パーティーを追放された俺は、隠しスキル《縁下》で世界最強のギルドを作る
第2話 獣の事情
◆◆◆
──???side──
……ここは、どこっス……?
「────! ────っ!」
……誰かの声が聞こえるっス……誰っスか……?
「……からリエン、人工呼吸しろって!」
「えぇ!? 私にやらせます!?」
人工呼吸……? もしかして、自分のっスか……?
「お前にしか頼めないんだよ」
「えー……分かりましたよ……」
……もう本当は起きてるっスけど……この声の印象からして……かなりの美人!?
び、びびびび美人の人工呼吸……興奮するっス……!
「もう……行きますよ」
き、来たぁ〜……!
近くに人の気配がするっス……!
ドキドキ、ドキドキ……!
額と顎下を押さえられて、軌道を確保され……。
むちゅぅー……お、おおっ、意外とひんやりした感覚っス……!
むふふ。自分のファーストキッスがこんな形で叶うなんて……!
どどど、どんなご尊顔っスか、自分のファーストキッスの相手は……!
ゆっくり、ゆっくり目を開ける……と……。
顔面蒼白。
無機質な表情。
真っ黒な衣装に全身が包まれている……イケメン。
「ほげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」
◆◆◆
──ジオウside──
あ、起きた。
「リエン、もういいぞ」
「うう……私の可愛いアンデッドの唇が、どこの誰とも分からない獣人に……」
そう言うな。ここには女しかいないし、俺だって見ず知らずの男に人工呼吸とは言えキスはしたくない。
「ほげぇ!? ほげぇぇぇぇぇぇ!?」
ネズミの獣人はパニックになっているのか、ずっとほげほげしか言ってない。何なんだ、こいつ?
「少年よ、大丈夫か? 落ち着け、我らは少年の敵ではないぞ」
シュユが、優しく獣人に話しかける。
「え、ぁ……は、はひっ……」
今度は顔を真っ赤にして、シュユ達の体をチラチラ見始めた。男だから気持ちは分かる。だが、男ならもっと堂々と凝視しろ。
「……って、ええええええ、エルフっス!?」
「うむ、エルフだ」
「……初めて見たっス、生エルフ」
生エルフ言うな。
「おい坊主。美人達に見とれる気持ちは分かるが、ちょっといいか?」
「え、は、はいっス」
俺は坊主の前に座ると、レアナ達は俺の後ろに待機した。
「ここは、エルフしか知らない秘密の入り江のはずだ。お前はどこから来て、何をしてたんだ?」
「……何でそんなこと言わなきゃいけないっスか。見ず知らずの相手に」
お? 意外と強気だな。
背後で、レアナがムッとした気配を感じた。前に出ないように、手を挙げて止める。
「俺達が助けなければ、お前は死んでいた。そうしたら、お前はお前の目的を果たせなかった。その事を念頭に置いて、答えてくれ。──お前は、誰で、どこから来て、何をしていた?」
「…………っ」
坊主は何か言いたげな表情をしたが、グッと堪えて拳を握り締めた。
「…………自分は、見ての通りネズミの獣人っス。名前はネズヒコ。……中出身っス」
坊主……ネズヒコは、ポツポツと自己紹介を始めた。
だが……そうか、中出身の獣人か。
「ねぇジオウ。中出身って何?」
「レアナ……お前、もうちょっとお勉強した方がいいぞ」
「うっ……そ、そのうちやるわ。それで、中出身ってどういうことなの?」
「……中出身ってのは、いわゆる獣人の国出身って意味だ。獣人の国出身の奴が外にいるなんて、今時珍しいことだが……」
「? 獣人なんだから、獣人の国出身っておかしくないんじゃないの?」
……レアナ、お前本当に勉強した方がいいぞ……。
「……ここ十数年、獣人の国は門を固く閉ざし、中からも外からも人を入れないようにしている。今外にいる獣人は、代々外で暮らしてる獣人だ。だからネズヒコのように、若い獣人が中から外に出ることは珍しいんだ」
いや、珍しいどころじゃない。
国を上げて国外とのやり取りを断絶している中で外に出るってことは……いわゆる、亡命に近い。
それは、相当覚悟のいることだ。
「噂では、今代獣王はかなりの傍若無人と聞くが……」
「……間違いないっス。あいつは力の限りを尽くし、自分達のことを餌かおもちゃにしか思ってないっス」
やっぱり、噂は本当だったか……国交を断絶してるのも、自分のやってることが外に伝わらないようにするため、か。
「……ネズヒコ、大変だったな。外で生活をするなら、ボナト村って所に連れて行ってやる。外出身の獣人もいるし、そこなら安全に……」
「違うっス! 自分、強くなって中に戻るっス!」
……何?
