覇王の異世界転生
第4話 石化蛇
暗い洞窟の中を蠢めく様にズルズルと進んで行く巨大な影があった。
太く長い胴体を持ち、手足は無い。
それは巨大な蛇だった。
全長は20m近くあり、蛇と言うよりは竜に近いサイズだ。
全身を尖った鱗で纏い、頭には4本の角が王冠の様に生えている。
背中には鋭い毒の鱗が背鰭の様に生えており、触れるだけでも身体が腐り落ちる猛毒だ。
巨大な口は雄牛でも一呑みにできるサイズで、口にはビッシリと鋭い牙が並んでいる。
牙にも猛毒があり、強い酸性の唾液は岩すらも溶かす。
その黄色い瞳は石化の邪眼となっており、視線が合ったら石になる呪いが込められている。
石化蛇、この暗闇の洞窟の生態系で頂点に位置する魔物だ。
ロックリザードやロックスネークなどの生き物は、バジリスクにとっては餌でしか無い。
しかし、最近では急激に餌の数が減っていた。
バジリスクは異変に気付いていた。
この洞窟に、自分以外の捕食者がいる事に。
何処にいる?
何故隠れる?
臆病者め!!
我と戦え!
バジリスクは、縄張りに侵入した愚かな捕食者を探していた。
しかし、捕食者は危険を察知するのが上手く、中々出会う事が出来ず、イラついていた。
シャアアアアアアアアア!!
怒りに任せて石化の邪眼を使用したせいで、バジリスクの通った後には石化したロックリザードやロックスパイダーなどの死体が無数に転がっていた。
そんなバジリスクの背後を一つの影が追っていた。
「あれがバジリスクか」
俺は、バジリスクの後ろ姿を見て鑑定を使用していた。
◆石化蛇
・種族:蛇
・年齢:158
・魔力:6850
・スキル:毒液、毒霧
・魔法:石化の邪眼
・戦闘力:41
・状態:激昂
・暗闇の洞窟の支配者、竜の血が混じった蛇種の魔物。背鰭や牙の猛毒は触れるだけで即死する。強い酸性の唾液は、あらゆる物を溶かしてしまう。また、石化の邪眼は、目が合った対象を石化してしまう。
「全身凶器かよ、しかも俺より強いじゃん」
後ろ姿からもはっきりとその強さが分かる。
あれは関わってはいけないタイプの敵だ。
ってか猛毒と石化のコンボは反則だろ。
しかし、第四位階に達する為には逃げるわけにはいかない。
「仕方ない・・・やるか」
俺は、右手に石の棍棒を構えた。
岩を削って作った粗悪な石の棍棒だが、バジリスクと素手で戦うよりは100倍マシだ。
第三位階に達した今の俺は身体から20cmまでオーラを纏える。
そして、第三位階に達した今の俺は、より高い精度でオーラを操作する事ができる。
身体の一部の様に棍棒にオーラを纏わせる事だって朝飯前だ。
更に、第三位階になると微弱だが、オーラの属性が使える。
オーラを纏わせた武器に強化や属性の付与も可能だ。
俺は一気に跳んだ。
一息でバジリスクの後頭部の真上まで跳び上がり、棍棒を上段に構える。
オーラを全て棍棒に集約し、強化を加える。
今放てる最強をこの一撃に込める。
背後からの不意打ちだが、卑怯なんて言うなよ?
この世界は弱肉強食、不意打ちされる方が悪いんだ。
シャアアアアアアアアア!
「何!?」
蛇にはピット器官が有り、熱を察知する事が出来る。
だから背後から迫る敵の存在に気付く事ができた。
振り下ろした棍棒を避けようとバジリスクは頭を逸らす。
ガツンッ!!
しかし、気付くのが少し遅かった為、完全に避ける事は出来なかった。
棍棒はバジリスクの二本の角をへし折り、頭の左半分を叩き潰した。
「チッ!」
それでも、蛇の強い生命力を殺し切る事は出来なかった。
頭を地面に叩きつけられながらも、バジリスクの尻尾のカウンターがムチの様に迫る。
ガキンッ!
