【ジョブチェンジ】のやり方を、《無職》の俺だけが知っている
先手必勝
「……あ、見えてきたわ! あれが一番奥よ!」
「あれが……!」
なら、先手必勝!
突入と同時に──。
「《ファイアーボール》!」
「ぐはははは! よく戻ってきたなこむすがぼべ⁉︎」
「「「か、頭ーーーー⁉︎」」」
ん? 今何か言ってたような気がするけど……気のせいだな!
「《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》」
「ちょっ⁉︎」
「ま、待っぶお⁉︎」
「がああああ⁉︎」
「ひぎゃああああああ!!」
「《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》」
「ぎべぶ⁉︎」
「おぎゃ⁉︎」
「し、死ぬべらばら⁉︎」
「ああああああ⁉︎」
「《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイ……」
「す、ストップ、ストップ! 終わってる! もう終わってるから!」
え? ……終わり?
魔法を止めて、周りを見渡す。丸焦げになった輩の死体だらけだ。生きてる奴は一人もいない。
「案外あっけなかったな」
「いやあんたが異常なだけよ⁉︎ 奴らこの森を根城にしてる山賊グループで、ギルドで討伐依頼も出されてた奴らなんだから!」
ぎ、ぎる? とうば……? ……つまり悪い奴らってことか!
「……私が言えた義理じゃないけど、まさか突入された直後に魔法の雨を食うなんて思ってもみなかったでしょうね……」
「こいつら悪い奴らだったんだろ? なら、攻撃をしてくる隙も与えず殲滅するのが最善じゃないのか?」
「あんた、どんな環境で育ったらそんな捻くれるの……」
……俺、捻くれてるか?
「……まあいいわ。えっと……あ、あった!」
クレアが、山賊のボスの近くに転がっていた剣を拾った。繊細かつ精密な細工の施された長剣で、クレアの身長からすると少し長すぎるくらいだ。
「それが、アルフレッド家の家宝か?」
「ええ、宝剣レヴァイブ。折れない、欠けない、錆びない剣で、数百年に渡ってアルフレッド家に伝わる名剣よ」
おお……確かに、底知れないオーラみたいなのを感じる。折れない、欠けない、錆びないって、どんな材質で出来てるのか気になるな……。
「……ありがとうゼノア。これを失くしたら、ご先祖様に顔向け出来ないところだったわ」
本当に安心してるのか、高圧的な態度もなく、純粋な笑顔を向けてきた。そんな笑顔を向けられると、何だか照れるな……。
「べ、別に問題ない。……ところで、何でそんな大切な剣を持って、こいつらに捕まってたんだ? そんなに大切なら、家に保管しておいた方がいいと思うぞ」
「アルフレッド家の習わしよ。十六歳から二十歳までは、宝剣レヴァイブを手にハンターとなって、困ってる人々を助けるっていうね」
「……クレアは、人助けの旅の最中だったってことか」
「そういうこと。まあ、その間に奴らに捕まって、奴隷として売られそうになったんだけどね……」
奴隷……俺の村にはいなかったけど、ピッグの野郎が俺のことを奴隷だって言っていた。つまり、あんな扱いをされてる人がこの世界に沢山いるってことか……。
「クレア。そのギルドって所に行けば、俺も人助けは出来るのか?」
「出来るわよ。ギルドは困ってる人が依頼とお金を出して、私達ハンターがそれを解決する。勿論仕事だから報酬は貰うけど、困ってる人を助けることには変わりないわ」
そっか……。
「なら、俺もハンターになる」
「え?」
「ハンターになれば、弱ってる人や困ってる人を助けられるんだろ? なら、俺もハンターになる」
俺みたいに虐げられてる人達や、強者の言いなりにならざる負えない人達を救う。元はそれを目的に町を目指してたんだ。ギルドに入ってハンターってやつになれば、俺の目的を達成出来る!
ふんすっと気合いを入れてると、クレアが呆れたような顔をした。
「あんたって、ホントお人好しというか……人助けでハンターになろうなんて考える奴、初めて見たわよ」
「他の人は違うのか?」
「大体は金のためね。危険が伴うから、支払われる金額が高いのよ。金を稼ぐのが本命で、人助けは二の次。それがハンターよ」
……どうやら、世界にはピッグみたいなクズ野郎が沢山いるらしい。
でも、俺やクレアみたいに人助けを信念に活動する人もいるはずだ。そんな人達にも会ってみたいな……。
「もしあんたが本気でハンターになりたいなら、私が推薦してあげましょうか。実力試験は絶対にやらなきゃいけないけど、ゼノアの実力なら確実に合格出来るわ」
「お願いしてもいいのか?」
「もっちろん! 大船に乗ったつもりでいなさい!」
おお、それは心強いな!
