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パーティーを追放された俺は、隠しスキル《縁下》で世界最強のギルドを作る

赤金武蔵

第13話 紛うことなき激怒

「レアナ、お前の眼を信じてるぞ」


「任せなさい」


 レアナの瞳が金色に光り、燃え盛っていた蒼炎が圧縮され、白炎に成る。


 金色の髪、金色の瞳、そして神聖な印象を持たせる白炎。


 何だか、この世から逸脱したみたいで……。


「綺麗だな」


「にゃっ!? にゃにゃにゃっ、にゃにを……!?」


「あ、すまん。今は戦いに集中しなきゃな。終わったら、もう一度ゆっくり、二人の時に見せてくれ。行くぞっ!」


「ちょっ、あんたわざと言ってるでしょ!? もう……!」


 はて何のことやら。


空中歩法エア・ウォーク》で一気に加速。セツナへ肉薄し、アンサラーを振るう……!


「シッ……!」


「くっ……! 《精霊の守護》!」


 精霊化した俺達の攻撃を防ぐには、精霊魔法しかない。そう判断したのか、セツナは精霊の防御魔法を使う。


 だけど、俺達の攻撃力を甘く見てもらっちゃ困るぜ!


 アンサラーが《精霊の守護》とぶつかる。一瞬の抵抗を覚えたが、今はこいつを一瞬でも足止め出来ればそれでいい。


「レアナ!」


「ええ! 《白炎輝剣シャイン・ブレイド》!」


 背後にいたレアナが更に加速し、白く輝くレーヴァテインをセツナへ振るい──セツナの防御魔法を粉々に砕いた。


「なっ……!?」


「どりゃあああああ!」


 レアナが気合いを入れて追撃する。


 だがセツナも読んでいたのか、身を翻してレアナの攻撃を避けると、視認出来ないスピードで俺らから離れた位置へ退避した。


「チッ、ちょこまかと速いわね……」


「だな」


 だが、蒼炎を圧縮して破壊力を高めたレーヴァテインとレアナのパワーがあれば、セツナの防御を砕けることが分かったぞ。


「ふん、たった一枚砕いたところで、いい気になるんじゃないわよ……!」


「あなたこそ、一回避けたくらいでいい気になるものではありませんよ」


「──ぇ……?」


 セツナの背後に現れた二つの影。


 猛毒龍ヒドラの巨剣を掲げるエタ。セツナに手を向けて魔法の発動準備をしているセラ。


 二人共淡い光を纏っていることから、恐らく精霊化しているんだろう。ナイスだ、リエン……!


「ッ!? 《精霊──」


「遅い!」


 エタの剣撃と、セラの氷の槍がセツナを襲う。


 だがそれにも反応し、すんでのところで避けられた。が、氷の槍をエタの剣が砕き、氷の雨のようにセツナを攻撃した。


「キャッ……!」


 よしっ、怯んだ……!


「《空中歩法エア・ウォーク》! 行け、レアナ!」


「ええ! ありがとう!」


 レアナが《空中歩法エア・ウォーク》を足場に加速。


 白く輝く白炎が、まるで流れ星のように一直線にセツナへ向かう。


「《流星剣・突メテオ・ストライク》!」


「立体魔法陣、《多重・精霊の守護》!」


 レアナの攻撃とセツナの防御が衝突。軽い衝撃波を生み出した。


 セツナの《多重・精霊の守護》を一枚、また一枚と破壊し、セツナに迫る……!


「こっ……んのぉっ……!」


 が……あと一手が足りない。


 だが、俺もただ見てるだけじゃねーよ!


「クゥ、お前さっき、魔力球全部使わなかっただろ」


『ギクッ。ななな、なんのこと、です?』


 いや、それもう自白してるようなもんじゃん。


「あれがいる。吐き出せ」


『えっ、あれクゥの、ですよ……!?』


「あとで大量に作ってやる」


『ならおーけー、です!』


 うちにいる女子達は、なんでこうも現金なヤツばかりなのか……。


 クゥの吐き出した、ほんの少しの超高純度魔力球。そこに風属性の魔力を付与する。


 超高純度かつ超高密度に圧縮された、風の魔力をレアナへ向け──。


魔力付与エンチャントウィンド!」


 放つ!


 魔力球は高速で飛び──レアナの持つレーヴァテインへ吸収される。


 次の瞬間。


 ゴオォッッッ──!!!!


 凝縮されていた炎が燃え上がり、荒ぶり、《精霊の守護》ごとセツナを飲み込む。


 カッッッ──ズゴアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!


 う、おっ!? す、すげぇ爆発……!?


『レアナねぇね、大丈夫、です?』


「ああ。あれを見ろ」


 指さした先には、リエンの隣にレアナがいた。エタの時空間魔法で、レアナに被害が及ぶ前に瞬間移動させたんだ。クロのやり方と同じだな。


 問題は……あっちだ。


「ぜぇっ、はぁっ、ぜぇっ……!」


 頭から血を流してるとは言え、あれを食らって、まだ生きてるか……。


「頑丈すぎでしょ、あいつ……」


「最後の《精霊の守護》に、大量の魔力を流し込んだのでしょう。出来るだけ威力を相殺出来るように」


 なるほどな。だから生きて……。










「セツナさン」


 ゾワッ──。


 な、んだ……肌が粟立つ、この感じ……。


 声のした方を見る。


 そこには、いつものニヤけている表情ではなく……完全に感情を殺し、能面のような顔の、クロがいた。


 ……いや、あれは感情を殺してるんじゃない。


「あなタ……何を遊んでいるのですカ?」


 紛うことなき、激怒だ。

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