外れスキル【釣り】を極限にまで極めた結果 〜《神器》も美少女も釣れるようになったけどスローライフはやめません。〜

赤金武蔵

第10話 雌落ち待ったナシ

「……へいミケ。俺は下着を買いに来たんだよな?」


「ええそうよ」


 うん、どうやら認識違いではなかったらしい。
 ……ここ、例のランジェリーショップじゃね?
 店先にこれ見よがしに並べられている、色鮮やかで華やかな下着。
 だが奥を見ればかなり際どい下着も陳列している。


「ランジェリーも下着よ。問題ないわ」


「俺の精神衛生上、大問題だわ」


「残念だけど、タナトは逃げられないわよ。ほら」


 ほら?
 後ろを見ると、エリオラ、イライザ、イヴァロンが多種多様な下着を手に俺へにじり寄っていた。
 ちょ、待て。特にエリオラ。お前のそれ、最早紐じゃねーか!?
 イライザ、お前のやつはスケスケしすぎ!
 イヴァロン、大事なところが全部見えてるんだけど!? それ下着の意味は!?


「まあまあ皆、落ち着いて。まずは店員さんにスリーサイズを測ってもらわなきゃ」


「む、確かに」


「まあ中に連れ込めばこっちのものなのだわ」


「今のタナトはエッチな下着が似合うと思うのだ。間違いない」


 間違いだらけだあほんだら。
 逃げようと画策していると、ミケに羽交い締めにされ店内に強制連行。ぴえん。


「すみません、いいですか?」


「はーい。あっ、ミケ様! お久しぶりです!」


「お久しぶりです。今日はこの子の下着を買いに来たんですけど、まずはスリーサイズ測ってもらっていいですか?」


「分かりました」


 あ、ちょっ、待ってまだ心の準備が……!
 強制的に奥に連れられ、メジャーを使って色々と計られる。


「ワァッ! お客様、とても形が綺麗ですねぇ!」


「そ、そう、ですか?」


「うんうんっ。あれ、でもノーブラ……?」
「い、今まで付けたことなくて……」


「付けたことないのにこの形を保ってるんですか!? 凄い凄い! 凄いです!」


「は、はあ、どうも……」


 何これ拷問?


「……はいっ、トップとアンダーの差が二十二センチなので、Fですね」


「F……!」


 なるほど、デカいと思ってたが、やっぱりデカかったか。
 ……ちょっと誇らしい。


「お好きな色とかありますか?」


「好きな色? あー……黒、とか?」


「黒ですね。少々お待ちください」


 店員さんが店の中をグルグル回って、幾つか手に持ってくる。


「付け方お教えしましょうか?」


「あ、それは私がやるので大丈夫です」


「畏まりました、ミケ様」


 えっ、ミケが付けてくれるの?
 試着室に連れられると、カーテンを閉ざされて俺とミケの二人っきりになった。


「さ、タナト。上脱いで」


「ぬ、脱ぐっ!? ここで!?」


「そりゃ、試着するんだもの」


「で、でもミケの前で……」


「何言ってるのよ。もう何度も見てるじゃない」


「それはまだこの体の前で……!」


「焦れったいわね。破かれたくなったら脱ぎなさい」


「ヒェッ」


 ミケ怖い……怖すぎ……。
 ここは大人しく指示に従おう……。


「うわっ、やっぱりデカいわね……」


「ま、まじまじ見るな、ばか……」


「あ、ごめんなさい。じゃ付けるわよ」


「んっ……ぁんっ」


 …………? ……?? え、今の俺の声っ!?
 慌てて口を手で覆い、チラッとミケを見る。


「…………っ」


 そ、そんなムラムラしてるような顔するな。ばか……。
 くそぅっ、俺だって男だぞ。女の子のこんな顔みたら、俺だってムラムラくらいするわっ。


「どうしよう、女タナトもいい……」


「やめてくれホントに」


   ◆◆◆


「「「おおおーーーっ」」」


 ブラを着け終えて試着室の前で待ってる皆に見せると、全員感嘆の声を上げた。


「凄い似合ってるのだわ!」


「黒がタナトにぴったり……!」


「欲情をそそられるな!」


「そ、そう、か……?」


 シンプルなフリルがあしらわれた、黒のブラジャーだ。
 胸全体を覆い隠す感じではなく、若干だが上乳の布面積が少ない。
 ショーツは試着していないが、ブラに合わせた黒いフリル付きのものだ。


 念の為自分で鏡を見る。


「……ふむ……確かにエロい」


 白い肌に黒い髪と黒いブラが映える。
 なるほど、これがバエか。
 ……ちょっと楽しくなってきた。
 なるほどなぁ。女の子が着飾るのって、こんな感じなのかぁ。ふーん……へぇ……。


 鏡の前で色々と確認してると、後ろで四人がこそこそ何か話しているのが見えた。






「ふふ。タナト、ちょっと女の子の良さが分かってきたんじゃない?」


「雌落ち待ったナシ」


「この勢いで分からせるのだわ。今お兄ちゃんはノってるのだわ」


「タナトも悪ノリが好きだからな。これは面白いことになるぞっ」


『お主ら、余りタナトをいじめるでないぞ……』


「おい? 何話してるんだ?」


「「「「『いいえ何も』」」」」


 ……声が揃うところが逆に怪しい……。


「じゃあ、他にも試着してみましょうか」


「……そう、だな。これだけじゃ何とも言えないし」








「「「「にやり」」」」
『はぁ……あとで怒られても知らんぞ……』

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