パーティーを追放された俺は、隠しスキル《縁下》で世界最強のギルドを作る
第30話 対決③
予想外の反撃を受けたエンパイオは、手が痺れたのか顔をしかめて肩を回す。
今なら……!
丸まっていたローブから脚を出し、エンパイオに肉薄する。
逆手に持ったアンサラーで頸動脈を狙う。
だがエンパイオは見えていたのか、右腕でそれを止めようとし──直ぐに飛び退いて避けた。
「チッ、避けるな!」
「それは出来ん相談だ。その辺の刃なら、ミスリルで作られたこの鎧で止められるが……そいつは止められんな。あのままでは、俺の腕が千切れていただろう」
……ご明察。こいつも並の目を持ってないな。
魔剣アンサラーの能力その二。
こいつの剣撃を鎧で防ぐ事は出来ず、全てを断ち切る防具破壊の力を持つ。
更にローブに付与されている破壊力上昇のお陰で、防具のみならず武器すら破壊する事が出来るようになっている。
「俺の攻撃、受けない方が身のためだぜ」
「分かっている。だが、それだけで勝敗が決まるほど、勝負は簡単ではないぞ」
「言ってろ」
瞬時に背後に回り込み、勢いのまま上段蹴りを叩き込むが、首を捻って避けられる。
僅かに出来た隙ッ! ここだ!
狙うは脊髄! ここを断ち切れば……!
「《八岐大蛇》」
「っ……!?」
て、手首に衝撃が……!? やばい、離脱!
《空中歩法》でその場から離れ、よく観察する。いや、観察する必要もなく、その衝撃の正体が分かった。
エンパイオを囲うように地面から生える岩の蛇。その数八。それが、まるで意志を持っているかのように蠢きながら俺を威嚇してくる。
「……《八岐大蛇》。オートガードとオートアタックの特性を持つ、半永久型の魔法か……」
「ほう、知っているのか」
当たり前だ。オートガードとオートアタックを兼ねた、自動的に動く魔法なんてそうそう無い。
それにこれは、地帝のエンパイオの代名詞と言われる魔法だ。情報は既に集めている。
近付くものを容赦なく襲い、攻撃の尽くを粉砕するらしい。過去にこの魔法を攻略した人間は皆無。調べたが、攻略法は何一つ分からなかった。
だが俺なら……!
「観察するのは勝手だが、ぼーっとするな。埋めるぞ」
「ぇ……?」
突然の浮遊感。
下を見ると、底の見えない穴。
まずい……!
《空中歩法》で回避……!
「そこで良いのか?」
「んなっ!?」
ここにも穴!?
「くそっ!」
足を付ける場所がなく空中に逃げる。上から見下ろすが、さっきまであった穴はどこにも無かった。
魔法で空けた穴か……俺が地面に足を着けた瞬間に発動するものだろう。これじゃ、地面を使っての攻撃は出来ない。
厄介だな……。
「……思い返してみれば、空を飛ぶ相手は人間では初めてだな。鳥類か竜種なら知能が低くて楽だが……知能を持ち、空を飛ぶ相手か……」
エンパイオの口角が上がる。まるで、新しい玩具を買って貰ったかのような無邪気な笑みだ。こいつ、面白い奴か強い奴が相手だと、テンションの上がるタイプか。正しく戦闘狂だな。
エンパイオが片手を俺に向けると、魔法発動の気配を感じた。
「《ロック・ガトリング》」
《八岐大蛇》の口が開き、拳大の石が無数に放たれる。
だけど、俺だって空中での闘いは慣れてんだよ……!
強化された動体視力をフルに使って、飛んでくる岩の間を縫うようにして避ける。
そのまま一気にエンパイオに近付き、攻撃を仕掛ける!
スカッ──!
……えっ、スカっただと……!?
「ふ……捕まえた」
捕ま……っ、《八岐大蛇》が脚に絡み付いて……!?
「乱射!」
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガカガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ!!!
「ぐっ……おおおおおお!」
俺の脚に絡み付いている《八岐大蛇》の頭を切り落とし、何とか上空に脱出する。
「はぁ、はぁ……くそっ」
ダメージは無いが、精神的にキツイ……。
しかも頭を切り落としたのに、復活してやがる。いくら主成分が岩で周囲が荒野だからって、復活とかありか。
「ふっ……悠長に逃げ回っていて良いのか? 今、貴殿が俺に手こずっている間にも、向こうはどうなっている事やら……」
っ! レアナ、リエン、シュユ……!
