パーティーを追放された俺は、隠しスキル《縁下》で世界最強のギルドを作る
第17話 愛しき眷属
◆◆◆
──レアナside──
「──セツナの深層意識へ潜ってる間、俺達の体は無防備になる。ガードの方は任せたぞ」
「は、はい。分かりました……」
リエンが、何とも言えない微妙な顔をして頷く。それもそうよね。操られて、自分の意思で戦ってはいなかったとは言え、セツナは私達を殺そうとした。それを味方に付けるのは、私も思うところはある。
でも、ジオウがセツナ無しでは勝てないと判断した。それなら、それに従うのが最善かもね。
ジオウがセツナの右横に、シュユが左横に跪いて、眠っているセツナの肩に手を乗せる。
「クゥ、頼むぞ」
「ん」
頭の方にべた座りしているクゥの手を、片方の手で握る。丁度円になるように。
「行く、です」
クゥを中心に黒いモヤのようなものが、四人を包み込む。
次の瞬間、ジオウとシュユは、まるで糸の切れた人形のように崩れ、眠りについた。
「お兄ちゃん達は今、セツナの中にいる、です。クゥが見張ってるから、安心して欲しい、です」
「クゥちゃん、お願いしますね。さて……レアナちゃん、私達はあれの足止めです」
今だにクロの亡骸を、狂気の笑みで貪り食うアビスを見る。
「クロムウェル……あぁ、俺の愛しい愛しい眷属、クロムウェルよ……」
……あれを、ねぇ……。
「正直、キツそうよ」
「それでもやるしかありません。と言うか、死体の作り方が美しくありませんし、あまつさえそれを食い散らかすとか一番有り得ないです。今私、怒ってます。ネクロマンサーの敵ですよ、あれは」
怒るベクトルが違くない?
「ジオウさんの指示通り、私が牽制と足止めをメインで行います。レアナちゃんはエタちゃんと共に行動し、隙を見て攻撃を繰り出してください」
「了解よ」
私の隣に立つエタが、猛毒龍ヒドラの大剣を担ぎ上げる。私もレーヴァテインの蒼炎を圧縮し、白炎にして剣身に纏わせる。
その気配を感じたのか、アビスはクロを食べる手を止め、こっちへと顔を向けた。
「……レーヴァテイン。かつて俺がクロムウェルに与えた剣が、巡り巡って虫けらの下にあるとは……」
っ……この剣も、私の眼も、元はあいつのものだって言いたいの……?
「残念だけど、眼も、剣も、私のものよ!」
「残念なものか。これも巡り合わせなのだろう。だが……俺の眼は、返してもらう」
クロだったものを投げ捨てたアビスは、クロを殺した黒いオーラを全身から放出させる。
「我、アビスの名において命じる。現界せよ、深淵の悪魔よ」
オーラが蠢き、円形状に形を変える。
何……この不気味な気配は……!?
あの円、どこかに繋がってるの……? 気配の数が尋常じゃないわ!
「……っ!? こ、この気配……ま、まままままままっ、まさか……!?」
「……り、リエン? あんた、顔面大変なことになってるわよ? あれが何だか知ってるの?」
「あわっ……あわわわわわわわっ……!」
リエン!? 顔面蒼白と言うか、最早土気色よ!?
あのリエンすら怯えるなんて……!
油断なくレーヴァテインを構え、円形状のオーラに注視する──と。
「行け、我が眷属──アビス・コックローチ」
かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ……。
ゴキィ!?!?!?
「うにゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
普段のリエンからは想像の付かない叫び声が響き渡る。
でもその気持ち分かりすぎる。別にゴキは苦手ではないが、あの数千……いえ、数万のゴキがこっちへ向かってくるのを見ると、神経が逆撫でされるような感じで嫌だ!
ゴキの群れへ向け、とにかく炎魔法を撃ちまくる。
「うにゃあ! ふしゃーーーー!」
「リエン、まずは言語を話しなさい!」
アンデッド達が、リエンの意思を代弁するように暴れ狂いながらゴキを消していく。順調に見えるけど、この数は尋常じゃないっ。どうしたら……!
「やはり人間はおかしなものだな。このような愛らしい生物を、ここまで嫌悪の眼差しで見ることが出来るとは」
いや、その感性は分からないわ!
