パーティーを追放された俺は、隠しスキル《縁下》で世界最強のギルドを作る
第26話 ギルド設立宣言
「…………。……んっ、ぐ……」
「あ、起きた?」
……レア、ナ……?
真上に見えるレアナの下乳と顔。それに後頭部に感じる柔らかくもハリのある感覚。
……動けないふりしとこ。
ぼーっとしていると、リエンがアンデッドマジシャンを使って俺に治癒魔法を掛けていた。
「リエン……ありがとな」
「いいえ。ご気分は如何ですか?」
「ああ、何とか大丈夫そうだ」
まだ全身の疲労が抜け切ってないけど、痛みは殆どない。
「……二人共、大丈夫か?」
「あんたよりマシよ。あんたの両腕、ひしゃげてたんだから。今はリエンが治してくれてるけど、下手すると取れてたわよ」
「げ、マジか……」
あの加速戦法、唯一化け物と渡り合えると思ったんだが……俺の体がついていけなかったんだな。まだ改良して行かないと……。
「……あっ、あいつはどうなった?」
「人面百足なら、ジオウさんがコアである女性の首を落した瞬間に灰になりました。女性の体は残っています」
そうか……。
「……リエン。俺の方はもう大丈夫だ。それより、頼みがあるんだが、良いか?」
「はい。どのようなことですか?」
「……あの人の体、綺麗にしてやってくれ。首も繋げて、管も抜いて欲しい。……出来るか?」
「えっ……まあ、出来ますけど……」
……やっぱり、乗り気じゃない、か……そりゃそうだ。さっきまで殺されかけた相手だもんな……。
「頼むよ、リエン。お前にしか頼めないんだ」
「……あの人に一目惚れした、って訳じゃなさそうですね。分かりました。理由は後でお聞きします」
リエンは俺の側を離れると、サシャさんの元に向かった。
「ジオウ、どうしたのよ一体?」
「……あの人の……サシャさんの首を斬った瞬間、記憶が俺の中に流れ込んできた」
記憶で見たことをレアナに話すと、怒っているような、悲しんでいるようか、哀れんでいるような……複雑な顔をして、俺の頭を撫でた。
「……ジオウの判断は、間違ってないと思うわ」
「……ありがとう」
……な、何か、今頃になって年下の女の子に膝枕してもらってるの、恥ずかしくなってきたぞ。
「そ、そうだっ。ダンジョン報酬はどうなった?」
「あ、それなら、ちゃんとジオウの分も取ってあるわ。これよ」
レアナが差し出してきたのは、一見普通のナイフのようだが……いや、これナイフじゃないな。ここのダンジョンから考えると……。
「もしかして、アダマント鉱石を使ったダガーか?」
「正確には、芯にミスリルとアダマント鉱石の合金を使って、表面にダマスカス鋼を使ったダガー。名前は、アンサラーと言うらしいわ」
「アンサラー……」
……これが俺のダンジョン報酬なら、有難く受け取ろう。市販の武器じゃ、俺のあの動きには耐え切れないだろうからな。
「これが俺の分ってことは、レアナとリエンにも報酬があるのか?」
「ええ。私のは、芯に獅子竜の牙、表面にヒヒイロカネ、鞘に水竜の鱗を使った、魔剣レーヴァテイン。抜くと炎が噴き出るから、今は見せられないけど。凄いわよ。魔力消費無しで、私の全魔力以上の炎が出るんだから」
確かに凄い。今回のレアナの炎には助けられたが、それ以上なんてな……。
「リエンの報酬は、ドラゴンゾンビの骨を芯に使って、表面を純銀で覆い、中央にソロモンの涙と呼ばれる呪われた宝石を嵌めたペンダントよ。名前はホープジュエリー。ネクロマンサー以外が身に付けると死ぬ呪いが掛けられているけど、ネクロマンサーが付ければ、ネクロマンサーとアンデッドの関係が強固なものになるらしいわ」
「……詳しいな」
「私の《鑑定眼》は誤魔化せないわよ」
ふふん、とドヤ顔をするレアナ。いや信じてない訳じゃないが、どうも《鑑定眼》にしては見え過ぎてるような気もする……俺の思い過ごしなら良いけど。
「ジオウさーん。終わりましたー」
「ん。リエン、ありがとな」
名残惜しくもレアナの膝枕から起き上がり、サシャさんの元へ歩く。
体は布に包まれて見えないが、切り離した首は綺麗に繋がっていて、斬った痕すら見つからない。
「流石だな」
