外れスキル【釣り】を極限にまで極めた結果 〜《神器》も美少女も釣れるようになったけどスローライフはやめません。〜
第17話 四日後、お楽しみに
女になって十日が経った。
人間とは恐ろしいもので、大抵のことには慣れるらしい。
俺も例に漏れず、女の体に慣れていた。
下着を付けることにも抵抗はなく、女物の服も普通に着れる。
皆も最初は腫れ物に触るように接していたが、今ではいつも通りだ。
「ねえねえタナト。これどうかしら? コーラルピンクだけど、ちょっと私には派手すぎる?」
「いや、ミケにピッタリな色だと思うよ。いつもより一層華やかだ」
「華やっ……あ、ありがと……」
頬を染め。鼻歌交じりに化粧を続けるミケ。
貰った化粧品が気に入ったのか、大事そうに使ってるな。
いつも見た目にも気を使っているミケだけど、最近はより綺麗になったように見える。
「タナト、タナト! このしっとりクッキーが美味いぞ! 食べてみるのだ!」
「お、どれどれ。はむ。……おお、すげーしっとりしてて美味い……」
「だろ!? ミケー! これ作って欲しいのだー!」
イヴァロンはココアを飲みながら、満足気にお菓子を食べている。
だが確かに美味い。イヴァロンが夢中になるのも分かる。
「お兄ちゃん、見て見て! これ可愛いのだわ!」
「おっ、白のワンピースか。いいね、清楚でイライザの髪色にも合ってるよ」
白いワンピースに黒の細いベルトで腰の括れを強調し、その上から淡いベージュのカーディガンを羽織っている。
が……パッと見は清楚なのに、胸元がガッツリ開いてるのは何でなん……?
誘ってるん? ねえ、これ誘ってるん?
「お兄ちゃんがいいなら……いいよ♡」
「おっ。引きが強いな、大物か」
「無視しないでほしいのだわ!?」
皆の前で何を言ってるんだこの子は。
ため息をつきながら釣りを続けていると、今度はエリオラが擦り寄ってきた。
「タナトっ、タナトっ」
「ん? 何だ?」
「髪の毛一本ちょうだい」
「君は何を言ってるのでせう?」
髪の毛? 今この子髪の毛よこせっつったか?
軽くドン引きしてると、エリオラは慌てたように取り繕った。
「ち、違う。タナトは勘違いをしている」
「勘違い?」
「そう、勘違い」
髪の毛ちょうだいってセリフに、それ以上もそれ以下もないと思うけど。
「タナトの髪を堪能したいから」
「アウトだこの野郎」
勘違いも何も絶望的にそのまんまの意味じゃねーか。
本格的にドン引きなう。
これは訴えたら勝てる。
「むぅ、手強い」
「手強くないよ。自分の身を守ってるだけだよ」
「どうしたらくれる?」
「多分どうやっても無理じゃないかな」
「手強い」
「逆にそれでどうしてくれると思ったのか知りたい」
と、そこで何かを思い付いたのかエリオラさん。
俺の頭をじーーーっと見つめると。
「えっ!? たたたたたタナト!? あんたすごい勢いで髪の毛伸びてるわよ!?」
「んなっ!?」
なんだこりゃっ!?
慌ててソファーから立ち上がると、長すぎて床までついてる。それにまだ伸びてるし。
「タイヘンダー。タナトノカミノケガノビター。コレハキラナイトナー」
「……おいエリオラ。まさかとは思うが……これお前の仕業か?」
「てへ♪」
「てへ、じゃないよ! てへ、じゃ! おま、なんてことしてんだ!?」
「髪の毛が伸びる呪いを掛けてみました」
「初耳なんだが!?」
エリオラって呪いまで掛けられるの!? 怖い、やめて!
結局伸びに伸びて、俺の体二人分の長さまで伸びてようやく止まった。
いや、どうすんだこれ……。
「はいタナト、動かないで」
「え──?」
──ズバッ、ズバッ……! パサリ。
……え?
床に落ちる黒く長い髪。
急に軽くなった頭。
これは……。
「風魔法でばっさりいってみました」
「あっっっっぶな!?」
鏡!
……よかった、元の長さに切られただけだ。
「エリオラ。この為に髪伸ばしてから切るって、もう絶対止めろよ」
「……絶対?」
「絶対」
「どうしても?」
「どうしても」
「ダメの反対はイイ……」
「よくない!」
そんなお約束じゃなくて、本当にやめてほしい。切実に。
むー、と頬を膨らませるエリオラ。
だけどちゃっかり髪の毛は回収していた。
「まあ、切っちゃった分はしょうがないけど……髪の毛なんて何に使うんだ?」
「…………」
「なんか言って!?」
いきなり髪の毛伸ばされてばっさり切られた上に無断で全部回収するのホント怖いからね!?