「くっ!」
何とか棍棒でガードしたが、質量差があり過ぎる。
思いっきり吹き飛ばされて壁に衝突した。
「ぐはぁ!?」
攻撃と防御の為にオーラの殆どを棍棒に集中していたので、壁に衝突したダメージが生身の肉体に直にくる。
背中が痛いし息が止まる。
だが、止まるわけには行かない。
シャアアアアアアアアア!!
怒り狂ったバジリスクが巨大な口を開きながら迫って来た。
俺は即座に右側へ跳んで回避する。
先程の不意打ちで左目は完全に潰しているので、死角になっているからだ。
ジュワアアアアアアア!
バジリスクが噛み付いた岩の壁が唾液によってドロドロに溶かされ、煙を上げていた。
「一撃でも食らえば終わりだな」
その隙に、棍棒でバジリスクの横っ腹をぶっ叩いた。
ドゴンッ!
強化された棍棒の一撃は、バジリスクの硬い鱗を容易く砕き、内臓にまでダメージを与える。
キシャアアアアア!
バジリスクは、口から紫色の霧を噴射する。
「毒霧か!?」
俺は、即座に後ろへ飛んで毒霧の範囲から抜け出した。
あの霧は吸い込まなくても触れるだけでアウトだ。
「チッ、厄介だな」
オーラによる遠距離攻撃は第四位階にならなければ使えない。
つまり、あの毒霧を掻い潜って近づく必要がある。
この狭い洞窟の中では逃げ場も限られている。
バジリスクはうねりながら、怒りに任せて突っ込んでくる。
体に触れるだけでも毒で致命傷を受ける。
噛みつかれたら言うまでも無いし、目を合わせるだけでもアウトだ。
シャアアアアアアアアア!
バジリスクが口を大きく開けて俺を丸呑みにしようとする。
「あー、うざってえなぁ!」
俺は、ギリギリで真横に跳んだ。
そのまま棍棒を上段に構える。
目の前には重傷を負ったバジリスクの頭がある。
どんな生物も脳みそをぶっ潰せば死ぬだろ?
「いい加減死ね!」
グチャ!!
棍棒がバジリスクの頭に深く突き刺さる。
確実に脳を潰した。
ビュンッ!
「なっ!?」
脳を潰されても、凄まじい生命力を持つバジリスクの細胞は戦う事をやめない。
反射的に尻尾が鞭のように攻撃を繰り出してきた。
避ける事は出来ない。
棍棒はバジリスクの頭に深く突き刺さっており、抜く事も無理だ。
バジリスクの鱗には猛毒がある。
掠るだけでも致命傷だ。
だが、考えている暇もない。
属性の効果はどこまで引き出せるか分からないが、やるしか無い。
俺は棍棒を手放して拳を構えた。
空破飛衝
初めての空間属性を使用した攻撃だ。
空間の壁を殴り、衝撃を飛ばす攻撃、遠当てと似たような性質を持つ。
今の俺の有効範囲は20cm、それでも立派な遠距離攻撃だ。
直接触れさえしなければ、毒は受けない。
ズドンッ!!
拳が見えない硬い壁に当たる感覚だ。
空間の壁を殴った衝撃が、オーラの中を伝わり、目の前に迫る巨大なバジリスクの尾に当たった。
バキンッ!!
