのと同じ様な大きな階段と扉が存在していた。

「おぉ、ここが最後の部屋になるのか?」

「えぇそうよ。以前のイベントもここが最後だったわ。」

「そう言えば、前の大会の優勝者だったな。って事はここで何が行われるのか知ってるのか?」

「いいえ。前のイベントと今回のイベントでは内容も難易度も全然違うから、ここで何をするのかは見当もつかないわね。」

「え、難易度が違うってどんくらい違うんだ?」

「まぁ簡単に言えば、奈落に落ちる様な事は無かったし、マスコットキャラクターに襲われる様な事も無かったわね。」

「・・・そうなのか。」

仮面のメイドが言う事を信じるなら、イベントの難易度が今年になってから突然
上がったって事だよな・・・ったく、何で急に難易度をあげたんだよ!来年からでも
良かったじゃねぇか!

「ほら行くわよ。この後のステージ次第でどっちが優勝するか決まるんだから、早く決着をつけましょうよ。」

「随分と好戦的だな全く・・・まぁいい、何があっても負ける気は無いからな。」

「それは私も同じよ。必ず優勝しなきゃいけないんだから。」

俺は腹をくくると先に部屋に入っていった仮面のメイドの後を追った。そして2人揃って部屋の真ん中辺りまで歩いて来た途端、背後の扉が物凄い勢いで閉まった!?

「うぉ!び、びっくりしたぁ・・・」

「情けないわね。男ならもっと堂々としてなさいな。」

「いや、あんな勢いよく閉まると思わねぇだろうが・・・」

『お二人共!よくここまで辿り着く事が出来ましたね!おめでとうございます!
ですが残念ですが、お二人はここで脱落してしまう可能性が高いかもしれません!』

仮面のメイドに肩をすくめられながら呆れられていると、部屋に響き渡るような
実況の声が聞こえてきた・・・ってか、物凄い不吉な事を随分サラッと言ってくれるじゃねぇか。

「へぇ、それはどうしてなのか説明してもらえるかしら?」

『えぇ勿論です!と、言いたい所ですが今回は見て頂くのが早いと思います!
それではご登場をお願いいたします!』

「は?ご登場って一体誰が」

来るのかと実況に尋ねようと思った瞬間、何処からともなくガシャンガシャンと
規則正く動く金属音が聞こえてきて地面が揺れ始めている事に気が付いた・・・

「な、何だ?何が起きてるんだ?」

「どうやら何かが近づいて来てるみたいね。音と揺れが大きくなってきてるわ。」

確かに仮面のメイドの言う通りになっている事に気が付いた俺は、揺れに耐えつつ耳を澄ませて音が聞こえてくる方向を探そうとした・・・その瞬間、階段の上の扉がバンッと音を立て凄い勢いで開きやがった!?

そして扉の先から音がどんどんと近づいて来て、そこから何か巨大な物が飛び出して俺達の真上に向かって飛んで来た!?

「うわっ!」

「くっ!」

仮面のメイドと同時に別方向に飛んだ直後、床をぶっ壊すほどの重量を持つ何かが俺達の立っていた場所に着地しやがった!あ、危ねぇな!あのままあの場所に居たら確実に大怪我してる所だぞ!てか、一体何が・・・・は?

「な、何だこれ・・・」

尻もちをつきながら唖然として見つめた先には、4足歩行の機械が床を踏み荒らしながら存在していた・・・そして、その機械の上の所には・・・・

「ほーっほっほっほっほ!どうもさっきぶりですねそこのお方!そして仮面のメイドさんもお久しぶりです!」

ピエロの様なメイクをしたテーラー・パークが、半透明なガラスの様な物の中で
狂った様な笑顔を浮かべていた・・・はぁ!?何がどうなってこうなってんだよ!?

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