「うわ、凄いわね……これアンデッドにやらせたの?」
「いいえ、私がやりました。死体を綺麗にするのは、ネクロマンサーのお仕事でもありますから」
この技術は一回生で見せてもらったが、もう何が何やら全く分からなかった。あれはどう頑張っても、俺には真似出来ないやつだ。
「リエン、俺の部屋に行って、こいつの仮面を持ってきてくれ。多分、小さくなってるから。あと同時に、館の外に俺達を瞬間移動させて欲しい」
俺はサシャさんの遺体を持ち上げると、エタの時空間魔法で館の外に出た。
「リエン、墓穴を掘ってくれ」
「はい」
リエンの使役している土属性魔法を使うアンデッドが、土を掘り起こす。
そこに横たえ、リエンの持ってきてくれた仮面を、サシャさんの顔に嵌める。
能面のように思えた仮面が、今はどことなく笑ってるように見えた。
「サシャさん。せめて安らかに眠れ」
リエンに合図すると、サシャさんの横たわる穴に土を被せ、その上に大中小の石を並べた。俺の実家の方に伝わる、埋葬方法だ。
左胸(正確には心臓)に右手を添え、黙祷をする。
「……死者に関してはリエンが一番詳しいから、墓の世話を頼めるか?」
「勿論そのつもりです。懇切丁寧にお世話しますよ」
「頼んだ」
……よし。これで全部終わりか……長いようで短いダンジョン攻略だったな……。
「なーに終わったような顔してんのよ。まだ一つ、大事なことしてないでしょ?」
「大事なこと?」
「ここを拠点に、ギルド立ち上げの宣言をしなきゃ!」
……あっ、そういやそれが目的だった!
「ジオウさん。もうギルドの名前は決めてるんですか? 冒険者ギルドってことはないですよね?」
「勿論だ」
国に属さず、自分達から戦争や政治には一切介入しない。陰ながら世界の動向を確認し、世界の裏側で密やかに動く存在。
「俺はここに、ギルド【虚ろう者】の設立を宣言する!」
宣言した瞬間、俺を白い光が覆い、頭の中に文字が浮かび上がった。
◇◇◇◇◇
スキル名:《縁下》Lv.2
スキルランク:ユニーク
発動条件:オート
効果:発動者が所属する組織全体のステータス量を一定の倍率で増加させる。
倍率:3倍
「あ、起きた?」
……レア、ナ……?
真上に見えるレアナの下乳と顔。それに後頭部に感じる柔らかくもハリのある感覚。
……動けないふりしとこ。
ぼーっとしていると、リエンがアンデッドマジシャンを使って俺に治癒魔法を掛けていた。
「リエン……ありがとな」
「いいえ。ご気分は如何ですか?」
「ああ、何とか大丈夫そうだ」
まだ全身の疲労が抜け切ってないけど、痛みは殆どない。
「……二人共、大丈夫か?」
「あんたよりマシよ。あんたの両腕、ひしゃげてたんだから。今はリエンが治してくれてるけど、下手すると取れてたわよ」
「げ、マジか……」
あの加速戦法、唯一化け物と渡り合えると思ったんだが……俺の体がついていけなかったんだな。まだ改良して行かないと……。
「……あっ、あいつはどうなった?」
「人面百足なら、ジオウさんがコアである女性の首を落した瞬間に灰になりました。女性の体は残っています」
そうか……。
「……リエン。俺の方はもう大丈夫だ。それより、頼みがあるんだが、良いか?」
「はい。どのようなことですか?」
「……あの人の体、綺麗にしてやってくれ。首も繋げて、管も抜いて欲しい。……出来るか?」
「えっ……まあ、出来ますけど……」
……やっぱり、乗り気じゃない、か……そりゃそうだ。さっきまで殺されかけた相手だもんな……。
「頼むよ、リエン。お前にしか頼めないんだ」
「……あの人に一目惚れした、って訳じゃなさそうですね。分かりました。理由は後でお聞きします」
リエンは俺の側を離れると、サシャさんの元に向かった。
「ジオウ、どうしたのよ一体?」
「……あの人の……サシャさんの首を斬った瞬間、記憶が俺の中に流れ込んできた」
記憶で見たことをレアナに話すと、怒っているような、悲しんでいるようか、哀れんでいるような……複雑な顔をして、俺の頭を撫でた。
「……ジオウの判断は、間違ってないと思うわ」
「……ありがとう」
