パーティーを追放された俺は、隠しスキル《縁下》で世界最強のギルドを作る
第13話 天使の羽?
シュユが部屋を探して三〇分が経った。色々と奇声が上がったり表情がコロコロと変わったりして、見ていて全然飽きない。
「おぉ……これ、まさか聖書クリミナルの写本……!? 現物を拝んだのは初めてだ……」
あー、あるある。片付けてる最中に、昔遊んでた玩具や本が出て来て片付けが進まなくなる症候群。だけど……。
「シュユ?」
「ギクッ。わ、分かっている。……でもちょっとだけ……」
「本は逃げないだろ。早く探さないと、一週間はここに閉じ込めるぞ」
「わ、分かった! 分かったから怖いこと言うな!」
俺の脅しでいそいそと探索を再開する。
「これは神馬の鬣。これは天鱗。これは悪童の鉛筆。これは悪魔の角。これは……」
いやすげーなシュユ。一個一個名前を言ってるんだけど。結構知識人なんだな……。
「うーん……見つからんな……ただ、これ程までに希少物質があるんだから、一つくらいはあってもいいと思うんだが……むぅ……」
顔をしかめているシュユに近づき、声をかける。
「無さそうか?」
「ああ。まだ全部は調べてないが……」
「なるほどな……なら、暫くここは解放しておくから、好きなだけ探していけ。まだ神樹が完全に活性化するまで二ヶ月あるんだろ? ゆっくり探せばいいさ。今日はもう寝よう」
「……そうだな……まだ同朋から見つけたという連絡はない。暫く世話になりつつ、ここを隅から隅まで探させてくれ」
「勿論だ」
ロックは掛けずに扉を閉めると、二人で階段を上がって執務室へ戻ってきた。
「ここにいる間は、昨日と同じ客室を使ってくれ。俺は基本ここにいるし、何かあったらリエンを頼ってくれてもいい」
「何から何まですまない」
シュユとペルが礼儀正しく頭を下げてきた。別に礼を言われるような事はしてないんだが……ただお互いに利益があるから、協力してるだけだし。
「……そう言えばジオウ殿。ジオウ殿の言っていた頼みというのはなんなのだ? あれから何も聞いていないのだが……」
「そうだったか? なら、明日の朝皆が集まった時にでも話す。今日はゆっくり寝な」
「う、うむ。……エロはダメだぞ?」
「なに、希望してんの?」
「そ、そんな訳ないだろ! ふん!」
いやそんな顔真っ赤にされても……自分から言い出して何を照れてんだこいつは。
ジト目を向けると、シュユは慌てたように執務室を出ていく。だがペルは、俺と同じような目でシュユを見送り、俺の方を見た。
「……お前の主人も大概だな……」
(シュユが迷惑を掛けてすみません)
何となくペルがそう言った気がして、俺も苦笑いを浮かべるしかなかった。
──────────
翌朝──という名の十四時。
いかん、がっつり寝すぎた。まあ昨日はかなりキツい夜だったし、仕方ないか……。
「おはよーさーんっと……あれ、レアナ?」
何でレアナが執務室に?
「おはようって……もう十四時よ。おはようじゃなくておそようじゃない」
「悪い悪い。で、レアナは何でここに?」
「シュユに頼まれて、倉庫の中を探してたのよ。私の《鑑定眼》と《千里眼》を組み合わせてね」
……なるほど。《千里眼》の範囲内にある物品を全て鑑定したのか。確かにそれなら、一つ一つ探す手間は省ける。効率のいい方法だ。
「それで、見つかったのか?」
「一つだけ、倉庫の中にあったわ。これよ」
椅子に座ると、座卓の上にあった一つの羽を執務机に乗せた。
「これ、天使の羽か? 見た目はただの鳥の羽だな」
あ、でも光にかざすと若干虹色に光ってるかも。面白いなこの羽。
「それ、天使の羽じゃないわ。もっと別のもの」
「……え、でも見つけたって言ってたろ? 何が違うんだ?」
「私も初めて知ったけど、天使にも階級があるらしいの。それで、これは天使よりも階級が上の天使の羽。天使の上位存在──大天使ミカエルの羽よ」
……え、大天使ミカエル……?
