パーティーを追放された俺は、隠しスキル《縁下》で世界最強のギルドを作る
第11話 大胆で繊細な味わいの魔力
『お兄ちゃん……!』
っ……クゥ……!
クゥの心配そうな声に、フル回転していた思考が一瞬止まり……返って冷静になれた。
……俺がここで諦めたら、俺の体は黒炎に燃やされる。そうなると、俺と一体になっているクゥも、燃え死ぬことになる。
今俺が死ねば、クゥも死ぬ。そして俺と契約しているレアナも、リエンも死に、シュユを助けられなくなる。そうなると、クロの思う壷だ……。
そんなこと……そんなこと、させねぇよ……!
「安心しろ、クゥ。俺に任せとけ」
『大丈夫、です……?』
「この俺を誰だと思ってる。大丈夫だ」
半分ははったり。だが半分は本気だ。
冷静になった思考でよく考えると……一つだけ、この危機を脱する方法があった。
それは昔。まだ【白虎】が驕り高ぶらず、俺とレイガが最前線で一緒に戦っていた頃に編み出した戦法だ。
どんな強敵でも、俺とレイガのあれを使えば、乗り越えることの出来たコンビネーション技。
まさか、この状況であれを思い出すとは……皮肉なもんだな。
「クゥ、黒炎のコントロールを任せる。いいか?」
『任された、ですっ』
クゥに黒炎のコントロール権を譲渡し、俺は体の内側に魔力を練る。
不純物があってはいけない。ただただ、純粋な魔力だけをかき集めて、練り上げる。
ほんの一欠片だけでいい。超高純度の魔力を作れれば……!
「ぎゃははははははは! もうずぐぅぅぅうううう! もうずぐごろぜるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるぅぅううううううああああああああ!!!!」
『また……力が……!』
すまんクゥ、もう少し粘ってくれ……!
集中しろ……集中……集中……集中……。
いや、この思考さえも不純物だ。
ただ、身を任せて、魔力を高める……。
…………。
「……何をしているのか分かりませんガ、そんな隙だらけでいいのですカ?」
『させねぇ、ですッッッ!!』
いつの間に俺の背後に佇んでいたクロ。だが、右腕から漏れ出た黒いモヤのようなものが拳の形を作り、クロに攻撃をした。
「くっ……! 邪魔をしないで頂きたイ、クゥレニア!」
『クゥの名前を呼ぶな、です!』
 
前方の黒炎を完璧にコントロールしながら、クロの相手をするクゥ。魔力コントロールだけ見ればリエンと同等か、それ以上だ。
クゥがこれだけ頑張ってくれてるんだ。俺も、俺の出来ることに集中しよう。
集中、集中、集中……。
…………。
………………。
……………………。
……よし、完成だ……!
「あぁっ!? ジオウでめぇ……ナニジデヤガンダァァアアア!?」
「っ!? な、何ダ、その魔力ハ……!」
奴らの驚いている声が聞こえてくる。
それもそうだ。今、俺の突き出している手の中に現れた、一つの魔力球。
超高密度に圧縮された、不純物の欠片もない超高純度の魔力が、暗黒の中すら照らすほどの光りを放っていた。
その魔力球に、今度は属性を付与する。
レイガの力を上げるのは……俺だけだ。
風属性を付与した魔力球が、まるで小さく圧縮された暴風のように暴れ狂う。
よしっ、出来た!
「クゥ、こいつを食え!」
『あい、です! 《暴食》!』
右腕が魔力球を喰らう。
『ふおおおおぉぉぉ〜〜〜〜……!? ままままろやかかつ大胆で繊細な味わいの魔力……! しゅ、しゅごい、ですぅ〜……!』
「食レポはいいから、さっさと黒炎に結合しろ!」
『がってん、です!』
クゥが吐き出した超高純度の魔力球を、黒炎と混ぜ合わせる。
超高純度の魔力球を取り込んだ黒炎は、餌を与えられた犬のように蠢き、レイガの黒炎すら飲み込むほどに巨大化した。
このまま……!
