覇王の異世界転生

ノベルバユーザー425528

第5話 洞窟の外

「さて、どうしたものか?」

 俺は目の前にあるバジリスクの死体を眺めながら困っていた。

 何故かって?

 どう見ても食えないからだ。

 鱗や牙には全部毒がある。
 唾液は酸性だし、迂闊に触る事も出来ない。
 毒がある生物は大抵、毒袋を体内に持っていて、取り除けば肉は食えるのだが、未知の世界の未知の生物で試すにはリスキーだ。
 もし、体液や肉にも毒があれば、一口食べただけで御陀仏だ。

 そもそも、こいつの肉にはそれ程の栄養価は無い。
 この強いエネルギーの源を取る必要がある。

 俺は龍眼を通してバジリスクの死体を見た。
 すると、1箇所だけ異様に高いエネルギーが集まっている場所がある。
 オーラでは無いが、似た様エネルギーだ。
 紫色に輝く力の塊がバジリスクの胸の辺りに有る。

 紫色のオーラであれば、毒を司る力を有すると言われているが、偶然だろうか?

 俺は、ロックリザードの鍵爪を取り出し、強化してバジリスクの胸を裂いた。

 中から出てきたのは、拳大程のサイズの結晶だ。
 紫色に光を発しており、強い力が込められている。

 試しに鑑定をしてみるか。

◆魔石(中)
・魔物の身体から取れる魔力の結晶、強い魔力を持つ魔物程、大きな魔石を保有している。

「へぇ、これが魔力の源か」

 力の種類は違えど、性質は類似している。
 この力を吸収すればオーラの解放に使えそうだ。
 
「肉は要らねーか」

 毒々しいバジリスクの肉は食う気にならないので、放置する事にした。
 持って行くにしても、大き過ぎるしな。

 俺は、魔石だけ手にして、池の場所まで引き返した。


「さて、始めるか」

 俺は池の前で胡座をかいて座る。
 足の間にはバジリスクの魔石を置いてある。

 目を瞑り、意識を集中した。

 体内のオーラを解放し、魔石を包み込み、力をリンクさせる。

 あとは、綱引きの要領で魔石からエネルギーを引き出して吸収するだけだ。

〜数時間後〜

 なんて力だ、これだけエネルギーを引き出してるのに、まだ終わりが見えない。
 あの蛇、馬鹿みたいに力を溜め込んでいたんだな。

 体内のオーラが溢れ返る。
 膨大な量のオーラが体中を駆け巡り、血管がはち切れそうだ。
 
 ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ!!

「くっ・・・完成だ!」

 カハァッ!

 体内のオーラが一気に解放され、深い溜め息と共に全身から輝くオーラが溢れ出した。

「やっと第四位階か・・・先は長いな」

 前世で第四位階に達したのは40歳を超えた頃だったか?
 そう考えればかなりの速度で力を付けている。
 だが、位階が上がる度に難易度は格段に上がって行く。
 最後の第十位階になるのには600年以上の時を費やしたしな。
 才能だけでは至高の存在には成れない。

「だが、そろそろ外に出てもいい頃か」

 第四位階と言えば、前世では達人と呼ばれる段階だ。
 この世界の力は分からないが、全く歯が立たないと言う事は無いだろう。
 この場所で得られる力も限界だし、そろそろ外で情報を収集し、この世界についてもっと知る必要がある。

 俺は最後にもう一度だけ、自分を鑑定した。

◆クロード・ハンニバル
・種族:人間
・年齢:9
・オーラ:第四位階
・オーラの色:無色
・オーラ量:10350
・特殊:龍眼、身体強化(中)、空破飛衝
・魔力:0
・スキル:鑑定
・戦闘力:42
・状態:健康
・称号:転生者、オーラマスター、復讐者
・捨てられた貴族の息子、暗闇の洞窟で凍死したが、転生者の魂が憑依して生き返った。

「なんか、情報が小まめに増えるな」

 俺は立ち上がると、また少し身長が伸びている事に気付いた。
 170cmくらいにはなったか?
 第四位階に上がった際に、身体も最適化されたのだろう。
 今の外見なら15歳前後に見えるレベルだ。

「さて、行くか」

 俺は、軽く跳んだ。
 たいして力を込めなくても3m以上ある天井を余裕で飛び越えて森の中へと着地する。

「ほぅ・・・美しいな」

 初めて見る洞窟の外は生命エネルギーに溢れていた。
 太く背の高い木々が競い合う様に自由に成長し、大地を草花が埋め尽くす。
 龍眼を通すと、様々な色のオーラで溢れかえっており、輝いて見えた。
 前世の世界は戦争が尽きなかったので、土地は荒廃しており、こんな美しい森は無かった。

「先ずは人里を探す必要があるな」

 視界に映る木々の中で1番背の高い木を見つけると、跳躍して天辺に着地した。

 絶景だな。

 四方を見渡しても、広大な森が続いていた。
 
「あれは・・・人か?」

 遠くの方で人間らしきオーラを発見した。
 4人の人間が馬車に乗っており、その後ろからは獣の様なオーラが複数で追い掛けている。

「逃げているのか?」

 丁度いい。
 助けるついでに人里まで乗せてもらうか。

 ここからの距離は800mくらいか?
 2秒で十分だ。

 直後、俺は音速に近い速度で跳んだ。
 反動で背の高い木が大きくしなり、幹がミシミシと嫌な音を立てて折れた。

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