「よろしく、クレア」
「こっちこそよろしく、ゼノア!」
「あれが……!」
なら、先手必勝!
突入と同時に──。
「《ファイアーボール》!」
「ぐはははは! よく戻ってきたなこむすがぼべ⁉︎」
「「「か、頭ーーーー⁉︎」」」
ん? 今何か言ってたような気がするけど……気のせいだな!
「《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》」
「ちょっ⁉︎」
「ま、待っぶお⁉︎」
「がああああ⁉︎」
「ひぎゃああああああ!!」
「《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》」
「ぎべぶ⁉︎」
「おぎゃ⁉︎」
「し、死ぬべらばら⁉︎」
「ああああああ⁉︎」
「《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイ……」
「す、ストップ、ストップ! 終わってる! もう終わってるから!」
え? ……終わり?
魔法を止めて、周りを見渡す。丸焦げになった輩の死体だらけだ。生きてる奴は一人もいない。
「案外あっけなかったな」
「いやあんたが異常なだけよ⁉︎ 奴らこの森を根城にしてる山賊グループで、ギルドで討伐依頼も出されてた奴らなんだから!」
ぎ、ぎる? とうば……? ……つまり悪い奴らってことか!
「……私が言えた義理じゃないけど、まさか突入された直後に魔法の雨を食うなんて思ってもみなかったでしょうね……」
「こいつら悪い奴らだったんだろ? なら、攻撃をしてくる隙も与えず殲滅するのが最善じゃないのか?」
「あんた、どんな環境で育ったらそんな捻くれるの……」
……俺、捻くれてるか?
「……まあいいわ。えっと……あ、あった!」
クレアが、山賊のボスの近くに転がっていた剣を拾った。繊細かつ精密な細工の施された長剣で、クレアの身長からすると少し長すぎるくらいだ。
「それが、アルフレッド家の家宝か?」
「ええ、宝剣レヴァイブ。折れない、欠けない、錆びない剣で、数百年に渡ってアルフレッド家に伝わる名剣よ」
おお……確かに、底知れないオーラみたいなのを感じる。折れない、欠けない、錆びないって、どんな材質で出来てるのか気になるな……。
「……ありがとうゼノア。これを失くしたら、ご先祖様に顔向け出来ないところだったわ」
本当に安心してるのか、高圧的な態度もなく、純粋な笑顔を向けてきた。そんな笑顔を向けられると、何だか照れるな……。
「べ、別に問題ない。……ところで、何でそんな大切な剣を持って、こいつらに捕まってたんだ? そんなに大切なら、家に保管しておいた方がいいと思うぞ」
「アルフレッド家の習わしよ。十六歳から二十歳までは、宝剣レヴァイブを手にハンターとなって、困ってる人々を助けるっていうね」
「……クレアは、人助けの旅の最中だったってことか」
「そういうこと。まあ、その間に奴らに捕まって、奴隷として売られそうになったんだけどね……」
奴隷……俺の村にはいなかったけど、ピッグの野郎が俺のことを奴隷だって言っていた。つまり、あんな扱いをされてる人がこの世界に沢山いるってことか……。
「クレア。そのギルドって所に行けば、俺も人助けは出来るのか?」
「出来るわよ。ギルドは困ってる人が依頼とお金を出して、私達ハンターがそれを解決する。勿論仕事だから報酬は貰うけど、困ってる人を助けることには変わりないわ」
そっか……。
「なら、俺もハンターになる」
「え?」
「ハンターになれば、弱ってる人や困ってる人を助けられるんだろ? なら、俺もハンターになる」
俺みたいに虐げられてる人達や、強者の言いなりにならざる負えない人達を救う。元はそれを目的に町を目指してたんだ。ギルドに入ってハンターってやつになれば、俺の目的を達成出来る!
ふんすっと気合いを入れてると、クレアが呆れたような顔をした。
「あんたって、ホントお人好しというか……人助けでハンターになろうなんて考える奴、初めて見たわよ」
「他の人は違うのか?」
「大体は金のためね。危険が伴うから、支払われる金額が高いのよ。金を稼ぐのが本命で、人助けは二の次。それがハンターよ」
……どうやら、世界にはピッグみたいなクズ野郎が沢山いるらしい。
でも、俺やクレアみたいに人助けを信念に活動する人もいるはずだ。そんな人達にも会ってみたいな……。
「もしあんたが本気でハンターになりたいなら、私が推薦してあげましょうか。実力試験は絶対にやらなきゃいけないけど、ゼノアの実力なら確実に合格出来るわ」
「お願いしてもいいのか?」
「もっちろん! 大船に乗ったつもりでいなさい!」
おお、それは心強いな!
「よろしく、クレア」
「こっちこそよろしく、ゼノア!」
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