錬金令嬢は幸せになりたい!

こうじ

貴族病

「医師の話だと『貴族病』と言って稀に貴族の長男長女、王族にかかる事がある病気だそうだ」
 お父様の話によると今まで特に大きな失敗をした事がなく周りからは優等生に見られ実際以上の評価を得ている令嬢令息が大きな失敗をすると今までの反動で何らかの体調不良を起こしてしまうらしい。
 私が部屋から出てこなかったのはその初期症状だそうでこの数日間、心配してくれていたらしい。
「実は現国王がかつて貴族病にかかった事があり研究されているそうだが、明確な治療法は無いらしい······」
「そうなんですか······」
「それでだ、今後の事だが社交パーティーには出る気はあるかい?」
 その言葉を聞いた瞬間、私は体温が一気に上昇した様な気がした。
「クリスっ!?」
「だ、大丈夫です······、急に心臓がドキドキしてきて······」
「体も震えているじゃないかっ!? 落ち着いて深呼吸をするんだっ!」
 私はお父様に言われて深呼吸をするとなんとか落ち着いて来た。
「はぁ~、この様子だと人前に出る事事態が無理だな」
「すいません······」
「いや、クリスが謝る事じゃない。私にも責任はあるのだ。今後どうするかはこれから一緒に考えて行こう」
 そう言ってお父様は頭を撫でてくれた。
 頭を撫でてくれたのは小さい頃以来だったけど手のひらからお父様の暖かさが伝わってちょっとだけ気持ちが軽くなった。

 部屋に戻って来た私はベッドの上にダイブした。
「心の病気、かぁ······」
 お父様に言われた事を頭の中で繰り返していた。
 小さい頃から公爵家の娘として両親の期待に答える為に努力してきた。
 知らないうちに私は私で追い込んでしまったのだろう。
 病気である事は理解したけど、じゃあこれからどうしたらいいのかなんてわからないし全く見えていない。
「私、一体どうなるのかしら······」

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