ネズヒコは拳を強く握り締め、砂浜を強く殴り付ける。
「あいつは……獣王トラキチは、国のみんなを苦しめてるっス……! 自分、そんなのもう耐えきれないっス……! みんなを救うために、自分は強くなって中に戻らないといけないっス!」
……ふむ……。
「ちょっといいかしら、ネズヒコ君」
何かに引っかかってると、セツナが口を開いた。
「ネズヒコ君が強くなりたいという気持ちは分かるわ。だけど、それが外に出てきた事と何か関係はあるの?」
……あ、そうか。何かが引っかかると思ってたが、そこか。
別に強くなるためなら、中でも十分修行は出来るはずだ。かなり制限はされるだろうが、それだけの意思があるなら、隠れてでも強くなれるはず。
なのに何で外に出て来たのか……そこが引っかかってたんだ。
「…………っ。……そこは言えないっス。皆さんは命の恩人っスけど……これは、自分の問題っス……!」
ネズヒコの目から見える、憎悪の感情。
それが、国のみんなを思う心なのか、獣王への個人的な感情なのかは分からない。
だが……。
「ネズヒコ、お前は国のみんなを助けて、どうしたいんだ?」
「……え、どう、っスか……?」
「ああ。獣王を倒すために強くなりたいんだろ? ならその後は、お前が獣王にでもなるつもりか?」
「……そこまでは、考えてなかったっス……」
そうか……。
「ネズヒコ、ちょっと待ってろ。みんな、集合」
俺はネズヒコをその場に待たせ、みんなを連れて少し離れた場所へ向かった。
──???side──
……ここは、どこっス……?
「────! ────っ!」
……誰かの声が聞こえるっス……誰っスか……?
「……からリエン、人工呼吸しろって!」
「えぇ!? 私にやらせます!?」
人工呼吸……? もしかして、自分のっスか……?
「お前にしか頼めないんだよ」
「えー……分かりましたよ……」
……もう本当は起きてるっスけど……この声の印象からして……かなりの美人!?
び、びびびび美人の人工呼吸……興奮するっス……!
「もう……行きますよ」
き、来たぁ〜……!
近くに人の気配がするっス……!
ドキドキ、ドキドキ……!
額と顎下を押さえられて、軌道を確保され……。
むちゅぅー……お、おおっ、意外とひんやりした感覚っス……!
むふふ。自分のファーストキッスがこんな形で叶うなんて……!
どどど、どんなご尊顔っスか、自分のファーストキッスの相手は……!
ゆっくり、ゆっくり目を開ける……と……。
顔面蒼白。
無機質な表情。
真っ黒な衣装に全身が包まれている……イケメン。
「ほげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」
◆◆◆
──ジオウside──
あ、起きた。
「リエン、もういいぞ」
「うう……私の可愛いアンデッドの唇が、どこの誰とも分からない獣人に……」
そう言うな。ここには女しかいないし、俺だって見ず知らずの男に人工呼吸とは言えキスはしたくない。
「ほげぇ!? ほげぇぇぇぇぇぇ!?」
ネズミの獣人はパニックになっているのか、ずっとほげほげしか言ってない。何なんだ、こいつ?
