おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第27話

全ての準備が終わったころ、扉がノックされる音が鳴った。マホはすぐさま扉を開けに玄関へと向かった。

「うわぁ!ロイドさんが着ているお洋服、凄く素敵ですね!」

「ふふふ、ありがとうねマホ。君も買ってくれた服を着てくれているんだね。とっても可愛いよ。」

「えへへーありがとうございます!」

しばらくして、二人がリビングへとやって来た。

「おぉ、ロイドそんな服も持ってたんだな。」

ロイドの恰好は外でしているような男性の様な恰好ではなく、ゆったりとしたワンピースの様な恰好でやって来た。こうして見るとちゃんと女の子だな。

「まぁね、外ではあの格好の方が動きやすいからね。自宅などではこういう格好をしているんだよ。私も女の子だからね、どうかな?おかしくはないかい?」

「うん、ちゃんと年相応な女の子に見えるよ。よく似合ってるんじゃないか?」

うん、ちゃんと可愛くて凄くドキドキする。まぁ顔にも態度にも出さないけどな、だって恥ずかしいし。大人ですけどこういう事に免疫がないとは絶対にバレたくないし。

「それは良かった。この格好を見せる異性は父さん以外では九条さんが初めてだからね、安心したよ。それにしても凄い料理の数だね、それに美味しそうだ。これは全部九条さんが作ったのかい?」

「まぁな、マホにも手伝ってもらったりもしたけどな。」

「はい!頑張りました!」

「それは凄いね、とても美味しそうだよ!」

「ふふーん!絶対美味しいですよ!」

「まぁ材料はロイドのおかげで良いものが集まったからな。それじゃあ座って食事にするか。」

「はい!」

そうしてギルド結成を祝っての食事会が始まった。食事中ロイドの方を見るとナイフとフォークを綺麗に使って食事をしていた。うん、やっぱり貴族の娘ってこういう礼儀作法とかしっかりしてんだなー。

「うん!凄い美味しいよ!味付けもしっかりしていて食事が進むね!」

「それは良かったよ。まだあるから遠慮せずに食べてくれよ。」

「そうさせてもらおうかな。」

それから俺達は食事を楽しみながら適当に談笑をしていた。そうして食事も終わりテーブルの上も片付け終わった頃、マホが近くに置いてあったタブレットを持ってきてテーブルの上に置いた。

「それじゃあ食事も終わった事ですし、明日からどう行動するか決めちゃいましょう!」

「そうだな、一応の方針を決めといたほうが動きやすいか。ロイドも良いか?」

「あぁ、問題ないよ。」

俺はテーブルの上に置いてあったタブレットを起動して、画面を表示した。

「こうして見ると色んなミッションがあるな。」

「そうだね、このミッションの横にある数字がタイムリミットだろう。」

「どのミッションも結構時間の余裕がありますね。」

「まぁあくまで自主的にお任せします的な物だしな。それにしても報酬も結構な種類があるな。」

「確かに、興味をそそられる物が幾つかあるよ。ほら、これなんか王都でしか手に入らないアイテムだよ。」

「へぇーそんなのもあるのか。」

・・・王都とか聞こえたけど、この世界には王様とかいるって事か?まぁ話が脱線しそうだから聞きはしないけどな。

「討伐系はやっぱり報酬はGなんだな。」

「採集系の報酬は、上位の傷薬とかだね。この街で売っているものよりも効果がある物だ。」

「それでどうしますかお二人共。どのミッションからやっていきましょうか。」

「そうだね。ここはレベル上げもかねて討伐系のミッションはどうかな?」

「そーだな・・・うん、それもいいかもな。所でロイドって今レベルどれくらいなんだ?」

「えっと、確かレベルは6だったはずだよ。ダンジョンに行ったおかげで結構上がったからね。」

「なるほど、それだったらこの街では大体の討伐系のクエスト受けられるな。」

「そうですねー。それにご主人様が出来なかったパーティーを組んでやるクエストもできますよ!」

「うん、そうだね。でも、今それを言う必要はあったのか?・・・あ、そう言えば俺加工屋に武器取りに行かなきゃ。」

「あぁ!そう言えばそうでした!確かにあれから一週間ですしもう出来上がってますよね。」

「へぇ加工屋を利用したんだ。もしかしてボスの素材を使って何か作ったのかい?」

「あぁ、今まで使ってた武器は刃こぼれがひどくて切れ味最悪だったから新しい武器を頼んだんだよ。」

「それじゃあ明日はまず加工屋に行って九条さんの武器を取りに行こうか。」

「うわぁ!どんな感じになっているか楽しみですね!ご主人様!」

「そうだな、自分で初めて素材を集めて作った武器だもんな。少しワクワクするな。」

「それじゃあ明日からの事も決まったという事で良いかな?」

「あぁ、そうだな。」

「じゃあ今日は美味しい食事をありがとう。楽しい夜になったよ。」

「それは良かったよ。楽しんでもらえたなら何よりだ。」

「じゃあ、私はそろそろ家に帰ろうかな。いつまでもお邪魔してたらご迷惑だろうしね。」

「あ!そうだロイドさん!今日は泊っていきませんか?」

「え?」

「私ロイドさんともっといっぱいお喋りしたいんです!・・・ダメですか?」

「ふふ、悲しそうな顔をしないでくれよ。誘ってくれるのは嬉しいが・・・九条さんはどうだろうか。ご迷惑じゃないかな?」

「いや、別に客室は多めにあるから問題ねぇよ。迷惑じゃないなら泊って行けば良いさ、マホも喜ぶことだし。」

「ありがとう、それじゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな。」

「わーい!やりました!それじゃあロイドさん!今日はいーっぱいお喋りしましょうね!」

それから家から着替えを持ってきたロイドを使っていない客室へと案内した。
まさか使う予定の無い客室が役に立つとは思わなかったな。ありがとう、カタログの家。それから掃除をしっかりしといて良かったぁ、自分の掃除好きがここで役に立つとはな。
それから特にラッキースケベが起こる事もなく、ただただ平和に夜は更けていった。

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