お犬様のお世話係りになったはずなんだけど………

ブラックベリィ

021★地獄で仏?


 諦めの境地に入った和輝は、無感動にキャミソールの肩紐を切り、パンティーの両脇にも鋏みを入れて切り離す。
 既に無我の境地に入った和輝は、全裸になった桜を抱きかかえて風呂場にはいり、シャワーの温度を調節し、自分の手にかけて、首を傾げる。

 傷口が酷いからなぁ………
 少し温(ぬる)いくらいの方が
 良いかな?

 擦り傷には、火傷と一緒で
 温(ぬる)めのシャワーでも
 痛いだろうしなぁ………

 「一応、低めに調節してあるから
  温度を上げたかったら………
  ここのスイッチを押して
  パネルの数字を上げろ

  ただし、43度くらいを
  限界にしておけよ
  傷口が火傷したみたいに
  痛むだろうからな………

  俺は桜の下着を用意して
  来るから………

  ワンピースは用意したけど
  下着類までは想定外で
  用意してないだろうからな

  その間に、きちんと全身
  シャワー浴びとけよ
  特に手の甲周辺とかをな」

 そう言って、和輝はそそくさとお風呂場からトンズラしたのだった。
 あとに残された桜は、和輝に言われた通りに、素直にシャワーを浴び始めていた。

 桜を風呂場に置き去りにした和輝は、きちんとシャワーを浴びる音がして来たのを確認してから、脱衣所に散らばった下着だったモノを溜め息混じりに回収する。
 そのさいに、置き去りにされたスマホは、化粧台へと移動する。

 ほんの数分もかからずに、下着だったモノをかき集めた和輝は、既にゴミと化した下着だったモノを片手に、ゴミ箱がある台所へと戻る。
 台所にある大きなゴミ箱に持って来た元下着類を捨てた和輝は、首を傾げる。

 あっそうだ…待合室で切った
 上着とTシャツとズボンも
 片付けておかないとな……

 それに、あの2頭も気になるし
 随分、走って来たみたいだからな
 下手すっと足の肉球痛めてるかも

 待合室に放置した衣類の残骸を回収を思い出し、その関連で思い出したボルゾイ2頭を心配する。
 そして、疲れを感じている自分を慰める為に、和輝はちょっとだけ立ち止まって深呼吸する。

 さてと、待合室の2頭を
 確認してやらないとな

 そう思い、和輝が台所から待合室へと移動しようとした時に、ガチャッと玄関のドアが開く音が聞こえた。
 優奈と真奈が、買い物をすませて帰宅したのだ。
 和輝は、待合室に向かうの止め、台所から廊下の方へと出た。


 「たっだいまぁー………
  あ……お兄ちゃん………」

 「ただいま…っと…和兄ぃ」

 何時も通り元気に帰宅した双子の妹達の姿に、少しホッとしながら、現在もっとも和輝の悩みとなってしまったコトを相談する。

 「お帰り、優奈、真奈
  ちょうど良いところに
  帰ってきてくれた………

  桜に、新しい下着が
  欲しいんだけどよぉ……
  未使用のあったか?」

 和輝の言葉に、真奈が優奈に言う。

 「ほら、私の言った通りだった
  あの傷だからねぇ………

  きっと下着まで切らないと
  脱げないからダメだって……」

 「うん、本当にね、真奈ちゃんの
  言う通りだったねぇ………

  見て見てぇ~……お兄ぃちゃん…
  新しいパンティー……… 

  ほらぁ…ウサギ柄のパンティーと
  お揃いのキャミソール…………

  すっごく…可愛かったから
  買って来たのぉ~………」






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