パーティーを追放された俺は、隠しスキル《縁下》で世界最強のギルドを作る
第7話 情報交換と今後の方針
食事が終わり、最後にケーキと紅茶を食べながら、今日の成果を出し合う。
「まずはリエン。資料の中にエルフの情報は無かったか?」
「僅かですがありましたよ。こちらをどうぞ」
リエンは資料から幾つか抜粋したのか、一枚の紙に纏めたものを差し出してきた。
数にしたら四つ。
一つ目。最近になり、冒険者のエルフ族の目撃情報が増えていること。ただし、移動速度が速すぎて捕まえるのは疎か、視認するのも難しいらしい。何かを探しているようにも見えた、と言う情報だ。
二つ目。二〇年前、エルフを買ったと言いふらしていた貴族がいたこと。これは俺の情報と被ってるな。
三つ目。エルフ族の祀っていると言われている、樹木が最近になって活発になっていること。樹木の名前は分からない。
四つ目。エルフ族の好きな食べ物は野草シチューであること。これはほぼ眉唾物らしい。
「一つ目からですね。閉鎖的で隠れてばかりのエルフ族が、最近人里近くまで降りて来ているらしいです。まるで、何かを探しているような素振りを見せて」
「探してる、ね……どんなものを探してるかは、流石に分からないのよね?」
「はい。ですが、推測は出来ます」
リエンは一つ目と三つ目に丸を付けた。
「恐らくエルフは、この活発になっている樹木に関係するものを探しているのだと思います。樹木に供えるものなのか、与えるものなのかは分かりません」
なるほどな……情報としては怪しいが、いくつも目撃情報が出てるのは見過ごせない。これは調査する必要がありそうだ。
「二つ目は二〇年前の情報で、今どうなっているかは分かりません」
「あ、それに関しては俺の方で情報を集められた。俺の時に話そう」
「分かりました。それでは最後、四つ目は……」
リエンとレアナが揃って微妙な笑顔を浮かべる。……なんだよ?
すると、レアナが席を立って一つの皿を持ってきた。その中に入ってるのは……シチュー、か?
「実は、野草シチューを作ってみたのよ。リエンの見つけたレシピを元に」
「……え、これが?」
なんか全体的にどす黒い色をしてるんだけど……緑と紫とほんのちょっとのピンクを混ぜたような、何とも言えない色だ。ぶっちゃけ不味そう。
「まあまあ、食べてご覧なさい」
「……いただきます」
パク。
「ぶぼーーーーーっ! まっず!? えっ、痛い痛い痛い口の中痛い!?」
「そうなるわよねぇ……」
「予想通りの反応ですね」
いや冷静に見てんなよ!? 誰か水! 水ーーーーーー!
「死ぬかと思った……」
「あはは、ごめんごめん」
口の中で氷をコロコロと転がす。うひっ、まだ痛い。
「とにかく、この野草シチューは激マズなんです。これをエルフ族が好きなんて、とても思えません」
確かに……これは筆舌に尽くし難い不味さだ。これを好きなんて想像できない。
恐らく、他にもこれを作った奴はいたんだろう。ただ、味見段階で不味すぎて、誰も実際に試したことはないんだと思う。
だからこそ。
「いや、試す価値はある」
「「へ?」」
俺の言葉に、二人して目を点にした。
「獣人族は、体の代謝を活発にするために肉を主食とする。でもそれと同じくらい、超激辛料理も平気な顔をして食べるんだ。もしエルフ族が同じような理由でこれを食べるなら、可能性はある」
「確かに、獣人族はそうかもしれませんが……超激辛と言っても、食べられるものです。これは食べられませんよ?」
「辛いも痛いも、同じ痛覚信号だ。多分大丈夫だろう」
俺はもう二度と食べたくはない。罰ゲームでも絶対嫌だ。
ふぅ……ちょっと治まったな。
「じゃあ次、レアナの方から何かあるか?」
「あるわよ。ミヤビ大商会の会長、ミヤビさんから聞いたんだけど、リエンにエルフの死体を売った商人、ラゼルは売ってから三日後に殺されたらしいわ」
うん、俺がシュラーケンから聞いた情報と同じだな。
「それでその死因、全身を弓矢で貫かれていて、全身蜂の巣で死んでたらしいわ。その中の一本を借りてきたわよ」
レアナは足元に置いていた布をテーブルの上に起き、布を解く。
そこにあったのは、金属の鏃と羽が付いている、ありふれた矢だった。
ただ普通の矢と違うのは、矢柄の部分に小さいマークが刻まれている。
……あれ、このマーク、どこかで……?