直後、バジリスクの尾を覆っていた鱗が砕け散り、凄まじい衝撃で弾かれた様に攻撃を跳ね返した。
キシャアアアアア・・アアァ・・・
バジリスクはそのまま絶命した。
同時に、俺は膝から崩れ落ちる様に尻餅をついた。
空間属性を使うと想像以上にオーラの消費が激しい様だ。
たった一撃で体内のオーラを殆ど使い果たしてしまった。
「いや、キツイわ〜」
俺はそのまま仰向けに倒れた。
太く長い胴体を持ち、手足は無い。
それは巨大な蛇だった。
全長は20m近くあり、蛇と言うよりは竜に近いサイズだ。
全身を尖った鱗で纏い、頭には4本の角が王冠の様に生えている。
背中には鋭い毒の鱗が背鰭の様に生えており、触れるだけでも身体が腐り落ちる猛毒だ。
巨大な口は雄牛でも一呑みにできるサイズで、口にはビッシリと鋭い牙が並んでいる。
牙にも猛毒があり、強い酸性の唾液は岩すらも溶かす。
その黄色い瞳は石化の邪眼となっており、視線が合ったら石になる呪いが込められている。
石化蛇、この暗闇の洞窟の生態系で頂点に位置する魔物だ。
ロックリザードやロックスネークなどの生き物は、バジリスクにとっては餌でしか無い。
しかし、最近では急激に餌の数が減っていた。
バジリスクは異変に気付いていた。
この洞窟に、自分以外の捕食者がいる事に。
何処にいる?
何故隠れる?
臆病者め!!
我と戦え!
バジリスクは、縄張りに侵入した愚かな捕食者を探していた。
しかし、捕食者は危険を察知するのが上手く、中々出会う事が出来ず、イラついていた。
シャアアアアアアアアア!!
怒りに任せて石化の邪眼を使用したせいで、バジリスクの通った後には石化したロックリザードやロックスパイダーなどの死体が無数に転がっていた。
そんなバジリスクの背後を一つの影が追っていた。
「あれがバジリスクか」
俺は、バジリスクの後ろ姿を見て鑑定を使用していた。
◆石化蛇
・種族:蛇
・年齢:158
・魔力:6850
・スキル:毒液、毒霧
・魔法:石化の邪眼
・戦闘力:41
・状態:激昂
・暗闇の洞窟の支配者、竜の血が混じった蛇種の魔物。背鰭や牙の猛毒は触れるだけで即死する。強い酸性の唾液は、あらゆる物を溶かしてしまう。また、石化の邪眼は、目が合った対象を石化してしまう。
「全身凶器かよ、しかも俺より強いじゃん」
後ろ姿からもはっきりとその強さが分かる。
あれは関わってはいけないタイプの敵だ。
ってか猛毒と石化のコンボは反則だろ。
しかし、第四位階に達する為には逃げるわけにはいかない。
「仕方ない・・・やるか」
俺は、右手に石の棍棒を構えた。
岩を削って作った粗悪な石の棍棒だが、バジリスクと素手で戦うよりは100倍マシだ。
第三位階に達した今の俺は身体から20cmまでオーラを纏える。
そして、第三位階に達した今の俺は、より高い精度でオーラを操作する事ができる。
身体の一部の様に棍棒にオーラを纏わせる事だって朝飯前だ。
更に、第三位階になると微弱だが、オーラの属性が使える。
オーラを纏わせた武器に強化や属性の付与も可能だ。
俺は一気に跳んだ。
一息でバジリスクの後頭部の真上まで跳び上がり、棍棒を上段に構える。
オーラを全て棍棒に集約し、強化を加える。
今放てる最強をこの一撃に込める。
背後からの不意打ちだが、卑怯なんて言うなよ?
この世界は弱肉強食、不意打ちされる方が悪いんだ。
シャアアアアアアアアア!
「何!?」
蛇にはピット器官が有り、熱を察知する事が出来る。
だから背後から迫る敵の存在に気付く事ができた。
振り下ろした棍棒を避けようとバジリスクは頭を逸らす。
ガツンッ!!
しかし、気付くのが少し遅かった為、完全に避ける事は出来なかった。
棍棒はバジリスクの二本の角をへし折り、頭の左半分を叩き潰した。
「チッ!」
それでも、蛇の強い生命力を殺し切る事は出来なかった。
頭を地面に叩きつけられながらも、バジリスクの尻尾のカウンターがムチの様に迫る。
ガキンッ!
