パーティーを追放された俺は、隠しスキル《縁下》で世界最強のギルドを作る
第21話 姉
食事を終えた俺達は、シュユの案内でアデシャ族長の家の裏手に来ていた。
家と苗が巨大で分からなかったが、裏手には祈りを捧げるための豪華絢爛に作られたやぐらがあった。
その周囲には、少なくない数のエルフ達も集まっている。
シュユ曰く、信心深いエルフは毎日のようにここで手を合わせているらしい。
ここにはやぐら以外何も無い。昔から、ここは神に祈りを捧げる場所として整えられているから、周囲に建物を建てることはしないそうだ。
「んーーっ……空気が澄んでいますね。清らかな気持ちになります」
「神々の存在を身近で感じられる、数少ない場所だからな。悪の存在は、ここに来るだけで存在そのものを浄化される程だ」
「……私、ネクロマンサーなんですけど……」
「ネクロマンサー全てが悪という訳では無いだろう? 悪というのは、文字通り悪魔や魔族が該当する。ジオウ殿とレアナ殿が信頼しているリエン殿が、悪のはずないだろう?」
あ、リエンの奴顔真っ赤になった。
「リエン、顔真っ赤よ〜。可愛いわねぇ〜」
「ちょっ、からかわないで下さいっ! 私はお姉さんですよ!?」
「良いじゃん良いじゃん。むふふ〜」
レアナの奴、いつもリエンにからかわれてるから、此処ぞとばかりにからかってるな。こうして見てると、本当の姉妹みたいで微笑ましい。
「みんな、そろそろ儀式が始まるから座ろう。儀式の最中は座るか跪くのが掟なんだ」
周りを見てみると、みんな膝をついて手を組んでいた。あれが祈りの所作らしい。
別に俺達は祈りに来たんじゃなくて見学だから、楽な姿勢で座った。
「来るぞ」
──リィィン──リィィン──
シュユの声と共に、宝樹リシリアから鈴を鳴らしたような音が響いた。
それと共に、アデシャ族長が空から《妖精の羽》で舞い降りた。
袖が膨らんだ服に装飾が施されたスカートを履き、長く、銀色の髪は琥珀色の大ぶりのリングで一つに纏めている。
長方形の複数の紙を金属の骨で繋ぎ合わせた扇のようなものを両手に持ち、宝樹リシリアの前に跪く。
パンッ、と軽快な音と共に扇を広げると、《妖精の羽》を羽ばたかせて回転するように浮かび上がった。
それはまるで、祈りというよりは、舞い。
信仰を形にする、神へ捧げる舞いだ。
「……綺麗ね……」
「ああ……」
再度言うが、あの酒豪で怪力で初対面の相手に魅了を仕掛けてくる奴とは思えん。
「あれは神に捧げる舞い、宝舞神楽だ。各部族で舞いは違い、それぞれ神舞神楽、天舞神楽、聖舞神楽と呼ばれている」
再三言うが、あの酒豪で怪力で(略)。
アデシャ族長が舞いを続けるにつれ、宝樹リシリアの苗から落ちる光の粒子の輝きが増す。
目の前に落ちてきた粒子に触れると、シャボン玉のように弾けて消えた。
……言葉で言い表すのが難しいな……心が揺さぶられるというか、込み上げてくるこの感覚。嫌いではない。
そんな舞いをただ見ている。と……。
「……ん?」
跪く信者の中に、何もせずただボーッと立っているだけのエルフを見つけた。
他のエルフは気が付いてないのか、それとも祈りに夢中になってるのか、誰もあのエルフを咎めない。
さっきシュユは、儀式の最中は立ってはいけないと言っていた。なのに何で……。
それに……何だ、この悪寒は……あのエルフを見てると、背筋が凍る感じがする……。
三人もあのエルフには気付いていない。それどころか、舞いを見ている目も少しトロンとしてる気がする。
……まさかこれ……精神魔法の一種か……!? 俺は二人のくれたローブのお陰で掛かってなかったらしいな……!
直感を頼りに、やぐらに向かって跳ぶ。
それとほぼ同時──俺の方が若干速かった──に、エルフが両腕をアデシャ族長に向けた。アデシャ族長はそれに気付かず、踊り続けている。
間に合うか……!
「アデシャああああああ!!!」
《空中歩法》……!
「────ぇ?」
俺がアデシャ族長とエルフの間に入り込んだ瞬間──エルフから、三〇を超える光の矢が放たれた。
「《風王鉄壁》!」
俺の使える風魔法最強の防御魔法を展開。だが、俺とアデシャ族長を護るほどの大きさしか作れず、やぐらが粉々に砕かれた。
「はっ、はっ、はっ……間に合った……」
何なんだ、あれは……!
「……はれ? 私、何を……?」
「ん、んん〜……?」
今の衝撃で、この場にいた全員の精神魔法が解けたらしい。
「レアナ、リエン! そのエルフを取り押さえろ!」
「えっ? わ、分かったわ!」
「アンデッド出して平気ですかね!? 浄化されませんか!?」
とか何とか言いつつアンデッドシノビを出す。しかし懸念した通り、一瞬で浄化された。
「くぅ! 私素手は苦手なのですが……!」
レアナとリエンが、魔法を放ったエルフに向かう。俺もアデシャ族長に念の為防御魔法を使い、《空中歩法》でエルフに向かって跳んだ。
「シュユ! お前も手伝ってくれ!」
「…………」
「……シュユ? おいシュユ!」
くそっ、何呆然としてるんだ!
