覇王の異世界転生

ノベルバユーザー425528

2話 オーラの力

 巨大なトカゲは大きな口を開けて威嚇しながらジリジリと近づいて来る。

 今の俺の身体は7、8歳くらいの子供であり、丸呑みされてしまうサイズだ。

「さて、どうしたものか」

 俺は今の自分の戦闘力を客観的に分析する。
 生身の肉体的な戦闘力は皆無だ。
 オーラは第一位階を解放しただけであり、身体に纏うオーラは微弱だが、初歩的な身体強化は可能だ。

「無いよりはマシか」

 俺は全身に纏うオーラを活性化させた。

 全身の血管を駆け巡るオーラをガソリンの様に燃焼させて、一気に力を増幅させる。

 全身に力が漲ってくるのが感じられる。
 高揚感と万能感に支配されそうになるが、慢心は足元を掬われる。

 今の俺に残されたオーラは少ない。
 身体強化も保って10秒程度だろう。

 一撃で終わらせる。

 俺は、一気に大トカゲの懐に踏み込んだ。
 巨大な口が襲い掛かって来るのをギリギリで交わして、大トカゲの横っ腹の鱗が薄い下っ腹の辺りを目掛けて拳を突き出した。

 ドゴンッ!!

 拳が内臓にめり込む。
 意外と柔らかい感触だ。
 確実に臓器の幾つかは潰した。

 ギャシャアアア!?

 大トカゲは口から大量の血を吐いて絶命した。
 
 ドシンッとデカい図体が地面に横たわる。
 
「よし、食糧ゲット!」

 しかし、どうやって食うか?
 いくら俺でも爬虫類を生で食べるのは抵抗がある。

「火が欲しいところだが」
 
 辺りに燃えそうなモノが無いが確認してみる。

「お、これでいいか」

 洞窟の上は森になっている様で、天井の穴から降って来た葉や木の枝がそこら辺に転がっていた。

 俺はそれらをかき集めると、手頃な石ころを手に持つ。

 ガンッ!ガンッ!ガンッ!

 身体強化して思いっきり石を岩に叩きつける。
 すると衝撃で火花が散り、燃えやすい葉に火が付いた。
 火打ち石じゃなくても、強い衝撃で熱は発生する。

「赤のオーラだったらもっと簡単に火がつけられるんだけどな」
 
 オーラには色があり、その色によって様々な属性や特性を持っている。
 前世の俺のオーラは赤、火や熱を司る力を有しており、あらゆる物を燃やし尽くす事が出来た。

 無色は純粋な力や空間を司る力を有している。
 一見地味な力だが、身体強化などは1番相性が良く、空間を支配できる様にまでなれば、敵無しだ。

 焚火で身体を温めながら、大トカゲの足の肉をじっくりと焼いていた。
 脂が乗っており、ジュージューと美味しそうな音を立てている。
 病気が怖いので、じっくり中まで焼いてから食べないと。

「そう言えば、手紙に鑑定スキルとか書かれていたな」

 俺はふと思い出して、大トカゲの死体を見た。

「鑑定」

 取り敢えずそれっぽく呟いてみる。

◆ロックリザード
・種族:リザード
・戦闘力:8
・状態:死亡
・岩場や洞窟に住み着いており、岩の様な鱗に背中を守られている。肉食で小型の動物などを食べる。お腹の防御力が弱い。肉は筋張っており、あまり美味しくは無い。鋭い牙と太い尻尾の攻撃に注意。

「うわ、めっちゃ便利なスキル!」

 俺は、予想以上に使えるスキルで驚いた。
 このスキルがあれば、大抵の事が分かるし、辞書代わりになるな。
 こんな便利なスキルがあるのに、何故、無能扱いにされたのか?

「試しに自分を見てみるか」

 俺は、水面に写る自分を見て鑑定を発動した。

◆クロード・ハンニバル
・種族:人間
・年齢:8
・戦闘力:15
・状態:空腹、疲労
・称号:転生者、オーラマスター
・捨てられた貴族の息子、暗闇の洞窟で凍死したが、転生者の魂が憑依して生き返った。

「なるほど・・・ハンニバル家を潰せば良いのか」

 俺は、ニヤリと笑みを浮かべると焼き上がったロックリザードの足に齧り付いた。
 
 ブチッ!

 少し皮が硬いが、食えなくは無い。
 噛みちぎって口の中でよく噛んで飲み込んだ。
 塩と胡椒があれば良かったが、今は贅沢を言っている余裕は無い。
 ひたすら俺は喰らい続けた。

「ふぅ、腹は満たされたな」

 ロックリザードの足一本で8歳児の腹は満腹になった。
 ならば次にやる事は決まっている。

 俺は座禅を組み、体内に意識を集中させた。
 体内を巡るオーラの動きに意識を乗せて、全身からオーラを発する。
 無理矢理細い管に大量のオーラを流し込む事でオーラの通り道を拡張させる。

 纏うオーラが膨れ上がるが、同時に大量のオーラを消費するので直ぐに空腹になる。
 腹が減ったら、またロックリザードの肉を喰らい、オーラを使い、また喰らう。
 それを繰り返す事12時間が経過した。

「ふぅ、やっと第二位階に達したな」

 俺の身体を纏っていたオーラは、約10cmくらいまで増えており、力強くなっていた。
 多少ならオーラの操作も可能だ。

 だが、まともに戦えるレベルになる為には、最低でも第五位階まで解放する必要があるだろう。

 前世では最高レベルである第十位階まで達したが、才能ある俺でさえ千年以上の時間を要した。
 しかし、前世の記憶を持つ俺なら、もっと早く達成する事ができるはずだ。

 俺は骨だけになったロックリザードの死体をチラリと見る。

「もっとエネルギーが必要だな」

 俺は、立ち上がり、洞窟の奥へと歩き始める。

「狩の時間だ」

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