告白されて付き合うことになった美少女がその日のうちに義妹になった件 〜ところで、おっぱいはいつ揉んでいいの?〜

赤金武蔵

第12話 相応しいか

「ユキカズ、明日土曜日だけど、一緒に遊びに行かない?」


 翌日の学校にて、授業の合間の休み時間に数寄屋がそう提案して来た。
 よりによって明日か土曜日か……。
 チラッと咲良を見ると、女クラスメイトと話していても気にしてるように俺の方をチラチラと見ている。分かってる分かってる。だからそんな不安そうな顔をするなよ。


「悪い数寄屋。明日は大切な予定があるんだ。日曜日ならどうだ?」
「オッケー。楽しみにしてるよ」


 手を振って自分の席に戻る数寄屋。
 それを見送ると、咲良もホッとしたような笑みを浮かべた。少しは隠す努力をしようぜ、咲良。


「咲良さん、明日休日だけど、何するの?」
「明日はピクニックに行こうと思ってます」


 その言葉に、周囲にいたクラスメイトが一気にざわめいた。


「えー、いいなぁ! 私も行きたい!」
「俺も、俺も!」
「咲良さん、皆で行こうよ!」


 ピクッ。皆、だと……?
 ……い、いや、全然。全然気にしてませんよ? うん、ぜーーーんぜん気にしてませんっ。


「あー……ごめんね。明日は家族でピクニックに行くの」


「あ、そうなんだー」
「ざんねーん」
「楽しんできてね、咲良さん」


 ホッ……ちょっと安心。
 ……あれ? 俺、咲良のこと言えねーじゃん。多分今の俺、めっちゃ分かりやすいぞ。うわ、恥ずかしっ。


 若干の自己嫌悪に陥っていると、数学担当の禿げた先生が教室に入ってきた。
 ……よしっ、気を取り直して、授業に集中しないと。
 机の中から教科書とノートを取り出そうとした時、咲良の方から可愛く折り畳まれた紙が飛んで来た。
 何だこれ? 「雪和くんへ」……咲良か?
 先生にバレないように、そっと手紙を開ける。


『雪和くん、ムッとしちゃって可愛かったよ♡』


 しししししとらんわ! しとらんわい! しとらんもん!
 全く、心外だ。とことん心外だ。ふんっ。
 ……俺、分かりやすいのかなぁ。


   ◆◆◆


「朝が来た……!」


 天気は晴れ! 気温は最高に丁度いい! おはよう世界! 世界はこんなにも美しい!
 はい、テンション爆上がりです。だってしょうがないじゃん。デートらしいデートは、実質初めてなんだし。


 土曜日の朝。いつもより早起きした俺は、支度を済ませるために洗面所へ向かった。
 せっかくの初デート。ちゃんとした格好で、咲良の隣を歩いても恥ずかしくないようにしないとな!


「るんらんるーん♪ 顔を〜洗って〜歯を磨く〜♪」


 洗面所の扉、オープンッ。


 ガラッ──。


「はぇ?」
「……ん?」


 ……え、と……? 咲良……?
 ……何で、咲良がここに? ……ん? あれ? ああ、一緒に住んでるからいいんだよ、うん。


 問題はそこじゃない。いつも見る咲良より、肌色面積が大きいような……?


 たわわに実っているおっぱいを支えるピンク色のブラジャー。
 そしてハーフパンツを下ろしかけているために、ブラジャーと同じピンク色のショーツが見えている。
 それなのに引っ込むところは引っ込み、括れもしっかりとしている。腹筋には薄らと縦線が入っていて、とても健康的だと思います、はい。


 …………。
 いやそうじゃねーよ俺!?


「す、すまん!」


 急いで扉を閉めて扉に背を向ける。
 うぅわ……うわぁ……見てしまった……目に焼き付いちゃったよ、咲良の半裸……。
 前から綺麗な体だと思ってたけど、なんだあれ……ここまでだとは思ってもみなかった……!
 俺、絶対今顔気持ち悪いことになってるっ。ヤバいってこれ……!


 と、取り敢えず出直そうっ。
 洗面所から離れようとしたその時、扉がそっと開いて中から咲良が顔を半分だけ覗かせた。


「ゆ、ゆき……雪和くん……まだそこにいる……?」
「ひゃ、ひゃいっ……!」


 って止まってんじゃねーよ俺っ。足を動かせっ、ここから離れろっ。
 ……あぁ、でも……もう反応しちゃったしなぁ……。


「…………」
「…………」


 お互いに無言……き、気まずい。どうしよう、なんて言い訳すれば……と、とにかく謝罪を……!


「ご、ごめん咲良。まさか入ってるなんて思わなくて……その……!」
「う、ううん。私も鍵掛けてなかったから……それより、さ」


 咲良は一回、二回と深呼吸をすると……ガラッ──扉が開く音が聞こえた。


 ……え? 開けたの? 何で……?


「雪和くん、こっち見て……」
「で、でも……」
「い、いいからっ、早くっ」
「……は、はい……」


 ごくり。生唾も上手く飲み込めない……。
 言われた通り、ゆっくり……ゆっくりと振り向く。と……。


「……ぁ……」


 ──そこには、女神がいた。


 完全に服を脱ぎ、下着姿になっている咲良。
 頬は朱色に染まっていて目は潤んでいるが……有無を言わさない圧のようなものを感じる。
 手を後ろに組んで、体を隠そうとはしていない。
 完全無欠の肢体。それが、今俺の前に晒されていた。


「……雪和くん……どう……?」
「……へ? ど、どう、とは……?」
「……私、可愛いかな……?」


 ……え……? な、何で、そんなことを聞くんだ……? 全く分からないんだが……。


「と、当然だろ。咲良は可愛い。それは間違いないっ」
「……なら、さ。……雪和くんの彼女として、相応しい……?」
「……相応しい、て……言ってる意味がよく分からないんだが……」


 どういうことだ? それを言うなら、俺が咲良の彼氏として相応しいかが甚だ疑問なんだけど……。
 咲良の言っている意味が分からず首を傾げてると、咲良は我に返ったのか、口をもにょっとさせて扉を勢いよく閉めた。


「ご、ごめんねっ、何でもない……何でもないから、気にしないで……!」
「え、ちょ、ちょっと咲良……?」
「わ、私シャワー浴びるっ。終わったら呼ぶから、リビングで待ってて……!」


 ……え、ええ……? な、何なんだ……今の……?
 全く理解が追いつかない……咲良って、あんなに大胆な子だったっけ……?


 でも……とてもよいものを見させていただきました。ご馳走様です。


 そんな思いを込めて、俺は扉の向こうにいる咲良へ手を合わせたのだった。

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