「……嘘、だろ……?」
「セツナ、姉様……?」
家と苗が巨大で分からなかったが、裏手には祈りを捧げるための豪華絢爛に作られたやぐらがあった。
その周囲には、少なくない数のエルフ達も集まっている。
シュユ曰く、信心深いエルフは毎日のようにここで手を合わせているらしい。
ここにはやぐら以外何も無い。昔から、ここは神に祈りを捧げる場所として整えられているから、周囲に建物を建てることはしないそうだ。
「んーーっ……空気が澄んでいますね。清らかな気持ちになります」
「神々の存在を身近で感じられる、数少ない場所だからな。悪の存在は、ここに来るだけで存在そのものを浄化される程だ」
「……私、ネクロマンサーなんですけど……」
「ネクロマンサー全てが悪という訳では無いだろう? 悪というのは、文字通り悪魔や魔族が該当する。ジオウ殿とレアナ殿が信頼しているリエン殿が、悪のはずないだろう?」
あ、リエンの奴顔真っ赤になった。
「リエン、顔真っ赤よ〜。可愛いわねぇ〜」
「ちょっ、からかわないで下さいっ! 私はお姉さんですよ!?」
「良いじゃん良いじゃん。むふふ〜」
レアナの奴、いつもリエンにからかわれてるから、此処ぞとばかりにからかってるな。こうして見てると、本当の姉妹みたいで微笑ましい。
「みんな、そろそろ儀式が始まるから座ろう。儀式の最中は座るか跪くのが掟なんだ」
周りを見てみると、みんな膝をついて手を組んでいた。あれが祈りの所作らしい。
別に俺達は祈りに来たんじゃなくて見学だから、楽な姿勢で座った。
「来るぞ」
──リィィン──リィィン──
シュユの声と共に、宝樹リシリアから鈴を鳴らしたような音が響いた。
それと共に、アデシャ族長が空から《妖精の羽》で舞い降りた。
袖が膨らんだ服に装飾が施されたスカートを履き、長く、銀色の髪は琥珀色の大ぶりのリングで一つに纏めている。
長方形の複数の紙を金属の骨で繋ぎ合わせた扇のようなものを両手に持ち、宝樹リシリアの前に跪く。
パンッ、と軽快な音と共に扇を広げると、《妖精の羽》を羽ばたかせて回転するように浮かび上がった。
それはまるで、祈りというよりは、舞い。
信仰を形にする、神へ捧げる舞いだ。
「……綺麗ね……」
「ああ……」
再度言うが、あの酒豪で怪力で初対面の相手に魅了を仕掛けてくる奴とは思えん。
「あれは神に捧げる舞い、宝舞神楽だ。各部族で舞いは違い、それぞれ神舞神楽、天舞神楽、聖舞神楽と呼ばれている」
再三言うが、あの酒豪で怪力で(略)。
アデシャ族長が舞いを続けるにつれ、宝樹リシリアの苗から落ちる光の粒子の輝きが増す。
目の前に落ちてきた粒子に触れると、シャボン玉のように弾けて消えた。
……言葉で言い表すのが難しいな……心が揺さぶられるというか、込み上げてくるこの感覚。嫌いではない。
そんな舞いをただ見ている。と……。
「……ん?」
跪く信者の中に、何もせずただボーッと立っているだけのエルフを見つけた。
他のエルフは気が付いてないのか、それとも祈りに夢中になってるのか、誰もあのエルフを咎めない。
さっきシュユは、儀式の最中は立ってはいけないと言っていた。なのに何で……。
それに……何だ、この悪寒は……あのエルフを見てると、背筋が凍る感じがする……。
三人もあのエルフには気付いていない。それどころか、舞いを見ている目も少しトロンとしてる気がする。
……まさかこれ……精神魔法の一種か……!? 俺は二人のくれたローブのお陰で掛かってなかったらしいな……!
直感を頼りに、やぐらに向かって跳ぶ。
それとほぼ同時──俺の方が若干速かった──に、エルフが両腕をアデシャ族長に向けた。アデシャ族長はそれに気付かず、踊り続けている。
間に合うか……!
「アデシャああああああ!!!」
《空中歩法》……!
「────ぇ?」
俺がアデシャ族長とエルフの間に入り込んだ瞬間──エルフから、三〇を超える光の矢が放たれた。
「《風王鉄壁》!」
俺の使える風魔法最強の防御魔法を展開。だが、俺とアデシャ族長を護るほどの大きさしか作れず、やぐらが粉々に砕かれた。
「はっ、はっ、はっ……間に合った……」
何なんだ、あれは……!
「……はれ? 私、何を……?」
「ん、んん〜……?」
今の衝撃で、この場にいた全員の精神魔法が解けたらしい。
「レアナ、リエン! そのエルフを取り押さえろ!」
「えっ? わ、分かったわ!」
「アンデッド出して平気ですかね!? 浄化されませんか!?」
とか何とか言いつつアンデッドシノビを出す。しかし懸念した通り、一瞬で浄化された。
「くぅ! 私素手は苦手なのですが……!」
レアナとリエンが、魔法を放ったエルフに向かう。俺もアデシャ族長に念の為防御魔法を使い、《空中歩法》でエルフに向かって跳んだ。
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