「……四日後」
「……え?」
「……四日後、お楽しみに」
それだけ言うと、エリオラは自分の部屋に戻って行った。
……四日後に何があんの……?(ガクブル)
人間とは恐ろしいもので、大抵のことには慣れるらしい。
俺も例に漏れず、女の体に慣れていた。
下着を付けることにも抵抗はなく、女物の服も普通に着れる。
皆も最初は腫れ物に触るように接していたが、今ではいつも通りだ。
「ねえねえタナト。これどうかしら? コーラルピンクだけど、ちょっと私には派手すぎる?」
「いや、ミケにピッタリな色だと思うよ。いつもより一層華やかだ」
「華やっ……あ、ありがと……」
頬を染め。鼻歌交じりに化粧を続けるミケ。
貰った化粧品が気に入ったのか、大事そうに使ってるな。
いつも見た目にも気を使っているミケだけど、最近はより綺麗になったように見える。
「タナト、タナト! このしっとりクッキーが美味いぞ! 食べてみるのだ!」
「お、どれどれ。はむ。……おお、すげーしっとりしてて美味い……」
「だろ!? ミケー! これ作って欲しいのだー!」
イヴァロンはココアを飲みながら、満足気にお菓子を食べている。
だが確かに美味い。イヴァロンが夢中になるのも分かる。
「お兄ちゃん、見て見て! これ可愛いのだわ!」
「おっ、白のワンピースか。いいね、清楚でイライザの髪色にも合ってるよ」
白いワンピースに黒の細いベルトで腰の括れを強調し、その上から淡いベージュのカーディガンを羽織っている。
が……パッと見は清楚なのに、胸元がガッツリ開いてるのは何でなん……?
誘ってるん? ねえ、これ誘ってるん?
「お兄ちゃんがいいなら……いいよ♡」
「おっ。引きが強いな、大物か」
「無視しないでほしいのだわ!?」
皆の前で何を言ってるんだこの子は。
ため息をつきながら釣りを続けていると、今度はエリオラが擦り寄ってきた。
「タナトっ、タナトっ」
「ん? 何だ?」
「髪の毛一本ちょうだい」
「君は何を言ってるのでせう?」
髪の毛? 今この子髪の毛よこせっつったか?
軽くドン引きしてると、エリオラは慌てたように取り繕った。
「ち、違う。タナトは勘違いをしている」
「勘違い?」
「そう、勘違い」
髪の毛ちょうだいってセリフに、それ以上もそれ以下もないと思うけど。
「タナトの髪を堪能したいから」
「アウトだこの野郎」
勘違いも何も絶望的にそのまんまの意味じゃねーか。
本格的にドン引きなう。
これは訴えたら勝てる。
「むぅ、手強い」
「手強くないよ。自分の身を守ってるだけだよ」
「どうしたらくれる?」
「多分どうやっても無理じゃないかな」
「手強い」
「逆にそれでどうしてくれると思ったのか知りたい」
と、そこで何かを思い付いたのかエリオラさん。
俺の頭をじーーーっと見つめると。
「えっ!? たたたたたタナト!? あんたすごい勢いで髪の毛伸びてるわよ!?」
「んなっ!?」
なんだこりゃっ!?
慌ててソファーから立ち上がると、長すぎて床までついてる。それにまだ伸びてるし。
「タイヘンダー。タナトノカミノケガノビター。コレハキラナイトナー」
「……おいエリオラ。まさかとは思うが……これお前の仕業か?」
「てへ♪」
「てへ、じゃないよ! てへ、じゃ! おま、なんてことしてんだ!?」
「髪の毛が伸びる呪いを掛けてみました」
「初耳なんだが!?」
エリオラって呪いまで掛けられるの!? 怖い、やめて!
結局伸びに伸びて、俺の体二人分の長さまで伸びてようやく止まった。
いや、どうすんだこれ……。
「はいタナト、動かないで」
「え──?」
──ズバッ、ズバッ……! パサリ。
……え?
床に落ちる黒く長い髪。
急に軽くなった頭。
これは……。
「風魔法でばっさりいってみました」
「あっっっっぶな!?」
鏡!
……よかった、元の長さに切られただけだ。
「エリオラ。この為に髪伸ばしてから切るって、もう絶対止めろよ」
「……絶対?」
「絶対」
「どうしても?」
「どうしても」
「ダメの反対はイイ……」
「よくない!」
そんなお約束じゃなくて、本当にやめてほしい。切実に。
むー、と頬を膨らませるエリオラ。
だけどちゃっかり髪の毛は回収していた。
「まあ、切っちゃった分はしょうがないけど……髪の毛なんて何に使うんだ?」
「…………」
「なんか言って!?」
いきなり髪の毛伸ばされてばっさり切られた上に無断で全部回収するのホント怖いからね!?
「……四日後」
「……え?」
「……四日後、お楽しみに」
それだけ言うと、エリオラは自分の部屋に戻って行った。
……四日後に何があんの……?(ガクブル)
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