…………。
「誰だ?」
「知らないわ。今リエンが調査中よ」
天使なんて存在すらあやふやなのに、更に階級も別。名前も付いているなんて、初めて聞いたな。
天使自体は、数年に一度存在は確認されている。厄災や大飢饉などの災害時に、神官二〇人の魔力と祈りを捧げて召喚される超常の存在だ。
召喚と言っても、実際に目の前に現れる訳じゃない。天使という存在を感じる程度でしかない。唯一天使がいるという証明として使われるのが、天使の羽とされている。
その上位存在の羽なんて、何でこんな所に……グレゴリオ・アルケミスト。侮れない奴だな……。
大天使ミカエルの羽を机の上に置くと、エタの運んできたコーヒーを啜る。
「ふぅ……そういや、シュユはどこに行ったんだ?」
「あの子なら同朋に連絡するって言って外に出てったわ。世界最速の鳥、マッハバードを使ってやり取りしてるから、もうそろそろ戻ってくるんじゃないかしら」
「……天使の羽じゃないけど、そこんとこ大丈夫なのか?」
「さあ? 興奮したリエンみたいに気持ち悪い感じだったし、多分大丈夫じゃないかしら?」
あぁ……あの涎まみれの顔、何となくイメージ出来るな。リエンは死体愛好家、シュユは神聖遺物フェチってところか。
「……この館にいる女の子で一番常識的なのって、レアナだよなぁ……」
「……あの二人と比べられると誰だって常識的じゃないかしら?」
違いない。
「おぉ……これ、まさか聖書クリミナルの写本……!? 現物を拝んだのは初めてだ……」
あー、あるある。片付けてる最中に、昔遊んでた玩具や本が出て来て片付けが進まなくなる症候群。だけど……。
「シュユ?」
「ギクッ。わ、分かっている。……でもちょっとだけ……」
「本は逃げないだろ。早く探さないと、一週間はここに閉じ込めるぞ」
「わ、分かった! 分かったから怖いこと言うな!」
俺の脅しでいそいそと探索を再開する。
「これは神馬の鬣。これは天鱗。これは悪童の鉛筆。これは悪魔の角。これは……」
いやすげーなシュユ。一個一個名前を言ってるんだけど。結構知識人なんだな……。
「うーん……見つからんな……ただ、これ程までに希少物質があるんだから、一つくらいはあってもいいと思うんだが……むぅ……」
顔をしかめているシュユに近づき、声をかける。
「無さそうか?」
「ああ。まだ全部は調べてないが……」
「なるほどな……なら、暫くここは解放しておくから、好きなだけ探していけ。まだ神樹が完全に活性化するまで二ヶ月あるんだろ? ゆっくり探せばいいさ。今日はもう寝よう」
「……そうだな……まだ同朋から見つけたという連絡はない。暫く世話になりつつ、ここを隅から隅まで探させてくれ」
「勿論だ」
ロックは掛けずに扉を閉めると、二人で階段を上がって執務室へ戻ってきた。
「ここにいる間は、昨日と同じ客室を使ってくれ。俺は基本ここにいるし、何かあったらリエンを頼ってくれてもいい」
「何から何まですまない」
シュユとペルが礼儀正しく頭を下げてきた。別に礼を言われるような事はしてないんだが……ただお互いに利益があるから、協力してるだけだし。
「……そう言えばジオウ殿。ジオウ殿の言っていた頼みというのはなんなのだ? あれから何も聞いていないのだが……」
「そうだったか? なら、明日の朝皆が集まった時にでも話す。今日はゆっくり寝な」
「う、うむ。……エロはダメだぞ?」
「なに、希望してんの?」
「そ、そんな訳ないだろ! ふん!」
いやそんな顔真っ赤にされても……自分から言い出して何を照れてんだこいつは。
ジト目を向けると、シュユは慌てたように執務室を出ていく。だがペルは、俺と同じような目でシュユを見送り、俺の方を見た。
「……お前の主人も大概だな……」
(シュユが迷惑を掛けてすみません)
何となくペルがそう言った気がして、俺も苦笑いを浮かべるしかなかった。
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いかん、がっつり寝すぎた。まあ昨日はかなりキツい夜だったし、仕方ないか……。
「おはよーさーんっと……あれ、レアナ?」
何でレアナが執務室に?
「おはようって……もう十四時よ。おはようじゃなくておそようじゃない」
「悪い悪い。で、レアナは何でここに?」
「シュユに頼まれて、倉庫の中を探してたのよ。私の《鑑定眼》と《千里眼》を組み合わせてね」
……なるほど。《千里眼》の範囲内にある物品を全て鑑定したのか。確かにそれなら、一つ一つ探す手間は省ける。効率のいい方法だ。
「それで、見つかったのか?」
「一つだけ、倉庫の中にあったわ。これよ」
椅子に座ると、座卓の上にあった一つの羽を執務机に乗せた。
「これ、天使の羽か? 見た目はただの鳥の羽だな」
あ、でも光にかざすと若干虹色に光ってるかも。面白いなこの羽。
「それ、天使の羽じゃないわ。もっと別のもの」
「……え、でも見つけたって言ってたろ? 何が違うんだ?」
「私も初めて知ったけど、天使にも階級があるらしいの。それで、これは天使よりも階級が上の天使の羽。天使の上位存在──大天使ミカエルの羽よ」
……え、大天使ミカエル……?
…………。
「誰だ?」
「知らないわ。今リエンが調査中よ」
天使なんて存在すらあやふやなのに、更に階級も別。名前も付いているなんて、初めて聞いたな。
天使自体は、数年に一度存在は確認されている。厄災や大飢饉などの災害時に、神官二〇人の魔力と祈りを捧げて召喚される超常の存在だ。
召喚と言っても、実際に目の前に現れる訳じゃない。天使という存在を感じる程度でしかない。唯一天使がいるという証明として使われるのが、天使の羽とされている。
その上位存在の羽なんて、何でこんな所に……グレゴリオ・アルケミスト。侮れない奴だな……。
大天使ミカエルの羽を机の上に置くと、エタの運んできたコーヒーを啜る。
「ふぅ……そういや、シュユはどこに行ったんだ?」
「あの子なら同朋に連絡するって言って外に出てったわ。世界最速の鳥、マッハバードを使ってやり取りしてるから、もうそろそろ戻ってくるんじゃないかしら」
「……天使の羽じゃないけど、そこんとこ大丈夫なのか?」
「さあ? 興奮したリエンみたいに気持ち悪い感じだったし、多分大丈夫じゃないかしら?」
あぁ……あの涎まみれの顔、何となくイメージ出来るな。リエンは死体愛好家、シュユは神聖遺物フェチってところか。
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