……な、何か、今頃になって年下の女の子に膝枕してもらってるの、恥ずかしくなってきたぞ。
「そ、そうだっ。ダンジョン報酬はどうなった?」
「あ、それなら、ちゃんとジオウの分も取ってあるわ。これよ」
レアナが差し出してきたのは、一見普通のナイフのようだが……いや、これナイフじゃないな。ここのダンジョンから考えると……。
「もしかして、アダマント鉱石を使ったダガーか?」
「正確には、芯にミスリルとアダマント鉱石の合金を使って、表面にダマスカス鋼を使ったダガー。名前は、アンサラーと言うらしいわ」
「アンサラー……」
……これが俺のダンジョン報酬なら、有難く受け取ろう。市販の武器じゃ、俺のあの動きには耐え切れないだろうからな。
「これが俺の分ってことは、レアナとリエンにも報酬があるのか?」
「ええ。私のは、芯に獅子竜の牙、表面にヒヒイロカネ、鞘に水竜の鱗を使った、魔剣レーヴァテイン。抜くと炎が噴き出るから、今は見せられないけど。凄いわよ。魔力消費無しで、私の全魔力以上の炎が出るんだから」
確かに凄い。今回のレアナの炎には助けられたが、それ以上なんてな……。
「リエンの報酬は、ドラゴンゾンビの骨を芯に使って、表面を純銀で覆い、中央にソロモンの涙と呼ばれる呪われた宝石を嵌めたペンダントよ。名前はホープジュエリー。ネクロマンサー以外が身に付けると死ぬ呪いが掛けられているけど、ネクロマンサーが付ければ、ネクロマンサーとアンデッドの関係が強固なものになるらしいわ」
「……詳しいな」
「私の《鑑定眼》は誤魔化せないわよ」
ふふん、とドヤ顔をするレアナ。いや信じてない訳じゃないが、どうも《鑑定眼》にしては見え過ぎてるような気もする……俺の思い過ごしなら良いけど。
「ジオウさーん。終わりましたー」
「ん。リエン、ありがとな」
名残惜しくもレアナの膝枕から起き上がり、サシャさんの元へ歩く。
体は布に包まれて見えないが、切り離した首は綺麗に繋がっていて、斬った痕すら見つからない。
「流石だな」
「うわ、凄いわね……これアンデッドにやらせたの?」
「いいえ、私がやりました。死体を綺麗にするのは、ネクロマンサーのお仕事でもありますから」
この技術は一回生で見せてもらったが、もう何が何やら全く分からなかった。あれはどう頑張っても、俺には真似出来ないやつだ。
「リエン、俺の部屋に行って、こいつの仮面を持ってきてくれ。多分、小さくなってるから。あと同時に、館の外に俺達を瞬間移動させて欲しい」
俺はサシャさんの遺体を持ち上げると、エタの時空間魔法で館の外に出た。
「リエン、墓穴を掘ってくれ」
「はい」
リエンの使役している土属性魔法を使うアンデッドが、土を掘り起こす。
そこに横たえ、リエンの持ってきてくれた仮面を、サシャさんの顔に嵌める。
能面のように思えた仮面が、今はどことなく笑ってるように見えた。
「サシャさん。せめて安らかに眠れ」
リエンに合図すると、サシャさんの横たわる穴に土を被せ、その上に大中小の石を並べた。俺の実家の方に伝わる、埋葬方法だ。
左胸(正確には心臓)に右手を添え、黙祷をする。
「……死者に関してはリエンが一番詳しいから、墓の世話を頼めるか?」
「勿論そのつもりです。懇切丁寧にお世話しますよ」
「頼んだ」
……よし。これで全部終わりか……長いようで短いダンジョン攻略だったな……。
「なーに終わったような顔してんのよ。まだ一つ、大事なことしてないでしょ?」
「大事なこと?」
「ここを拠点に、ギルド立ち上げの宣言をしなきゃ!」
……あっ、そういやそれが目的だった!
「ジオウさん。もうギルドの名前は決めてるんですか? 冒険者ギルドってことはないですよね?」
「勿論だ」
国に属さず、自分達から戦争や政治には一切介入しない。陰ながら世界の動向を確認し、世界の裏側で密やかに動く存在。
「俺はここに、ギルド【虚ろう者】の設立を宣言する!」
宣言した瞬間、俺を白い光が覆い、頭の中に文字が浮かび上がった。
◇◇◇◇◇
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