今まで視界にも入らなかった地味なクラスメイトが、実はかなりのイケメンチャラ男だったなんてことある!?(仮)
この顔にピンときたら……?
「あっつー。冷房効いてる?」
「設定温度おかしいんじゃないの?」
あれから2週間。そろそろ7月で、本格的な夏!って感じ。もう少しで衣替えの時期なの。
教室の冷房が稼働するようになったんだけど、効きが悪すぎてね。これなら、窓開けて外の風を入れた方が数倍はマシなんじゃないの?って思っちゃう。
「23度になってたー。19度まで下げちゃえ!」
「行け、マリ!」
「よっしゃ!」
「ちょっと、また怒られるよ!」
「ふふふ」
昨日も、設定温度変えて誰か怒られてたんだよね。でも、暑いものは暑い!
私は、やっと色々振り切れた。なんだかんだ言って、青葉くんのこと結構考えちゃったけど。
忘れることにしたら、結構気持ちが楽になったわ。しばらくの間、瑞季たちは不満げだったけどね。
それに、この2週間、話しかけてくる知らない男子がいなかったのも幸いだった。
……いや、1人だけ居たな。
「あー、一昨日の水泳部の男子だれだっけ?その人の告白受けてたら、今頃プール使い放題だったんじゃない?」
「そんなことないでしょう。学校のものを私物化してどうするの」
一昨日、3学年の水泳部の人から告白されたんだよね。「付き合ってください」って。もちろん、いつも通りお断り。
なんか、最後の試合前の願掛け的なこと言われたけどそんな理由で付き合うって違くない?私、神社じゃないんだけど。
「あー、なんで梓ってそんなモテるの?なんか身体から出てる?」
「出てたら怖いって!私が聞きたいくらい」
「梓ちゃん、面倒見良いから叱られたい願望ある男子が多いって聞いたことある」
「あはは!なにそれ、傑作!」
「……私、お母さんじゃないんだけど」
まあ、相変わらず家では毎日双子に怒鳴り散らしてるけどね……。それが学校でも出てきてるってこと?危ない危ない、気をつけないと。
私は、いつものメンバーで授業が始まるまでおしゃべりを楽しんでいた。
「そうそう!新しいグミのCM見た?」
「見た見た!橋下くんメインのやつでしょ?」
……ああ、あの芸能人の。
最近よく登校してるらしく、芸術棟の方に人が集まって仕方ないって先生たちがボヤいてたっけ。
「あった!これこれ。コンビニ限定で、2種類あるんだって」
「フルーツとソーダだったよね」
早速マリが、スマホで動画を開いてくれた。私、見てないから助かるわ。
「私、ソーダ買って食べた」
「え!ずるい!うちの近くのコンビニ売り切れてたのにー」
「フルーツの方が人気らしいよ」
「へえ」
……ん?この顔、どこかで見たような?
私は、画面奥で軽快なステップを決める橋下くんの顔をマジマジと確認する。この顔……確か。
「あああ!この人!!」
「へ!?な、なに?」
「びっくりした」
「梓ちゃん、どうしたの!?」
この人!先々週に図書室で私に「忠告」してきた人だ!
あれが「橋下くん」か!そうだ、芸術科の紋章つけてたし間違いない!!
「……梓?」
「暑さでやられた?」
「大丈夫?今冷房下げたから……」
画面に釘付けになった私は、眉間にシワを寄せながらその動画を凝視した。相変わらず彼は、アイドルスマイルというやつでダンスしている。
「…………」
ってことは、やっぱり青葉くんと彼は友達なのね。
……青葉くん、私のせいで傷ついたのかな。友達に相談するくらい、嫌な思いさせちゃったのかな。
謝った方がいい?それとも、やっぱり関わらない方がいい?
わからない。……またわからなくなっちゃった。
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