「羽はフェザーファルコン。矢柄は宝樹リシリア。鏃はミスリル。ミヤビさんも、こんなのは見たことないって言ってた。恐らく、エルフ族のものよ」
「よくこんなものが残ってたな……間違いなく、エルフ族としての痕跡だろ?」
「偶然、ラゼルの近くに隠れるようにして落ちてたみたい」
偶然にしては出来すぎの気もするが……何にせよ、手掛かりがあるのはいい事だ。
「じゃあ、最後は俺だな。俺の方は、さっきの二〇年前に貴族が買ったエルフについて分かった事がある」
闇オークションカタログから切り出した写真を二人に見せる。
「不潔」
「いやらしいです」
「ちっげーよ確かに局部しか隠れてないけども!」
だからそんな蔑むような目で見んな!
「……これは、俺の昔の伝手で手に入れた三〇〇年前の闇オークションで出品されたエルフの写真だ。名前はセツナ。こいつが二〇年前、貴族に売られたエルフだ」
「……よくそんなもの見つかったわね」
「俺にも、ちょっと言えない伝手の一つや二つはある」
シュラーケンなんてまともな伝手の方だ。
「それでこのエルフだが、なんやかんやあってその後直ぐ別の人物に売られたらしい。これはまだ憶測だが、俺とリエンは会ったことがある奴だ」
「私が、ですか?」
「ああ。地帝のエンパイアと戦った時に現れた、あのクロと名乗った胡散臭い執事のような奴だ」
思い出したのか、リエンは息を飲んで目を見開いた。
「……あの人、どう見ても二十代に見えましたが……」
「俺もそう見えた。だけど、やり口が共通している点がある。もしかしたら二〇年前とは別人かもしれないが、関連はありそうだ」
さて、これで全部情報は出揃って──
「ねえ、ちょっといい? このマーク……」
と、レアナが写真の右腕と、矢に彫られているマークを見比べる。
「もしかして、同じじゃないかしら?」
「なに?」
……確かに、同じのように見える。ということは、もしかしてエルフ族のマークなのか……?
「あれ? でもセラちゃんにはそんなマークありませんよ?」
「……もしかしたら、種族を示すマークじゃなく、部族を示すマークなのかもな。この矢を使う部族と、セツナの部族は同じものなのかもしれない」
三人で調べた結果、色々と情報が繋がったな。
「じゃあ、今後の方針としては、クロが何故エルフを買ったのかの調査……は難しいか。野草シチューの実験。エルフの祀っている樹木の捜索。この二つをメインにする」
「了解よ」
「承知しました」
「まずはリエン。資料の中にエルフの情報は無かったか?」
「僅かですがありましたよ。こちらをどうぞ」
リエンは資料から幾つか抜粋したのか、一枚の紙に纏めたものを差し出してきた。
数にしたら四つ。
一つ目。最近になり、冒険者のエルフ族の目撃情報が増えていること。ただし、移動速度が速すぎて捕まえるのは疎か、視認するのも難しいらしい。何かを探しているようにも見えた、と言う情報だ。
二つ目。二〇年前、エルフを買ったと言いふらしていた貴族がいたこと。これは俺の情報と被ってるな。
三つ目。エルフ族の祀っていると言われている、樹木が最近になって活発になっていること。樹木の名前は分からない。
四つ目。エルフ族の好きな食べ物は野草シチューであること。これはほぼ眉唾物らしい。
「一つ目からですね。閉鎖的で隠れてばかりのエルフ族が、最近人里近くまで降りて来ているらしいです。まるで、何かを探しているような素振りを見せて」
「探してる、ね……どんなものを探してるかは、流石に分からないのよね?」
「はい。ですが、推測は出来ます」
リエンは一つ目と三つ目に丸を付けた。
「恐らくエルフは、この活発になっている樹木に関係するものを探しているのだと思います。樹木に供えるものなのか、与えるものなのかは分かりません」
なるほどな……情報としては怪しいが、いくつも目撃情報が出てるのは見過ごせない。これは調査する必要がありそうだ。
「二つ目は二〇年前の情報で、今どうなっているかは分かりません」
「あ、それに関しては俺の方で情報を集められた。俺の時に話そう」
「分かりました。それでは最後、四つ目は……」
リエンとレアナが揃って微妙な笑顔を浮かべる。……なんだよ?
すると、レアナが席を立って一つの皿を持ってきた。その中に入ってるのは……シチュー、か?