「『行けええええええええええええ!!』」
「がっ!? ごっ!? ば、か、なぁぁぁぁあああああああああ!?」
「チッ……!」
レイガの黒炎を、更なる黒炎で燃やし尽くし……レイガへ向かって飛んでいく。
そして──暗黒すら歪める衝撃と轟音が響き渡り、黒炎球が爆散した。
「はっ……! はっ……! はっ……!」
『やった、です……?』
「さ、さあ、なっ……」
つ、疲れた。あんな超高純度の魔力球なんて作ったことなかったから、神経をすり減らした……。
『……っ! お兄ちゃん、あそこ!』
「え? ……なっ……!?」
あ、あれは……クロ、レイガ……!
……そうかっ、クロの時空間魔法で、間一髪逃げられたのか!? くそ、時空間魔法を敵にすると、こうまで厄介だったなんて……!
だが……少しは食らったのか、レイガの体の半分が焼け爛れている。時空間魔法の力で黒炎だけ消したみたいだが、致命傷には変わりない。
「ぁ……ヴ……ぉ……」
「ふム……こちらはいい感じに煮詰まってますネェ。あとは魔眼さえ手に入れバ……」
……煮詰まってる? 何のことだ……?
「セツナさン、まだですカ? この体はこれ以上持ちませんヨ」
「っ。も、申し訳ございませんクロ様っ。今しばらくお待ちを……!」
「しばらくとは、どの程度デ?」
「い、今すぐに!」
「……頼みますヨ。私は彼の肉体を使って、準備に入りまス。儀式当日まで時間はありますガ……出来るだけ早ク、お願いしまス」
「は、はいっ、クロ様!」
っ、逃がすか……!
超高速でクロに接近し、アンサラーを振り抜く!
「それではジオウさン。また後ほど」
っ、消えた……! くそっ、時空間魔法めんどい! 俺達もよく使う手だけど……!
『お兄ちゃん、レアナねぇねの方、手伝う、です!』
「っ……そう、だな……」
このままアイツを逃がしていいのかは分からない。言いようのない不安が募るが……今は、レアナを守らねぇと……!
っ……クゥ……!
クゥの心配そうな声に、フル回転していた思考が一瞬止まり……返って冷静になれた。
……俺がここで諦めたら、俺の体は黒炎に燃やされる。そうなると、俺と一体になっているクゥも、燃え死ぬことになる。
今俺が死ねば、クゥも死ぬ。そして俺と契約しているレアナも、リエンも死に、シュユを助けられなくなる。そうなると、クロの思う壷だ……。
そんなこと……そんなこと、させねぇよ……!
「安心しろ、クゥ。俺に任せとけ」
『大丈夫、です……?』
「この俺を誰だと思ってる。大丈夫だ」
半分ははったり。だが半分は本気だ。
冷静になった思考でよく考えると……一つだけ、この危機を脱する方法があった。
それは昔。まだ【白虎】が驕り高ぶらず、俺とレイガが最前線で一緒に戦っていた頃に編み出した戦法だ。
どんな強敵でも、俺とレイガのあれを使えば、乗り越えることの出来たコンビネーション技。
まさか、この状況であれを思い出すとは……皮肉なもんだな。
「クゥ、黒炎のコントロールを任せる。いいか?」
『任された、ですっ』
クゥに黒炎のコントロール権を譲渡し、俺は体の内側に魔力を練る。
不純物があってはいけない。ただただ、純粋な魔力だけをかき集めて、練り上げる。
ほんの一欠片だけでいい。超高純度の魔力を作れれば……!
「ぎゃははははははは! もうずぐぅぅぅうううう! もうずぐごろぜるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるぅぅううううううああああああああ!!!!」
『また……力が……!』
すまんクゥ、もう少し粘ってくれ……!
