告白されて付き合うことになった美少女がその日のうちに義妹になった件 〜ところで、おっぱいはいつ揉んでいいの?〜

赤金武蔵

第10話 女子トーク

 その後、軽く今後のことや番号順に自己紹介を済ませると、その日は直ぐに解散となった。
 まだ昼前。今から帰って昼を作るってなっても、どうしても遅めの昼になっちまうな……。
 ま、咲良と駅前で何か食って──。


「さーくーらーさんっ」
「時田さん、一緒に帰ろ!」
「俺も、俺も!」


 あっちからワラワラ。こっちらからワラワラ。咲良を中心に一瞬で人集りが出来た。
 ……まあ、うん。予想は付いてたよ。皆、照崎先生の号令を今か今かと待ってたし……。
 咲良の交流を邪魔するのも何だしな……仕方ない。数寄屋でも誘って──。


「す、数寄屋くん。この後暇?」
「よかったら、一緒にご飯でも……」
「私、美味しいケーキ屋さん知ってるんだー」


 ……そういや咲良が目立ってたけど、数寄屋も美少女に見間違うくらいの美少年だったな。そりゃこうなるか。
 はぁ……帰ろ。
 二人の邪魔をしないように荷物をまとめて、席から立ち上がる。
 するとら前の席の咲良か振り向き、数寄屋が俺に足速に近づいてきて……。


「雪和くん、かーえろ」
「ユキカズ、一緒に帰らない?」


 二人揃って同じことを言った。


 シーーーーーン……。


 天使が通ったかのような静寂。が、その中でも咲良と数寄屋は互いの顔を見合わせて首を傾げた。


 ……いたたまれない、この空気。


「……咲良、数寄屋。帰るなら行こうぜ」
「あ、うんっ」
「ま、待ってよ雪和くん……!」




 二人を伴って教室を出ると、教室からざわめきが聞こえてきた。もう無視。無視無視。どうにでもなーれ。
 っと。とりあえず咲良に、数寄屋を紹介しとくか。


「こほん。あー、咲良。こっちは数寄屋だ。ほら、ドーナッツ屋の女の子いたろ? あいつのアニキ」
「あの子の……あ、初めまして。時田咲良です」
「初めまして、数寄屋ハジメです。その節は妹がお世話になりました」


 お互いに自己紹介を済ませてから、靴を履き替えて校舎を出る。
 解語之花の咲良に、眉目秀麗な数寄屋。当然目立つ目立つ。間にいる俺、間違いなく浮いてますね。
 まあ、今更そんなことを気にする俺ではないけど。


 それより。


「二人共、よかったのか? せっかくクラスの奴に誘われてたのに……」
「いいのいいの。私は雪和くんと一緒にいたいんだから」
「僕も、せっかくユキカズと友達になったんだし、交流を深めたくて」


 咲良……数寄屋……なんていい子なんだ……!
 二人のいい子っぷりに感激してると、数寄屋が首を傾げて咲良を見た。


「サクラさんはブラコン?」
「んえ!? ち、違うよっ。ただ、もっと雪和くんと一緒にいたいだけだよ!」
「それブラコンだよね!?」
「……ち、違うもんっ。私達は……ぁ」


 自分の口に手を当て、助けを求めるかのように俺を見上げる咲良。
 うーん、どうしたもんか……説明するにしても、まだ数寄屋がどんな奴かなんて分からないしなぁ……。
 妹……いや義妹? だけど義兄妹にしては俺と咲良の距離は近過ぎるか……?
 ……もういっそのこと、数寄屋には話しても……。


「紅葉タックル!」
「夏海コークスクリュー!」
「背骨っ!?」


 いっつつつ……な、なんだよ……!