アビスは自分の体に這い上がっているゴキを手に取ると、なんの躊躇もなく口に……。
パリッ、コリッ、メリッ。
「ごくん。うむ、美味である」
…………。
あ、どうしよう。泣きそう。
──レアナside──
「──セツナの深層意識へ潜ってる間、俺達の体は無防備になる。ガードの方は任せたぞ」
「は、はい。分かりました……」
リエンが、何とも言えない微妙な顔をして頷く。それもそうよね。操られて、自分の意思で戦ってはいなかったとは言え、セツナは私達を殺そうとした。それを味方に付けるのは、私も思うところはある。
でも、ジオウがセツナ無しでは勝てないと判断した。それなら、それに従うのが最善かもね。
ジオウがセツナの右横に、シュユが左横に跪いて、眠っているセツナの肩に手を乗せる。
「クゥ、頼むぞ」
「ん」
頭の方にべた座りしているクゥの手を、片方の手で握る。丁度円になるように。
「行く、です」
クゥを中心に黒いモヤのようなものが、四人を包み込む。
次の瞬間、ジオウとシュユは、まるで糸の切れた人形のように崩れ、眠りについた。
「お兄ちゃん達は今、セツナの中にいる、です。クゥが見張ってるから、安心して欲しい、です」
「クゥちゃん、お願いしますね。さて……レアナちゃん、私達はあれの足止めです」
今だにクロの亡骸を、狂気の笑みで貪り食うアビスを見る。
「クロムウェル……あぁ、俺の愛しい愛しい眷属、クロムウェルよ……」
……あれを、ねぇ……。
「正直、キツそうよ」
「それでもやるしかありません。と言うか、死体の作り方が美しくありませんし、あまつさえそれを食い散らかすとか一番有り得ないです。今私、怒ってます。ネクロマンサーの敵ですよ、あれは」
怒るベクトルが違くない?
「ジオウさんの指示通り、私が牽制と足止めをメインで行います。レアナちゃんはエタちゃんと共に行動し、隙を見て攻撃を繰り出してください」
「了解よ」
私の隣に立つエタが、猛毒龍ヒドラの大剣を担ぎ上げる。私もレーヴァテインの蒼炎を圧縮し、白炎にして剣身に纏わせる。
その気配を感じたのか、アビスはクロを食べる手を止め、こっちへと顔を向けた。
「……レーヴァテイン。かつて俺がクロムウェルに与えた剣が、巡り巡って虫けらの下にあるとは……」
っ……この剣も、私の眼も、元はあいつのものだって言いたいの……?
「残念だけど、眼も、剣も、私のものよ!」
「残念なものか。これも巡り合わせなのだろう。だが……俺の眼は、返してもらう」
クロだったものを投げ捨てたアビスは、クロを殺した黒いオーラを全身から放出させる。
「我、アビスの名において命じる。現界せよ、深淵の悪魔よ」
オーラが蠢き、円形状に形を変える。
何……この不気味な気配は……!?
あの円、どこかに繋がってるの……? 気配の数が尋常じゃないわ!
「……っ!? こ、この気配……ま、まままままままっ、まさか……!?」
「……り、リエン? あんた、顔面大変なことになってるわよ? あれが何だか知ってるの?」
「あわっ……あわわわわわわわっ……!」
リエン!? 顔面蒼白と言うか、最早土気色よ!?
あのリエンすら怯えるなんて……!
油断なくレーヴァテインを構え、円形状のオーラに注視する──と。
「行け、我が眷属──アビス・コックローチ」
かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ……。
ゴキィ!?!?!?
「うにゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
普段のリエンからは想像の付かない叫び声が響き渡る。
でもその気持ち分かりすぎる。別にゴキは苦手ではないが、あの数千……いえ、数万のゴキがこっちへ向かってくるのを見ると、神経が逆撫でされるような感じで嫌だ!
ゴキの群れへ向け、とにかく炎魔法を撃ちまくる。
「うにゃあ! ふしゃーーーー!」
「リエン、まずは言語を話しなさい!」
アンデッド達が、リエンの意思を代弁するように暴れ狂いながらゴキを消していく。順調に見えるけど、この数は尋常じゃないっ。どうしたら……!
「やはり人間はおかしなものだな。このような愛らしい生物を、ここまで嫌悪の眼差しで見ることが出来るとは」
いや、その感性は分からないわ!
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