不遇の魔道具師と星の王
第28話 拠点建設
拠点に到着したリューズ達一行はドラゴンナイツのみんなとあいさつを済ませ、早速自分たちの居住スペースの建設を開始した。彼らの中には、建設業を営んでいた者とそこで働いていた人たちが数人いたため、彼らがリューズと協力して建築に励んでくれている。
「まずは基礎だ!半端な基礎を作れば次の朝には屋根が布団になっちまうぞ!」
現場で設計図を眺めながら怒鳴りつつ指示を出しているのはカルテラ王城やそのほか大規模建築を手掛けてきた建築家、キール・シュバイデンだ。彼のカリスマ性はリューズに負けず劣らずのようで、ここから見ていれば少しどうかと思うような指示の出し方でもみんな嫌がるそぶりを一切見せずに従っている。
「ここはそのやり方でもいいんスけど、こうやって…こうすれば簡単っスよ。」
「なるほど!」
キールが大まかな指示を出している中で、ほかの人たちに混ざって細かな作業の仕方などを指導している彼はコニー・サッチャー。彼はもともとキールの下で働いていた凄腕の建築技術を持った働き手だったそうだ。キールからも絶大な信頼を得ており、この二人のおかげで作業はあっという間に進んでいく。
二人の指示を聞きながら作業しているのはほとんどが非戦闘職の人たちであり、そのほかの戦闘職の人たちはいったい何をしているのかというと…
「ぐあぁぁ!重すぎるぅぅぅ!」
「言うなぁ!余計重く感じるだろ!」
拠点の周りの森から木を伐りだして建設現場へと運んでいた。拠点の周りの木はそのどれもが御神木のようにとんでもなくでかい木ばかりで、一番小さいものでも直径が2メル程ある。高さも軽く10メル以上はある大木を運べるような馬車はないので、始めはどうやって運び込むのか全員が悩みこんだ。
そこで俺の魔道具をいくつか貸し出して何とか運べるようになった。貸し出した魔道具はお馴染み《操空の指輪》と、個人的に一番曲者だと思っている《身体能力超強化の腕輪》、《絶対切断の大剣》の3つだった。
《操空の指輪》は説明はいらないと思う。《身体能力超強化の腕輪》は、俺が付与魔法を間違えた結果偶然生まれたもので、普通の魔道具であれば2倍や3倍など倍加するのだが、なぜかこの魔道具は使用者の身体能力を4乗に引き上げる。つまり、握力が30キロの人間がこの腕輪を身に着けた場合、驚きの握力810トンの化け物に変わる。
そのおかげでこの森の中では小さいほうの木は軽く運べるのだが、問題はそのほかの化け物級の大木だった。今まで運んだ木が苗木にしか見えなくなってしまうほどの大きさの木が何本もそびえたっている。
この大きさなのでに3本運んでいけばいいのだが、いかんせん直径15メル、高さ100メルの大木を運ぶのはかなりきついもので、いくら身体能力が4乗された彼らでも厳しいものだった。それでも何とか一本運びきり、一度拠点で休憩することにした。
幸い季節は秋で、外で一息つくにはちょうどいい気温と空気だった。伐ってきた木も半日置いておけばある程度乾燥し、すぐに家屋の建築にも使える状態になった。
彼らのことをライムさんたちもサポートしてくれているので、後は彼らに任せることにして俺は工房に入り浸ることにした。爆破実験で威力が十分だということが確認できたので、最終段階の爆弾を積んで飛んでいく本体の作成に取り掛かった。
こちらの作業は思っていた以上に時間がかかってしまった。何せ、今までそういったものは一切作ったことはなかったのだ。そのため、アイデアを出すので1日かかり、結局完成したのは期日の前日、製作開始から6日がたってしまった。その間はサーシャとマリアがご飯を運んできてくれて、非常に集中して作業ができた。
完成した魔導兵器は、これまた俺オリジナルの魔道具、材料さえあれば全く同じものを作ることができる《複製の台座》に乗せて同じものを合計3つ作った。さすがにあの山岳地帯を丸ごと吹き飛ばすわけにはいかないので完成したミサイルは邪龍にぶっつけ本番で撃ちこむ。
仕事も終わったので、工房から出て拠点に向かうと、拠点の敷地がちょっとした町のようになっていた。生活に必要なものを売る雑貨屋や、飲食店、武器屋などがあり、まだ動いていないもののすぐに動き出せそうな様子だった。
立ち並んだ居住スペースも華美な装飾はない質素だがどこか高級感あふれるデザインになっており、もしかしたらほかのどの町に立っている建物よりも美しいのではないかとさえ思った。
