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お犬様のお世話係りになったはずなんだけど………

ブラックベリィ

009★和輝の妹達出現



 和輝からのさり気ない促しを含んだ問いかけに、桜はいったんソレを言おうかどうしようかと、躊躇ためらった言葉を続けることにした。

「うぅ~…実は…今まで、何度も色々なペットシッターを雇ったんだけど
 〈レイ〉や〈サラ〉と相性が悪くて、次々と辞められてしまって………
  今じゃ…ペットシッターの派遣をしている会社に電話すると

 『現在、当方のペットシッターの予約は満配状態です
  当方では手の空いている者が居ない為、受けられません

  また、予約待ちの方が多数おりますので
  現在は予約も受け付けておりません

  他のペットシッター派遣会社に、ご連絡ください』

 って、断られてしまうの………」

 そう言って、冷たく断られた時のコトを思い出して、項垂れる桜を腕に抱いたまま、スタスタと歩き続けてていた和輝が、足をピタッと止める。
 その停止した感触を感じた桜は、涙目になる。

 うっ…やっぱりポイッされるのかな?
 だから、言いたくなかったのよぉ~……でも、言い返したかったし………

 せっかく、和輝は〈レイ〉と〈サラ〉の両方と相性良さそうなのにぃ~
 ああそうだ、状況が理解わからないふりしていよう

 このまま、和輝と別れるのは惜しいモン
 2頭の懐きぐあいを考えると、和輝に面倒を見てもらうコトも出来そうだし

 内心での落ち込みを押し隠し、桜は小首を愛らしく見えるように傾げて、和輝に問いかけた。

「どうしたの?」

 片腕に抱き上げた桜の葛藤や落ち込みに気付かなかった和輝は、その問いかけにあっさりと答えた。

「ぅん…ああ…俺の妹達が学校から帰って来たようだ
 前方で仲良く歩いている2人は、俺の双子の妹なんだ
 でも、助かるな…ちょうど良いところに帰って来てくれた」

 ちょうど、ボロボロの桜の治療をした後の着替えをどうしようか?
 って思っていたところだからなぁ………流石に、この姿だからなぁ………

 脱がせたら、もう上着どころか中着のТシャツも使えないだろう
 無事そうなのって、下着くらいかな?
  
 新しい着替えが必要だとなぁって思っていたからな
 優奈や真奈が学校から帰宅したのにぶち当たってラッキー………助かった

 予想外の答えに、桜は和輝の視線を追って、前方にいる良く似た2人の少女を見た。

「えっ?…妹?…双子なのか?……たしかに、そっくりね」

 無意識に再び小首を傾げながら呟く桜を横目に、和輝は仲良く歩く双子の姉妹に声を掛ける。

「ああ…一卵性双生児なんだ…だから、そっくりだろう……優奈、真奈」

 和輝の呼び掛けに、カバンを背負って、喋りながら歩いていた双子が顔を上げる。

「あー…真奈ちゃん…お兄ちゃんだ…うわぁ~…ボルゾイだよぉ~…………
 すごぉ~い…かっこいいし…綺麗……」

 感動する優奈に、真奈も頷いて言う。

「本当だ、和輝兄ぃ~だぁ~………それに、ボルゾイぃ~………」








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