覇王の異世界転生

ノベルバユーザー425528

1話 転生

 ここは何処だろうか?

 光は無く暗い闇の中で俺は目を覚ました。

 背中にはゴツゴツした地面の感触。

 それに、酷く寒いし、空腹だ。
 
 身体が鉛の様に重たく、起き上がるのも難しい。

 目覚める前の記憶が曖昧だ。

 取り敢えず、オーラで周囲の状況を把握しなければ。

 しかし、体内にはオーラが殆ど感じられなかった。

 どういう事だ?

 第十位階まで達した最強のオーラが綺麗さっぱり消えており、微弱なオーラを僅かに感じるだけだ。
 その微弱なオーラすら風前の灯火の如く消えそうだ。
 
 オーラは生命エネルギー、それが消えかけているという事は、俺は死にかけているのか?

 まずいな。

 先ずは閉じられたオーラを解放して、全身に生気を取り戻す必要がある。

 俺は、意識を体内に集中し、心臓の鼓動の音に耳を傾ける。

 トクンッ、トクンッ、トクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ!

 徐々に心音が激しくなる。

「カッ!」

 気合いと共に僅かなオーラを呼水の様にして、オーラの通り道をこじ開けた。
 心臓を起点に血管を通って全身にオーラが行き渡っていくのが感じられる。
 寒気も治まり、手足に熱が戻って来た。

 これで、第一位階はクリアした。

 試しに指先を動かしてみる。

 ピクッ!

 動いた。
 
 第二位階も解放したいところだが、先ずは食事だ。
 無理矢理オーラを解放して身体を動かせる様にしたが、エネルギーを取らなければ、根本的な解決にはならない。
 空腹で力尽きるのも時間の問題だ。

 俺はゆっくりと上体を起こした。
 背中が痛い。
 どのくらい寝ていたのだろうか?
 周りは暗くて見えないが、洞窟の中にでもいるのか?

「先ずは水か食糧が必要だな」

 俺は立ち上がった。
 目眩でふらつくが、何とか体勢を維持すると、全身にオーラを纏う。

「何だこれは!?」

 俺は驚愕した。
 纏ったオーラの色が無色だったからだ。
 俺の本来のオーラは赤だ。
 なのに、今は無色に変わっている。
 オーラの色は先天的なもので、生まれつき決まっている。
 そして、後天的に変わる事は無い。

「俺の身体に何が起きたんだ?」

 第十位階まで達したオーラは忽然と消えており、赤かったオーラは無色になっている。

 まるで、自分の身体じゃ無いみたいだ。

「一つずつ確かめていくしかないか」

 俺は、手探りで暗い道を歩く。
 ゴツゴツした岩場で足元は悪いし、曲がりくねった洞窟の中は壁が多い。
 それでも、風の流れを頼りに進んでいくと、開けた場所に辿り着いた。

「ここは?」

 そこには小さな池があった。
 天井は無く、空から光がさしており、真下には雨水が溜まって出来た小さな池がある。
 
 俺は、カラカラの喉を池の水で潤した。
 まるで1ヶ月ぶりに水を飲んだかの様に美味い。

「ぷはぁ!生き返った!」

 その時、ふと水面に写る自分の顔に目がいった。

「・・・誰?」

 黒髪に黒い瞳は前と同じだが、明らかに別人だった。
 何より、明らかに若すぎる。
 俺の年齢は1500歳位だが、外見上は40代前半だったはずだ。
 オーラを極めると生命エネルギーに満たされるので若い状態を維持できるのだが、俺はオーラに目覚めたのが遅かったので、おっさんの状態で止まっていた。

 しかし、水面に写る自分の顔はどう見ても10歳以下だ。
 下手したら7〜8歳くらいにも見える。
 手足も妙に小さいし、明らかに別人だ。

「どうなっているんだ?若返ったのか?」

 いや、昔の自分の顔を思い出してみるが、こんな顔では無かった。
 それに、若返っただけならオーラの色も赤のはずだ。

 つまり、この身体は別人だ。

「いや、転生・・・した?」

 しかし、幼少期の記憶が全くないし、ここで倒れている理由も分からない。
 だとすると、ここで倒れていた少年の身体に俺の魂が乗り移ったという事か?
 そもそも前世の俺は死んだのか?
 記憶が無い。

 だが、これはチャンスだ。

 若い身体、それに無色のオーラ、この2つを同時に手に入れた事で、俺は更なる高みに登る事が出来る。

 無色は扱いが難しく晩熟と言われているが、その力は他の色と比較にならない。

 しかし、この身体は宜しくない。
 手足は痩せ細り、明らかに栄養が足りていない。
 しかも、鍛えていないから筋肉も無い。

 ボロボロな布の服を羽織っており、足は裸足だ。
 捨て子か?
 大事にされていなかった事は確かだ。

「む、何だこれは?」

 俺は服の中に一枚の紙が挟まっている事に気づいた。

 それは手紙だった。


 クロードへ

 お前には失望した。
 魔力を持たず、使えない鑑定スキルしか無いお前に生きる価値は無い。
 お前を表に出す事は一族の恥である。
 だから、お前を処分する事にした。
 そこは、暗闇の洞窟だ。
 一度入れば、二度と生きて出られない死の洞窟だ。
 魔物に喰われて死ぬか、飢え死にするかくらいは選ばせてやろう。
 無能なお前を生んだ母親は斬り刻んでオーク共に喰わせてやった。
 オークの苗床にしなかったのはせめてもの慈悲だ。
 貴様は苦しみながら死んでいけ。
 あと、異母兄のラクサスは来年、名誉あるザザン魔術学園に行く事になった。
 無能なお前と違ってラクサスは優秀だ。
 安心して逝け。

 父より
 
 
 俺は手紙を握り潰した。
 自分の事では無いが、無性に腹が立った。
 
「安心しろ・・・報いは受けさせてやる」

 俺はこの身体に復讐を誓った。
 それが、身体を受け継いだせめてもの礼だ。

「次は食糧か」

 洞窟の中は岩だらけで、植物すら生えていない。
 地上に上がれば、何か食べ物が見つかるかもしれない。

 俺は上を見上げるが、地上までは3m以上あり、子供の身体では登れそうに無い。

 ヒタヒタヒタ

 それは気味の悪い足音だった。
 獲物を狙って忍び寄るかの様に音を抑えた歩き方で、岩場の向こうから近づいて来る気配。

 シャアアアアアアアアア!!

 巨大な口を開けて威嚇してきたのは、巨大なトカゲだった。
 口の中には鋭い牙がずらりと並んでおり、蛇の様な長い舌をチョロチョロと伸ばしている。
 体長は2mくらいだろうか、ワニと変わらないサイズに、硬そうな岩肌に近い鱗で全身を守っている。

「ハハッ・・・食糧みっけ」

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