「実は、野草シチューを作ってみたのよ。リエンの見つけたレシピを元に」
「……え、これが?」
なんか全体的にどす黒い色をしてるんだけど……緑と紫とほんのちょっとのピンクを混ぜたような、何とも言えない色だ。ぶっちゃけ不味そう。
「まあまあ、食べてご覧なさい」
「……いただきます」
パク。
「ぶぼーーーーーっ! まっず!? えっ、痛い痛い痛い口の中痛い!?」
「そうなるわよねぇ……」
「予想通りの反応ですね」
いや冷静に見てんなよ!? 誰か水! 水ーーーーーー!
「死ぬかと思った……」
「あはは、ごめんごめん」
口の中で氷をコロコロと転がす。うひっ、まだ痛い。
「とにかく、この野草シチューは激マズなんです。これをエルフ族が好きなんて、とても思えません」
確かに……これは筆舌に尽くし難い不味さだ。これを好きなんて想像できない。
恐らく、他にもこれを作った奴はいたんだろう。ただ、味見段階で不味すぎて、誰も実際に試したことはないんだと思う。
だからこそ。
「いや、試す価値はある」
「「へ?」」
俺の言葉に、二人して目を点にした。
「獣人族は、体の代謝を活発にするために肉を主食とする。でもそれと同じくらい、超激辛料理も平気な顔をして食べるんだ。もしエルフ族が同じような理由でこれを食べるなら、可能性はある」
「確かに、獣人族はそうかもしれませんが……超激辛と言っても、食べられるものです。これは食べられませんよ?」
「辛いも痛いも、同じ痛覚信号だ。多分大丈夫だろう」
俺はもう二度と食べたくはない。罰ゲームでも絶対嫌だ。
ふぅ……ちょっと治まったな。
「じゃあ次、レアナの方から何かあるか?」
「あるわよ。ミヤビ大商会の会長、ミヤビさんから聞いたんだけど、リエンにエルフの死体を売った商人、ラゼルは売ってから三日後に殺されたらしいわ」
うん、俺がシュラーケンから聞いた情報と同じだな。
「それでその死因、全身を弓矢で貫かれていて、全身蜂の巣で死んでたらしいわ。その中の一本を借りてきたわよ」
レアナは足元に置いていた布をテーブルの上に起き、布を解く。
そこにあったのは、金属の鏃と羽が付いている、ありふれた矢だった。
ただ普通の矢と違うのは、矢柄の部分に小さいマークが刻まれている。
……あれ、このマーク、どこかで……?
「羽はフェザーファルコン。矢柄は宝樹リシリア。鏃はミスリル。ミヤビさんも、こんなのは見たことないって言ってた。恐らく、エルフ族のものよ」
「よくこんなものが残ってたな……間違いなく、エルフ族としての痕跡だろ?」
「偶然、ラゼルの近くに隠れるようにして落ちてたみたい」
偶然にしては出来すぎの気もするが……何にせよ、手掛かりがあるのはいい事だ。
「じゃあ、最後は俺だな。俺の方は、さっきの二〇年前に貴族が買ったエルフについて分かった事がある」
闇オークションカタログから切り出した写真を二人に見せる。
「不潔」
「いやらしいです」
「ちっげーよ確かに局部しか隠れてないけども!」
だからそんな蔑むような目で見んな!
「……これは、俺の昔の伝手で手に入れた三〇〇年前の闇オークションで出品されたエルフの写真だ。名前はセツナ。こいつが二〇年前、貴族に売られたエルフだ」
「……よくそんなもの見つかったわね」
「俺にも、ちょっと言えない伝手の一つや二つはある」
シュラーケンなんてまともな伝手の方だ。
「それでこのエルフだが、なんやかんやあってその後直ぐ別の人物に売られたらしい。これはまだ憶測だが、俺とリエンは会ったことがある奴だ」
「私が、ですか?」
「ああ。地帝のエンパイアと戦った時に現れた、あのクロと名乗った胡散臭い執事のような奴だ」
思い出したのか、リエンは息を飲んで目を見開いた。
「……あの人、どう見ても二十代に見えましたが……」
「俺もそう見えた。だけど、やり口が共通している点がある。もしかしたら二〇年前とは別人かもしれないが、関連はありそうだ」
さて、これで全部情報は出揃って──
「ねえ、ちょっといい? このマーク……」
と、レアナが写真の右腕と、矢に彫られているマークを見比べる。
「もしかして、同じじゃないかしら?」
「なに?」
……確かに、同じのように見える。ということは、もしかしてエルフ族のマークなのか……?
「あれ? でもセラちゃんにはそんなマークありませんよ?」
「……もしかしたら、種族を示すマークじゃなく、部族を示すマークなのかもな。この矢を使う部族と、セツナの部族は同じものなのかもしれない」
三人で調べた結果、色々と情報が繋がったな。
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