【ジョブチェンジ】のやり方を、《無職》の俺だけが知っている

赤金武蔵

【ジョブチェンジ】

 き、起動? ジョブチェンジ? 一体何だ?


「……あっ、ぐっ……!?」


 あ、頭、痛てぇ……! 何かが入り込んでくるみたいだ……!


『接触生命の身体データをインプット──ローディング──ローディング──インプット終了。個体名ゼノア・レセンブルの情報を登録。職業《無職》。【ジョブ】選択先展開』


 さっきまで何も書いていなかった石版に、光る文字が浮かび上がった。母さんに読み書きは教わったから、一応読むことは出来るが……何だ、これ?






●職業《無職》 【ジョブ】選択●
《剣士》《剣闘士》《魔術師》《呪術師》《ヒーラー》《闘士》《拳闘士》《兵士》《騎士》《戦士》《タンク》《傭兵》《弓術士》《槍術士》《狩人》《盗賊》《暗殺者》《僧侶》《牧師》《僧兵》《召喚士》《テイマー》《ネクロマンサー》《シャーマン》《鑑定士》《錬金術師》《学者》《賢者》《農民》《調理師》《村人》《職人》《商人》《道化師》《踊り子》


●説明はこちら●






 ……どういう、ことだ……? 何がなんだか分からないんだけど……。


「……ぁ、これ……」


 説明は、こちら……?


 その文字に触れる。すると、浮かび上がっていた文字が変わった。






●【ジョブチェンジ】について
 Rランク以下の【ジョブ】全てに転職可能。転職後【ジョブレベル】を上げることで、当石版を用い上位ジョブへランクを上げることが出来る。一度選択したジョブは、最上位ランクまでランクアップしないと別系統ジョブへ【ジョブチェンジ】することは出来ない。
 ※別系統ジョブへ【ジョブチェンジ】する場合、元ジョブから三つまでスキルを移行することが可能。






 ……これ……え、えっ……!? じょ、【ジョブチェンジ】って、ジョブを変えられるってこと……!?


 と、突然のこと過ぎて理解が追いつかない……だって、【ジョブ】は神様から与えられたもので、一生変えられないもののはずで……!


 慌てて『戻る』の文字を触ると、元の文字が浮かび上がった。


 こ、この中から、好きなものを……!


 お、お、お、落ち着け俺っ。ここで下手な【ジョブ】を選ぶのは得策じゃない。……本当だったら顔の痛みを取りたいから《ヒーラー》を選びたい所だけど、これは時間を掛けてでも治すことが出来る。


 なら、攻撃系の【ジョブ】を取るのがいい。


 攻撃系の【ジョブ】はかなり多いけど、最初に取得する【ジョブ】はこれしかないだろう。


 迷わず、《魔術師》の文字に触れる。






●職業《無職》 【ジョブ】選択●
 ゼノア・レセンブルは《魔術師》を選択しました。
《魔術師》は遠距離かつ広範囲の殲滅を得意とする【ジョブ】です。魔力を必要とするため、常に残魔力を確認しながら戦闘に臨みましょう。魔力が切れた場合魔法を発動することは出来ないため、要注意。


 転職を実行しますか?
 ・はい
 ・いいえ






 迷わず「はい」を選択。


 すると、俺の体が淡い虹色に輝き、また頭の中に無機質な声が響いた。


『ゼノア・レセンブルの【ジョブチェンジ】、成功。《無職》から《魔術師》へ転職。転職により、ゼノア・レセンブルのステータス値を変更』


 ステータス値の変更? 確かステータスって、自分自身の持つ力の値、だっけか? 無職の俺には関係なさすぎて、今まで一度も見たことなかったな。えっと確か見るには……。


「す、てーた、す」


 すると、目の前に半透明のウィンドウ画面と呼ばれるものが浮かび上がった。






 ステータス
 名前:ゼノア・レセンブル
 レベル:1
 職業:《無職》→《魔術師》
 職業レベル:1
 物理攻撃力:150→250
 物理防御力:80→ 100
 魔法攻撃力:0→360
 魔法防御力:0→320
 スピード:70→90
 魔力:0→500/500
 スキル:<魔法攻撃力向上>






 こ、これが俺のステータス……《無職》のときに比べて全体的にステータスがアップしてる……!


「す、げ……!」


 これが、職を持ってるやつのステータスなのか……。そりゃあ、ランクすらない俺はゴミみたいに見えただろうな……。


 ……待てよ? この状態で石版に触れたら、どうなるんだ?


 試しに石版に触れる。






●職業《魔術師》 【ジョブ】選択●
 SRジョブ:《魔女》《黒魔術師》《大魔術師》《ハイウィザード》
 ※現在の職業レベル、1。規定のレベルに達していないため、【ジョブチェンジ】出来ません。
 ・残り職業レベル:1/30






 なるほど……《魔術師》系統のSRランクの上位ジョブは、四つあるのか。何がどう違うのかは分からないけど、次はこれを目指すわけだな。


 だけど職業レベルが足りない……次は三〇レベルになったらここに来て、【ジョブチェンジ】すればいいんだな。


「ふぅ……ぅっ……」


 あ、安心したら……なんだか眠く……。


 今は……ゆっくり……寝、る……。


 …………。

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