パーティーを追放された俺は、隠しスキル《縁下》で世界最強のギルドを作る

赤金武蔵

第33話 戦争③

 ──レアナside──


「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す……」


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」


 はぁ、はぁ、はぁ……クソッ、あんな意味分かんない状態なのに、攻撃スピードもパワーも私以上って、どうなってんのよ……!


「この私が隠れるなんて、屈辱だわ……」


 瓦礫の影から、幽鬼のように立ちすくむ二人をみる。ジオウの契約もないのに、この短時間で強くなりすぎじゃない? 一体どういう事よ。


 ……ジオウとの契約が続いてるわけじゃ無さそうね。私の中で感じられるのは、ジオウとリエンの位置関係だけ。という事は、もっと別の方法で……。


 ここは《鑑定眼》で……。


 男の方(名前は忘れた)に眼を向けようとする。


 瞬間、折れたんじゃと思わせる角度で、首だけで振り向いた。


「《爆裂》」


「っ!」


 あっぶな……! ギリギリで避けられたけど、あと一秒遅かったら木っ端微塵だったわ……くそっ、さっきから何で私の場所が分かるのよ……!


 立ち上がるとレーヴァテインを抜き、炎を男の方に向けて放った。


「《爆裂》」


 でも、それも《爆裂》の魔法で相殺される。


 今だ……!


 まだボーッとしている女の方に縮地の歩法で近付き、首を跳ねようと振り被る。せめて一人だけでも殺せれば……!


 ギイィィンッッッ──!


「っ!?」


 直感で首を傾けて回避。でも……少しだけ、頬が斬られたみたいね。チリチリとした痛みがある。


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」


 ……私の本気の剣を片手持ちの剣で防いで、私にも見えないスピードで迷わず頭を狙いに……剣士としての強さは、この女の方が上ってわけね。


「《爆裂》《爆裂》《爆裂》《爆裂》……」


 それに加えてあの男の魔法……! このままじゃジリ貧よ……!


 周りのレグド族とテサーニャ族は皆が抑えてくれてるから、私はこの二人に集中出来るけど……それでも、二対一っていう不利な構図は変わらない。


 どうにかして、一人だけでも……。


 レーヴァテインを構え、腰を落とす。


 さあ行くわよレアナ。私の真骨頂は《鑑定眼》を使った観察。スピードとパワーで攻撃しつつ、隙を見逃さない……!


「はっ!」


 超高速で男に近付き、下から逆袈裟で斬り掛かる。


 でもそれも、男は避けようとせず腰に携えていた剣を抜いて防いだ。


 でも、まだよ……!


 攻撃はパワーのある一撃では終わらない!


 パワー+スピード+炎の推進力の、全ての攻撃に必殺の威力を込めた連撃!


「宝舞神楽・炎剣!」


 あの時見たアデシャ族長の舞いと、ジオウの風を推進力にする方法を見て編み出した、パワーとスピードを兼ねた本気の攻撃。


 連撃に連撃を重ね、殺し尽くすために編み出した技。


 …………なのに──。


「こんのおおおおおお!」


 ガギギギギギギギギキギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギッッッ──!


 全部が全部、防がれる。


 いや巫山戯んじゃないわよ……! こんな心ここに在らずの奴に、私の攻撃が全部防がれるなんて……!


「ごめんなさい」


 っ! 後ろ……!?


「《爆裂》」


 しまっ──


 ドゴゴゴゴゴゴォッッッ!!!!!


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」


「殺す殺す殺す殺す殺す殺す……」


 …………。


 あーもう!


「うっさいわバカタレ!」


「「!!!」」


 土煙で避けられなかったのか、レーヴァテインの炎を纏った剣が、男の右腕を、女の左腕を斬り落とした。


「けほっ、けほっ……今のは危なかったわね」


 防具に、念の為物理障壁と魔法障壁の魔法を組み込んでもらって良かった……それでも、左腕はもう殆ど感覚はないけどね。


 でも、これで……ぇ……?


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」


「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す……」


 ……う、そ……炎が燃え広がる前に、燃えてる部分を自分で斬り落とした……!?


 理性が少しでもあったら、こんな事出来るわけが無い! 一体どんな……今なら《鑑定眼》で見れるかも……。


 《鑑定眼》!


「──嘘……」


 こんな事って……!










「流石、良い眼をお持ちですネ」


 ゾッ──


「レーヴァテイン!」


 レーヴァテインの炎が、私の周囲を一瞬にして燃やす。でも、そいつ・・・は平然とした表情で炎の中に佇んでいた。


「んふフ。レーヴァテイン……懐かしい剣をお持ちですネ。まさか、回り回ってあなたが手にするとハ……実に興味深イ。これも運命の導きなのかもしれませン」


 ……このウザったらしい話し方。胡散臭い笑み。背筋が凍り付くような存在感……。


「あんたが、クロって奴ね……」


「お初にお目にかかりまス、レアナ嬢。神樹デルタの実のついでに……あなたの目を貰い受けまス」

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