確かにそうだ……こんな所で負ける訳にも死ぬ訳にもいかない!
皆を助けるには、ここで勝つしかないんだ……!
今なら……!
丸まっていたローブから脚を出し、エンパイオに肉薄する。
逆手に持ったアンサラーで頸動脈を狙う。
だがエンパイオは見えていたのか、右腕でそれを止めようとし──直ぐに飛び退いて避けた。
「チッ、避けるな!」
「それは出来ん相談だ。その辺の刃なら、ミスリルで作られたこの鎧で止められるが……そいつは止められんな。あのままでは、俺の腕が千切れていただろう」
……ご明察。こいつも並の目を持ってないな。
魔剣アンサラーの能力その二。
こいつの剣撃を鎧で防ぐ事は出来ず、全てを断ち切る防具破壊の力を持つ。
更にローブに付与されている破壊力上昇のお陰で、防具のみならず武器すら破壊する事が出来るようになっている。
「俺の攻撃、受けない方が身のためだぜ」
「分かっている。だが、それだけで勝敗が決まるほど、勝負は簡単ではないぞ」
「言ってろ」
瞬時に背後に回り込み、勢いのまま上段蹴りを叩き込むが、首を捻って避けられる。
僅かに出来た隙ッ! ここだ!
狙うは脊髄! ここを断ち切れば……!
「《八岐大蛇》」
「っ……!?」
て、手首に衝撃が……!? やばい、離脱!
《空中歩法》でその場から離れ、よく観察する。いや、観察する必要もなく、その衝撃の正体が分かった。
エンパイオを囲うように地面から生える岩の蛇。その数八。それが、まるで意志を持っているかのように蠢きながら俺を威嚇してくる。
「……《八岐大蛇》。オートガードとオートアタックの特性を持つ、半永久型の魔法か……」
「ほう、知っているのか」
当たり前だ。オートガードとオートアタックを兼ねた、自動的に動く魔法なんてそうそう無い。
それにこれは、地帝のエンパイオの代名詞と言われる魔法だ。情報は既に集めている。
近付くものを容赦なく襲い、攻撃の尽くを粉砕するらしい。過去にこの魔法を攻略した人間は皆無。調べたが、攻略法は何一つ分からなかった。
だが俺なら……!
「観察するのは勝手だが、ぼーっとするな。埋めるぞ」
「ぇ……?」
突然の浮遊感。
下を見ると、底の見えない穴。
まずい……!
《空中歩法》で回避……!
「そこで良いのか?」
「んなっ!?」
ここにも穴!?
「くそっ!」
足を付ける場所がなく空中に逃げる。上から見下ろすが、さっきまであった穴はどこにも無かった。
魔法で空けた穴か……俺が地面に足を着けた瞬間に発動するものだろう。これじゃ、地面を使っての攻撃は出来ない。
厄介だな……。
「……思い返してみれば、空を飛ぶ相手は人間では初めてだな。鳥類か竜種なら知能が低くて楽だが……知能を持ち、空を飛ぶ相手か……」
エンパイオの口角が上がる。まるで、新しい玩具を買って貰ったかのような無邪気な笑みだ。こいつ、面白い奴か強い奴が相手だと、テンションの上がるタイプか。正しく戦闘狂だな。
エンパイオが片手を俺に向けると、魔法発動の気配を感じた。
「《ロック・ガトリング》」
《八岐大蛇》の口が開き、拳大の石が無数に放たれる。
だけど、俺だって空中での闘いは慣れてんだよ……!
強化された動体視力をフルに使って、飛んでくる岩の間を縫うようにして避ける。
そのまま一気にエンパイオに近付き、攻撃を仕掛ける!
スカッ──!
……えっ、スカっただと……!?
「ふ……捕まえた」
捕ま……っ、《八岐大蛇》が脚に絡み付いて……!?
「乱射!」
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガカガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ!!!
「ぐっ……おおおおおお!」
俺の脚に絡み付いている《八岐大蛇》の頭を切り落とし、何とか上空に脱出する。
「はぁ、はぁ……くそっ」
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しかも頭を切り落としたのに、復活してやがる。いくら主成分が岩で周囲が荒野だからって、復活とかありか。
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