「くっ!」
何とか棍棒でガードしたが、質量差があり過ぎる。
思いっきり吹き飛ばされて壁に衝突した。
「ぐはぁ!?」
攻撃と防御の為にオーラの殆どを棍棒に集中していたので、壁に衝突したダメージが生身の肉体に直にくる。
背中が痛いし息が止まる。
だが、止まるわけには行かない。
シャアアアアアアアアア!!
怒り狂ったバジリスクが巨大な口を開きながら迫って来た。
俺は即座に右側へ跳んで回避する。
先程の不意打ちで左目は完全に潰しているので、死角になっているからだ。
ジュワアアアアアアア!
バジリスクが噛み付いた岩の壁が唾液によってドロドロに溶かされ、煙を上げていた。
「一撃でも食らえば終わりだな」
その隙に、棍棒でバジリスクの横っ腹をぶっ叩いた。
ドゴンッ!
強化された棍棒の一撃は、バジリスクの硬い鱗を容易く砕き、内臓にまでダメージを与える。
キシャアアアアア!
バジリスクは、口から紫色の霧を噴射する。
「毒霧か!?」
俺は、即座に後ろへ飛んで毒霧の範囲から抜け出した。
あの霧は吸い込まなくても触れるだけでアウトだ。
「チッ、厄介だな」
オーラによる遠距離攻撃は第四位階にならなければ使えない。
つまり、あの毒霧を掻い潜って近づく必要がある。
この狭い洞窟の中では逃げ場も限られている。
バジリスクはうねりながら、怒りに任せて突っ込んでくる。
体に触れるだけでも毒で致命傷を受ける。
噛みつかれたら言うまでも無いし、目を合わせるだけでもアウトだ。
シャアアアアアアアアア!
バジリスクが口を大きく開けて俺を丸呑みにしようとする。
「あー、うざってえなぁ!」
俺は、ギリギリで真横に跳んだ。
そのまま棍棒を上段に構える。
目の前には重傷を負ったバジリスクの頭がある。
どんな生物も脳みそをぶっ潰せば死ぬだろ?
「いい加減死ね!」
グチャ!!
棍棒がバジリスクの頭に深く突き刺さる。
確実に脳を潰した。
ビュンッ!
「なっ!?」
脳を潰されても、凄まじい生命力を持つバジリスクの細胞は戦う事をやめない。
反射的に尻尾が鞭のように攻撃を繰り出してきた。
避ける事は出来ない。
棍棒はバジリスクの頭に深く突き刺さっており、抜く事も無理だ。
バジリスクの鱗には猛毒がある。
掠るだけでも致命傷だ。
だが、考えている暇もない。
属性の効果はどこまで引き出せるか分からないが、やるしか無い。
俺は棍棒を手放して拳を構えた。
空破飛衝
初めての空間属性を使用した攻撃だ。
空間の壁を殴り、衝撃を飛ばす攻撃、遠当てと似たような性質を持つ。
今の俺の有効範囲は20cm、それでも立派な遠距離攻撃だ。
直接触れさえしなければ、毒は受けない。
ズドンッ!!
拳が見えない硬い壁に当たる感覚だ。
空間の壁を殴った衝撃が、オーラの中を伝わり、目の前に迫る巨大なバジリスクの尾に当たった。
バキンッ!!
直後、バジリスクの尾を覆っていた鱗が砕け散り、凄まじい衝撃で弾かれた様に攻撃を跳ね返した。
キシャアアアアア・・アアァ・・・
バジリスクはそのまま絶命した。
同時に、俺は膝から崩れ落ちる様に尻餅をついた。
空間属性を使うと想像以上にオーラの消費が激しい様だ。
たった一撃で体内のオーラを殆ど使い果たしてしまった。
「いや、キツイわ〜」
俺はそのまま仰向けに倒れた。
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