避難してきた人たちもみんな楽しそうに笑っているのを見て、何となくセイリウムさんがアクマリンの住民を見て少し幸せそうにしている気持ちがわかった気がした。
「まずは基礎だ!半端な基礎を作れば次の朝には屋根が布団になっちまうぞ!」
現場で設計図を眺めながら怒鳴りつつ指示を出しているのはカルテラ王城やそのほか大規模建築を手掛けてきた建築家、キール・シュバイデンだ。彼のカリスマ性はリューズに負けず劣らずのようで、ここから見ていれば少しどうかと思うような指示の出し方でもみんな嫌がるそぶりを一切見せずに従っている。
「ここはそのやり方でもいいんスけど、こうやって…こうすれば簡単っスよ。」
「なるほど!」
キールが大まかな指示を出している中で、ほかの人たちに混ざって細かな作業の仕方などを指導している彼はコニー・サッチャー。彼はもともとキールの下で働いていた凄腕の建築技術を持った働き手だったそうだ。キールからも絶大な信頼を得ており、この二人のおかげで作業はあっという間に進んでいく。
二人の指示を聞きながら作業しているのはほとんどが非戦闘職の人たちであり、そのほかの戦闘職の人たちはいったい何をしているのかというと…
「ぐあぁぁ!重すぎるぅぅぅ!」
「言うなぁ!余計重く感じるだろ!」
拠点の周りの森から木を伐りだして建設現場へと運んでいた。拠点の周りの木はそのどれもが御神木のようにとんでもなくでかい木ばかりで、一番小さいものでも直径が2メル程ある。高さも軽く10メル以上はある大木を運べるような馬車はないので、始めはどうやって運び込むのか全員が悩みこんだ。
そこで俺の魔道具をいくつか貸し出して何とか運べるようになった。貸し出した魔道具はお馴染み《操空の指輪》と、個人的に一番曲者だと思っている《身体能力超強化の腕輪》、《絶対切断の大剣》の3つだった。
《操空の指輪》は説明はいらないと思う。《身体能力超強化の腕輪》は、俺が付与魔法を間違えた結果偶然生まれたもので、普通の魔道具であれば2倍や3倍など倍加するのだが、なぜかこの魔道具は使用者の身体能力を4乗に引き上げる。つまり、握力が30キロの人間がこの腕輪を身に着けた場合、驚きの握力810トンの化け物に変わる。
そのおかげでこの森の中では小さいほうの木は軽く運べるのだが、問題はそのほかの化け物級の大木だった。今まで運んだ木が苗木にしか見えなくなってしまうほどの大きさの木が何本もそびえたっている。
この大きさなのでに3本運んでいけばいいのだが、いかんせん直径15メル、高さ100メルの大木を運ぶのはかなりきついもので、いくら身体能力が4乗された彼らでも厳しいものだった。それでも何とか一本運びきり、一度拠点で休憩することにした。
幸い季節は秋で、外で一息つくにはちょうどいい気温と空気だった。伐ってきた木も半日置いておけばある程度乾燥し、すぐに家屋の建築にも使える状態になった。
彼らのことをライムさんたちもサポートしてくれているので、後は彼らに任せることにして俺は工房に入り浸ることにした。爆破実験で威力が十分だということが確認できたので、最終段階の爆弾を積んで飛んでいく本体の作成に取り掛かった。
こちらの作業は思っていた以上に時間がかかってしまった。何せ、今までそういったものは一切作ったことはなかったのだ。そのため、アイデアを出すので1日かかり、結局完成したのは期日の前日、製作開始から6日がたってしまった。その間はサーシャとマリアがご飯を運んできてくれて、非常に集中して作業ができた。
完成した魔導兵器は、これまた俺オリジナルの魔道具、材料さえあれば全く同じものを作ることができる《複製の台座》に乗せて同じものを合計3つ作った。さすがにあの山岳地帯を丸ごと吹き飛ばすわけにはいかないので完成したミサイルは邪龍にぶっつけ本番で撃ちこむ。
仕事も終わったので、工房から出て拠点に向かうと、拠点の敷地がちょっとした町のようになっていた。生活に必要なものを売る雑貨屋や、飲食店、武器屋などがあり、まだ動いていないもののすぐに動き出せそうな様子だった。
立ち並んだ居住スペースも華美な装飾はない質素だがどこか高級感あふれるデザインになっており、もしかしたらほかのどの町に立っている建物よりも美しいのではないかとさえ思った。
避難してきた人たちもみんな楽しそうに笑っているのを見て、何となくセイリウムさんがアクマリンの住民を見て少し幸せそうにしている気持ちがわかった気がした。
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