集中しろ……集中……集中……集中……。
いや、この思考さえも不純物だ。
ただ、身を任せて、魔力を高める……。
…………。
「……何をしているのか分かりませんガ、そんな隙だらけでいいのですカ?」
『させねぇ、ですッッッ!!』
いつの間に俺の背後に佇んでいたクロ。だが、右腕から漏れ出た黒いモヤのようなものが拳の形を作り、クロに攻撃をした。
「くっ……! 邪魔をしないで頂きたイ、クゥレニア!」
『クゥの名前を呼ぶな、です!』
 
前方の黒炎を完璧にコントロールしながら、クロの相手をするクゥ。魔力コントロールだけ見ればリエンと同等か、それ以上だ。
クゥがこれだけ頑張ってくれてるんだ。俺も、俺の出来ることに集中しよう。
集中、集中、集中……。
…………。
………………。
……………………。
……よし、完成だ……!
「あぁっ!? ジオウでめぇ……ナニジデヤガンダァァアアア!?」
「っ!? な、何ダ、その魔力ハ……!」
奴らの驚いている声が聞こえてくる。
それもそうだ。今、俺の突き出している手の中に現れた、一つの魔力球。
超高密度に圧縮された、不純物の欠片もない超高純度の魔力が、暗黒の中すら照らすほどの光りを放っていた。
その魔力球に、今度は属性を付与する。
レイガの力を上げるのは……俺だけだ。
風属性を付与した魔力球が、まるで小さく圧縮された暴風のように暴れ狂う。
よしっ、出来た!
「クゥ、こいつを食え!」
『あい、です! 《暴食》!』
右腕が魔力球を喰らう。
『ふおおおおぉぉぉ〜〜〜〜……!? ままままろやかかつ大胆で繊細な味わいの魔力……! しゅ、しゅごい、ですぅ〜……!』
「食レポはいいから、さっさと黒炎に結合しろ!」
『がってん、です!』
クゥが吐き出した超高純度の魔力球を、黒炎と混ぜ合わせる。
超高純度の魔力球を取り込んだ黒炎は、餌を与えられた犬のように蠢き、レイガの黒炎すら飲み込むほどに巨大化した。
このまま……!
「『行けええええええええええええ!!』」
「がっ!? ごっ!? ば、か、なぁぁぁぁあああああああああ!?」
「チッ……!」
レイガの黒炎を、更なる黒炎で燃やし尽くし……レイガへ向かって飛んでいく。
そして──暗黒すら歪める衝撃と轟音が響き渡り、黒炎球が爆散した。
「はっ……! はっ……! はっ……!」
『やった、です……?』
「さ、さあ、なっ……」
つ、疲れた。あんな超高純度の魔力球なんて作ったことなかったから、神経をすり減らした……。
『……っ! お兄ちゃん、あそこ!』
「え? ……なっ……!?」
あ、あれは……クロ、レイガ……!
……そうかっ、クロの時空間魔法で、間一髪逃げられたのか!? くそ、時空間魔法を敵にすると、こうまで厄介だったなんて……!
だが……少しは食らったのか、レイガの体の半分が焼け爛れている。時空間魔法の力で黒炎だけ消したみたいだが、致命傷には変わりない。
「ぁ……ヴ……ぉ……」
「ふム……こちらはいい感じに煮詰まってますネェ。あとは魔眼さえ手に入れバ……」
……煮詰まってる? 何のことだ……?
「セツナさン、まだですカ? この体はこれ以上持ちませんヨ」
「っ。も、申し訳ございませんクロ様っ。今しばらくお待ちを……!」
「しばらくとは、どの程度デ?」
「い、今すぐに!」
「……頼みますヨ。私は彼の肉体を使って、準備に入りまス。儀式当日まで時間はありますガ……出来るだけ早ク、お願いしまス」
「は、はいっ、クロ様!」
っ、逃がすか……!
超高速でクロに接近し、アンサラーを振り抜く!
「それではジオウさン。また後ほど」
っ、消えた……! くそっ、時空間魔法めんどい! 俺達もよく使う手だけど……!
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