《完結》腐敗した世界の空で、世界最強のドラゴンは、3人の少女を竜騎士に育てます。
22-5.案内役
「あああァァ――ッ」
と、シャルリスが声をあげさせることになった、その青髪の男はルエド・ノラインだった。
かつて卵黄学園にいたときには、シャルリスのことをさんざんイジメてくれた男だ。
「やかましい。すこし静かにしてくれ」
と、ルエドは耳に人さし指を突っ込んでいた。
「あんた、今までどこで何やってたっスか。てっきり死んだと思ってたっスよ」
「失敬な。オレは卵黄学園を首席で卒業したほどの男だ。それ相応の実力はあるのだ」
と、ルエドはメガネを、薬指で持ち上げてみせた。
この男はな――と、エレノアが説明してくれた。
シャルリスにたいする態度や、アリエルのことを見捨てたこと、ほかにも素行に問題があった。そのため先生を辞めさせられて、1竜騎士として働いていたのだと言う。
ルエドの反省した態度を認めて、小隊長としてエレノアが昇格させたのだそうだ。
「だからって、なんでボクがこの男の下で働かなくちゃいけないっスか。この男は、アリエルのことを見捨てたんっスよ。最悪っスよ。ボクはロン隊長のもとでしか、動きたくないっス」
すこし言い過ぎの感もあったけれど、嘘偽りないの言葉だった。
「そう文句を言うな。ロンはいま、都市竜たちとのコミュニケーションに忙しいのだ。都市竜が堕ちるかもしれんのだからな。あっちはあっちで大変な問題だ」
と、エレノアが言う。
「都市竜の老衰は、エレノア竜騎士長も知ってたんっスか」
「ロンから聞いた。私のほかにも、地上にいる者たちの中には知っている者も多い。空にいる連中はどうだか知らんがな」
と、エレノアは天井を見あげた。
天井からは、ドラゴンの彫刻がつるされている。
コホン、とルエドが咳払いをした。
「たしかに君たちはオレにたいして、言いたいこともあるだろう。しかし君たちほどの竜騎士を指揮するのは、オレが適任だろうというエレノア竜騎士長の判断だ。指揮能力に関しては任せてもらおう。なにせオレは卵黄学園を首席で――」
「もうその能書きは良いっスよ。まぁ、命令なら仕方ないっスけど」
「オレもこのままでは、引き下がれんのだ」
と、ルエドが神妙な表情で言った。
「それで具体的な作戦はどうするっスか?」
ならあらためて、とルエドが言葉をつづける。
「今回の作戦にあたって、ドワーフの住処までの案内役が2人いる。ひとりは覚者ミツマタだ。彼については、お前たちも知っているだろう」
「ミツマタが協力してくれるんっスか」
「ああ。彼はドワーフ族なのだそうだ。だから、ドワーフたちの住処についても、心当たりがあるということで、案内役としても、また護衛役としても適任だろう」
「そうっスね」
覚者ミツマタ。かつて【都市竜クルスニク脱出作戦】のさいには、ゾンビの猛攻をふせぐさいに、無類の強さを発揮してみせた。全身大岩をまとった人物だ。シャルリスにも見覚えがある。
ミツマタが協力してくれるなら、怖いものはない。
「それからもうひとり、紹介しておかなければならない人物がいる」
入ってくれ、とルエドが言った。
ルエドに呼ばれて、入ってきたのは、赤髪に赤目の男だった。
「あああァァ――ッ」
と、シャルリスはふたたび声をあげることになった。
「またか! 今度はなんだ」
と、ルエドが迷惑そうな顔をして尋ねてきた。
「あの人……」
ついさきほど、シャルリスに告白をしてきた男だった。
その人物が、ドワーフの住処への案内役のひとりなのだそうだ。
「ディヌ・マーグです。よろしくお願いします」 と、男は微笑んでみせた。
と、シャルリスが声をあげさせることになった、その青髪の男はルエド・ノラインだった。
かつて卵黄学園にいたときには、シャルリスのことをさんざんイジメてくれた男だ。
「やかましい。すこし静かにしてくれ」
と、ルエドは耳に人さし指を突っ込んでいた。
「あんた、今までどこで何やってたっスか。てっきり死んだと思ってたっスよ」
「失敬な。オレは卵黄学園を首席で卒業したほどの男だ。それ相応の実力はあるのだ」
と、ルエドはメガネを、薬指で持ち上げてみせた。
この男はな――と、エレノアが説明してくれた。
シャルリスにたいする態度や、アリエルのことを見捨てたこと、ほかにも素行に問題があった。そのため先生を辞めさせられて、1竜騎士として働いていたのだと言う。
ルエドの反省した態度を認めて、小隊長としてエレノアが昇格させたのだそうだ。
「だからって、なんでボクがこの男の下で働かなくちゃいけないっスか。この男は、アリエルのことを見捨てたんっスよ。最悪っスよ。ボクはロン隊長のもとでしか、動きたくないっス」
すこし言い過ぎの感もあったけれど、嘘偽りないの言葉だった。
「そう文句を言うな。ロンはいま、都市竜たちとのコミュニケーションに忙しいのだ。都市竜が堕ちるかもしれんのだからな。あっちはあっちで大変な問題だ」
と、エレノアが言う。
「都市竜の老衰は、エレノア竜騎士長も知ってたんっスか」
「ロンから聞いた。私のほかにも、地上にいる者たちの中には知っている者も多い。空にいる連中はどうだか知らんがな」
と、エレノアは天井を見あげた。
天井からは、ドラゴンの彫刻がつるされている。
コホン、とルエドが咳払いをした。
「たしかに君たちはオレにたいして、言いたいこともあるだろう。しかし君たちほどの竜騎士を指揮するのは、オレが適任だろうというエレノア竜騎士長の判断だ。指揮能力に関しては任せてもらおう。なにせオレは卵黄学園を首席で――」
「もうその能書きは良いっスよ。まぁ、命令なら仕方ないっスけど」
「オレもこのままでは、引き下がれんのだ」
と、ルエドが神妙な表情で言った。
「それで具体的な作戦はどうするっスか?」
ならあらためて、とルエドが言葉をつづける。
「今回の作戦にあたって、ドワーフの住処までの案内役が2人いる。ひとりは覚者ミツマタだ。彼については、お前たちも知っているだろう」
「ミツマタが協力してくれるんっスか」
「ああ。彼はドワーフ族なのだそうだ。だから、ドワーフたちの住処についても、心当たりがあるということで、案内役としても、また護衛役としても適任だろう」
「そうっスね」
覚者ミツマタ。かつて【都市竜クルスニク脱出作戦】のさいには、ゾンビの猛攻をふせぐさいに、無類の強さを発揮してみせた。全身大岩をまとった人物だ。シャルリスにも見覚えがある。
ミツマタが協力してくれるなら、怖いものはない。
「それからもうひとり、紹介しておかなければならない人物がいる」
入ってくれ、とルエドが言った。
ルエドに呼ばれて、入ってきたのは、赤髪に赤目の男だった。
「あああァァ――ッ」
と、シャルリスはふたたび声をあげることになった。
「またか! 今度はなんだ」
と、ルエドが迷惑そうな顔をして尋ねてきた。
「あの人……」
ついさきほど、シャルリスに告白をしてきた男だった。
その人物が、ドワーフの住処への案内役のひとりなのだそうだ。
「ディヌ・マーグです。よろしくお願いします」 と、男は微笑んでみせた。
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