「紅葉ちゃん、夏海ちゃん? どうし……ってうわわ!?」
「時田っち! 咲良っちは借りてくぜ!」
「時田ちん、また明日ねー!」


 えっ。お、おい!?
 ……行っちまった……。俺と数寄屋、置いてけぼりでござる。


「……数寄屋、取り敢えず飯行くか」
「えっ、今のスルー!?」


   ◆◆◆


「で、咲良っち。どこまで行ったん?」


 駅前のコーヒーチェーン店に連れて来られた私は、幼馴染みの紅葉ちゃんと夏海ちゃんに詰め寄られていた。
 何が? なんてのは分かってる。勿論、私と雪和くんのことだ。


「紅葉、当然のことを聞くんじゃないの。付き合い始めたその日に同棲だよ? 両想いだよ? もう抜きゲーの如くヤリまくりのハメまくりのズッコンバッコンに決まってるじゃん」
「マジで!?」
「そ、そそそそそんなことしてないもん!」


 って、ぬきげーって何?
 私がオーバーに反応すると、二人は楽しそうに笑う。全くもう……。
 昔から二人はこう言った話が好きみたいで、そのせいか私もそっち系の話には耐性がある。この程度で今更顔を赤らめるなんてことはしない、ふふん。


「おんやぁ? 咲良ちん、顔真っ赤っかよ? 時田ちんとのこと、想像しちゃった?」
「……し、してない、もん」


 前言撤回。雪和くんとそういう関係、めちゃめちゃ意識してます。顔ちょー真っ赤です。うぅ……。


 正直願望というか欲望というか性欲というか……それはあるのです。
 だって好きな人と学校でも家でもずっと一緒なんだよ? 寧ろ意識しない方がどうかしてるよっ。
 自分でも分かるほど耳まで真っ赤になってると、紅葉ちゃんがストローを咥えて頬杖を着いた。


「でも、咲良っちからあんな連絡来たときはビビったよ。付き合ったその日に二人の両親が再婚して、兄妹になるなんて」
「どこのエロゲだよって思ったし」
「え、えろげ……?」


 はて、えろげとは……?


「あー気にしないで。夏海の妄言だから」
「エロゲ馬鹿にするなし! エロゲは崇高なシナリオと可愛くも儚げに描かれる主人公とヒロインの絡みを惜しげも無く封入した最高の逸品でありシナリオゲーにもキャラゲーにも抜きゲーにも皆違って皆いい的にとてもよきものであって──」


 ……? どうやらまだ私には早いものらしい。雪和くんに聞いたら知ってるかな?


「あー……熱弁トリップしてる夏海は置いといて。で、正直なところどこまでいったん?」
「ど、どこまでって?」
「セックスは言い過ぎにしても、同じ屋根のしただろ? キスとかハグとか添い寝とか……特に、おはようのキスとかおやすみのキスとかいってきますのキスとかただいまのキスとかキスとかキスとかっ」
「あ、紅葉ちゃんっ。近い、近いし鼻息荒いっ」


 あ、紅葉ちゃん、相変わらず乙女チックだなぁ。よく一緒に見るドラマとか映画で、キスシーンで凄く盛り上がるし……。
 だけど……うーん、どこまでかぁ……。


「えっと……その……」
「うんうんっ」






「……て、手も、繋いてない……です……」






「「………………………………は?」」


 今までトリップしてた夏海ちゃんも揃って、信じられないようなものを見る目で見て来た。


「え、ちょ、待って咲良ちん。付き合ってるんだよ? 同じ屋根の下だよ? それなのに手も繋いでないってどういうこと?」
「もしかして時田っちって、女の体に興味無い……?」
「そ、そんなことないっ。部屋で薄着でいると、雪和くん私のおっぱいとかおしりとか、いっぱい見てくるもん」
「「あー、男の子ー」」


   ◆◆◆


「ぶえっくしょーん!」
「あれ、風邪?」
「いや、何だろう。無断で個人情報を暴露された気がする」


   ◆◆◆


「咲良ちんのエロ可愛い体に興味津々なら、誘惑しちゃえば?」
「誘惑……!?」


 ゆゆゆゆ誘惑って、あの誘惑!? えっ、誘惑!?
 私が……雪和くんを誘惑……。
 頭の中に思い浮かべる、あられもない姿の私と獣になった雪和くん。
 その二人があんなことやこんなことをくんずほぐれつ……しゅぽぽーーーーー!


「夏海、流石にそれは咲良っちには無理だ。ハードルが高すぎる」
「じゃあどうするの? 時田ちん、思いの外奥手だよ?」
「ウチに考えがある。時田っちが奥手なら、それなりのやり方がある」


 誘惑……誘惑……誘惑……雪和くんが私の体を求めて……んへへ……。


「咲良っち戻ってこーい」
「……んえっ!? 誘惑!?」
「その話はもう終わってる。誘惑じゃなくて、正攻法で行くぞ」


 正攻法?






「デートだ」

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