「少年よ、大丈夫か? 落ち着け、我らは少年の敵ではないぞ」
シュユが、優しく獣人に話しかける。
「え、ぁ……は、はひっ……」
今度は顔を真っ赤にして、シュユ達の体をチラチラ見始めた。男だから気持ちは分かる。だが、男ならもっと堂々と凝視しろ。
「……って、ええええええ、エルフっス!?」
「うむ、エルフだ」
「……初めて見たっス、生エルフ」
生エルフ言うな。
「おい坊主。美人達に見とれる気持ちは分かるが、ちょっといいか?」
「え、は、はいっス」
俺は坊主の前に座ると、レアナ達は俺の後ろに待機した。
「ここは、エルフしか知らない秘密の入り江のはずだ。お前はどこから来て、何をしてたんだ?」
「……何でそんなこと言わなきゃいけないっスか。見ず知らずの相手に」
お? 意外と強気だな。
背後で、レアナがムッとした気配を感じた。前に出ないように、手を挙げて止める。
「俺達が助けなければ、お前は死んでいた。そうしたら、お前はお前の目的を果たせなかった。その事を念頭に置いて、答えてくれ。──お前は、誰で、どこから来て、何をしていた?」
「…………っ」
坊主は何か言いたげな表情をしたが、グッと堪えて拳を握り締めた。
「…………自分は、見ての通りネズミの獣人っス。名前はネズヒコ。……中出身っス」
坊主……ネズヒコは、ポツポツと自己紹介を始めた。
だが……そうか、中出身の獣人か。
「ねぇジオウ。中出身って何?」
「レアナ……お前、もうちょっとお勉強した方がいいぞ」
「うっ……そ、そのうちやるわ。それで、中出身ってどういうことなの?」
「……中出身ってのは、いわゆる獣人の国出身って意味だ。獣人の国出身の奴が外にいるなんて、今時珍しいことだが……」
「? 獣人なんだから、獣人の国出身っておかしくないんじゃないの?」
……レアナ、お前本当に勉強した方がいいぞ……。
「……ここ十数年、獣人の国は門を固く閉ざし、中からも外からも人を入れないようにしている。今外にいる獣人は、代々外で暮らしてる獣人だ。だからネズヒコのように、若い獣人が中から外に出ることは珍しいんだ」
いや、珍しいどころじゃない。
国を上げて国外とのやり取りを断絶している中で外に出るってことは……いわゆる、亡命に近い。
それは、相当覚悟のいることだ。
「噂では、今代獣王はかなりの傍若無人と聞くが……」
「……間違いないっス。あいつは力の限りを尽くし、自分達のことを餌かおもちゃにしか思ってないっス」
やっぱり、噂は本当だったか……国交を断絶してるのも、自分のやってることが外に伝わらないようにするため、か。
「……ネズヒコ、大変だったな。外で生活をするなら、ボナト村って所に連れて行ってやる。外出身の獣人もいるし、そこなら安全に……」
「違うっス! 自分、強くなって中に戻るっス!」
……何?
ネズヒコは拳を強く握り締め、砂浜を強く殴り付ける。
「あいつは……獣王トラキチは、国のみんなを苦しめてるっス……! 自分、そんなのもう耐えきれないっス……! みんなを救うために、自分は強くなって中に戻らないといけないっス!」
……ふむ……。
「ちょっといいかしら、ネズヒコ君」
何かに引っかかってると、セツナが口を開いた。
「ネズヒコ君が強くなりたいという気持ちは分かるわ。だけど、それが外に出てきた事と何か関係はあるの?」
……あ、そうか。何かが引っかかると思ってたが、そこか。
別に強くなるためなら、中でも十分修行は出来るはずだ。かなり制限はされるだろうが、それだけの意思があるなら、隠れてでも強くなれるはず。
なのに何で外に出て来たのか……そこが引っかかってたんだ。
「…………っ。……そこは言えないっス。皆さんは命の恩人っスけど……これは、自分の問題っス……!」
ネズヒコの目から見える、憎悪の感情。
それが、国のみんなを思う心なのか、獣王への個人的な感情なのかは分からない。
だが……。
「ネズヒコ、お前は国のみんなを助けて、どうしたいんだ?」
「……え、どう、っスか……?」
「ああ。獣王を倒すために強くなりたいんだろ? ならその後は、お前が獣王にでもなるつもりか?」
「……そこまでは、考えてなかったっス……」
そうか……。
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